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ジェーン・エア Jane Eyre (1943)

1847年に発表された、シャーロット・ブロンテの小説”ジェーン・エア”を基に製作された作品。
孤児の少女が成長し愛を掴むまでを描く、監督ロバート・スティーヴンソン、主演オーソン・ウェルズジョーン・フォンテインマーガレット・オブライエンペギー・アン・ガーナー他共演の恋愛ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

オーソン・ウェルズ / Orson Welles / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・スティーヴンソン

原作:シャーロット・ブロンテジェーン・エア
製作
ウィリアム・ゲッツ

ケネス・マクゴーワン
オーソン・ウェルズ
脚本
ロバート・スティーヴンソン

オルダス・ハクスリー
ジョン・ハウスマン
ケティ・フリングス
ヘンリー・コスター
撮影:ジョージ・バーンズ
音楽:バーナード・ハーマン

出演
エドワード・ロチェスター:オーソン・ウェルズ

ジェーン・エア:ジョーン・フォンテイン
アデール・ヴァレンス:マーガレット・オブライエン
ジェーン・エア(少女期):ペギー・アン・ガーナー
リヴァース医師:ジョン・サットン
ベッシー:サラ・オールグッド
ヘンリー・ブロックルハースト:ヘンリー・ダニエル
リード夫人:アグネス・ムーアヘッド
デント大佐:オーブリー・メイザー
アリス・フェアファックス:エディス・バーレット
イングラム夫人:バーバラ・エヴァーレスト
ブランシュ・イングラム:ヒラリー・ブルック
メイソン:ジョン・アボット
グレース・プール:エセル・グリフィス

リア:メエ・マーシュ
スカッチャー:エイリー・マリオン
ヘレン・バーンズ:エリザベス・テイラー

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX

1943年製作 96分
公開
北米:1944年2月3日
日本:1947年10月7日
製作費 $1,705,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1829年、イングランド
孤児のジェーン・エア(ペギー・アン・ガーナー)は、伯母リード夫人(アグネス・ムーアヘッド)に虐げられる日々をおくっていた。

寄宿学校”ローウッド学院”の院長ヘンリー・ブロックルハースト(ヘンリー・ダニエル)に預けられることになったジェーンは、伯母や意地悪ないとこと別れられることを喜ぶ。

ジェーンは、自分に優しくしてくれた使用人のベッシー(サラ・オールグッド)から記念にブローチをもらい、彼女に別れを告げる。

気の強いジェーンは、伯母リード夫人を罵倒してその場を去る。

ローウッド学院。
希望を抱きその場に着いたジェーンの夢は砕かれ、ブロックルハーストの冷酷な仕打ちを受ける。

そんなジェーンに優しく接してくれたのは、同じ生徒のヘレン・バーンズ(エリザベス・テイラー)と医師のリヴァース(ジョン・サットン)だけだった。
...全てを見る(結末あり)

ある日、ブロックルハーストがヘレンの巻き毛を切ろうとしたため、ジェーンはそれを止めさせようとする。

二人は罰として雨の中を歩かされ、それを知ったリヴァースは、肺病のヘレンを気遣い、教師のスカッチャー(エイリー・マリオン)に彼女らを部屋に戻すよう指示する。

ヘレンを診たリヴァースは、ブロックルハーストを痛烈に非難して、彼女が危篤だと伝える。

それを知ったジェーンは悲しみ、ヘレンを励ましながら同じベッドで眠る。

翌朝、ヘレンが息を引き取ったことを知りジェーンは驚く。

悲しみが消えないジェーンにリヴァースは、神のみ心に従い努力して、生きるために必要な教育を受けるよう言い聞かせる。

10年が経ち、優秀な成績で学業を修めたジェーン(ジョーン・フォンテイン)を教師にすることを、ブロックルハーストは理事会で決定する。

それを拒んだジェーンは、この場を去ることをブロックルハーストに伝え、広告を出し家庭教師(ガヴァネス)をする考えを語る。

ジェーンは、広告への返事が来ていることを知り、ローウッドを去り、手紙の送り主であるソーンフィールド館のアリス・フェアファックス(エディス・バーレット)の元に向かう。

