2003年に発表された、湾岸戦争に従軍した実在の海兵隊員アンソニー・スウォフォードの自伝”Jarhead”を基に製作された作品。 アメリカ海兵隊の前哨狙撃兵として湾岸戦争に従軍した兵士の苦悩を描く、監督サム・メンデス、主演ジェイク・ジレンホール、ピーター・サースガード、ルーカス・ブラック、クリス・クーパー、ジェイミー・フォックス、ブライアン・ジェラティ他共演の戦争ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:サム・メンデス
製作
ルーシー・フィッシャー
ダグラス・ウィック
製作総指揮
ボビー・コーエン
サム・マーサー
原作:アンソニー・スウォフォード”Jarhead”
脚本:ウィリアム・ブロイルズJr.
撮影:ロジャー・ディーキンス
編集:ウォルター・マーチ
音楽:トーマス・ニューマン
出演
アンソニー”スウォフ”スウォフォード:ジェイク・ジレンホール
アレン・トロイ:ピーター・サースガード
クリス・クルーガー:ルーカス・ブラック
カジンスキー中佐:クリス・クーパー
サイクス三等軍曹:ジェイミー・フォックス
ファーガス・オドネル:ブライアン・ジェラティ
フアン・コルテス:ジェイコブ・バルガス
デイヴ・ファウラー:エヴァン・ジョーンズ
ラモン・エスコバル:ラズ・アロンソ
リンカーン少佐:デニス・ヘイスバート
ハリガン:ジョン・クラシンスキー
ジュリアス:ジョッコ・シムズ
海兵隊員:ブライアン・ケイシー
スウォフォード:ジェームズ・モリソン
スウォフォード夫人:デンドリー・テイラー
フライトアテンダント:クリスティン・リチャードソン
クリスティーナ:ブリアン・デイヴィス
フィッチ:スコット・マクドナルド
ポワチエ:ダミアン・ポワチエ
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2005年製作 123分
公開
北米:2005年11月4日
日本:2006年2月11日
製作費 $72,000,000
北米興行収入 $62,658,200
世界 $96,890,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
父親もベトナム退役軍人だったアンソニー”スウォフ”スウォフォード(ジェイク・ギレンホール)は、海兵隊に入隊する。
訓練が虐待にしか思えないスウォフォードは、入隊したことを後悔する。
1989年、カリフォルニア州、キャンプ・ペンドルトン。
G中隊第2小隊に配属されたスウォフォードは、アレン・トロイ(ピーター・サースガード)やポワチエ(ダミアン・ポワチエ)らの手荒い歓迎を受ける。
下剤を飲み病気を装っていたスウォフォードは、STA/観測及び目標要求小隊の三等軍曹サイクス(ジェイミー・フォックス)から、前哨狙撃兵になるチャンスを与えると言われる。
スウォフォードがトランペットを吹けることを確認したサイクスは、閲兵場に来るよう命令する。 集合した60名の中に8名だけが必要だと伝えたサイクスは、現れたスウォフォードに、口でラッパを吹けと指示する。 そして、厳しい訓練は始り、8名に残ったスウォフォードはトロイと組むことになる。 1990年8月2日。 スウォフォードやトロイ、クリス・クルーガー(ルーカス・ブラック)らは民間機で現地に旅立つ。 サウジアラビア。 政府の説得工作が続く間、大隊は現地の油田を守るりながら準備し、警戒態勢を保つよう命ぜられる。 砂漠に向いキャンプを設置した部隊は、灼熱の地で、戦闘に備えながら訓練をする。 砂漠滞在、62日19時間16分。 訓練しかすることがない隊員達は、マスコミの取材などを受ける。 恋人のクリスティーナ(ブリアン・デイヴィス)から手紙が届いたスウォフォードは、彼女に恋人ができたと思いショックを受ける。 クリスティーナに電話をしたスウォフォードは、勤務先の同僚の男性は単なる友達だと言われ、回線が途絶えてしまう。 砂漠滞在、122日5時間22分。 サイクスからそれを責められ責任を取らされたスウォフォードは、糞尿処理をさせられる。 精神的に限界に近いスウォフォードは、オドネルに銃を向けて脅し、錯乱状態寸前で正気に戻ち、その後、小隊は偵察に出る。 騒ぎを知ったトロイはスウォフォードを非難し、オドネルに対し謝罪させる。 その時、銃声を聴いた小隊は、接近してくる現地人を確認して警戒し、一人と話したスウォフォードは、ラクダを撃ったと言われてトロイに伝える。 砂漠滞在、175日14時間5分。 隊員にピルを飲んだ後遺症の権利放棄書にサインさせようとしたサイクスは、口答えするクルーガーに、奇形児が生まれる恐れを話す。 隊員にサインさせてピルを飲ませたサイクスは、寝床の穴を掘らせる。 サインが読めなかったと言ってスウォフォードを呼んだサイクスは、犯罪歴を隠していたトロイの再入隊が認められないことを伝える。 帰国次第除隊になるトロイを見張るようにと、スウォフォードはサイクスから指示させる。 その夜、トロイを押さえつけたスウォフォードらは、仲間達と共に隊員の証である焼印を彼の脚に押す。 