十字軍に参加してエルサレムを守ることに命を捧げた若き指揮官の戦いを描く、製作、監督リドリー・スコット、主演オーランド・ブルーム、エヴァ・グリーン、リーアム・ニーソン、ジェレミー・アイアンズ、エドワード・ノートン他共演の歴史スペクタクル超大作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:リドリー・スコット
製作総指揮
テリー・ニーダム
リサ・エルジー
ブランコ・ラスティング
製作:リドリー・スコット
脚本:ウィリアム・モナハン
撮影:ジョン・マシソン
編集:ドディ・ドーン
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演
バリアン:オーランド・ブルーム
シビラ:エヴァ・グリーン
ゴッドフリー:リーアム・ニーソン
ティベリウス卿(レーモン3世):ジェレミー・アイアンズ
ボードゥアン4世:エドワード・ノートン
ホスピタラー:デヴィッド・シューリス
ルノー・ド・シャティヨン:ブレンダン・グリーソン
ギー・ド・リュジニャン:マートン・チョーカシュ
サラディン:ハッサン・マスード
イスラムの騎士:アレクサンダー・シディグ
リチャード1世:イアン・グレン
イギリス人騎士:ケヴィン・マクキッド
司祭:マイケル・シーン
アメリカ/イギリス/ドイツ/スペイン 映画
配給
20世紀FOX
Scott Free
2005年製作 144分(DC:194分/189分)
公開
北米:2005年5月6日
イギリス:2005年5月6日
ドイツ:2005年5月5日
日本:2005年5月14日
製作費 $130,000,000
北米興行収入 $47,396,700
世界 $211,652,050
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
キリスト教徒とイスラム教徒、双方の聖地であるエルサレムを十字軍が奪って100年、ヨーロッパは圧制と貧困に苦しめられていた。
救いを求めた人々は、農民や貴族の区別なくエルサレムを目指した。
そして、一人の騎士が、顔も知らぬわが子を捜し故郷の地に戻る。
__________
1184年、フランス。
鍛冶屋のバリアン(オーランド・ブルーム)は、生まれたばかりの子供の死に耐えられずにいた妻まで自殺で失い、悲しみに暮れていた。
ある日、バリアンの前に、十字軍の騎士ゴッドフリー(リーアム・ニーソン)が現れる。
ゴッドフリーは、自分がバリアンの父だとを告げて彼に同行を求めるが、バリアンはそれを断る。
バリアンの妻を葬った司祭(マイケル・シーン)は、新しい世界に旅立つことを彼勧める。
司祭は自殺者は地獄行きだと言い放ち、彼が妻の十字架を奪ったことを知ったバリアンは司祭を殺す。
そしてバリアンは、父ゴッドフリーの元に向かい十字軍に参加する。 バリアンが司祭を殺したことで、司教が彼の連行命令を出し、ゴッドフリーの一行は襲撃を受けて死傷者を出す。 傷を負ったゴッドフリーを連れ、バリアンと一行は”聖地への港”メッシーナに到着する。 ”キングダム・オブ・ヘブン”(天国の王国)を作ることを使命としていたゴッドフリーは、バリアンにその意志を継ぐことを託して息を引き取る。 バリアンは、行動を共にしていたホスピタラー(デヴィッド・シューリス)に一旦別れを告げ、英国人騎士(ケヴィン・マクキッド)らと共に船でエルサレムを目指す。 嵐のため難破した船は海岸に打ち寄せられ、バリアンは唯一人生き残る。 砂漠を渡ったバリアンは、イスラム教徒の騎士に出会うが、船にいた馬を彼のものだと主張され、決闘の末に騎士を殺し、召使い(アレクサンダー・シディグ)に、エルサレムへと案内させる。 エルサレムに着いたバリアンは、イエス・キリストが磔にされた場所”ゴルゴダの丘”に向かい、祈りを捧げて妻の十字架を埋める。 貴族ゴッドフリーの後継者として、厚遇されたバリアンは、ホスピタラーと再会し、エルサレムの王女シビラ(エヴァ・グリーン)と出会う。 ティベリウス卿・レーモン3世(ジェレミー・アイアンズ)に面会したバリアンは、エルサレムを包囲するサラセンの王サラディン(ハッサン・マスード)を刺激しかねない、騎士達の暴挙などにレーモンが頭を抱えているのを知る。 王位を狙う、フランス人騎士ギー・ド・リュジニャン(マートン・チョーカシュ)と、妻で王女のシビラと食事をしたバリアンは、若き王ボードゥアン4世(エドワード・ノートン)に謁見することになる。 シビラに王の元に案内されたバリアンは、彼女に惹かれてしまう。 重病のために、仮面を被ったボードゥアン4世の志を知ったバリアンは、彼への忠誠を誓う。 バリアンは父ゴッドフリーの領地に向かい、荒れ果てたその地を、井戸を掘り甦らせる。 ある日、シビラが城に現れ滞在することになり、やがて二人は愛し合うようになる。 その頃、ギーとルノー・ド・シャティヨン(ブレンダン・グリーソン)が、テンプル騎士団を率いてサラセンの隊商を襲ってしまう。 レーモンはそれを責めるが、ギーとルノーは気勢を上げて戦い始めようとする。 