サイトアイコン That's Movie Talk!

キスキス,バンバン Kiss Kiss Bang Bang (2005)

しがない泥棒がひょんなことからハリウッドの俳優になるチャンスをつかむものの犯罪に巻き込まれる姿を描く、監督、脚本シェーン・ブラック、主演ロバート・ダウニーJr.ヴァル・キルマーミシェル・モナハンコービン・バーンセン他共演の犯罪コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)

ロバート・ダウニーJr. / Robert Downey Jr. 作品一覧


スタッフ キャスト
監督:シェーン・ブラック

製作:ジョエル・シルバー
製作総指揮
スーザン・ダウニー
スティーヴ・リチャーズ
原作:ブレット・ハリデイ”Bodies Are Where You Find Them”
脚本:シェーン・ブラック
撮影:マイケル・バレット
編集:ジム・ペイジ
音楽:ジョン・オットマン

出演
ハリー・ロックハート:ロバート・ダウニーJr.
”ゲイ”ペリー・ヴァン・シュライク:ヴァル・キルマー
ハーモニー・ファイス・レイン:ミシェル・モナハン
ハーラン・デクスター:コービン・バーンセン
ダブニー・ショー:ラリー・ミラー
ミスター・フライパン:ダッシュ・ミホク
ミスター・ファイア:ロックモンド・ダンバー
ミア・フライ:シャニン・ソサモン
フリッカ:アンジェラ・リンドヴァル
オウレリオ:ヴィンセント・ラレスカ
マーレーア:アリ・ヒリス
ハリー・ロックハー(9歳):インディオ・ファルコナー・ダウニー
ハーモニー・ファイス(7歳):アリエル・ウィンター

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
2005年製作 103分
公開
北米:2005年10月21日
日本:2006年4月8日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $4,243,760
世界 $15,785,150


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー

1日目 ”Trouble is My Business”

ロサンゼルス
しがない泥棒のハリー・ロックハート(ロバート・ダウニーJr.)は、あるパーティー会場にいた。
__________

1年前のクリスマス、ニューヨーク
おもちゃ屋に盗みに入り逃げようとしたハリーは、路地で、警察を呼んだと言う女性から発砲される。

その場から逃走し、ある部屋に飛び込んだハリーは、そこがスクリーン・テストが行われている場所と知らずに焦る。

ダブニー・ショー(ラリー・ミラー)は、ハリーの怯える姿を見て最高の”メソッド演技”だと思い、彼を採用する。
__________
...全てを見る(結末あり)

そんな訳で、今ではロサンゼルスでパーティーに出席できるようになったハリーは、惹かれていた幼馴染のハーモニー・ファイス・レインのことを考える。
__________

インディアナ州。
田舎町で、スリラー小説の主人公”ジョニー・ゴッサマー”に憧れて育ったハーモニーは、妹ジェナが父親に性的虐待を受けていることを知りつつ、黙った見ているしかなかった。

やがて”ジョニー・ゴッサマー”の作者は亡くなり、ハーモニーは、成功してジェナを救うために16歳でロサンゼルスに向かう。

その後、女優を目指していたハーモニー(ミシェル・モナハン)は、侵入者の事件でインタビューを受け、それがダブニーの目に留まりパーティーに呼ばれる。

ある部屋で”ジョニー・ゴッサマー”の小説を見つけたハーモニーは、それを読みながら眠ってしまう。

そこに男が現れてハーモニーに触れたため、ハリーはそれを制止し、彼女だと気づかないまま、男と表に出て殴り合いになる。

男に叩きのめされてしまったハリーは、コンサルタントでもある私立探偵の”ゲイ”ペリー・ヴァン・シュライク(ヴァル・キルマー)から声をかけられる。

ペリーから、役作りのために探偵の修行をしてもらうと言われたハリーは、娘ヴェロニカの誕生パーティーのホストである実業家ハーラン・デクスター(コービン・バーンセン)を紹介される。

その後、助けようとした女性(ハーモニー)が気になったハリーは、彼女がドミノというクラブにいるとペリーから教えてもらう。

ドミノに向かったハリーは、女性に話しかけるものの相手にされない。

その場を去ろうとしたハリーだったが、ハーモニーから自分が分からないのかと言われる。

驚いたハリーは、片思いだったハーモニーとの再会を喜び、古郷でのことや彼女がCMに出た話などをする。

ハーモニーと友人のマーレーア(アリ・ヒリス)をホテルに誘ったハリーは、翌朝、隣にマーレーアが寝ていたために驚く。

ハリーはハーモニーの家に向かい、自分がマーレーアと愛し合おうとしたために帰ったと言われる。

何も覚えていないと言っても信じてもらえないハリーは、ハーモニーに追い払われる。

2日目 ”The Lady in the Lake”