フェアファックスに迎えられたジェーンは、主人の”エドワード・ロチェスター”は不在であり、フェアファックスが単なる家政婦頭であることを知る。

ロチェスターは家庭教師を必要とするフランス人の少女アデール・ヴァレンス(マーガレット・オブライエン)の後見人であり、変わった人物であるという話を、ジェーンはフェアファックスから聞かされる。

翌朝、アデールに起こされて一日を共に過ごしたジェーンは、夜になり屋敷を出て歩き始めたところで、馬に乗った男性に遭遇して落馬させてしまう。

脚を怪我した男性(オーソン・ウェルズ)は、不機嫌な顔をしてジェーンがどこの者かを尋ねる。

ジェーンがロチェスター家の家庭教師であると知った男性は、その場を立ち去る。

屋敷に戻ったジェーンは、先ほどの男性が連れていた犬を見て、主人ロチェスターが戻ったと言うフェアファックスの話を聞き、それが落馬した男性だと気づく。

傲慢で威圧的なロチェスターは、ジェーンの素性を知り、この場に来た経緯などを聞く。

ピアノを弾くよう命じたロチェスターは、さほどうまくもないジェーンの演奏を止めさせて部屋に戻るよう指示する。

ジェーンは、ロチェスターがなぜあのような性格なのかをフェアファックスに尋ね、家庭の問題が大きく影響していらしいということを知る。

数日後、話をしたいと言うロチェスターに呼ばれたジェーンは、臆することなく率直な意見を伝える。

現れたアデールが母親の話をした瞬間に、ロチェスターの顔色は変わる。

ロチェスターはアデールに部屋に戻るよう指示し、一緒に席を外そうとするジェーンには、話しが終わってないことを伝える。

ジェーンは、何があったにせよ子供には罪はないと言ってロチェスターの言動に対して意見する。

以前はこんな性格ではなかったと語るロチェスターは、アデールの母親のせいでこうなったことを伝えてジェーンを下がらせる。

ジェーンを呼び止めたロチェスターは、この場での幸せを願うと伝え、そう考えると答えた彼女は安堵してその場を離れる。

その夜、奇妙な笑い声で目覚めたジェーンは、ロチェスターの部屋が放火されていることに気づき、眠っている彼を起こして火を消す。

ロチェスターは、動揺するジェーンをその場に残して塔に向い暫くして戻る。

ジェーンに何かを見たかを尋ねたロチェスターは、床に落ちていたロウソクに気づき笑い声がしたことを確認する。

グレース・プール(エセル・グリフィス)という変わった裁縫師がいることをフェアファックスから聞いていたジェーンはそれも話し、ロチェスターと共にアデールの様子を見に行く。

アデールが静かに眠っていることを確認したロチェスターは、以前恋をした、アデールの母親であるフランス人の踊り子が、自分の金を手にしてイタリア人画家と駆け落ちしたことなどをジェーンに話す。

アデールがロチェスターと踊り子との私生児だと知り、哀れな子に愛情を注ぐと言うジェーンは、自分も救われる価値があるかを問うロチェスターに、もちろんあると答える。

放火騒ぎでも救われたロチェスターは、自分の救いになると感じていたことをジェーンに伝えて感謝する。

翌早朝、ロチェスターは馬に乗って旅立ち、ジェーンは、彼がパーティに出席する予定であり、いつ帰るか分からないとフェアファックスから知らされる。

火事の原因を、読書中の不注意と言い残して出かけたというロチェスターのことを気にしながら、ジェーンは、昨晩、彼が向かった塔を調べようとする。

ある部屋に入ろうとしたジェーンは、叫び声を聞いたためにその場を離れる。

ジェーンは、現れたグレースから二度と来ないようにと警告される。

その後、冬が終わり春になってもロチェスターは戻ってこなかった。

ある日、アデールと外出していたジェーンが屋敷に帰ると、ロチェスターが戻ると知らされたフェアファックスら使用人が、慌ただしくその準備をしていたため期待に胸ふくらます。

