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ジェイコブス・ラダー Jacob’s Ladder (1990)

ベトナム帰還兵が現実と悪夢の間で翻弄されていく奇怪な体験を描く、監督エイドリアン・ライン、主演ティム・ロビンスエリザベス・ペーニャダニー・アイエロ他共演のサスペンス・スリラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー


スタッフ キャスト ■
監督:エイドリアン・ライン

製作総指揮
マリオ・カサール

アンドリュー・ヴァイナ
製作:アラン・マーシャル
脚本:ブルース・ジョエル・ルービン
撮影:ジェフリー・L・キンボール
編集:トム・ロルフ
音楽:モーリス・ジャール

出演
ジェイコブ・シンガー:ティム・ロビンス

ジェジー:エリザベス・ペーニャ
ルイ:ダニー・アイエロ
マイケル:マット・クレイヴン
フランク:エリク・ラ・サル
ジョージ:ヴィング・レイムス
ギアリー:ジェイソン・アレクサンダー
サラ:パトリシア・カレンバー
ゲイブ・シンガー:マコーレー・カルキン
ポール:プルイット・テイラー・ヴィンス

アメリカ 映画
配給 トライスター・ピクチャーズ

1990年製作 113分
公開
北米:1990年11月2日
日本:1991年4月
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $26,118,850


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1971年10月6日、ベトナム戦争下、メコン川デルタ地帯。
ジェイコブ・シンガー(ティム・ロビンス)の所属部隊は、敵の攻撃を受けて、森に逃れた彼は銃剣で刺されてしまう。
___________

ニューヨークの地下鉄で、夢から覚めたジェイコブは線路に下りてしまい、地下鉄に轢かれそうになり、魔物のような者に見つめられる。

帰宅したジェイコブは、就寝後、再びベトナムの夢を見てしまう。

恋人で同棲相手のジェジー(エリザベス・ペーニャ)と、写真を見ていたジェイコブは、別れた妻、そして事故で亡くなった息子ゲイブ(マコーレー・カルキン)の写真を見て思わず涙する。
...全てを見る(結末あり)

背中の痛みの治療のため、矯正師のルイ(ダニー・アイエロ)の治療を受けていたジェイコブは、頚椎を刺激された瞬間、再び夢ではなく幻覚を見てしまう。

ジェイコブは郵便局の仕事を終え、傷病軍人として通院のため病院に向かっていたが、突然現れた車に襲われ、魔物のような者を見る。

危機を逃れたジェイコブは、通院している病院で、担当医は死亡し自分の記録もないことを告げられる。

帰宅したジェイコブは、最近起きている異変や魔物のことをジェジーに話すが、彼女はニューヨークには”魔物”などたくさんいると驚きもしない。

その後ジェイコブは、あるパーティーで手相を見てもらい、自分が既に死んでいると言われる。

ジェイコブは、幻覚を見て突然、取り乱してしまい、帰宅後、高熱にうなされる。

ジェジーはジェイコブを氷風呂に入れて解熱しようとするが、彼は、別れた妻サラ(パトリシア・カレンバー)やゲイブとの生活、そしてベトナムの夢を見る。

ジェジーの看病で意識を取り戻したジェイコブは、休養をとることになり、魔女や悪霊についてを調べ始める。

それに没頭して、2週間も何もしようとしないジェイコブにジェジーは不満をぶつけてしまう。

そんなジェイコブは、戦友のポール(プルイット・テイラー・ヴィンス)からの連絡を受け、彼も同じ悪夢を見ていることを知る。

ポールは怯え、悪魔払いのために聖書ロザリオを持ち歩いていた。

そして、ポールはジェイコブと別れ際に、エンジンをかけた瞬間、車は爆破炎上して即死する。

ポールの葬儀に参列したジェイコブは、同じ部隊にいたフランク(エリク・ラ・サル)やジョージ(ヴィング・レイムス)らに、担当医も爆死し、ポールは悪魔に怯えていたことを話す。

