1992年に発表されたエルモア・レナード(製作兼)の小説”ラム・パンチ”を基に製作された作品。 監督、脚本クエンティン・タランティーノ、主演パム・グリア、サミュエル・L・ジャクソン、ロバート・フォスター、ブリジット・フォンダ、マイケル・キートン、ロバート・デ・ニーロ、クリス・タッカー共演の犯罪サスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:クエンティン・タランティーノ
製作総指揮
リチャード・N・グラッドスタイン
エルモア・レナード
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
製作:ローレンス・ベンダー
原作:エルモア・レナード
脚本:クエンティン・タランティーノ
撮影:ギレルモ・ナヴァロ
編集:サリー・メンケ
出演
ジャッキー・ブラウン:パム・グリア
オデール・ロビー:サミュエル・L・ジャクソン
マックス・チェリー:ロバート・フォスター
メラニー・ラルストン:ブリジット・フォンダ
レイ・ニコレット:マイケル・キートン
ルイス・ガーラ:ロバート・デ・ニーロ
ボーマン・リヴィングストン:クリス・タッカー
マーク・ダーガス:マイケル・ボーエン
シェロンダ:リサ・ゲイ・ハミルトン
ウィンストン:トム“タイニー”リスターJr.
シモーン:ハティ・ウィンストン
判事:シド・ヘイグ
弁護人:デニース・クロスビー
声:クエンティン・タランティーノ
アメリカ 映画
配給 ミラマックス
1997年製作 154分
公開
北米:1997年12月25日
日本:1998年4月25日
製作費 $12,000,000
北米興行収入 $39,647,600
世界 $73,000,000
■ アカデミー賞 ■
第70回アカデミー賞
・ノミネート
助演男優賞(ロバート・フォスター)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1995年、カリフォルニア、ハーモサビーチ。
銃の密売人オデール・ロビー(サミュエル・L・ジャクソン)は、刑務所から出所したばかりの相棒ルイス・ガーラ(ロバート・デ・ニーロ)、そして、オデールの女メラニー・ラルストン(ブリジット・フォンダ)と穏やかな午後を過ごしていた。
その後、オデールとルイスは、逮捕された仲間のボーマン・リヴィングストン(クリス・タッカー)のために、保釈保証業者マックス・チェリー(ロバート・フォスター)を訪ねる。
そこで、ボーマンが刑務所に舞い戻ることが確実だと知ったオデールは、彼を誘い出し、口封じのために車のトランクの中に閉じ込め射殺する。
ロサンゼルス国際空港。 ジャッキーは手荷物を調べられ、所持していた大金について問い詰められ、麻薬所持も見つかり逮捕される。 航空会社の薄給を補うために、ジャッキーはオデールの運び屋をしていたため、彼は早速マックスの元に向かい保釈金を調達する。 ジャッキーを保釈させたマックスは、一目で彼女に惹かれてしまう。 マックスはジャッキーをバーに誘い、保釈の経緯などを彼女に話す。 ニコレットらには目的があり、自分がはめられたことを察したジャッキーは、オデールが、何かを企んでいることに気づく。 オデールはジャッキーの帰宅を待ち、彼女の家に向かい探りを入れる。 そのオデールに銃を突きつけたジャッキーは、自分が有罪になった場合には現金を渡すことを約束させ、彼の銃を奪い追い払う。 翌日、ジャッキーは現れたマックスに、彼の車から拝借した拳銃を返し、助言通り警察と取引することを伝える。 さらにジャッキーは、オデールのメキシコの銀行に預けてある50万ドル、そしてそれ以上になる現金を奪うことを企む。 ニコレットとダーガスの元に向ったジャッキーは、オデール逮捕に協力する条件で、出国する許可を得る。 ルイスはオデールの留守中、メラニーと会話している間にその気になり、彼女と愛し合ってしまう。 