ペリーと共に”アリソン・エイムズ”からの依頼を受け、あるキャビンを監視していたハリーは、何者かが乗った車を追い湖に向かう。

暴走する車が湖に飛び込んだために驚いたハリーは水に入り、無人だと言うペリーに後部座席で音がしたと伝える。

湖に飛び込み発砲したペリーは、トランクを撃って開けたと言って女性の死体を引き上げ、ハリーは、女性が下着を着けていないことに気づく。

覆面をした二人の男に目撃され、銃を湖に捨てたハリーを非難するペリーは、直ぐに警察に見つかると言って憤慨する。

街に戻り、依頼者は自分を目撃者にしたと言うペリーは、ハリーを車から降ろす。

忘れた電話が鳴っているとペリーから言われたハリーは、警察からの連絡で、ハーモニーが拳銃自殺したことを知らされる。

ペリーに慰められてホテルに戻ったハリーは、ハーモニーが現れたために驚く。

死んだのは妹のジェナで、家に押入った彼女が現金やクレジットカードとIDを盗んだらしいと言うハーモニーは、殺されたと思うとハリーに伝える。

ハーモニーをベッドに寝かせて休ませたハリーは、シャワー室に車の女性の死体があったために驚き、ペリーに電話をする。

死体を運び出すと言うペリーは、罠なら犯人は警察を呼んだはずで、銃も隠されているとハリーに伝える。

部屋を出たハーモニーは、フロントでハリーの部屋を聞いていた警官に、別の部屋で騒ぎがあったと教える。

死体を運び出して屋上から路地に投げ捨てたハリーとペリーは、それを車のトランクに入れようとする。

パトカーに気づき、抱き合ってキスしたハリーとペリーは、疑われることはなかったが、現れたハーモニーから、なぜキスしていたのかと訊かれる。

ハーモニーを家に送ったハリーとペリーは、路上に死体を捨てる。

3日目 ”The Little Sister”

ハーモニーから調査を頼まれたハリーは、妹ジェナが映画関係の仕事をする本当の父親を捜しに来たことを知らされる。

ペリーからの電話でニュースを見ろと言われたハリーは、路上で見つかった死体は、ハーランの娘ヴェロニカだったことを知る。

今回の事件のことを考えるハリーは、ペリーからニューヨークに戻るようにと言われるものの、オーディションを受けると伝える。

ペリーから、”コリン・ファレル”のギャラを下げるための当て馬だったと言われたハリーは、憤慨して殴り掛かる。

ハーモニーには探偵ではないと話したと言うペリーは、悪人に狙われているのでニューヨークに戻れと念を押し、ハリーに別れを告げて立ち去る。

ニューヨークに戻るために空港にいたハリーは、クラブで会ったハーモニーの友人で、客室乗務員のフリッカ(アンジェラ・リンドヴァル)に声をかけて、ハーモニーの電話番号を教えてもらおうとする。

ハーモニーの芸名が”アリソン・エイムズ”だと知ったハリーは、ペリーに電話をして、キャビンを監視した依頼人のエイムズはハーモニーの妹だと伝える。

街に戻りハーモニーの家に向かったハリーは、相手にしない彼女にドアを締められ、挟んだ左手の薬指が切断されてしまう。

病院で指の結合手術を受けたハリーは、ジェナとヴェロニカの接点を考えるハーモニーと電話で話し、パーティーに犯人がいたはずだと言われる。

出席しているクリスマス・パーティーでペリーと落ち合うと言うハーモニーに、自分も向かうとハリーは伝える。

パーティー会場で、ハーモニーが持っていた”ジョニー・ゴッサマー”の映画のビデオに父親が関係していると言われたハリーは、それをペリーと共に見る。

その映画に20年前のハーランが出演し、彼の家に”ジョニー・ゴッサマー”の本があったとハリーから言われたハーモニーは、1980年に古郷の町に撮影隊が来た時の俳優がハーランだったことに気づく。