一応それを認めたボードゥアン4世は、自らサラディンに会うことをレーモンに告げる。 ルノーの城が、サラセンに包囲されたことを知ったバリアンは、シビラを連れ城に向かいサラセンの大軍を迎え撃つ。 バリアンらは敗北し捕らえられるが、エルサレムの地に自分を導いた、実はイスラム教徒の騎士(アレクサンダー・シディグ)に命を救われる。 やがて、ボードゥアン4世に率いられたエルサレム軍が現れ、王とサラディンの協議により、両軍を引き上げることになる。 ボードゥアン4世はルノーに制裁を加え、レーモンが彼に死罪を言い渡す。 エルサレムに戻り、死期が近づくボードゥアン4世は、バリアンにエルサレム全軍の指揮を委ねる。 さらにボードゥアン4世は、姉シビラがギーと縁を切った場合に、彼女を妻に迎えることをバリアンに約束さようとする。 しかし、バリアンは良心に背くことを理由にそれを拒む。 ボードゥアン4世は、シビラに見守られながら息を引き取り、彼女の夫ギーが王となる。 ルノーを釈放させたギーは、再びサラセンの襲撃を開始し、サラディンの思う壺だと言うバリアンの警告を無視し、大軍を派兵する。 ギーが敗れることを悟ったバリアンは、エルサレムとシビラを守ろうとする。 ”ハッティーンの戦い”で大敗し、サラディンに捕らえられたギーは、目の前でルノーを殺され、偉大な王から何も学ばなかったのかとサラディンに罵倒される。 ルノーは、エルサレムを捨ててキプロスに向かう決意をし、バリアンに別れを告げる。 サラセンの大軍が迫り、エルサレムを守る準備を始めたバリアンは、兵のいない城壁内で、民を騎士と呼び士気を高める。 やがて、サラセンの攻撃は始まり、機を待つバリアンは戦況を見守り、近づいた敵軍に一気に攻撃を仕掛ける。 サラセンの攻城塔の攻撃も阻止したバリアンは、サラディン側に多大な損害を与える。 しかし、ついに城壁が破られ、壮絶な戦いが繰り広げられながらも、バリアンはエルサレムを死守する。 そして、サラディンとの協議に向かったバリアンは、血を流さずに、民をキリスト教国に逃がすことを約束され、エルサレムを明け渡す決意をする。 バリアンは、女王の座を捨てれば、共に生きることをシビラに告げる。 故郷に戻ったバリアンは、エルサレム奪回に向かおうとする十字軍の騎士に道を教え、英国王リチャード1世(イアン・グレン)に、自分は鍛冶屋だと名乗る。 そして、バリアンは妻の墓を見ながら、シビラと共に故郷を後にする。 リチャード1世は、3年間エルサレム奪回の戦いを続け、サラディンと休戦協定を結ぶ。 それから約千年、”キングダム・オブ・ヘブン”の平和は、未だに訪れていない。
...全てを見る(結末あり)
__________
*(簡略ストー リー)
1184年、フランス。
名もなき村の妻子を亡くした鍛冶屋バリアンの前に、十字軍の騎士ゴッドフリーが現れる。
貴族であるゴッドフリーから、父であることを告げられたバリアンは、一度はそれを断るものの、十字軍に参加する決意をする。
聖地エルサレムに向かう途中、襲撃に遭ったゴッドフリーは命を落とす。
バリアンは、”キングダム・オブ・ヘブン”(天国の王国)を作るという、父ゴッドフリーの意志を継ぎ、エルサレムを目指す。
目的地に着いたバリアンは、ボードゥアン4世の志を知り忠誠を誓い、その姉、王女シビラに惹かれてしまう・・・。
__________
1億3000万ドルの製作費、リドリー・スコット作品ということで大いに期待された作品ではあるが、北米の興行収入は伸び悩み約4700万ドルに終わる。
しかし、全世界では約2億1200万ドルのヒットとなった。
リドリー・スコットにとっては、同じ歴史劇の「グラディエーター」(2000)に次ぐ意欲作で、エルサレム王国の街並みや、広大な地での戦闘場面、主演オーランド・ブルームをサポートする豪華な共演陣など、全てにおいて、スケールの感ある満足度の高い作品。
大筋では史実に基づいてはいるが、かなりの部分で脚色されているシーンがある。
ドラマのキーとなる、バリアンとシビラの運命の恋は、男のロマンを感じさせる重厚な物語に華を添えている。
王に仕える者の暴走はあるものの(特にエルサレム側)、エルサレムとサラセンの君主同士が、協議の上に無駄な血を流そうとしない努力をする姿などは、現在にも通ずる、キリスト教とイスラム教の平和的共存を望んで描かれている。
美青年というイメージだけでなく、逞しさも感じる、見事に主役を演じ切った、主人公バリアン役のオーランド・ブルーム、彼との禁断の恋に落ちるシビラのエヴァ・グリーン、主人公の父リーアム・ニーソン、ティベリウス領主レーモン3世のジェレミー・アイアンズ、一度も素顔を見せないボードゥアン4世のエドワード・ノートン、ホスピタラーのデヴィッド・シューリス、ルノー・ド・シャティヨンのブレンダン・グリーソン、ギー・ド・リュジニャンのマートン・チョーカシュ、サラディンのハッサン・マスード、イスラムの騎士役アレクサンダー・シディグ、そして英国人騎士のケヴィン・マクキッドと司祭マイケル・シーンも、短い出演だが印象的な役を演じている。