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ジミー、野を駆ける伝説 Jimmy’s Hall (2014)

アイルランド内戦で国を追われながら祖国に戻った活動家のジミー・グラルトンが人々のために再び立ち上がる姿を描く、監督ケン・ローチ、主演バリー・ウォードフランシス・マギーシモーヌ・カービー他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:ケン・ローチ
製作:レベッカ・オブライエン
製作総指揮
パスカル・コシュトゥー
グレゴワール・ソーラ
ヴァンサン・マラヴァル
アンドリュー・ロウ
エド・ギニー
脚本:ポール・ラヴァティ
撮影:ロビー・ライアン
編集:ジョナサン・モリス
音楽:ジョージ・フェントン

出演
ジミー・グラルトンバリー・ウォード
モシー:フランシス・マギー
アリス:アイリーン・ヘンリー
ウーナ・マルヴォイ:シモーヌ・カービー
シェリダン神父:ジム・ノートン
マリー・オキーフ:アシュリン・フランシオーシ
デニス・オキーフ:ブライアン・F・オバーン
ショーン・マグワイア:カール・ギアリー
シーマス神父:アンドリュー・スコット
ステラ:ステラ・マクガール
モリー:ソーチャ・フォックス
デジー:マーティン・ルーシー
トミー・ギルロイ:マイケル・マーフィ
フィン:シェーン・オブライエン
テス:デニース・ガフ
ジャーナリスト:ショーン・T・オーマリー
ドハティ:コナー・マクダーモットロー
ルアリ:シーマス・ヒューズ
フィンタン・マルヴォイ:マイケル・シェリダン
オキーフ夫人:レベッカ・オマラ
モシーの妻:ダイアン・パークス
護衛:シェーン・カレン

イギリス 映画
配給 Entertainment One
2014年製作 106分
公開
イギリス:2014年5月30日
北米:2015年7月3日
日本:2015年1月17日
北米興行収入 $560,590
世界 $3,166,590


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1932年、アイルランドリートリム州
内戦終結から10年をアメリカで暮らしていた共産主義者の活動家ジミー・グラルトンバリー・ウォード)は祖国に戻り、友人モシー(フランシス・マギー)の馬車で家に向かう。

途中、独立運動の指導者”パトリック・ピアース”と”ジェームズ・コノリー”の名を取った、老朽化した集会場”ピアース=コノリー・ホール”を見つめながら、かつてを思い出すジミーは懐かしく思う。

母アリス(アイリーン・ヘンリー)や知人に歓迎されたジミーは、元恋人のウーナ・マルヴォイ(シモーヌ・カービー)にアメリカ土産を渡し、子供達や夫フィンタン(マイケル・シェリダン)のことを話す。
...全てを見る(結末あり)

家に帰りジミーからのプレゼントを開けたウーナは、美しいドレスを見て感激する。

農夫として静かに暮らす決心をしたジミーは、モシーやトミー・ギルロイ(マイケル・マーフィ)と共に黙々と働く。

そんなジミーのことについてアリスと話す教区のシェリダン神父(ジム・ノートン)は、彼が元の活動家に戻らないことを祈る。

農作業の帰りに、かつての敵デニス・オキーフ(ブライアン・F・オバーン)の娘マリー(ブライアン・F・オバーン)から声をかけられたジミーは、関わらない方がいいとトミーから忠告される。

後を追って来たマリーや若者から、かつて集会場だったホールを再開してほしいと言われたジミーだったが、老朽化しているから危険だと伝えてその場を去る。

しかし、ホールが気になるジミーは、その場にあった”ジェームズ・コノリー”の著書を見ながら昔を思い出す。

10年前。
皆と力を合わせて建てたホールを、許可なく”教会”のように利用しているとシェリダン神父から批判されたジミーは、共産主義者の教会侵犯だと言われたため、それに意見する。