ハーランが父親だと思った妹ジェナは、彼に会うためにロサンゼルスに来たという話でまとまる。

ペリーに仕事があると言えわれたハリーだったが、現れたミスター・フライパン(ダッシュ・ミホク)とミスター・ファイア(ロックモンド・ダンバー)に因縁をつけられる。

湖の覆面の男達が二人だと分かったハリーは、手を握られたために指を傷め殴られる。

ハーモニーと共に病院に向おうとしたハリーは、ミスター・フライパンとミスター・ファイアの車を目撃し、二人がペリーのいる場所に向かおうとしていることに気づく。

ハリーをその場に残し車を降りたハーモニーは、ペリーを助けようとしてミスター・ファイアに襲われるものの、彼を叩きのめして銃を奪う。

ペリーを追ったハーモニーは転んでしまい、その拍子に落した銃が暴発して車の事故が起きる。

ミスター・フライパンはペリーに銃を向けるが、ナチョス・スタンドの男が彼を射殺する。

二人に合図を送っていたピンクのカツラの女ミア・フライ(シャニン・ソサモン)が、ハリーが乗っていることに気づかないままハーモニーの車を奪う。

ペリーとハーモニーは、互いの無時を確認してその場から離れる。

ある家に着いたハリーは中に入り人を捜し、誰か現れたためにベッドの下に隠れる。

男と話していたミアは撃たれて倒れ、ハリーに気づくものの息絶える。

ハリーは、その場にいたミスター・ファイアを、ベッドの上にあった銃で射殺する。

もげてしまった指を犬に食われてしまったハリーは、ペリーからの電話を受けて、男を殺したことを伝える。

事件は解決したと報道され、ハーモ二ーと共にハリーを迎えに行ったペリーは、妹ジェナがヴェロニカ殺しを通報せず、自分に目撃させたことを疑問に思う。

ヴェロニカと父ハーランの関係も怪しいと言うハーモニーは、パリから帰国して不仲の父と和解したことも理解できないペリーが手を引こうとするため、ジェナに雇われた彼を非難する。

ハリーとハーモニーに関わらない方が身のためだと伝えたペリーは、その場を去る。

ハーモニーと別れたくないハリーは、自分が泥棒であることを告白し、何でも途中で投げ出す中途半端な男だと伝える。

何んとかハーモニーを引き止めたハリーはホテルの部屋に向かい、ヴェロニカの死体が下着を着けていなかったことを思い出す。

いいムードになったハリーだったが、ハーモニーが古郷の親友とまで寝ていたと告白したため、彼女を部屋から追い出してしまう。

ホテルを出たハーモニーはハリーに電話をして、ヴェロニカがレイプされていたかを訊くが、検死の結果その痕跡はなかったと言われる。

4日目 ”The Simple Art of Murder”

部屋で眠っていたハリーはペリーに起こされ、ハーモニーが姿を消したことを知らされる。

ヴェロニカの件が気になり調べるという、ハーモニーの残したメッセージをペリーから聴かされたハリーは、彼にヴェロニカの下着の件を話す。

デクスターのメンタルクリニックに向かった二人は、患者が下着を着けていないことを確認して、ヴェロニカがここの患者であり、デクスターが偽の娘を連れ回していたと考える。

