”ケネディ大統領暗殺事件”捜査に疑問を持った地方検事ジム・ギャリソンが正義を証明するために闘う姿を描く、製作、監督、脚本オリバー・ストーン、主演ケビン・コスナー、トミー・リー・ジョーンズ、ケヴィン・ベーコン、ゲイリー・オールドマン他豪華スター競演のドラマ。 |
・トミー・リー・ジョーンズ / Tommy Lee Jones / Pinterest
・ゲイリー・オールドマン / Gary Oldman / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:オリバー・ストーン
製作総指揮:アーノン・ミルチャン
製作
A・キットマン・ホー
オリバー・ストーン
原作
ジム・ギャリソン
”On the Trail of the Assassins”
ジム・マース
”The Plot That Killed Kennedy”
脚本
オリバー・ストーン
ザカリー・スクラー
撮影:ロバート・リチャードソン
編集
ジョー・ハッシング
ピエトロ・スカリア
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演
ジム・ギャリソン:ケビン・コスナー
クレイ・ショー/クレイ・バートランド:トミー・リー・ジョーンズ
ウィリー・オキーフ:ケヴィン・ベーコン
リー・ハーヴェイ・オズワルド:ゲイリー・オールドマン
ビル・ブロザード:マイケル・ルーカー
ルー・アイヴォン:ジェイ・O・サンダース
リズ・ギャリソン:シシー・スペイセク
スージー・コックス:ローリー・メトカーフ
ジャック・マーティン:ジャック・レモン
デイヴィッド・フェリー:ジョー・ペシ
ローズ・チェラミー:サリー・カークランド
ガイ・バニスター:エドワード・アズナー
ジャック・ルビー:ブライアン・ドイル=マーレイ
ラッセル・B・ロング上院議員:ウォルター・マッソー
ディーン・アンドリュースJr.:ジョン・キャンディ
ビル・ニューマン:ヴィンセント・ドノフリオ
ヌーマ・ベルテル:ウェイン・ナイト
X:ドナルド・サザーランド
ゴールドバーグ:ロン・リフキン
ニュースキャスター:ボブ・ガントン
アール・ウォーレン最高裁長官:ジム・ギャリソン
ナレーション:マーティン・シーン
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1991年製作 188分
公開
北米:1991年12月20日
日本:1992年3月21日
製作費 $40,000,000
北米興行収入 $70,405,500
世界 $205,400,000
■ アカデミー賞 ■
第64回アカデミー賞
・受賞
撮影・編集賞
・ノミネート
作品・監督
助演男優(トミー・リー・ジョーンズ)
脚色・録音・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1963年11月22日、ダラス。
アメリカ第35代大統領ジョン・F・ケネディが狙撃される。
ニューオーリンズ。
地方検事ジム・ギャリソン(ケビン・コスナー)は、事件の一報を聞き、その後、大統領の死亡を伝えるニュース見て、この事件が国の恥だと嘆く。
国民の間には悲しみが広がるが、ケネディを嫌い恨む者も多くいたのも事実だった。
やがて、暗殺事件の容疑者リー・ハーヴェイ・オズワルド(ゲイリー・オールドマン)が逮捕される。
