ボクシング・プロモーターの強かな行動と彼に才能を見出された若手ボクサーの恋や成長を描く、監督マイケル・カーティス、主演エドワード・G・ロビンソン、ベティ・デイヴィス、ハンフリー・ボガート、ウェイン・モリス、ジェーン・ブライアン、ハリー・ケリー他公演のドラマ。 |
・ドラマ
・ベティ・デイヴィス / Bette Davis / Pinterest
・ハンフリー・ボガート / Humphrey Bogart / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・カーティス
製作
サミュエル・ビスコフ
ハル・B・ウォリス
ジャック・L・ワーナー
原作:フランシス・ウォーレス
脚本:シートン・I・ミラー
撮影:トニー・ゴーディオ
編集:ジョージ・エイミー
音楽
ハインツ・ロームヘルド
マックス・スタイナー
出演
ニック・ドナーティ:エドワード・G・ロビンソン
ルイーズ”フラフ”フィリップス:ベティ・デイヴィス
ターキー・モーガン:ハンフリー・ボガート
ワード・グィセンベリー”キッド・ギャラハッド”:ウェイン・モリス
マリー・ドナーティ:ジェーン・ブライアン
シルヴァー・ジャクソン:ハリー・ケリー
チャック・マグロー:ウィリアム・ハード
ドナーティ夫人:ソルダッド・ヒメネス
ジョー・テイラー:ジョー・カニンガム
バズ・バレット:ベン・ウェルデン
ブレイディ:ジョセフ・クレハン
レッドヘッド:ヴェーダ・アン・ボルグ
バーニー:フランク・フェイレン
ガンマン:ハーランド・タッカー
サム・マグロー:ボブ・エヴァンス
バーク:ハンク・ハンキンソン
オブライエン:ボブ・ネステル
デンボー:ジャック・クランツ
レフェリー:ジョージ・ブレイク
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1937年製作 102分
公開
北米:1937年5月26日
日本:不明
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
フロリダ州、マイアミ。
ボクシングのプロモーターであるニック・ドナーティ(エドワード・G・ロビンソン)は、世界チャンピオン候補のチャック・マグロー(ウィリアム・ハード)に負けたボクサーのバーク(ハンク・ハンキンソン)をクビにするよう、トレーナーのシルヴァー・ジャクソン(ハリー・ケリー)に指示し、恋人のルイーズ”フラフ”フィリップス(ベティ・デイヴィス)と共にその場を去る。
ニックはその試合で賭けに負けたものの、フラフと残った金で気晴らしにパーティーを開くことにする。
ホテルの部屋でフラフらと共に何日もパーティーを楽しむニックは、現れた記者のジョー・テイラー(ジョー・カニンガム)と、バークをクビにしたことなどを話す。
ニックに呼ばれた長身でハンサムなボーイのワード・グィセンベリー(ウェイン・モリス)は、彼に名前を笑われてしまい気落ちする。
ワードを気の毒に思ったフラフは、ドリンクの作り方も分からない彼に優しく接する。
それを知ったニックは苛立ち、ワードに仕事をするよう指示し、フラフとの愛を確かめる。
そこにシルヴァーが現れ、ニックは、ギャングのターキー・モーガン(ハンフリー・ボガート)から2万5000ドルを受け取ったバークが、わざと負けたことを知らされる。 憤慨したニックだったが、チャックとバズ・バレット(ベン・ウェルデン)を従えたモーガンが現れ、騒ぎを起こしたくないために、彼らを一応、歓迎する。 女たちにもてるワードを呼んだモーガンは、彼のズボンをナイフで切り侮辱する。 フラフがモーガンを非難し、チャックが彼女に手を出そうとする。 ワードはチャックを殴り倒してしまい、ニックとモーガンはそのパンチを見て驚く。 チャックは反撃しようとするもののモーガンに制止され、ニックがワードを出て行かせたため、フラフは彼を追う。 モーガンに非難されたニックは、ワードは知らない男だと言って、酔っているチャックに、弟のサム(ボブ・エヴァンス)とワードを闘わせることを提案して納得させる。 制服代をワードに渡したフラフは、自分のために騒ぎを起こした彼が気になる存在になる。 