部隊員が、何かに狙われていると考えたジェイコブは、仲間と警察に向かい、自分達が軍により何らかの身体的な処置をされたと、ギアリー弁護士(ジェイソン・アレクサンダー)に相談する。

ジェイコブらに説得されたギアリーは、無理を承知で彼らに協力することを決める。

しかし、フランク達が突然それを断ってしまい、弁護を辞めたギアリーに、ジェイコブは言い寄る。

ギアリーは、情緒不安定になったジェイコブが除隊になり、ベトナムに行っていないことを調べたと言い張る。

そして、ジェイコブは、政府関係の男達に連れ去られて、軍にいたことを忘れるように強要されるが、彼は抵抗して車から路上に放り出される。

重傷を負ったジェイコブは、夢と幻覚の世界をさ迷い家族と再会する。

矯正師ルイに助けを求めたジェイコブを、病院に現れたルイが強引に退院させてしまう。

ルイの矯正で、歩けるようになったジェイコブは帰宅し、ベトナムで秘密実験に携わっていたという化学者からの連絡を受けて、彼に会いにいく。

現れたのはマイケル(マット・クレイヴン)という化学者で、ジェイコブを尾行し、ポール爆死の際も現場で彼を助けた人物だった。

マイケルは、軍の要請でベトナムに向かい、人間の意識を変えて、軍人の闘争本能を強化させる薬物”ラダー”の開発を任された。

サルや捕虜でその効果を確かめた軍は、ジェイコブの所属部隊の食事に”ラダー”を混入させ、実戦の実験も成功する。

しかし、マイケルの警告通り、味方同士が凄惨な殺し合いを始める結果となってしまったのだった。

家族と過ごした自宅に帰ったジェイコブは、死を理解する心の持ちようで、悪魔も天使に変わるという、ルイの言葉を思い出す。

そしてジェイコブは、そこに現れた息子ゲイブと共に階段を上がっていく。
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戦場で味方に胸を刺されたジェイコブは、野戦病院に運ばれ、治療を受けるものの死亡する。
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全てが、死を前にした幻覚だったのだ。
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ベトナム戦争で、幻覚剤”BZ”を使用したと言われたが、ペンタゴンはそれを否定した。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ニューヨークの郵便局員で働く、傷病軍人として心に傷を持つベトナム帰還兵ジェイコブ・シンガーは、断片的な幻覚や悪夢に悩んでいた。
そんなジェイコブは、奇妙な出来事に遭遇し魔物のような者を見る日々を送っていた。
その後ジェイコブは、ベトナムの夢なども見て、魔女や悪霊についてを調べ始める。
ある日、ジェイコブは戦友のポールから連絡を受け、彼も同じ夢を見て怯えていることを知る。
さらにポールは、悪魔払いのために聖書ロザリオを持ち歩いていたのだった・・・。
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旧約聖書の”ヤコブの梯子”をヒントに製作された作品で、主人公の名前を英語読みの”ジェイコブ”としてそれに関連付けている。

結果的に、現実では、戦地で死に至る主人公の、無意識の中での死を受け入れる準備を描いた、難解ではないが複雑なストーリーを、「危険な情事」(1987)をヒットさせたエイドリアン・ラインが、丹念に描いている。

巨匠モーリス・ジャールの音楽も、戦慄の映像や現実味も感じられる、秘密実験の物語と共に効果を上げている。

誰もが迎えなければならない死の現実だが、権力の犠牲になった帰還兵は、平穏にそれを迎えることができない。
そんな主人公の心の葛藤を、既にキャリアを積んでいたティム・ロビンスは、体を張った演技で熱演している。

死を前にした、幻覚の中の主人公の恋人エリザベス・ペーニャ、死の本質を教える矯正師ダニー・アイエロ、幻覚剤”BZ”を開発したことなどで、良心の呵責に苦しむ科学者マット・クレイヴン、主人公の戦友プルイット・テイラー・ヴィンスエリク・ラ・サルヴィング・レイムス、弁護士ジェイソン・アレクサンダー、妻パトリシア・カレンバー、そして同月に「ホーム・アローン」(1990)が公開されるマコーレー・カルキンも出演している。


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