第二次大戦下、ヒトラーによるパリ破壊計画を阻止しようとするフランス側地下組織と市民の戦いを描く、監督ルネ・クレマン、出演カーク・ダグラス、グレン・フォード、ゲルト・フレーベ、シャルル・ボワイエ、イヴ・モンタン、ジャン=ポール・ベルモンド他共演の戦争ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ルネ・クレマン
製作:ポール・グレッツ
原作
ラリー・コリンズ
ドミニク・ラピエール
脚本
ゴア・ヴィダル
フランシス・フォード・コッポラ
撮影:マルセル・グリニヨン
編集:ロバート・ローレンス
美術・装置
ウィリー・ホルト
マルク・フレデリク
ピエール・グッフロイ
音楽:モーリス・ジャール
出演
ジョージ・S・パットン将軍:カーク・ダグラス
オマー・N・ブラッドレー将軍:グレン・フォード
ディートリッヒ・フォン・コルティッツ将軍:ゲルト・フレーベ
モノ医師:シャルル・ボワイエ
マルセル・ビジアン軍曹:イヴ・モンタン
イヴォン・モランダ:ジャン=ポール・ベルモンド
ウィリアム・L・シーバート将軍:ロバート・スタック
ジャック・シャバン・デルマ:アラン・ドロン
アンリ・ロル=タンギー大佐:ブリュノ・クレメール
フランソワーズ・ラベ:レスリー・キャロン
ラウル・ノルドリンク:オーソン・ウェルズ
ロジャー・ガロア少佐:ピエール・ヴァネック
アンリ・カルシェール中尉:ジャン=ピエール・カッセル
アドルフ・ヒトラー:ビリー・フリック
フレデリック・ジョリオ=キュリー:サッシャ・ピトエフ
フィリップ・ルクレール将軍:クロード・リッシュ
アルフレート・ヨードル上級大将:ハンネス・メッセマー
エドガー・ピザーニ:ミシェル・ピコリ
ジャック・ディビュ=ブライデル:マイケル・ロンズデール
イヴ・ブシェ:ダニエル・ジュラン
パウエル:E・G・マーシャル
パンティン親衛隊少佐:ギュンター・メイスナー
セルジュ大尉:ジャン=ルイ・トランティニャン
エーベルナッハ大尉:ヴォルフガング・プライス
ウォーレン軍曹:アンソニー・パーキンス
諜報員:ベルナール・フレッソン
カフェの女主人:シモーヌ・シニョレ
戦車のGI:ジョージ・チャキリス
フランス/アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1966年製作 165分
公開
フランス:1966年10月26日
北米:1966年11月10日
日本:1966年12月
■ アカデミー賞 ■
第39回アカデミー賞
・ノミネート
撮影(白黒)・美術(白黒)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1944年8月7日、第二次大戦下、ラステンブルク、ドイツ軍大本営”狼の砦”。
2週間前の、ヒトラー暗殺未遂事件の現場を見ながら、ディートリッヒ・フォン・コルティッツ将軍(ゲルト・フレーベ)は、アルフレート・ヨードル上級大将(ハンネス・メッセマー)に迎えられる。
ヒトラー総統(ビリー・フリック)に呼ばれたコルティッツは、占領軍パリ司令官に任命され、ノルマンディーに上陸し、進軍を続ける連合軍の手に、パリを灰にしてでも渡さぬよう命令を受ける。
パリ。
地下組織として潜伏する、ドゴール派のレジスタンス、ジャック・シャバン・デルマ(アラン・ドロン)らが、連合軍の到着を前に活発な活動を続けていた。
ドイツ軍内では、劣勢を知る兵士達の士気も高まらず、レジスタンス達はそれに付け入る隙を窺っていた。 4年以上の圧政に人々の不満は限界に達し、FFI(フランス国内軍)のアンリ・ロル=タンギー大佐(ブリュノ・クレメール)は、デルマに市民の焦りをぶつける。 しかし、連合軍は、ドイツ軍が体勢を立て直す前にライン川を渡ろうとしたため、パリを迂回するという情報が入る。 その頃、パリに赴任していたコルティッツは、総統命令の破壊工作をエーベルナッハ大尉(ヴォルフガング・プライス)に指示し準備を始めていた。 FFIに連合軍の遅れを説得するためには、ドイツ軍に政治犯として捕らえられている、ベルナール・ラベを救出するしかないと考えたデルマは、ラベの妻フランソワーズ(レスリー・キャロン)に協力を要請する。 デルマは、スウェーデン領事のラウル・ノルドリンク(オーソン・ウェルズ)にフランソワーズを接触させ、捕虜交換を試みさせる。 ノルドリンクはコルティッツに会い、政治犯を赤十字に引き渡す約束するが、既に政治犯は親衛隊の手に渡ってしまっていた。 そこ頃、親衛隊のパンティン少佐(ギュンター・メイスナー)は、コルティッツの命令を無視し、ラベを見つけたフランソワーズの前で、抵抗した彼を射殺してしまう。 FFIのロル大佐は、組織活動を活発化させるが、セルジュ大尉(ジャン=ルイ・トランティニャン)の裏切りで、多くの同志を失ってしまう。 