オズワルドは無実を訴えるが、共産主義者である、彼のあらゆる方面からの状況証拠から、犯人であることが確実視される。 しかしオズワルドは、警察署の地下の駐車場で、ナイトクラブを経営する実業家のジャック・ルビー(ブライアン・ドイル=マーレイ)に銃撃され、その後、搬送された病院で死亡する。 一連の事件に疑問を持ち始めたギャリソンは、スタッフのビル・ブロザード(マイケル・ルーカー)、ルー・アイヴォン(ジェイ・O・サンダース)、ヌーマ・ベルテル(ウェイン・ナイト)らと共に調査を始める。 ギャリソンは、オズワルドを知る私立探偵デイヴィッド・フェリー(ジョー・ペシ)から話を聞き、FBIによる尋問が必要と判断して勾留する。 しかし、フェリーがオズワルドと関係し、暗殺に関与した疑いがないという理由で、FBIは彼を釈放してしまう。 3年後。 仕事を自宅にも持ち込むギャリソンは、妻リズ(シシー・スペイセク)を相手に、暗殺事件の捜査のずさんさを語る毎日を送る。 ダラス。 バニスターは、反共主義者の極右として有名な人物で、彼と同じ建物の一室をオズワルドが借りていたことを説明する。 その周辺には、FBIやCIA、アメリカ海軍情報部やシークレット・サービスのオフィスまであり、オズワルドのような共産主義者がいたい場所でないことは明らかだった。 そして、ギャリソンはアシスタントの2人に、大統領暗殺事件を洗い直す決意を伝える。 バニスターの友人だった私立探偵ジャック・マーティン(ジャック・レモン)に会ったギャリソンは、フェリーや亡命キューバ人らがCIAのために活動していた事実を知る。 そのまとめ役がバニスターであり、キューバ侵攻のための訓練キャンプの教官がフェリーだったが、ケネディがその封鎖命令を出したのだった。 バニスターの元にはオズワルドも出入りし、彼の供述にある人物”クレイ・バートランド”(トミー・リー・ジョーンズ)との関係も分かる。 ギャリソンは、”バートランド”からオズワルドの弁護を依頼された弁護士ディーン・アンドリュースJr.(ジョン・キャンディ)に会う。 ”バートランド”の正体を明かすよう強要されたアンドリュースは、身の破滅を覚悟しろと言い放ち席を立つ。 州刑務所の囚人ウィリー・オキーフ(ケヴィン・ベーコン)と面会したギャリソンは、”バートランド”やフェリーがオズワルドを含め、あるパーティーで、彼がケネディ暗殺について話し合う場に居合わせたことを知る。 スタッフと顔を合わせたギャリソンは、検事補スージー・コックス(ローリー・メトカーフ)の調べ上げた、オズワルドの調査報告を聞く。 ギャリソンは、オズワルドは情報部員として犯行に加担し、”生贄”にされたとの見解を示す。 その後ギャリソンは、事件の際、何人もが狙撃現場以外での発砲を目撃していたが、それをもみ消されていたことを知る。 そして、ジャック・ルビーが、オズワルドやフェリーと知り合いだったことも分かる。 狙撃現場の教科書ビルでの検証で、ギャリソンは、その位置から短時間で、目標に3発命中させるのは不可能であり、三方向からの狙撃による犯行と判断する。 その頃、ギャリソンの側近ブロザードが、”バートランド”がニューオーリンズの実業家クレイ・ショーであることを突き止める。 ショーに会ったギャリソンは、ゲイとして親しくなったオキーフの話などをことごとく否定する彼に、CIAとの関係なども追求する。 ギャリソンは、家庭を犠牲にしてまでこの件に没頭し、妻リズとの諍いが絶えなかった。 その後、ショーが手を回し、ギャリソンらはマスコミで叩かれてしまい、それに巻き込まれたフェリーが、奥深い陰謀の恐ろしさを語る。 そして、カギを握っていたフェリーが、遺書を残して自殺するのだが、ギャリソンは、彼が殺された証拠を掴むのは困難だと考える。 ワシントンD.C. Xは、暗殺事件の2日前に南極行きを命ぜられ、帰国途中で事件を知ることになるが、国内にいればダラスの警備を強化する立場にいたはずだった。 ケネディが、ソ連と協調して冷戦を沈静化して核実験を停止し、キューバ侵攻を拒み、ベトナムからの撤退を始めたために、数千億ドルもの金を動かせなくなった権力者は、戦力によって国家の権威が保たれるという大儀の下、”計画”を実行しようとしたというのがXの見解だった。 証拠不十分のギャリソンは戸惑いながらも、Xに励まされて、大統領暗殺の共謀罪でショーを逮捕して告訴する。 ギャリソンは、オズワルドを単独犯として報告書を公表していたアール・ウォーレン最高裁長官(ジム・ギャリソン)に、真っ向から対抗する。 