翌日、敵の攻撃が始り、前進した部隊は、ある戦闘現場で小休止する。 その後、油田に火が放たれ石油の雨が降り始め、隊員達はその中で過ごすことになる。 アラブ人の焼死体を集め始めたデイヴ・ファウラー(エヴァン・ジョーンズ)を、トロイと共に落ち着かせたスウォフォードは、現れた油まみれの馬を気遣う。 死体を埋めようとしたスウォフォードは、サイクスから、部隊の恥であるファウラーを戻ったら降格させると言われる。 国で兄の仕事を手伝えば、安定した家庭生活を送れたという話をし始めたサイクスは、海兵隊が好きだからこの場にいるとスウォフォードに伝える。 石油が燃える火柱を目の前にして、こんな光景が見られるチャンスはないと言うサイクスに、スウォフォードは同意する。 カジンスキー中佐からの狙撃兵の要請を受けたサイクスは、スウォフォードとトロイを向かわせる。 750人の共和国防衛隊を指揮する2名の上級将校を射殺して降伏させる計画をカジンスキーから聞いたスウォフォードとトロイは、現場の飛行場に向かう。 準備を整えた二人は、管制塔に現れた将校を確認して狙撃の許可を待つ。 狙撃許可は出るが、そこにリンカーン少佐(デニス・ヘイスバート)が現れ、空爆すると言われる。 それに納得しないトロイは撃たせろと言って取り乱し、スウォフォードが彼を落ち着かせる。 リンカーンは空爆を命じ、空港は破壊される。 部隊に戻ったスウォフォードとトロイは、騒ぎに気づき警戒するが、サイクスから戦争が終わったことを知らされる。 一発も撃たずに終戦を迎えた兵士達は、上空に向かって銃を乱射する。 帰国した隊員達はパレードで歓迎され、クリスティーナに会ったスウォフォードは、彼女に恋人ができたことを知る。 クルーガーはある企業で働き始め、ファウラーはバーで騒ぎ、フアン・コルテス(ジェイコブ・バルガス)は妻と三人の子供の元に戻り、ラモン・エスコバル(ラズ・アロンソ)はスーパーマーケットの従業員となる。 その後スウォフォードは、訪ねて来たオドネルからトロイの死を知らされ葬儀に出席する。 スウォフォードは、仲間達のことを想いながら、今でも砂漠にいると考える。
...全てを見る(結末あり)
イラクによるクウェート侵攻が報じられ、アメリカの軍事行動は確実となり、隊員らは命令を受けて出撃する。
5000人の隊員の前でスピーチを始めた大隊司令官のカジンスキー中佐(クリス・クーパー)は、”砂漠の盾作戦”を開始することを兵士に伝える。
軍勢は11万5000人となり、隊員達は退屈な日々を過ごしていた。
軍勢は39万人になり、クリスマス・イヴを祝うため、禁止されていた酒を飲み、ファーガス・オドネル(ブライアン・ジェラティ)が火事を起こす騒動となる。
軍勢は57万5000人となり、国境に出撃したサイクスは、神経ガス攻撃への対処のため、PBピルを飲みアトロピンを携帯させる。
*(簡略ストー リー)
1989年、カリフォルニア州、キャンプ・ペンドルトン。
海兵隊になったことを後悔しながら新兵として小隊に配属されたアンソニー”スウォフ”スウォフォードは、STA/観測及び目標要求小隊の三等軍曹サイクスにチャンスを与えられ、前哨狙撃兵に選抜される。
1990年8月2日、イラクにがクウェート侵攻を開始したために、アメリカの軍事行動は確実となり、部隊はサウジアラビアに向かうため出撃する。
灼熱の砂漠の中で、訓練と待機するだけの日々を送るスウォフォードは、故郷の恋人のことを気にしながら、次第に精神的限界に達する・・・。
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アメリカ海兵隊員として湾岸戦争に従軍した、物語の主人公アンソニー・スウォフォードの体験記の映画化。
主人公を含め部隊は一発の銃弾を放つことなく終戦を迎えるのだが、それに至るまでの訓練や、海兵隊員の生活形態などがリアルに描かれている。
海兵隊員そのものを意味する”ジャーヘッド”をタイトルにしている作品であるため、軍隊内の男の世界で飛び交う下品で荒っぽい言葉などは聞くに堪えないのだが、サム・メンデスの演出や人間描写などは実に丁寧で、戦場とは言え砂漠を舞台にしていることもあり、なめらかで美しい映像も印象に残る。
北米興行収入は約6300万ドル、全世界では1億ドルに迫るまずまずの成績を残した作品。
父親と同じ軍人の道を歩むものの、入隊を後悔しながら戦場に向い、苦悩しながら人生を見つめ直す主人公アンソニー・スウォフォードを好演するジェイク・ジレンホール、彼と共に前哨狙撃兵に選抜されて組むことになる伍長ピーター・サースガード、彼らに厳しく接しながらも人間味のある三等軍曹を熱演するジェイミー・フォックス、同僚兵士ルーカス・ブラック、ブライアン・ジェラティ、ジェイコブ・バルガス、エヴァン・ジョーンズ、ラズ・アロンソ、大隊司令官のクリス・クーパー、少佐のデニス・ヘイスバート、兵士ジョン・クラシンスキー、ジョッコ・シムズ、ダミアン・ポワチエ、主人公の両親ジェームズ・モリソンとデンドリー・テイラー、フライトアテンダントのクリスティン・リチャードソン、入隊直後の主人公をいびる下士官スコット・マクドナルドなどが共演している。