歴戦、イギリスの英雄チャールズ・ゴードン将軍のスーダン派遣からカーツームの戦いまでを描く、主演チャールトン・ヘストン、ローレンス・オリヴィエ、ラルフ・リチャードソン他共演、監督ベイジル・ディアデンによる歴史スペクタクル作品。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ベイジル・ディアデン
製作:ジュリアン・ブロースティン
脚本:ロバート・アードリー
撮影:エドワード・スケイフ
編集:ファーガス・マクドネル
音楽:フランク・コーデル
出演
チャールトン・ヘストン:チャールズ・ゴードン将軍
ローレンス・オリヴィエ:ムハマド・アーマッド
ラルフ・リチャードソン:ウィリアム・ユーアート・グラッドストン
リチャード・ジョンソン:ジョン・ドナルド・ハミル・スチュアート大佐
アレクサンダー・ノックス:イヴェリン・ベアリング
ジョニー・セッカ:カリール
ナイジェル・グリーン:ガーネット・ウルズリー将軍
マイケル・ホールダーン:グランヴィル・レヴェンソン
ピーター・アーン:ホレイショ・ハーバート・キッチナー少佐
イギリス 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1966年製作 134分
公開
北米:1966年6月15日
日本:1966年10月
■ アカデミー賞 ■
第39回アカデミー賞
・ノミネート
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1883年、スーダン。
砂漠の民を集めて聖戦を呼びかけ、自らを救世主である”マフディー”と呼ぶ、回教徒の反乱軍を指揮するムハマド・アーマッド(ローレンス・オリヴィエ)を倒すために、エジプトは1万の兵と指揮官のイギリス軍将校を派遣した。
ナイル川の2600キロ上流、カーツームに送り込まれた兵士は、マフディーに振り回され奇襲に遭い全滅する。
スーダンはエジプトに支配され、統治していたイギリスの首相ウィリアム・ユーアート・グラッドストン(ラルフ・リチャードソン)は、名誉を汚されて困惑してしまう。
グラッドストンは、カーツームから戻った諜報部のジョン・ドナルド・ハミル・スチュアート大佐(リチャード・ジョンソン)から戦況報告を受けて、エジプト軍の能力の低さを知らされる。 そこで、外務大臣のグランヴィル・レヴェンソン(マイケル・ホールダーン)らは、中国の太平天国の乱で中国兵を率いて連戦連勝した男、チャールズ・ゴードン将軍(チャールトン・ヘストン)に白羽の矢を立てる。 グラッドストンは、どちらに転んでも、責任を回避出来るように仕組まれたスーダン派遣をゴードンに率直に話し、その申し出を彼は受けることになる。 ゴードンには副官スチュアート大佐が付けられ、彼が自分を監視する政府のスパイであることを、ゴードンは当然承知していた。 スーダンからエジプト人を救い出すため、現地に到着した元スーダン総督のゴードンは、人々から大歓迎を受ける。 その後ゴードンは、召使のカリール(ジョニー・セッカ)だけを従え、マフディーの元に向かう。 しかしマフディーは、ムハンマドの予言の通りカーツームを襲い、逆らう者は抹殺することをゴードンに伝え、和解の道は見つからず会見は物別れに終わる。 イギリス国内では、孤立するゴードン達を救えという、世論の声が政府を動かそうとしていたが、レヴェンソンの部隊派遣の提案を、グラッドストンは受け入れようとしない。 ゴードンは、カーツームの城壁に大砲を設置し、堀を作り水を張り、白ナイルと青ナイルの合流地点の町を島にすることを考える。 食料を調達に行ったゴードンは、マフディーの部下に襲われ300人の死者を出してしまい、援軍要請にスチュアートをロンドンに向かわせる。 スチュアートの説得に応じたグラッドストンは、ガーネット・ウルズリー将軍(ナイジェル・グリーン)率いる7000の兵をカーツームに派遣することを決める。 