対立するオキーフやシェリダン神父と対立し、身の危険を感じたジミーは、アメリカ行きを決意する。

同行してほしいとウーナに伝えるものの、両親を残しては行けないと彼女から言われたジミーは、いつでも想っていることを伝えて別れを告げる。
__________

そんな思い出に浸ったジミーは、ホールを再開することを仲間達に伝えて掃除を始める。

蓄音機を出したジミーは、アメリカ仕込みのダンスをウーナや皆と共に踊る。

片付けが終わったホールは、詩の朗読会やデッサン教室、ボクシングのジム代わりなどに利用される。

ホールが再開された新聞記事を見たシェリダン神父は、ジミーの行動に敏感に反応するが、シーマス神父(アンドリュー・スコット)は、冷静に対応するべきだと意見する。

ただの労働者ではあるが、情熱と知恵があるジミーをシェリダンは警戒する。

ホールでダンス会が開かれ、シェリダン神父は参加者をチェックし、マリーまでその場に向かうことを知り嘆かわしく思う。

次の説法で、シェリダン神父は教区の人々を前に、独自性を忘れて、ジミーのホールでアメリカ文化に浸り浮かれて騒ぐ者達を批判する。

更に、ジミーの仲間達が無神論者の共産主義者であることを話し、キリストジミーを選ぶか選択の時に来ていると語り、ダンス会に参加した者達の名前を読み上げる。

笑い出してしまったマリーの名前もあり、憤慨したオキーフは家族と共に教会を出て家に戻る。

家名を汚された思いのオキーフは激怒し、二度とホールに行くなと言ってマリーにを折檻する。

モシーに会ったシェリダン神父は、仕事を世話して、スコットランドにいる娘も連れ戻せると言って、ジミーと縁を切るべきだと迫る。

泣きながらホールに現れたマリーの背中の傷を見たジミーとウーナは、人々が、シェリダン神父から圧力を受けていることを知る。

神父の立場で考えたジミーは、教区に自分達のような問題児を抱えているため、カトリック教会全体から目をつけられている、その重圧による対処だと語る。

シェリダン神父の顔を潰さずに圧力を封じる方法を考えるべきだと言うジミーは、神父に運営員に加わってもらうことを提案するウーナや、慎重に行動するべきだという母アリスの意見を聞く。

教会を訪ねてシェリダン神父と話したジミーは、ホールの委員になってほしいことを伝え、自分達のしていることを実際に見れば和解できると伝える。

それを断られたジミーは、ホールでなら、考え、話し、学び、踊ることもできる、皆が善良になれる場所だと言って、恐れずに来てみてほしいと神父に伝えて説得する。

ジミーが信仰者であり尊敬する部分もあると言う神父は、出向いて話を聞くことを約束するが、ホールの権利書をカトリック教会に譲渡することが条件だと伝える。

神父が、自分に跪く者の話しか聞かないと考えたジミーは、この件は撤回すると言ってその場を去る。

映画館で対立派と言い争い、ウーナと共にホールに向かったジミーは、自分が贈ったドレスを着た彼女と踊り、心触れ合う。

その後、ある家族が地主に農場から追い出される事件が起き、ジミーは、その奪還のための協力を求められる。

農場だけの問題ではなく人々へのメッセージだと言われるものの、慎重に考えるべきで、自殺行為だとモシーは意見する。

自分達にとって、これはチャンスだと言うショーン・マグワイア(カール・ギアリー)は反論し、トミーもそれに賛成するものの、慎重派と意見は割れる。

ジミーから考えを訊かれたウーナは、何も答えることができなかった。

帰宅したジミーは、再び国を出る時には一緒に来てほしいと母アリスに伝えるが、彼女は、関係のない靴の話をするだけだった。

農場に向かい、現れた対立派を追い払ったジミーは人々の前に立ち、アメリカが凋落した原因でもある幻想と搾取、そして強欲による人々の行いを批判し、労働者の権利を主張する。

欲を捨てて誠実に働き、喜びを求めて生きることの大切さを説くジミーは、皆と共にホールに向かう。

しかし、ホールは銃による襲撃を受けてしまい、教会の懺悔室に向ったジミーは、愚かな者達の行動をシェリダン神父に話し、あなたの心な愛よりも憎悪が多いと伝えてその場を去る。