翌日ワードを呼んだニックは、彼が農場で仲間たちとボクシングをしていたことを知り、プロになることを検討させる。 昨日、殴り倒したチャックが次の世界チャンピオンだと知ったワードは、あのパンチを使えば稼ぐことができると言われ、フラフに、”円卓の騎士”の1人からとった”ギャラハット”というニックネームをつけてもらう。 ワードが農場を持つのが夢だと知ったニックは、自分に任せればいくつも持てると言って、前座試合に出すことを伝えて、後はフラフに任せる。 ワードは期待に胸膨らませるが、厳しい世界だと言うフラフは、モーガンのような男にも注意するよう忠告する。 チャンスなので挑戦してみたいと言うワードは、応援を約束してくれたフラフの言葉を嬉しく思う。 試合当日、控室に来たチャックの余裕に戸惑うワードは、ニックからトレーナーのシルヴァーを紹介されてリングに向かう。 フラフは、ワードに勝ち目がないために、既にニックとモーガンの間で話がついている試合だということを知り動揺する。 ゴングが鳴り、初戦のワードはサムのパンチを浴びて苦戦するが、何とか持ち堪える。 見ていられないフラフは、ニックがモーガンと組んでいることを非難するが、ワードがダウンを奪い会場は騒然となる。 ワードがサムにノックアウト勝ちしたために、ニックは、彼が殺されてしまうと考えて逃がそうとする。 ニックは、チャンピオンになれる逸材のワードのことをフラフとシルヴァーに任せて、ニューヨークに向かわせる。 モーガンと話したニックは、騙したと言われて責められるものの、ワードに直接訊けと伝えて、バークを買収したこともあったために、彼を納得させる。 フラフとシルヴァーと共に列車で旅立ったワードは、フラフと話をして、ブロードウェイの歌手になるのが夢だったことを知る。 3人はニューヨークに着き定宿に向かうものの、待っていたモーガンから組むことを強要されたワードは、彼を殴ってしまう。 トラブルは避けられない状況になり、シルヴァーに相談したフラフは、ニックの実家の農場に向かうことを提案される。 妹のマリー(ジェーン・ブライアン)がいるためにニックに怒られると思ったフラフだったが、シルヴァーから、マリーは修道会にいて、まじめなワードなら大丈夫だと言われて納得する。 フラフは街に残り、シルヴァーと共にドナーティ家に着いたワードは、ニックの母親(ソルダッド・ヒメネス)に歓迎される。 シルヴァーも戻ることになり、母からワードを紹介されたマリーは、彼がボクサーだと知り戸惑うが惹かれてしまう。 到着したニックを迎えたフラフは、ワードがモーガンを殴ったことを話す。 ワードが実家に向かったことを知ったニックは焦り、マリーにボクサーを近づけたくないためにフラフを責める。 マリーが修道会にいると思っていたフラフは、彼女は2か月前に戻っていると言うニックに謝罪する。 農作業を手伝っていたワードは、フラフのことばかり聞くマリーと口論になり、いがみ合ってしまう。 実家に着いたニックはマリーとの再会を喜び、ワードの話をして、この業界の者とは付き合うなと忠告する。 ニックがワードをすぐに連れ帰る様子なので、マリーは寂しく思う。 母に歓迎されたニックは、勧められた食事もせずに、準備ができたワード共に出発する。 ニックは、母とマリーに業界の者を近づけたくないことをワードに話し、ボクシングに集中しろと伝える。 その後、ジョーら記者の取材を受けたニックは、ワードのリングネームを考え、フラフが呼んでいた”キッド・ギャラハッド”にする。 才能を開花させたワードは勝利を重ね、ジョーの宣伝のおかげで女性ファンが多数、会場に詰めかける。 ラジオで試合の実況を聴くマリーはワードのことが気になり、それを母に知られてしまう。 マリーの気持ちを理解する母は、ニックのことを気にする彼女に、ワードの心を射止めるようにと言って励ます。 一方、フラフも、ワードの活躍記事をスクラップにしていた。 そんなフラフは、シルヴァーから、ワードが恋の病で練習に身が入らないと言われ、彼が自分のことを思ってくれていると考える。 シルヴァーから数日休んでもいいと言われたワードはフラフに会い、マリーに惹かれていることを話し、相談に乗ってもらう。 