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30年後の同窓会 Last Flag Flying (2017)

2005年に発表された、ダリル・ポニクサンの小説”Last Flag Flying”を基に製作された作品。
妻をがんで息子も戦場で亡くした男性の30年ぶりに再会した戦友との旅を描く、製作、監督、脚本リチャード・リンクレイター、主演スティーヴ・カレルブライアン・クランストンローレンス・フィッシュバーン他共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)

スティーヴ・カレル / Steve Carell / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:リチャード・リンクレイター
製作
ジンジャー・スレッジ
リチャード・リンクレイター
ジョン・スロス
製作総指揮
ハリー・ギッテス
トーマス・リー・ライト
カレン・ルース・ゲッチェル
原作:ダリル・ポニクサン”Last Flag Flying”
脚本
リチャード・リンクレイター
ダリル・ポニクサン
撮影:シェーン・F・ケリー
編集:サンドラ・エイデアー
音楽:グレアム・レイノルズ

出演
ラリー”ドク”シェパード:スティーヴ・カレル
サル・ニーロン:ブライアン・クランストン
リチャード・ミューラー:ローレンス・フィッシュバーン
チャーリー・ワシントン:J・クイントン・ジョンソン
ウィリッツ中佐:ユル・ヴァスケス
ルース・ミューラー:ディアーナ・リード=フォスター
アノラック:リチャード・ロビショー
ジェイミー:リー・ハリントン
ハイタワー夫人:シシリー・タイソン
ジャッキー:ケイト・イーストン
ジョン・レッドマン:グラハム・ウルフ
リーランド:テッド・ワッツJr.

アメリカ 映画
配給
アマゾン・スタジオ
Lionsgate Films
2017年製作 124分
公開
北米:2017年11月3日
日本:2018年6月8日
北米興行収入 $965,480
世界 $1,869,040


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
2003年12月、バージニア州、ノーフォーク
ラリー”ドク”シェパード(スティーヴ・カレル)は、あるバーに向かう。

オーナーのサル・ニーロン(ブライアン・クランストン)は、ポーツマスから来たと話すドクから自分を忘れたのかと言われ、海兵隊時代の戦友だと気づく。

ベトナム戦争時代、同じ部隊の衛生兵だったドクを思い出したサルは、彼が降格して服役し懲戒除隊になったことを知る。

ポーツマスでの仕事を訊かれたドクは、海軍の売店で仕入れを担当しているとサルに伝える。

二人は店でそのまま眠ってしまい、翌朝、ドクは、サルから見せたいものがあると言われて車で出かける。

リッチモンド
ドクと共に教会に向かったサルは、同じ部隊の戦友だったリチャード・ミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)が牧師だったために驚く。

...全てを見る(結末あり)