その頃、ジャッキーと会ったオデールは、現金をメキシコから運び出し警察を出し抜く計画を彼女から知らされ、それに対する報酬を払うことに同意する。 メラニーは、オデールがジャッキーに大金を運ばせることをルイスに話し、彼を巻き込み現金を奪おうとする。 ルイスはそれをオデールに話してしまうが、彼はメラニーの企みは承知だった。 トーランス、デルアモ・モール。 マックスは、ジャッキーからニコレットと取引したことを知らされ、自分が彼女と会ったのをきっかけに仕事を辞める決心をしたことを伝える。 それを聞いたジャッキーはマックスに、”チャンスがあれば50万ドルを奪って逃げるか”と質問する。 ● 一度目の現金受け渡し。 現金1万ドルを持参したジャッキーは、ニコレットとダーガスに受け渡しの段取りを知らせ、デルアモ・モールに向う。 そしてニコレットとダーガスは、モール内のフードコートでジャッキーの動向を見守り、マックスもその様子を観察する。 そこに、オデールが囲っている田舎娘シェロンダ(リサ・ゲイ・ハミルトン)が現れ、ジャッキーは現金入りの袋をすり替えて立ち去る。 一旦ジャッキーの袋を確認しに行ったニコレットは、ダーガスと席を立ったシェロンダの後を追う。 しかし、現金の入った袋は、隣のテーブルに座っていた、オデールのもう一人の女シモーン(ハティ・ウィンストン)が持ち去り、それをマックスは確認する。 計画と違うことを知ったジャッキーは、オデールの元に向かい彼に言い寄る。 しかし、次の50万ドルの受け渡し人がシモーンで、練習のつもりでやらせたことをジャッキーは知る。 二度目の受け渡しの確認をしたジャッキーは、その後、ニコレットと食事をして、オデールが弱腰になっていると触れ込む。 その後ジャッキーは、マックスと保釈金5万ドルを利用した50万ドル強奪計画を練る。 そこに、シモーンが1万ドルを持ち逃げしたという連絡がオデールから入り、代わりにメラニーが受け渡し役になる。 ● 二度目の現金受け渡し。 メキシコから50万ドルを運び込んだジャッキーは、ニコレットと5万ドルに印をつけて準備を済ませる。 マックス、そしてルイスとメラニーもデルアモ・モールに向かい、ジャッキーは予定通りブティックで試着をする。 試着室の外に現れたメラニーに、ジャッキーは1万ドルはチップだと言って5万ドルが入った袋を渡し、500万ドルを紙袋に詰め替える。 それを置いて店を出ようとしたジャッキーは、店員に誰かの忘れ物があることを伝え立ち去る。 その後、ジャッキーはニコレットを探し、メラニーが現金を持って逃げたことを伝える。 その頃、現金の袋を受け取ったメラニーは、駐車場の車の場所が分からないルイスをからかう。 憤慨したルイスはメラニーを射殺し、袋を持って車でモールから立ち去る。 ジャッキーの置いていった紙袋を、マックスが妻の忘れ物を取りに来たと言って試着室の現金を確認して持ち去る。 ルイスと合流したオデールは、彼がメラニーを殺したことを聞き、現金が4万ドルしかないことに気づく。 オデールは、ルイスがメラニーとグルだと疑うが、冷静に考えた末、ジャッキーが犯人だと確信する。 そしてルイスは、受け渡し場所の近くに、マックスがいたことをオデールに話す。 オデールは、それを知りながら何もしなかったルイスを罵倒して射殺してしまう。 ニコレットは、現金が消えたことでジャッキーを追及するが、彼女は白を切り、そこにルイスが射殺されていたという報告が入る。 犯人がオデールだというのは明らかで、ニコレットは状況証拠からジャッキーの話を信じ、オデールを挙げようとする。 その後ジャッキーは不起訴となり、マックスはオデールに連絡を入れ、ボーマンとジャッキーの保釈金1万ドルを返そうとする。 オデールは、ジャッキーに50万ドルを返すようにと、共謀者と思われるマックスを脅し、それを彼女に伝えさせる。 マックスは、助手のウィンストン(トム“タイニー”リスターJr.)にオデールの潜伏先を調べさせ、その場に向かい彼に1万ドルを返し、金を返したいと言うジャッキーの意向を伝える。 そしてマックスは、ジャッキーがメラニーから金を山分けしようと持ちかけられ、それを阻止するための計画だったことをオデールに話す。 二人は現金を隠し、ジャッキーが待っているというマックスのオフィスに向う。 オフィスに着いたオデールは、部屋を暗くしているジャッキーに声をかけるが、待ち構えていたニコレットに射殺される。 3日後。 スペインに旅立つというジャッキーはマックスを誘うが、彼はそれを断り別れを告げる。