ニックには会うなと言われているために迷うワードは、フラフから、会いに行くべきだと助言される。 明日、会いに行くと言うワードに感謝されたフラフは、その場を去る彼を見つめながら涙ぐむ。 ワードの次の対戦が決まったことをフラフに伝えたニックは、彼女だ出て行こうとしているために驚く。 ワードに恋したことを正直に話したフラフは、憤慨するニックに、彼が自分の気持ちに気づいていないことを伝える。 ワードのそばにいるのが辛いフラフの気持ちを察したニックは、友好的に彼女と別れようとする。 クラブ歌手になることを伝えたフラフは、ニックに別れを告げてその場を去る。 訪ねた来たワードと話したマリーは、以前の態度を謝罪するが、再び口論になる。 フラフのことを訊かれたワードは、彼女は優しいいい人だと言って、ここに来るのも勧めてくれたとマリーに伝える。 プロポーズにも文句があるかとマリーに伝えたワードは、ないという彼女に腕時計をプレゼントする。 その様子を見ていた母親は嬉しく思う。 オブライエン(ボブ・ネステル)と対戦するワードと話したニックは、フラフと関係していないことを確認し、KOせずに判定に持ち込むよう指示する。 その試合を見ていたモーガンは、チャックがクラブにいることを知り苛立つ。 それを知ったジョーは、モーガンをつければ特ダネになると考える。 モーガンは、ワードにフラフの悪口を言うよう、コーナーに戻ったオブライエンに指示する。 オブライエンからフラフのことでからかわれたワードは、憤慨して彼をノックアウトしてしまう。 ニックは指示に従わなかったワードをクビにしようとするが、シルヴァーに制止されて思い留まる。 ジョーと話したモーガンは、ワードがチャックを殴った件を記事に書かせ、大衆が対戦を望むよう仕向けようとする。 2人の対戦のことを記者たちに訊かれたニックは、モーガンの思い通りにはならないと言って、時期が早いと答える。 マリーが来ていることを知ったワードは、彼女をドライブに誘い、フラフのクラブに向かう。 フラフの歌を聴いたワードとマリーは、彼女と同席して話をする。 そこにモーガンが現れ、酔ったチャックを非難して帰ろうとする。 ワードに気づいたチャックは、彼を殴り挑発する。 チャックに襲いかかろうとしたワードを制止したモーガンは、来月、対戦させると言って彼を納得させる。 カメラマンに指示してその様子を取材させたジョーは、編集長のブレイディ(ジョセフ・クレハン)と共に、クラブの騒ぎを特ダネにしようとする。 焦るフラフはジョーに会い、記事になることを阻止しようとするが、同席していたのがニックの妹だったことを話してしまう。 それを知ったジョーは興奮し、フラフは最悪の結果になることを恐れる。 ホテルに戻ったニックは、ワードとマリーが付き合い、フラフも絡んでいた騒ぎの記事を記者から知らされ、実家に向かう。 ワードとマリーを責めるニックは、反論する彼女の頬を叩いてしまう。 ニックを殴ってしまったワードは謝罪するが、リングの外では自由にしたいことをはっきりと彼に伝える。 諦めたニックは、それ以上、何も言わずにその場を去る。 その後、ワードを許せないニックは彼を潰すことを考え、記者たちを集めて、チャックとの来月の対戦を発表する。 ワードは、急に考えを変えたニックの真意を探り、パンチ力では上なので勝算はあると言われて納得する。 部下のバーニー(フランク・フェイレン)から賭け率を聞いたニックは、現れたモーガンとチャックに5万ドル賭けた話になり、ワードをクビにするので叩きのめしてほしいと伝える。 その話に乗ったモーガンは、さらに15万ドルをチャックに賭ける連絡をしてニックと手を組む。 試合当日、フラフはマリーと共に観戦し、ワードがこの試合で引退する考えを知る。 リングに上がった挑戦者のワードと世界チャンピオンのチャックは紹介され、ゴングが鳴る。 ニックは、最初から攻撃することをワードに指示し、離れて闘うべきだと言うシルヴァーを黙らせる。 苦戦するワードだったが、ラウンド終了間際にチャックからダウンを奪う。 その後、ワードが心配なシルヴァーは離れるよう指示するが、憤慨したニックは彼をクビにして追い払う。 