聖職者には全く相応しくなかったミューラーが、牧師になったことが信じられないサルは、初めての参加なので自己紹介することになる。

ドクと共に席を立ったサルは、ミューラーと同じ部隊だったと言って出席者に歓迎される。

ミューラーと妻ルース(ディアーナ・リード=フォスター)から食事に招待されたドクとサルは、楽しい時間を過ごす。

妻メアリーの話になったドクは、1月に乳がんで亡くなったことを伝える。

子供の話にもなり、息子が一人いると言うドクとサルに、ルースはデザートを用意しようとする。

戦地で愚行に加わったことを悔いると言うミューラーに、昔のお前はどこに行ったと問うサルは、成長し人生の目的を見つけたと話す彼から、自分は何をしていたのか訊かれる。

共産主義が広がると言われて再入隊したが、今やベトナムには観光に行ける時代になったと話すサルは、ある事件で重傷を負ったと伝える。

黙っているドクの様子が気になるミューラーとルースは、話した方がいいと言って彼の悩みを聞く。

息子のことで皆を捜しに来たと言うドクは、ラリー・ジュニアは1年前に入隊し、バグダッドで部隊が待ち伏せされ、2日前に死だという連絡を受けたことを話す。

今夜、遺体は帰国してアーリントン墓地へ移送されると言うドクは、ミューラーとサルに一緒に来てほしいと伝える。

サルとミューラーは、彼らなりにドクを励ます。

ドクを気の毒にに思うサルは協力すると伝えるものの、難色を示すミューラーはルースに呼ばれる。

脚が悪いミューラーはドクに行けないと伝えて、ルースの元に向かう。

ルースから力になるべきだと言われたミューラーは、カウンセラーがいると伝えるものの、ドクをサルから誰が守るのかを問われる。

仕方なく同行することにしたミューラーは、サルが運転する車でドクと共にバージニアに向かう。

途中、他愛もない話をするサルが、トラックに煽られてそれに対抗して危険な目に遭わせたため、ミューラーは汚い言葉で彼を罵る。

昔のミューラーに戻ったと言うサルは喜び、先を急ぐ。

アーリントン墓地
目的地に着いたサルは、ドクからドーバー空軍基地に向かうと言われ、それがデラウェア州だったために、自分達がなぜここにいるのかを彼に問う。

分からないと答えたドクは、軍からはここだと言われたが、飛行機で帰って来るのでドーバー空軍基地が目的地だとサルに伝える。

サルに納得してもらったドクは、運転を代わりデラウェアに向かう。

ドーバー空軍基地
ゲートに着き、遺体配送中なので明朝8時に来てほしいと言われたドクはモーテルに向かい、同僚が集めてくれた寄付金で宿泊代を払う。

その場にあったテレビ映る映像は、サダム・フセインが捕らえられた報道だった。

翌日、サルとミューラーと共に遺体の元に向かったドクは、ウィリッツ中佐(ユル・ヴァスケス)から、息子が、国のために命を捧げた英雄だと言われる。

会いたいと言うドクに対してウィリッツは、遺体の顔の損傷が激しいために勧めないと伝える。

ミューラーからウィリッツの意見に従うべきだと言われたドクは、サルからは自分なら絶対に見ると言われる。

考えを変えないドクの望み通りにさせようとしたウィリッツは、チャーリー・ワシントン兵長(J・クイントン・ジョンソン)に、サルとミューラーをコーヒー・コーナーに案内するよう指示する。

ワシントンと話したサルは彼の耳がただれていることに気づき、現地のブヨに咬まれた”バグダッド・ボイル”だと知る。

ウィリッツが棺を開けて、息子と対面したドクはショックを受けて涙する。

サルから、ラリー・ジュニアから父親の話を聞いたか訊かれたワシントンは、ドクが誰かを殴ったか殴られたかという話などを聞いたと答えて、彼とは親友だったと伝える。

現地で待ち伏せに遭い、銃撃戦になった時のことをサルとミューラーから訊かれたワシントンは、そのことを話す。

子供達に学用品を届けていた分隊は行きつけの店に行き、ラリー・ジュニアがコーラを会に向かった時に、”アラーは偉大なり”と叫ぶ男に襲われて彼は射殺され、応戦したワシントンらは相手を皆殺しにして部隊に戻ったということだった。

動揺するドクに近づいたサルは、頭がなかったと言う彼に男になるようにと伝えて、去ろうとするウィリッツを呼び止める。

ラリー・ジュニアがどうやって死んだか話すようにと言われたウィリッツは、英雄と死んだとしか答えない。

現場にいたか訊かれて、いなかったと答えたウィリッツは、サルから、ドクは現場にいた者と話すべきだと言われる。

ウィリッツから何が起きたか話すようにと言われたワシントンは、それに従う。

ミューラーがバスに乗って帰るつもりだと知ったサルは、これからどうしたいかドクに尋ねる。

息子をアーリントン墓地には埋葬せず家に連れて帰ると言うドクは、ウィリッツから反対される。

望む方法で移送するが葬儀社にしか引き渡さないと伝えたウィリッツは、聖職者なら別だとミューラーから言われる。

カラーをつけたミューラーは、ドクとサルと共に棺を車に運ぶ。

棺が車には入らないためにトラックを借りることになり、帰るつもりのミューラーは、ドクに別れを告げてサルと共に町に向かう。

途中サルは、戦地で仲間が撃たれても、自分達がモルヒネを使ってしまい、何もできなかったことをミューラーに話し、少しは何かをすべきだと伝える。

トラックのレンタル店で手続きを済ませたサルとミューラーは、バス・ターミナルに向かう。

ミューラーと別れたサルは基地に向かい、ドクと共に棺をトラックに積み込む。

砂漠に送り込まれたラリー・ジュニアやジャングルで戦った自分達に何の意味があったのかを考えるドクは、死ねば英雄、名誉、アーリントンだと軍から言われるが、海兵隊員ではなく息子として埋葬したいとサルに伝える。