シェリダン神父の様子がおかしいと言われたシーマス神父は、彼の部屋に向かう。

アメリカの黒人女性が歌うレコードを聴いていたシェリダンは、素晴らしい歌声だと言って、ジミーが玄関にレコードを置いていったことをシーマスに伝える。

懺悔室でジミーから、自分の心は愛より憎悪が多いと言われたとシェリダンは語る。

その夜、ホールには火が放たれ、それに気づいたジミーは、崩れ落ちる建物を見つめるしかなかった。

犯人を捕らえようともしない警察と、死者を出さずに片付けたことを誇らしげに語るオキーフの言葉に怒りをぶつけるシーマス神父は、懲りずに叩きのめそうとする彼らの考えが理解できない。

警察は、不法在留外国人として、国外追放命令が出たジミーを逮捕しようとする。

納得いかないアリスは、せめて着替えをさせてあげてほしいと言って警官を説得し、彼らと家で話しをしている間に、ジミーは2階の部屋から逃亡する。

警察は、ショーン、ウーナ、モシー、トミーらを尋問して、ジミーの居場所を聞き出そうとするものの無駄だった。

仲間達の協力で身を隠していたジミーは、息子を失う母親の気持ちを訴えた、市議会でのアリスの発言のことなどをウーナから知らされる。

シーマス神父の協力が得られる可能性を伝えるウーナは、ホールは再建せずに静かに暮らすことが条件だとジミーに伝える。

二度と会えなくなると言って悲しむウーナを、ジミーは抱きしめる。

その後、逮捕されたジミーは、母アリスに別れも言えず、手紙を書くことも許されなかった。

移送されるジミーを罵倒するオキーフらを黙らせたシェリダン神父は、勇気と良識は彼の方が上だと言って、ジミーに敬意を払うようにと伝える。

マリーら若者達は、移送されるジミーのトラックを自転車で追う。

トラックを止めてしまったマリーらは、ダンスや夢も諦めないと言って、踊り続けることをジミーに伝えて別れを告げる。
__________

その後、ジミーニューヨークで暮らし、1945年12月29日に亡くなった。

祖国への帰還は、アイルランド政府から禁じられたままだった。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1932年、アイルランドリートリム州
内戦終結から10年をアメリカで暮らしていた共産主義者の活動家ジミー・グラルトンは、祖国に戻り母アリスや知人らに歓迎される。
農夫として静かに暮らすことを決めたジミーは、かつて皆が利用した集会場であるホールの再開を若者達から要望される。
老朽化したホールは危険だと言って躊躇するジミーだったが、かつての思い出と情熱が甦り再開を決意する。
人々の協力でホールを再開したジミーは、その後、カトリック教会のシェリダン神父からの圧力などを受け、反対派との対立が激化していく・・・。
__________

アイルランド内戦で国を追われた、共産主義者の活動家ジミー・グラルトンの祖国への帰還と人々と触れ合い、そして、再び巻き起こる支配者階級との対立を描くドラマ。

労働者階級の人々を描く作品を製作し続ける、ケン・ローチらしい社会性のあるドラマであり、主義主張を超えた、勇気や良識ある者に対する敬意などを追及した深いドラマに仕上がっている。

第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作であり、ケン・ローチパルムドールにノミネートされた。

主人公のジミー・グラルトンは、地元教区の神父と意見が対立するのだが、主人公は、神父が信念を貫こうとすることを尊敬し、神父も、主人公の勇気と良識に対し敬意を表する姿なども確りと描かれる、ヒューマニズムと力強さを感じさせるケン・ローチの演出手腕が見所の作品。

戦いに疲弊しつつ祖国に戻るものの、人々の情熱に触れて再び立ち上がる、実在の活動家ジミー・グラルトンを熱演するバリー・ウォード、彼の友人フランシス・マギー、思慮深い主人公の母親アイリーン・ヘンリー、主人公の元恋人で彼を支えるシモーヌ・カービー、主人公と意見の相違はあるものの、互いを尊敬し合う神父を好演するジム・ノートン、主人公を慕う少女アシュリン・フランシオーシ、その父親で主人公を敵視するブライアン・F・オバーン、主人公と共に活動するカール・ギアリー、教会や対立派の行動を批判する神父アンドリュー・スコットなどが共演している。


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