その後もチャックの攻勢は続き、ニックと話をしたフラフは、マリーの件でワードを憎むのは間違いで裏切りでもあり、ワードはあなたを信じていると伝える。 ニックは、マリーからも、もこんなことはやめてほしいと頼まれる。 納得したニックは、2人に心配いらないと伝えて、マックを呼び、警官を20人待機させて、バーニーにはワードに5万ドルかそれ以上を賭けるよう指示して銃を受け取る。 ニックは、コーナーに戻ったワードに、動いてチャックをバテさせて時間を稼ぎ休むよう指示し、シルヴァーに戻ってもらう。 10ラウンド、ニックが裏切ったことに気づいたモーガンは、警官が現れたことを知る。 反撃開始をニックに指示されたワードは、チャックをノックアウトして勝利し、世界チャンピオンになる。 試合後、控室は警官が警護するが、モーガンは発砲騒ぎを起こし、隙を見てその場に侵入し、ニック、ワード、シルヴァーに銃を向ける。 撃ち合いになり、モーガンを射殺しながら撃たれたニックは、ワードとシルヴァーに介抱される。 瀕死のニックは駆け付けたマリーと話し、ワードと仲良くやるようにと伝える。 フラフとも話したニックは、ワードをチャンピオンにする夢を2人で叶えたと言い残し、静かに息を引き取る。 涙するフラフはその場を離れ、勇ましい姿のワードのポスターを見つめて路地に向かう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストーリー)
マイアミ。
ボクシングのプロモーターであるニック・ドナーティは、恋人フラフとパーティーを開く。
長身でハンサムなボーイのワードをからかうニックだったが、フラフは、何も知らない彼に優しく接する。
そこに、ギャングのモーガンが、強豪ボクサーのチャックを伴って現れる。
モーガンに侮辱されたバークは、フラフに手を出そうとしたチャックを殴り倒してしまう。
チャンピオン候補のチャックを一発で倒したバークのパンチに驚いたニックは、彼を育てて大儲けをすることを考えるのだが・・・。
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1936年に”サタデー・イブニング・ポスト”に連載された、フランシス・ウォーレスの小説を基に製作された作品。
ボクシング・プロモーターの強かな行動と、彼に才能を見出された若手ボクサーの恋や成長を描くドラマ。
本作に出演したハンフリー・ボガートが主人公を演じた1941年公開の”The Wagons Roll at Night”と、エルヴィス・プレスリー主演の「恋のKOパンチ」(1962)は本作のリメイク。
ハンガリー出身でオーストリア時代を経て、ハリウッドのサイレント期から活躍を続けるマイケル・カーティスの演出、エドワード・G・ロビンソン、ベティ・デイヴィス、ハンフリー・ボガートなど豪華競演が話題になった作品。
エドワード・G・ロビンソンとハンフリー・ボガートは、本作を含めて5作で共演した。
すべてを支配できる雰囲気がある、ボクシング・プロモーターを演ずるあくが強いエドワード・G・ロビンソンと、その恋人を演ずる、思慮深く幸薄い雰囲気のベティ・デイヴィスのマッチングも注目で、2人に絡むギャングのハンフリー・ボガートが、やや控えめな役柄に感じてしまうところが興味深い。
それぞれの役柄の個性を活かしたマイケル・カーティスの無駄のない演出、マックス・スタイナーとハインツ・ロームヘルドの軽快な音楽も印象に残る。
主人公にボクシングの才能を見出され、恋や様々なことを経験しながら成長する青年ウェイン・モリス、彼と愛し合うようになる主人公の妹ジェーン・ブライアン、トレーナーのハリー・ケリー、チャンピオンのウィリアム・ハード、主人公の母親ソルダッド・ヒメネス、スクープをものにしようとする新聞記者のジョー・カニンガム、その上司である編集長のジョセフ・クレハン、モーガンの手下ベン・ウェルデン、パーティーの出席者ヴェーダ・アン・ボルグ、主人公の部下フランク・フェイレン、チャンピオンの弟であるボクサーのボブ・エヴァンス、冒頭で主人公がクビにするボクサーのハンク・ハンキンソン、ボクサーのボブ・ネステルなどが共演している。