現れたロチェスターは、婚約も噂されているブランシュ・イングラム(ヒラリー・ブルック)他客人を伴っていた。

ブランシュに嫉妬心を感じてしまったジェーンは、ロチェスターに近づくのを遠慮する。

ジェーンは、夕食後の憩いの場に呼ばれるのだが、ブランシュの家庭教師を侮辱する言葉に傷つく。

ロチェスターはジェーンを気遣い、彼女の自分に対する気持ちを確認する。

そこに、メイソン(ジョン・アボット)という男性がロチェスターを訪ねて現れる。

その夜、騒ぎが起き、それを鎮めたロチェスターはジェーンを連れて塔に向かう。

ロチェスターは、傷ついたメイソンの様子を見ているようジェーンに指示して医者を呼びに行く。

医者を連れて戻ったロチェスターは叫び声を聞き、ジェーンに裏庭の馬車を確認するよう伝える。

ロチェスターは、禁止した部屋に入ったメイソンを責めて、今まで隠し通してきたことが無駄になると言って嘆く。

メイソンと医師を馬車で送り出したロチェスターは、ジェーンを連れて周辺を歩く。

ジェーンは、グレースが今後もこの場に居続けるのかをロチェスターに問い、それを否定しない彼は、この件について深く追及することを禁ずる。

結婚のことを尋ねたジェーンは、いずれはするとロチェスターに言われ、彼は現れたブランシュと共に来客の元に戻る。

ジェーンは、翌日、旅立つと言うロチェスターが結婚すると考え、他の職を探すため、彼に紹介状を書いてもらおうとする。

その必要がないと言うロチェスターは、ジェーンに親しみを込めて別れを告げる。

その後、ロチェスターはブランシュを侮辱して、客人と共に追い払う。

ジェーンは、アデールや自分に良くしてくれたフェアファックス、そしてロチェスターとの別れが辛いことを彼に語る。

ロチェスターはジェーンに結婚のことを尋ねられ、するとは言っていないがいずれはすると答える。

誰かと結婚するロチェスターの側にいて耐えられるはずがないと言うジェーンは、貧しく美しくもない自分にも感情はあると言ってその場を去ろうとする。

ロチェスターは求めていることをジェーンに伝え、ブランシュとは別れたと言って、自分と結婚することに同意させる。

幸せな日々は続き、ロチェスターとジェーンは結婚式の日を迎える。

ところが、メイソンが弁護士と共に現れて、ロチェスターと結婚した妹が屋敷にいることを神父に伝える。

ロチェスターは結婚式を中止して、グレースが看病する正気を失った妻の元に向い、教会の許可が下りずに離婚できないことをジェーンらに伝える。

その後、眠っているアデールの顔を見て屋敷を去ろうとしたジェーンは、ロチェスターに呼び止められ、若さとは言え深く考えもせずに結婚したことを悔やんでいると言われる。

ロチェスターは、酷い女だと気づい時には遅く、その内、狂ってしまった妻のために苦しんだことをジェーに伝える。

妻をイングランドに連れ帰り、愛する女性を探して屋敷を空ける生活が続いていた時、妖精のようなジェーンが馬の前に現れ恋をしたとロチェスターは語る。

ロチェスターはジェーンの愛を確かめるのだが、彼女はお互いが不幸になると言ってその場を去る。

行く場所もなかったジェーンは路頭に迷い、伯母リード夫人の元に向い、優しいベッシーにも会いたかった。

裏口から出て来たベッシーに声をかけたジェーンは、自分だと気づかない彼女に仕事はないと言われるものの、暖まるようにと部屋の中に招かれる。

ベッシーは、かつて自分が持っていたブローチに気づき、目の前の女性がジェーンだと分かる。

夫人の呼び鈴で二階に向かおうとしたベッシーは、自分のことは黙っていてほしいと言うジェーンに、いとこはギャンブルで破滅して自殺し、夫人はそのショックで倒れたことを伝える。