1968年4月4日。 ギャリソンは、スタッフを集めたミーティングで、外部から圧力を受けていたブロザードから、裁判に確信を持てないと言われる。 しかしギャリソンは、FBI、CIA、そして軍部などを巻き込んだ、ジョンソン副大統領(事件当時)が仕掛けたクーデターだとまで言い切る。 ブロザードは席を外すが、内部の揉め事を嫌い、彼を呼び戻そうとするギャリソンを見限ったアイヴォンは辞職してしまう。 1968年6月6日。 ギャリソンは、初めて恐怖を感じ、妻リズや家族の愛を求める。 そして、”クレイ・ショー裁判” は始まり、ギャリソンは、ケネディとテキサス州知事ジョン・コナリーを撃ち抜き、7箇所に傷を与えたという”魔法の銃弾”の不自然さと、多数の銃声の目撃者の存在や公開されない疑問点の多い検視報告について語る。 さらにギャリソンは、何箇所かに配備された狙撃手の犯行と、生贄になったオズワルドが逮捕され、ジャック・ルビーに銃撃されるまでの経緯を再現する。 この暗殺は、800億ドルを稼ぐ戦争を続けさせようとする、国家権力を握る者達によるクーデターで、ショーがCIAの一員だったことをギャリソンは断言しする。 2038年9月まで待てば極秘文書が公開されるが、それが延期されたとしても、疑問を受け継いだ誰かが必ず真実を知り、政府が真実を抹殺するのなら、この国で死にたくもないとまでギャリソンは言い切る。 リズと息子、そしてギャリソンの元を去ったアイヴァンも法廷に姿を現し、彼が陪審員に正義の判断を下すよう訴える姿を見守る。 結果、ショーの無罪は確定し、記者達の”ウォーレン委員会”は正しかったのかとの質問に、ギャリソンは、捜査がは不可能だと立証されただけで、ケネディと国のために戦い続けると答える。 そしてギャリソンは、リズと息子と共に法廷を去る。 1979年、元情報工作部長は、クレイ・ショーをCIAと認めた。 ショーは、1974年8月肺がんで死亡するが、検死は許可されなかった。 1978年、ジム・ギャリソンは上訴裁判所の判事に選出され、1988年に再選される。 ギャリソンは、現在まで”ケネディ大統領暗殺事件”の唯一の公的訴追者である。 1976~1979年、議会は調査でケネディ暗殺における陰謀の可能性を見つけ司法省に調査を依頼するが、1991年現在まで同省はそれを実行していない。 ”暗殺事件”の資料は、2029年まで公開されない。
...全てを見る(結末あり)
ギャリソンは、事件捜査やアール・ウォーレン最高裁長官を委員長とする”ウォーレン委員会”に疑問を持つ、上院議員のラッセル・B・ロング(ウォルター・マッソー)が、オズワルドが明らかに囮だという意見に耳を傾ける。
ギャリソンは、ブロザードとアイヴァンと共に、2年前に死んだ元FBIのガイ・バニスター(エドワード・アズナー)のオフィス建物を訪ねる。
ギャリソンは、元軍人だというX(ドナルド・サザーランド)という人物から声をかけられる。
キング牧師が暗殺され、自宅に不審者からの電話がかかってきたにも拘らず、そのニュースに見入るギャリソンは、再びリズと言い争ってしまう。
大統領選への出馬を表明していた、故ケネディ元大統領の弟ロバート・ケネディが暗殺される。
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*(簡略ストー リー)
1963年11月22日。
テキサス州ダラスで、遊説中のアメリカ大統領ジョン・F・ケネディが暗殺される。
直後に、犯行の容疑者であるリー・ハーヴェイ・オズワルドが逮捕されるが、実業家のジャック・ルビーに射殺されてしまう。
事件調査を行った、アール・ウォーレン最高裁長官を委員長とする”ウォーレン委員会”は、共産主義者であるオズワルドの単独犯であると結論付ける。
しかし、ニューオーリンズの地方検事ジム・ギャリソンとそのスタッフ達は、”委員会”の報告や各方面の捜査のずさんさに疑問を持ち、独自の調査を進める。
