48年間FBI創設以前から司法省捜査局長官を務めたジョン・エドガー・フーヴァーの司法権力に君臨した人生を描くドラマ。 製作、監督、音楽のクリント・イーストウッドと主演のレオナルド・ディカプリオが、初めて組んだことでも話題になった作品。 アーミー・ハマー、ナオミ・ワッツ、ジョシュ・ルーカス、ジュディ・デンチ他共演。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:クリント・イーストウッド
製作総指揮
ティム・ムーア
エリカ・ハギンズ
製作
クリント・イーストウッド
ブライアン・グレイザー
ロバート・ロレンツ
脚本:ダスティン・ランス・ブラック
撮影:トム・スターン
編集
ジョエル・コックス
ゲイリー・D・ローチ
音楽:クリント・イーストウッド
出演
ジョン・エドガー・フーヴァー:レオナルド・ディカプリオ
クライド・トルソン:アーミー・ハマー
ヘレン・ギャンディ:ナオミ・ワッツ
チャールズ・リンドバーグ:ジョシュ・ルーカス
アンナ・マリー:ジュディ・デンチ
スミス捜査官:エド・ウェストウィック
ブルーノ・ハウプトマン:デイモン・ヘリマン
ロバート・F・ケネディ:ジェフリー・ドノヴァン
ハーラン・F・ストーン:ケン・ハワード
アーサー・コーラー:スティーヴン・ルート
アルバート・S・オズボーン:デニス・オヘア
A・ミッチェル・パーマー:ジェフ・ピアソン
リーラ・ロジャース:リー・トンプソン
ギャリソン捜査官:マイルズ・フィッシャー
エマ・ゴールドマン:ジェシカ・ヘクト
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
2011年製作 137分
公開
北米:2011年11月9日
日本:2012年1月28日
製作費 $35,000,000
北米興行収入 $37,304,950
世界 $76,906,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1960年代初頭。
FBI長官ジョン・エドガー・フーヴァー(レオナルド・ディカプリオ)は、回顧録の執筆準備を始める。
1919年。
司法長官のA・ミッチェル・パーマー(ジェフ・ピアソン)の自宅が、左翼過激派批判の恨みを買って爆破される事件が起きる。
パーマーと共に過激派と戦っていた、20代半ばのフーヴァーは上司の自宅に向かう。
爆破が早過ぎたために犯人自身が死亡し、パーマーと家族は無事だった。
当時は、科学的捜査の概念がなく、駆けつけた警察の行動は犯行を追及できるものではなかった。
しかし、その事件で、フーヴァーは自分の使命に気づくことになり、パーマーは彼に目をつける。 フーヴァーは、スミス捜査官(エド・ウェストウィック)をオフィスに呼び、回顧録の執筆を始める。 職場でフーヴァーは、秘書室の新人ヘレン・ギャンディ(ナオミ・ワッツ)に出会う。 帰宅したフーヴァーは、母アンナ・マリー(ジュディ・デンチ)に重責を担う仕事に就いたことを伝え、彼女との食事をせずに、ギャンディとの”デート”に向かう。 ギャンディに、自分が発案した図書館の検索カードを見せたフーヴァーは、付き合いも浅いうちに彼女に求婚しようとする。 しかしギャンディは、仕事を優先して結婚に興味のないことをフーヴァーに伝え、個人秘書の申し出は受ける。 1920年当時、国家の害になる外国人を追放できる法律はなく、パーマーは労働省に噛みつく。 リトアニア生まれのアナキストで過激派エマ・ゴールドマン(ジェシカ・ヘクト)を追放しようと考えたフーヴァーは、国内の過激派全員の情報カードを作ることを部下に命ずる。 ヒアリングで、発言を全て拒否するエマ・ゴールドマンは、国外追放され、フーヴァーは前例を作ったことで、過激派に対しての強引な捜査を始める。 そしてフーヴァーは、パーマー他を狙った爆破事件を解決し、過激派である4000人の共産主義者を逮捕し、500人を国外へ追放にする。 しかし、政敵はパーマーを攻撃して彼は長官を退き、命令に従っただけのフーヴァーは残る。 捜査局局長代行に指名されたフーヴァーは、機関を政治と切り離して、厳しい規定の下で捜査局を指揮することになる。 捜査官の人選を進めていたフーヴァーは、知人に紹介された弁護士志望のクライド・トルソン(アーミー・ハマー)が応募していることを知る。 トルソンについてギャンディから説明を受けたフーヴァーは、情報こそが全てを支配することを指摘し、権力者の機密情報収集を徹底させる。 司法長官・ロバート・F・ケネディ(ジェフリー・ドノヴァン)に呼ばれたフーヴァーは、兄のケネディ大統領のスキャンダル情報を盾に、FBIと司法省の密接な関係を迫る。 