ジェーンは伯母に会い、最初は嫌みを言われるものの、行かないでほしいと願う彼女にこの場にいると答える。

伯母の看病をしていたある日、ジェーンはリヴァース医師の訪問を受ける。

ある人物にジェーンを捜してほしいと頼まれたのが、リヴァースの要件だった。

ジェーンは戸惑いながら、それを聞き入れるつもりのないことをリヴァースに伝える。

その後リード夫人は亡くなり、家財は競売にかけられる。

ジェーンは、ブロックルハーストに世話になることを考えて手紙を書こうとする。

しかし、ロチェスターの心の声を聞き、何かあったと感じたジェーンは、ソーンフィールド館に戻ることを決心する。

火事で焼失したソーンフィールド館に着いたジェーンは、ロチェスターの妻が火を放ち、笑い声で気がついたフェアファックスがアデールを助けたことを知る。

ジェーンは、屋根に上った妻を助けようとしてロチェスターが、彼女を助けられずに階段の下敷きになったという話も聞く。

その場に現れたロチェスターは、命は助かったものの視力を失っていた。

この場にいるものが誰だと叫ぶロチェスターに、ジェーンは声をかける。

ロチェスターは、ジェーンの手のひらと指、髪の毛と花の様な優しい顔を確かめながら、哀れみはいらないと言って、自分といてはいけないと伝える。

他の男性の元に行くよう言われたジェーンは、この場に居させてほしいと答える。

ロチェスターは、行かせるものかと言ってジェーンを固く抱きしめる。

その後、ロチェスターの目は光を感じられるほど回復し、陽の光、やわらかな月の光、そして夜空の星も見えるようになった。

二人は最初の子を抱き、息子が、ロチェスターの瞳を受け継いでいることを確認する。

大きく輝く黒い瞳を。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1829年、イングランド
孤児のジェーン・エアは、伯母の家で虐げられた日々を送り、その後、寄宿学校”ローウッド学院”に預けられる。
冷酷な学院長ブロックルハーストの元でも苦しみながら10年を過ごしたジェーンは、教師の資格を与えられるものの、それを拒み家庭教師の道を歩む。
ソーンフィールド館の家政婦頭フェアファックスからの連絡を受けたジェーンは、フランス人少女アデールの家庭教師となる。
そんなジェーンは、屋敷の近くである男性を落馬させてしまい、彼がアデールの後見人で、主人のエドワード・ロチェスターであることを知る。
傲慢で高圧的なロチェスターに戸惑いながら、ジェーンは、ある秘密を持つ彼に惹かれていくのだが・・・。
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際立つ美しさの女性として登場しないヒロイン、反抗的な態度と意思の強さは男女平等を訴えているという、19世紀半ばのイングランドの社会構造を考えると画期的な内容と言われた原作であった。

小説の発表から約100年後に映画化された本作だが、当時の社会常識を考えても、それを逸脱するヒロイン像だと言える。

原作の内容がかなり削られているということで論議となったが、監督ロバート・スティーヴンソンは、その長編小説を約90分の内容にうまくまとめている。

バーナード・ハーマンの、時に力感溢れる楽曲も印象的だ。

本人そのものを連想させる、どう見ても20代には思えないオーソン・ウェルズの存在感、ハリウッド的な際立つ美から一歩引いているようなジョーン・フォンテインのヒロイン役も適役で、長身の主人公を常に見上げる表情だけで、相手に対しての気持ちを表現する演技なども注目したい。

主人公の娘役で可愛らしい少女というだけのマーガレット・オブライエンに対し、単なるヒロインの少女時代とは言えない、天才子役ペギー・アン・ガーナーの確かな演技は素晴らしい。
彼女は2年後の「ブルックリン横丁」(1945)の演技でも絶賛され、アカデミー特別賞/子役賞を受賞した。
ジェーン・エアの少女期だけを演ずる彼女を、もっと見てみたいと思われた方も多いはずだ。

ヒロインを見守り励ます医師ジョン・サットン、ヒロインの伯母(アグネス・ムーアヘッド)の使用人で、ジェーンに優しく接するサラ・オールグッド、冷酷な寄宿学校院長ヘンリー・ダニエル、主人公の招待客オーブリー・メイザー、ソーンフィールド館の家政婦頭エディス・バーレット、主人公と結婚が噂される令嬢ヒラリー・ブルック、その母親バーバラ・エヴァーレスト、主人公の義兄ジョン・アボット、妻を看護、監視するエセル・グリフィス、屋敷の使用人メエ・マーシュ、寄宿学校の教師エイリー・マリオン、そして、ヒロインの少女時代の親友役でエリザベス・テイラーが共演している。


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