メキシコの航空会社のフライトアテンダントのジャッキー・ブラウン(パム・グリア)は、ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)の捜査官レイ・ニコレット(マイケル・キートン)と、ロサンゼルス市警のマーク・ダーガス(マイケル・ボーエン)に呼び止められる。
...全てを見る(結末あり)
ジャッキーと話を詰めていたオデールは、彼女と別れた後、マックスとジャッキーが会うのを見て不審に思う。
マックスのオフィスを訪ねたジャッキーは、50万ドルの1割を引き、小包でそれを送ってくれた彼に感謝する。
*(簡略ストー リー)
フライト・アテンダントのジャッキー・ブラウンは、薄給を補うために銃の密売人オデールの運び屋をしていた。
ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)のニコレットと警察に目を付けられたジャッキーは逮捕される。
オデールから依頼されて、保釈保証業者のマックスがジャッキーを保釈させれる。
ニコレットが、オデール逮捕を目的に協力を求めてきたため、ジャッキーはその裏をかいてある計画を思いつく。
オデールのメキシコにある現金50万ドルを、マックスの協力で強奪しようとしたのだ。
そして、現金よりもジャッキーの魅力に惹かれたマックスは、彼女の手助けをすることになるのだが・・・。
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クエンティン・タランティーノ自身が熱烈なファンだったという、1970年代を代表する”ブラックスプロイテーション・フィルム”のスター、パム・グリアと、多彩な個性派を贅沢に起用した作品。
淡々と進行する中盤までは、単純な犯罪映画のような展開を見せ、後半から終盤にかけては、タランティーノらしい巧みな脚本と場面構成で、画面に引き込まれる。
第70回アカデミー賞では、助演男優賞(ロバート・フォスター)にノミネートされた。
二度目の現金受け渡しのエピソードを、三者の目から繰り返し映し、最も盛り上がるシーンとしてまとめる手法や、会話の途中で突然画面が途切れ、ひと呼吸置いて、前の場面の説明を加えるなどの、心憎い演出が興味深い。
パム・グリアが画面に登場していると、極端に言えば”神々しく”も見えるのは、上記のように、タランティーノが彼女のことを”崇拝”し、それなりの意気込みで表情を捉えているからだろう。
タランティーノ作品での悪党のはまり役と言えばこの人サミュエル・L・ジャクソンは、今回も変幻自在な演技を見せ、独特な雰囲気で作品にひと味加えている。
対照的な、”ただのオジサン”風のロバート・フォスターのキャラクターが、妙に作品とマッチしていて、結局は結ばれない、派手なパム・グリアとのツーショットに、違和感を感じないところも注目だ。
どん臭い男で登場するロバート・デ・ニーロがいつ変貌するのかと思いきや、ほぼそのままの役柄で終わらせてしまう起用方も驚きだ。
ATF捜査官マイケル・キートン、銃の密売人オデール(S・L・ジャクソン)の女ブリジット・フォンダ、リサ・ゲイ・ハミルトン、ハティ・ウィンストン、その仲間クリス・タッカー、刑事マイケル・ボーエン、マックス(R・フォスター)の助手トム“タイニー”リスターJr.、判事シド・ヘイグ、弁護人のデニース・クロスビー、そして、クエンティン・タランティーノが声だけで登場する。