ケネディはその意見を退けるが、弱みを握るフーヴァーは、それを伝えて部屋を出る。 フーヴァーは威圧的な態度でトルソンと面接するものの、全く怯むことのない彼は一目置かれる。 共産主義との戦いに勝ったフーヴァーは、1930年代に入り、犯罪組織などを壊滅させることを訴えるが、国民の関心は低かった。 1932年3月1日。 しかし、州警察に追い払われたフーヴァーは、誘拐を連邦犯罪として扱える”リンドバーグ法”と共に、犯罪撲滅のための情報収集の権限を求める。 それが受け入れられたフーヴァーは、全米の警察から指紋を集めて、統括システムを作り上げる。 科学捜査を重視するフーヴァーは、筆跡鑑定の専門家であるアルバート・S・オズボーン(デニス・オヘア)を捜査局に引き入れる。 その後、誘拐事件解決を見守っていたフーヴァーだったが、リンドバーグは、犯人との交渉で身代金を払ってしまう。 ルーズベルト大統領に面会したフーヴァーは、全てを監視できる権限を得たことをトルソンに伝えて、彼を副局長にする。 5月21日。 フーヴァーは、初期の操作ミスを指摘し、その6週間後に”リンドバーグ法”が可決され、誘拐は連邦犯罪となる。 国中から優秀な科学者を集めたフーヴァーは、予算の増額を議会に求めるが、捜査局の広告媒体への関与や、自分自身の犯人逮捕はないことなどを追及される。 捜査現場の陣頭指揮を執ったフーヴァーは、トルソンと共に犯罪者を直接逮捕して名誉を挽回する。 1935年。 女性との接触を嫌うフーヴァーは、それを気遣う母アンナ・マリーにダンスを教えられる。 リンドバーグ事件の科学捜査は成果をあげ、身代金の金券を使い、自宅に大金があるという、ドイツ系ユダヤ人ブルーノ・ハウプトマン(デイモン・ヘリマン)が容疑者として浮かび上がる。 1934年9月19日。 1963年11月22日。 トルソンと休暇旅行に出かけたフーヴァーは、彼に、何度か食事をした女優ドロシー・ラムーアとの結婚を考えていることを伝える。 取り乱したトルソンはフーヴァーと揉み合いになるが、彼にキスしてその場を去ろうとする。 フーヴァーは謝罪してトルソンを引き止めるが、二度と女友達のことを口にするなと言われる。 1964年。 キング牧師がノーベル平和賞を受賞することになり、批判されたことで彼を嫌うフーヴァーは、黒人になりすまして、同胞を非難する手紙をギャンディに代筆させる。 1935年1月。 フーヴァーは、回顧録を、ハウプトマンの裁判で終わらせることを考える。 自分の手紙を受け取ったはずのキング牧師が、ノーベル平和賞を受賞する映像を見たフーヴァーは動揺する。 1938年。 1969年1月20日。 トルソンは、大事件に関与した内容のほとんどが真実でない、人気取りのための創作だと指摘し、彼は自分には嘘をつくなとフーヴァーに告げる。 フーヴァーは、トルソンが面接に来た時のことを思い出し、会った瞬間に、彼が必要な人物だと確信したことを伝える。 トルソンと翌日の食事の約束をしたフーヴァーは、互いに感謝し合いながらその場を立ち去る。 1972年5月2日。 ニクソン大統領は、48年間、8人の大統領に仕えたフーヴァーの功績を称える声明を発表する。 大統領は同時に、フーヴァーのファイルを手に入れるよう部下に命ずるが、ギャンディがそれを処分する。 トルソンは、フーヴァーが残した手紙を読む。 結局、極秘ファイルは誰にも知られなかった。
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...全てを見る(結末あり)
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国民的英雄チャールズ・リンドバーグ(ジョシュ・ルーカス)の息子が誘拐される事件が起き、フーヴァーはトルソンと共に現場に向かう。
リンドバーグ邸付近で、トラック運転手が誘拐された子供の死体を発見する。
世間の注目を集めるフーヴァーだったが、ナイトクラブでジンジャー・ロジャースや母リーラ(リー・トンプソン)と同席してダンスに誘われても、それを断ってしまう。
別件で、警察官に車を止められていたハウプトマンに気づいたフーヴァーは、自ら彼を逮捕する。
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ケネディ大統領が、ダラスで狙撃されたという連絡を受けたフーヴァーは、その事実だけを弟ロバートに知らせる。
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トルソンが競馬場で倒れ、同行していたフーヴァーは気遣うものの、右腕の彼なしではいられないため、完全に回復しないまま職場に復帰させようともする。