バスを待っていたミューラーは、捜査官のアノラック(リチャード・ロビショー)らにテロリストと間違われて逮捕されてしまう。

サルとドクもトラックを止められるものの、テロリストだという誤解は解けてモーテルに戻る。

そこにミューラーが現れ、イスラム過激派と間違われたと言って、サルとドクに不満を訴える。

ルースに電話をして直ぐに帰ってくるようにと言われたが、今回の件が片付くまでは家には帰らないと伝えたことを、ミューラーは二人に話す。

遺体は奪われたことをドクから知らされたミューラーは、明日、取り戻して家まで送ると伝える。

翌日、三人は、ワシントンと共に現れたウィリッツから、昨日の件はレンタカー店の手違いだと言われる。

アーリントンでの埋葬を断るべきではないと言われたドクは、息子をニューハンプシャーに埋葬する考えを変えない。

軍服ではなく卒業式に来たスーツで埋葬すると伝えたドクは、ウィリッツから、遺体は無料で空輸して葬儀社に運ぶと言われるものの、自分達で運ぶことを望む。

サルから、今回の件で憤慨している自分達に逆らうなと言われたウィリッツは、遺体を電車で運ぶ考えのドクの考えを受け入れ、ワシントンを同行させて手配しようとする。

それに反対するサルだったが、ウィリッツから、ワシントンは暫定任務なので用がなければバグダッドに送り返すと言われたため、三人は納得する。

その場は引き下がったものの、サルの言動などが気に入らないウィリッツは、老いぼれの退役軍人にナメられるなと言って、ラリー・ジュニアには軍服を着せて名誉と共に埋葬するようにとワシントンに命令する。

サルに警戒しろと言われたワシントンは、アムトラックに乗せられた棺とドクら三人と共に、退役軍人である貨物係のジョン・レッドマン(グラハム・ウルフ)に迎えられてニューハンプシャーに向かう。

席で暇を持て余したサルは、貨物室で棺を見守るワシントンの元に向かい話をする。

ドクと話をすることをサルから提案されたワシントンは、それに従う。

親友や父親は町で殺されたと話すワシントンは、軍に入った理由は、他にやることもなく強くなりたかったと三人に伝える。

ラリー・ジュニアも同じだったと言われたドクは、戦場で大切なのは仲間を守ることだと話すワシントンに、戦時中に服役した自分は息子にとって恥だと伝える。

それを否定するワシントンは、ラリー・ジュニアには自分と違って幸せな子供時代があったことをドクに伝え、そんな話をしたことを知らせる。

仲のいい両親に愛されたことや、学校や友人達についても話してくれたと語るワシントンから、ラリー・ジュニアが”父親が好きだ”と言っていたことを知ったドクは考え込む。

コーラを買うのは自分の番で、死ぬのも自分のはずだったと言うワシントンだったが、ドクはそれを否定する。

ラリー・ジュニアの死を知らされた時のことを話すドクは、仲間のコーラを買いに行って殺されたなどとは聞いていないとワシントンに伝えて、学用品を届けている時に死んだことを考えると辛かった。

その後、サル、ドク、ミューラーは、戦地でのモルヒネを怪我の痛みではなく苦しみの痛みなどに使ったことなどを話す。

次の駅でルースに電話をすると言うミューラーに、サルは、どこでも電話ができるように携帯電話を持つべきだと提案する。

貨物室でワシントンと共に話をする三人は、ベトナムの歓楽街で楽しんだことを思い出して大いに盛り上がる。

ニューヨークペンシルベニア駅
一旦、電車を降りたサルは、アイリッシュ・パブの”ブラーニー・ストーン”にドクとミューラーを案内し、フセインが処刑されたニュースを見る。