援軍派遣の連絡を喜ぶゴードンだったが、6週間が経ってもウルズリーは進軍せず、軍の訓練に励んでいた。 ウルズリーが首相から受けた命令は、カーツーム防衛ではなく、ゴードン救出だったことをスチュアートは知る。 カーツームに戻ったスチュアートは、ゴードンを退却させようと説得するが、彼は町に留まる決意を示す。 ゴードンは、スチュアートに人々を避難させることを命ずるが、彼の船は対岸からマフディーの部下の攻撃を受ける。 食料は盗まれて援軍が到着せず、人々の間には不満が募り、希望者はカーツーム脱出を許可される。 司令官ウルズリー将軍は、スチュアートの船にゴードンが乗っていなかったことを知る。 将軍は、ホレイショ・ハーバート・キッチナー少佐(ピーター・アーン)にカーツーム進撃を命ずるが、マフディーの部下がそれを迎え撃つ。 マフディーは、ゴードンを呼び出して再び会見を開き、彼を殺したくないことを伝えて退却を勧め、援軍到着の知らせは自分が偽装したものだということを明かす。 さらに、ゴードンがスチュアートに渡した、指輪がはまった切り取られた手首も見せられる。 それでもゴードンはカーツーム退却を拒み、奇跡を信じてマフディーとの戦いを選ぶ。 そしてマフディーの総攻撃は始まり、カーツームの城壁は破られ、ゴードンは壮絶な死を遂げる。 ゴードンを殺すなというマフディーの命令も届かず、彼は敵ではあるが英雄の死を悼む。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1883年、スーダン。
自らを救世主”マフディー”と呼び、回教徒の反乱軍を指揮するムハマド・アーマッドを倒すために、エジプトは大軍とイギリス軍指揮官を派遣する。
しかし、カーツームに送り込まれた兵士は、マフディー軍に翻弄されて全滅する。
名誉を汚された、イギリス首相グラッドストンは、帰還した諜報部のスチュアート大佐からの報告を受け、エジプト軍の能力の低さを知らされる。
そこで、外務大臣レヴェンソンらは、勇猛果敢な男、チャールズ・ゴードン将軍を推薦する。
グラッドストンの要請を受けたゴードンは、そのスーダン派遣を受けることになる。
元スーダン総督のゴードンは現地に到着し、人々から大歓迎を受ける。
そして、ゴードンはマフディーの元に向かうのだが、マフディーは、ムハンマドの予言通りにカーツームを襲うことを伝える。
二人の話し合いは物別れに終わり、戦いの火蓋は切って落とされる・・・。
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アクション映画という枠を超え、英雄のみぞ知る、主人公チャールズ・ゴードンと対立するマフディーとの、心に芽生える友情に近い感情なども繊細に描かれている。
この事件をきっかけに、失脚するイギリス首相グラッドストン及び政府の、優柔不断な世論を無視した政策なども、当時の世情を知る意味で興味深く描かれている。
第39回アカデミー賞では、ロバート・アードリーのオリジナル・ストーリーが、脚本賞にノミネートされた。
迫力ある、戦闘アクション・シーンなどの演出は、「駅馬車」(1939)や「ベン・ハー」(1959)などで知られる、ヤキマ・カナットが担当している。
指揮官としての指導力や、人間的な強さを兼ね備えたゴードンの人物像は、チャールトン・ヘストンの屈強なイメージそのものだ。
また、家族を持たず孤立を好むところがあるゴードンが、神に祈りを捧げるシーンなども度々挿入され、人間味も感じられる。
マフディーを演ずる、イギリス演劇界の重鎮ローレンス・オリヴィエの、威厳のある重厚な演技も見逃せない。
説得力ある、流れるようなセリフ回しや物腰は、主人公ゴードンを演ずるチャールトン・ヘストンをも圧倒している。
カーツーム支援を躊躇する、イギリス首相のグラッドストン役ラルフ・リチャードソン、そのスパイとしてゴードンの参謀に赴任するものの、忠実に任務を果たすスチュアート大佐のリチャード・ジョンソン、外務大臣レヴェンソンのマイケル・ホールダーン等が共演している。