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ハウプトマンの裁判が始まり、あらゆる状況証拠から、彼には第一級殺人罪で死刑の判決が下る。
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最愛の母アンナ・マリーが亡くなり、失意のフーヴァーは、何んとか男らしく強く生きようとする。
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ニクソン新大統領が就任し、彼に面会したフーヴァーは、収集したファイルを奪われることと糾弾を恐れて怯えるが、ギャンディが決してそれを渡さないことを約束する。
フーヴァーが自宅で死亡したことを知らされたギャンディは、ニクソンが秘密ファイルを入手することを警戒する。
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*(簡略ストー リー)
人生を司法捜査の現場に捧げた、初代FBI長官ジョン・エドガー・フーヴァーは、回顧録の執筆を始める。
1919年、20代のフーヴァーは、左翼の過激派に狙われた司法長官のパーマー邸の爆破事件をきっかけにして、自分の使命に気づく。
フーヴァーは、パーマーに認められて重責を担った頃、新人秘書のヘレン・ギャンディに惹かれて求婚しようとする。
しかし、仕事を第一に考え結婚に興味のないギャンディは、それを受け入れずにフーヴァーの秘書となる。
捜査局長代行となったフーヴァーは、犯罪者の情報収集と科学的捜査を重視して、共産主義者の過激派の活動を封じ込めて実績をあげる。
同じ頃、優秀な人材を集めていたフーヴァーは、弁護士志望のクライド・トルソンに目をつけ、彼を右腕にする。
そしてフーヴァー、20代後半にして異例の出世を果たし、精力的に活動を始める・・・。
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司法省捜査局がFBIと改名するのは1935年7月1日であるため、それよりはるか以前の組織内部の様子などが、興味深く描かれてはいる。
実力を兼ね備えるレオナルド・ディカプリオがジョン・エドガー・フーヴァーを演じて、演出がクリント・イーストウッドということでもあり大いに期待したものの、さすがにまとまりのある仕上がりにはなっているが、全てが平均点というところだろうか。
アメリカ史に残る人物の伝記映画であり、大物がタッグを組んだ作品ではあるが、北米興行収入は約3700万ドル、全世界で約7700万ドルに留まった。
度々語っている、美しいメロディであることは認めるが、イーストウッドの音楽はどの作品もみな同じ雰囲気で、40年以上のファンではある私でも、どうも好きになれない。
熱演のディカプリオだが、個性的な顔立ちの主人公フーヴァーに無理矢理に成りきっている感じを受け、メイクの割には本人に似ていないのも気になる。
どちらかというと、老けたメイクは、映画の紹介で2度登場する、ジェームズ・キャグニーに似ているように思えて仕方がなかった。
自分の情報は一切明かさない、犯罪組織との癒着や賄賂、賭博好きだったというフーヴァーが、司法権力の座を半世紀近くも守れたのはなぜなのか・・・。
同性愛者であったとも言われるフーヴァーが、ルーズベルト大統領夫人エレノアまで揶揄して、自分と同じゲイであったという証拠の機密文書が、ラストで登場するあたりの演出は面白い。
メイクがどぎつ過ぎる、フーヴァーの盟友、主人公と同じく生涯を独身で通す副長官クライド・トルソンのアーミー・ハマー、重要人物ではあるが、意外にも目立たない役がやや残念な、50年以上フーヴァーの秘書を務め、彼女も独身を通したヘレン・ギャンディのナオミ・ワッツ、主人公の母親ジュディ・デンチ、チャールズ・リンドバーグのジョシュ・ルーカス、回顧録の執筆を担当する捜査官エド・ウェストウィック、冤罪説もあるリンドバーグ事件の犯人ブルーノ・ハウプトマンのデイモン・ヘリマン、ロバート・F・ケネディのジェフリー・ドノヴァン、最高裁長官・ハーラン・F・ストーンのケン・ハワード、メイクで彼とは分からない、リンドバーグ事件の科学捜査で成果を上げるアーサー・コーラーのスティーヴン・ルート、同じく筆跡鑑定の専門家アルバート・S・オズボーン役のデニス・オヘア、主人公の上司で、司法長官・A・ミッチェル・パーマーのジェフ・ピアソン、ジンジャー・ロジャースの母リーラのリー・トンプソン、捜査官マイルズ・フィッシャー、アナキストの過激派エマ・ゴールドマンのジェシカ・ヘクトなどが共演している。