店を出た三人は携帯電話ショップに向かい、店員のジャッキー(ケイト・イーストン)から、毎月500分の無料通話ができるプランを勧められる。

必要ないと考えるミューラーだったが、ドクから、三人が無料で話せるのなら買うべきだと言われ、緊急電話も無料だと知り購入に同意する。

店を出たサルはふざけてミューラーに電話するが、貨物担当のレッドマンに電話しろと言われる。

レッドマンに電話をしたサルは、電車がボストンに向かったことを知り、ミューラーに責められるものの、次の電車に乗ればいいと伝える。

出発までの間に食事をした三人は、自分達のせいで戦場で苦しみながら死んだジミー・ハイタワーの家がボストンにあることを話す。

三人は電車に乗り、ミューラーは、ルースと結婚した理由やどん底だった自分が神に出会ったことを話す。

ボストン
レッドマンに電話をしたサルは、ワシントンと共にニューハンプシャーに着いたことを知り、それをサルとミューラーに伝える。

ジミーの家に向かった三人はハイタワー夫人(シシリー・タイソン)に歓迎され、孫やひ孫の写真を見せてもらう。

戦場でのことを正直に話そうとするサルは、夫人から、ジミーが殺される前に数人を助けたと聞いていると言われる。

それが三人だと知った夫人は、ジミーは命の恩人であり敬意を表したくて訪ねたと言われて、彼らに感謝して見送る。

ポーツマス
家に着いたドクは、到着したワシントンはソファーに、ミューラーには寝室を貸して、ラリー・ジュニアの部屋でサルと眠る。

ここで一人で住むのはやめて、ノーフォークで自分のバーを手伝うことをドクに提案したサルは、パートナーになってほしいと伝える。

自分が死んだらぜんぶやると言われたて考えを訊かれたドクは、考えていると答える。

翌朝、ラリー・ジュニアの卒業式のスーツが小さいことに気づいたドクは、ワシントンから、軍のブルードレスがあると言われる。

サルとミューラーがブルードレスのことを懐かしく思い、誇りだと言う話を聞いたドクは、ラリー・ジュニアに軍服を着せることに決める。

葬儀は終わり、墓地に向かったドクは、ブルードレスを着たサルとミューラーから星条旗を渡される。

自宅での会食の最中、ドクはラリー・ジュニアからの手紙をワシントンから渡される。

兵士が全員、家族に書いた手紙を、自分とラリー・ジュニアは互いに預けたと話すワシントンは、内容は知らないと伝える。

サルとミューラーから読むべきだと言われたドクは、封筒を開ける。

国に命を捧げる覚悟ができて愛する者を守るために死ぬことを誇りに思い、いい人生を送れたのは応援してくれたからであり、最高の父親を愛しているので、母と共に見守るという内容だった。

手紙は、”自分を軍服姿で母の横に埋葬してほしい、あなたの息子、ラリーより”と締めくくられていた。

ドクを気遣うサルは、ミューラーと共に涙する彼を見守る。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
2003年12月、バージニア州、ノーフォーク
ポーツマス在住であるベトナム戦争の退役軍人ラリー”ドク”シェパードは、バーを経営する戦友のサルを訪ねて30年ぶりに再会する。
翌日、ドクはサルと共にリッチモンドに向かい、同じ戦友で牧師になったミューラーに会う。
再会を喜ぶ二人に、妻が乳がんで、息子が戦地バグダッドで亡くなったことを伝えたドクは、帰国する息子の遺体が埋葬されるアーリントン墓地に付き添ってほしいことを二人に頼む。
脚が悪いために難色を示すミューラーだったが、ドクとサルに説得されて同行することになる。
三人はアーリントン墓地に着くものの、遺体はデラウェア州のドーバー空軍基地に到着すると言うドクは、サルとミューラーと共に現地に向かう。
遺体と対面したドクは、担当官であるウィリッツ中佐に息子を家に連れ帰ると伝えて、反対されるものの考えを変えようとしない。
ドクの気持ちを尊重したサルとミュラーは、彼に協力して遺体をポーツマスに運ぼうとするのだが・・・。
__________

脚本も担当するダリル・ポニクサンが1970年に発表した小説”The Last Detail”の映画化「さらば冬のかもめ」の続編と言える作品。

妻をがんで、息子も戦場で亡くした男性が30年ぶりに再会した戦友の協力を得て、帰国した息子の遺体を自宅に運び埋葬するまでを描くコメディ・ドラマ。

原作者ダリル・ポニクサンとの共同脚本も担当するリチャード・リンクレイターが、ユーモアの中にも哀愁漂う雰囲気で描くヒューマン・ドラマでもあり、それぞれのキャラクターの繊細な人物描写が見所の作品。
しかし、見事な主人公らの演技を活かしきれていない、秘めたメッセージを強調させ過ぎているようなリチャード・リンクレイターの脚本は平凡だ。

戦場で亡くなった兵士の死を悼み、形式上、英雄として迎える国家の意向を無視して、無意味な戦いの犠牲になったとも言える息子を、兵士としてではなく”息子”として埋葬すようとする父親の切実な思いを描く内容は胸を打つ。

ダリル・ポニクサンの原作、リチャード・リンクレイターの演出、実力派が揃ったキャスティングなどが注目された作品ではあるが、拡大公開もされずに商業的には成功しなかった。

妻と息子を失い、30年ぶりに再会した戦友に協力を求める男性を深く演ずるスティーヴ・カレル、その戦友であり、不躾で傲慢だが人間味のある男を怪演するブライアン・クランストン、同じく、二人よりも荒れた青年期を過ごしたにも拘らず改心して牧師となったローレンス・フィッシュバーン、三人に同行する海兵隊兵長のJ・クイントン・ジョンソン、その上官である、極めて事務的に職務を遂行する中佐のユル・ヴァスケス、ミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)の妻ディアーナ・リード=フォスター、ミューラーをテロリストと間違える捜査官のリチャード・ロビショー、葬儀後の会食でサル(ブライアン・クランストン)と話す女性のリー・ハリントン、主人公三人を助けて戦死した戦友の母親シシリー・タイソン、携帯電話ショップの店員ケイト・イーストン、アムトラックの貨物係グラハム・ウルフなどが共演している。


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