”ジョニー・ゴッサマー”を参考にして行動していたデクスターが、現れたハーモニーの妹ジェナに目を付けたことに、ハリーとペリーは気づく。

建物から出た二人は、クリニックの警備員に銃を向けられるものの、隙を見てそれを奪い、事件の真相は突きとめたと言って、ハーモニーの居場所を聞き出そうとする。

何も話さない警備員を脅すために銃を向けたハリーは、誤って相手を射殺してしまう。

ハーモニーからの電話で彼女が自宅にいることを知ったペリーは、ヴェロニカの死体が火葬されるかを調べるよう指示する。

警備員の死体を隠したハリーとペリーだったが、現れたデクスターと部下のオウレリオ(ヴィンセント・ラレスカ)に銃を向けられる。

ハーモニーから電話があり、それを渡せと言われたペリーが投げた電話を取ったハリーは、デクスターに捕まったと彼女に伝える。

異変を察知したハーモニーは、カーペットの掃除会社を装う。

その後、ハリーは拷問を受けるが、ペリーが隠していた銃でオウレリオを射殺する。

棺が運び出され、デクスターは焼却するよう部下に命ずるものの、ハーモニーが車を奪って逃走する。

ハーモニーに電話をしたペリーは、逃げ出したことを伝えて、通りに迎えに来るよう伝える。

追跡されたハーモニーは事故を起こしてしまい、棺は放り出される。

逃げたハーモニーを助けようとしたハリーとペリーは、男に撃たれてしまう。

車で襲い掛かる男達を阻止しようとしたハリーは、迫るデクスターの車を避けようとして橋から飛び降り棺にしがみつく。

銃を向けられたハリーはデクスターを射殺し、男達の車を銃撃しながら屋根に落下する。

男達を射殺したハリーはハーモニーの元に向かい、持っていた”ジョニー・ゴッサマー”の本を彼女に渡す。

本が銃弾を止めたと思ったハーモニーだったが、ハリーは貫通していると言って意識を失う。

病院で治療受けたハリーに寄り添うハーモニーは、無事だった車椅子に乗るペリーから、デクスターは妹ジェナを殺していないと言われる。

ヴェロニカの身代わりは、ピンクのかつらを被っているミア・フライだと言うペリーの話で、ハリーは、それがミスター・ファイアに殺された女だと気づく。

デクスターを父親だと思ったジェナは彼を尾行していたのだが、ある日、デクスターが偽の娘とベッドを共にする姿を目撃し、彼も父と同じだと思い、絶望して自ら命を絶った。

デクスターの告発のために、ペリーは雇われたのだった。

その後、歩けるようになったペリーは、逮捕歴が5回もあるハリーに、更生するようにと伝える。

エピローグ ”Farewell, My Lovely”

ハーモニーの故郷を訪ねたペリーは、寝たきりのジェナの父親を野獣呼ばわりして殴り、罵倒してその場を去る。

その後、ハリーはペリーの下で働くことになる。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス
しがない泥棒だったハリー・ロックハートは、警官に追われてスクリーン・テストの会場に逃げ込んでしまい、新人俳優となってしまう。
あるパーティでコンサルタントでもある私立探偵のペリーから話しかけられたハリーは、役作りのために探偵の修行をしてもらうと言われる。
その後ハリーは、故郷の幼馴染で、片思いだった女優志望のハーモニーに再会する。
ペリーと共にあるキャビンを監視をしたハリーは、殺人事件に巻き込まれてしまい、更には、ハーモニーを頼って来た妹の自殺を調査することになるのだが・・・。
__________

1941年に発表された、ブレット・ハリデイの小説”Bodies Are Where You Find Them”を基に製作された作品。

ネオ・ノワールの犯罪ドラマであり、映画界の裏舞台などをシニカルに描くブラックコメディとして楽しめる、脚本を兼ねるシェーン・ブラックの小気味よい演出が光る快作に仕上がっている。

上記のように、フィルム・ノワールに敬意を表した作品であり、4日間とその後を描く内容の各チャプターには、レイモンド・チャンドラー作品のタイトルが付けられているのが、また洒落ている。

出演者の個性が生かされ、セリフなども実に味がある。
巧みに計画された犯罪や、祖の黒幕に関わる田舎の少女の物語などが軽妙に描かれ、見事な調和で全体がまとまっている本作は、非常に高い評価を得た。

しかし、拡大公開されなかったために、商業的には成功しなかった。

主演のロバート・ダウニーJr.は、冴えない泥棒から映画界に入り、犯罪に巻き込まれる主人公を怪演し、薬物問題を克服して完全復活に向けて着実に歩み始めていることを印象付ける、見事な演技を見せてくれる。

主人公と共に事件に巻き込まれる私立探偵のヴァル・キルマー、主人公の幼馴染である女優志願の女性を、キュートな魅力で愉快に演ずるミシェル・モナハン、事件の黒幕だった実業家のコービン・バーンセン、主人公を俳優としてスカウトするラリー・ミラー、ハーラン(コービン・バーンセン)の部下ダッシュ・ミホクロックモンド・ダンバーヴィンセント・ラレスカ、ハーランの娘の身代わりシャニン・ソサモン、ヒロインの友人アンジェラ・リンドヴァルアリ・ヒリス、主人公の少年時代役で、ロバート・ダウニーJr.の実の息子インディオ・ファルコナー・ダウニー、ヒロインの少女時代アリエル・ウィンターなどが共演している。


モバイルバージョンを終了