ロル大佐は、市民に蜂起を促すビラを街中に貼り、それを出し抜くためドゴール派が、警視庁など市内の要所を占拠し始める。 ドゴール派は、原子物理学者フレデリック・ジョリオ=キュリー(サッシャ・ピトエフ)の協力で、火炎瓶などを大量に準備する。 ロル大佐も、一斉蜂起のため、ドゴール派に協力を表明し体勢を整える。 それを知ったコルティッツは、警視庁に戦車を配備して攻撃を加え、抵抗派を鎮圧しようとする。 思わぬ抵抗にあったコルティッツは、ノルドリンクの提案で休戦に応じる決断をする。 しかし、抵抗派上層部は多数決で休戦協定を破棄する決定をする。 ロル大佐は、連合軍と連絡を取るためにロジャー・ガロア少佐(ピエール・ヴァネック)を、モノ医師(シャルル・ボワイエ)の助手にしてパリを脱出させる。 ジョージ・S・パットン将軍(カーク・ダグラス)は、ガロアの援軍要請に対し、アメリカ軍の目的と違うことを理由に、それを断る。 しかしパットンは、ガロアをFFL(自由フランス軍)のフィリップ・ルクレール将軍(クロード・リッシュ)の元に案内するよう部下に命ずる。 連合軍の司令部に着いたガロアは、自分を部下に案内させたアメリカ軍の指揮官が、パットンだったことを後に知らされ驚いてしまう。 ガロアは、ウィリアム・L・シーバート将軍(ロバート・スタック)ら司令官を前に、ドイツ軍のパリ破壊計画を伝えて進軍を嘆願する。 コルティッツはノルドリンクを呼び出し、連合軍がパリに近づきつつある現状では、街を破壊するしかないことを伝える。 そして、パリを破壊しても、戦争に勝利することのないことを理解しているコルティッツは迷う。 その頃ガロアは、父親であるルクレール将軍と再会し、私情を挟まず、パリの現状や進路の状況を説明する。 ルクレールは、連合軍司令官オマー・N・ブラッドレー将軍(グレン・フォード)からパリ進軍決定を受け、全軍に進撃命令を出す。 パリに迫るルクレールの部隊は、各町で住民の歓迎を受けて進軍を続ける。 その間も、ドイツ軍のパリ破壊準備は進むが、ルクレールの部隊の第一陣が、パリに到着するという連絡が市民に入る。 そして遂に、自由フランス軍が先陣を切ってパリに進入し、市庁舎に向かう。 援軍もないコルティッツは、解放の鐘を聞き覚悟を決め、ヒトラーのパリ爆破命令を無視する。 自由フランス軍を歓迎する市民だったが、ドイツ軍の抵抗が始まり多数の死傷者を出す。 やがてアメリカ軍他連合軍も到着し、市民の協力で次第に街を制圧していく。 コルティッツは降伏を決意して、司令部に進入したアンリ・カルシェール中尉(ジャン=ピエール・カッセル)に投降する。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1944年8月。
2週間前ヒトラー暗殺未遂事件が起きた現場、ドイツ軍大本営”狼の砦”。
コルティッツ将軍は、ヒトラー総統に呼ばれる。
コルティッツは占領軍パリ司令官に任命され、ノルマンディーに上陸し進軍を続ける連合軍に、パリを灰にしてでも渡さぬようヒトラーに命令される。
その頃パリでは、地下組織のドゴール派レジスタンス、デルマらが、連合軍の到着を前に、活発な活動を続けていた・・・。
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1965年に発表された、ラリー・コリンズとドミニク・ラピエールの同名小説の映画化。
主にフランス人俳優による豪華キャストで製作された作品であり、当時のフィルムなどを効果的に使った、ドキュメンタリー・タッチで描かれている。
丸4年にも及ぶ、ナチス・ドイツの占領下での、市民の怒りや不満、解放への望みや強い意志を、自身も、当時レジスタンスを描く映画製作に参加した、ルネ・クレマンがリアルに描き切っている。
レジスタンスや地下組織の刺々しい人々とは違い、占領下の圧政の中でも、希望を抱きながら生きる、ユーモラスなフランス人気質なども見事に描写されている。
第39回アカデミー賞では、撮影(白黒)、美術(白黒)にノミネートされた。
まだ20代のフランシス・フォード・コッポラが脚本に参加しているのも注目なのだが、終盤で、イヴ・モンタンやアンソニー・パーキンスを意図的に注目させ、わざとらしく戦死させる場面などが気になり、本人も、この仕事にはあまり満足していないと言われている。
クライマックスはスターのオンパレードのようで、雑な演出が目立つが、パリ市全面協力の市街ロケなどは緊迫感もあり見応え十分。
軽快でテンポの良いモーリス・ジャールの音楽も素晴らしい。
主役が存在しない作品の中で、コルティッツ将軍役のゲルト・フレーベが、無益な戦闘を避け、人命はもとより、貴重な文化遺産を守ろうとする穏健派の占領軍司令官を好演している。
個人的には、”カーク・ダグラス”にしか見えない、全くジョージ・S・パットンらしくない彼には苦笑いしてしまうが、フランス人俳優などを再確認するには貴重な作品となっている。
スタッフ・キャストは上記参照。