オズワルドに関係する者達との接触や、狙撃現場での多数の目撃者へのもみ消し工作などが明らかになり、それにはCIAが深く関与している事実も分る。
そんな中、オズワルドの弁護をディーン・アンドリュースJr.に依頼した謎の人物”クレイ・バートランド”の名前が浮かび、彼がニューオーリンズの大物実業家クレイ・ショーだということが判明する。
ショーとCIAとの関係を探ったギャリソンだったが、確たる証拠は掴めずにいた。
そんな時ギャリソンは、元軍将校のXと接触し、今回の暗殺事件が、戦争により巨額の利益を得ることができる権力者による、FBIやCIA、軍部などを巻き込んだ陰謀だという見解を示される。
そしてギャリソンは、証拠不十分の不安を抱えながらも、大統領暗殺の共謀罪でショーを告訴し闘いを挑む・・・。
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1988年に発表されたジム・ギャリソン自身の著書”On the Trail of the Assassins”と、ジャーナリストのジム・マースによる”The Plot That Killed Kennedy”を基に製作された作品で、”ケネディ大統領暗”から”クレイ・ショー裁判”までが描かれている。
”ケネディ大統領暗殺事件”を扱った作品は多くあるが、その中でも、事件報告への疑惑に対する掘り下げた調査や、リアリティの面で群を抜いた作品。
製作、脚本を兼ねるオリバー・ストーン監督の、社会性を含めた意欲が感じられる。
社会的地位がある人物ではあるものの、一地方検事が、国家権力に闘いを挑み、推論であろうが、家族や国のためにその勇気と正義を証明する姿には敬服する。
ずさんな捜査や報告に疑問を持ち、家族との生活を犠牲にしてまでこの調査に全てを捧げた、ジム・ギャリソン自身が真っ向から否定した調査委員会”ウォーレン委員会”の委員長、アール・ウォーレン最高裁長官役を演じるという、大胆な配役も話題になった。
事件現場となる、テキサス教科書倉庫周辺の描写や、ジョン・ウィリアムズのテーマ曲も印象に残る。
北米興行収入は約7000万ドルに留まるものの、全世界では2億ドルを超すヒットとなった。
第64回アカデミー賞では、作品賞以下8部門にノミネートされ、撮影、編集賞を授賞した。
・ノミネート
作品・監督
助演男優(トミー・リー・ジョーンズ)
脚色・録音・作曲賞
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いでトップスターになったケビン・コスナーは、正に彼のための役のような主人公ジム・ギャリソンを熱演し、終盤の法廷での独演は見ものだ。
ドラマのキーマンで、黒幕的人物クレイ・ショー/クレイ・バートランドを演ずるトミー・リー・ジョーンズは、謎の人物を、抑えた演技で好演している。
クレイ・ショーとゲイ同士の関係にある囚人ケヴィン・ベーコン、リー・ハーヴェイ・オズワルドのゲイリー・オールドマン、ジム・ギャリソンのスタッフ達、マイケル・ルーカー、ジェイ・O・サンダース、ローリー・メトカーフ、ウェイン・ナイト、ギャリソンの妻シシー・スペイセク、私立探偵ジャック・マーティンのジャック・レモン、デイヴィッド・フェリー役のジョー・ペシ、事件の目撃者サリー・カークランド、元FBIでケネディを嫌う反共主義者のガイ・バニスター役エドワード・アズナー、オズワルドを射殺するジャック・ルビー役のブライアン・ドイル=マーレイ、”ウォーレン委員会”の報告に疑問を持つ上院議員のラッセル・B・ロングのウォルター・マッソー、オズワルドの弁護士ディーン・アンドリュースJr.のジョン・キャンディ、謎の情報提供者Xのドナルド・サザーランド、他ヴィンセント・ドノフリオ、ロン・リフキン、ボブ・ガントンなども出演し、冒頭のナレーターはマーティン・シーンが担当している。