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イントゥ・ザ・ワイルド Into the Wild (2007)

大学を卒業し放浪の旅を2年間続け希望通りアラスカの大地の自然の中で生活した実在の青年クリストファー・マッカンドレスの生き様を描く、監督ショーン・ペンエミール・ハーシュマーシャ・ゲイ・ハーデンウィリアム・ハートクリステン・スチュワート共演のヒューマン・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)

ウィリアム・ハート / William Hurt / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ショーン・ペン

製作
ショーン・ペン
アート・リンソン
ウィリアム・M・ポーラッド
製作総指揮
ジョン・J・ケリー
フランク・ヒルデブランド
デヴィッド・ブロッカー
原作:ジョン・クラカワー
脚本:ショーン・ペン
撮影:エリック・ゴーティエ
編集:ジェイ・キャシディ
音楽
マイケル・ブルック
カーキ・キング
エディ・ヴェダー

出演
エミール・ハーシュクリストファー”クリス”マッカンドレス
マーシャ・ゲイ・ハーデン:ビリー・マッカンドレス
ウィリアム・ハート:ウォルト・マッカンドレス
ジェナ・マローン:カリーン・マッカンドレス
キャサリン・キーナー:ジャン・バレス
ブライアン・H・ディアカー:レイニー
ヴィンス・ヴォーン:ウェイン・ウェスターバーグ
クリステン・スチュワート:トレイシー・タトゥロ
ハル・ホルブルック:ロン・フランツ
ザック・ガリフィアナキス:ケヴィン

アメリカ 映画
配給 Paramount Vantage
2007年製作 148分
公開
北米:2007年9月21日
日本:2008年9月6日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $18,352,450
世界 $56,255,140


アカデミー賞 ■
第80回アカデミー賞

・ノミネート
助演男優(ハル・ホルブルック)
編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1992年5月、アラスカ、”不思議なバスの日”。
クリストファー”クリス”マッカンドレス(エミール・ハーシュ)は、文明に毒されるのを嫌い、2年間、放浪の旅を続けてきた。

クリスは朽ち果てた1台のバスを見つけ、そこを住居にして生活を始める。
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2年前、ジョージア州アトランタ
名門校のエモリー大学を優秀な成績で卒業したクリスは、両親ウォルト(ウィリアム・ハート)とビリー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)、妹カリーン(ジェナ・マローン)に見守られ卒業式を迎える。
...全てを見る(結末あり)

両親と妹とのしっくりこない食事を済ませたクリスは、学資預金2万4000ドルを”オックスファム”に寄付し、身分証明書やクレジット・カードを切り刻み、オンボロのダットサンに乗り旅立つ。

● 第1章:僕の出生

鉄砲水で走行不能になった車を捨てたクリスは、所持金を燃やし、無一文となり徒歩で旅を続ける。

1990年7月、アリゾナ州、ミード湖
全てを捨てる覚悟で旅に出たクリスは、”アレグザンダー・スーパートランプ”という名前を自分につけ、ヒッチハイクをして旅を続ける。

その頃、クリスの両親は、連絡のとれなくなった息子の消息を捜し始める。

妹カリーンは、クリスが大学を義務感だけで卒業し、過剰な物質的社会から逃れたことを理解していた。

1990年8月、北カリフォルニア
パシフィック・クレスト・トレイルで自然を満喫したクリスは、ジャン・バレス(キャサリン・キーナー)とレイニー(ブライアン・H・ディアカー)のキャンピング・カーに拾われる。

クリスは、レイニーから、ジャンとのすれ違いの時が続いていたことを聞く。

自分の出現で、2人の心が再び通い合ったことを確認したクリスは、彼らの前から姿を消す。

● 第2章:思春期

クリスはヒッチハイクで旅を続けていたが、9月の初めに、アリゾナで彼の車が捨てられていたことを、警察は両親に連絡する。

車は放棄されたものと思われ、両親は安堵するのだが、クリスが、誰にも見つけて欲しくないのだろうということに気づく。
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”不思議なバス:3週間目”
食料が尽きてきたクリスは、獲物を捕らえることも出来ず、見る見るやせ細っていった。
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1990年9月10日。
サウスダコタ州東部、”バス”到着の19ヶ月前。

大農場主ウェイン・ウェスターバーグ(ヴィンス・ヴォーン)に雇われたクリスは、彼にアラスカに行く相談をする。

クリスの父ウォルトは、息子が学資預金を寄付してしまったことを知り、私立探偵を雇い、全米の警察に知らせて捜査を依頼する。

動物の捕獲に詳しいケヴィン(ザック・ガリフィアナキス)から、その方法を伝授されたクリスは、22口径のライフルを手に入れようとする。

ウェインが違法装置で逮捕された後、クリスは農場を後にして再び旅に出る。
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クリスの両親は偽りの夫婦で、彼とカリーナは、父が愛人ビリーに生ませた私生児だった。

父には正妻がいたことを、クリスは偶然知ってしまった経緯がある。
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コロラド川をカヤックで下ろうとしたクリスは、無謀にも激流に身を投じ、難所を切り抜ける。

1990年12月2日。
クリスは、コペンハーゲンから来た若いカップルに出会ったりしながら、コルテス海(カリフォルニア湾)にたどり着く。

その後もヒッチハイクや徒歩を続け、カヤックを砂嵐で失ったクリスは、身分証がないためにメキシコ行きを諦めて、ロサンゼルスの向かう。

大都会ロサンゼルスが肌に合わず、クリスは貨物列車で街を出る。

● 第3章:人間らしさ

無賃乗車がばれたクリスは、列車から放り出され、再びヒッチハイクを続ける。
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”不思議なバス:7週目”
クリスは、周辺の地図を作り、狩猟ルートなどを構成する。
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クリスが消息を絶って1が経つ頃、両親の怒りや絶望、そして罪の意識は苦しみに変わっていた。

● 第4章:家族

1991年12月18日、”バス”の4ヶ月前。
あるコミューンクリスは、ジャンとレイニーに再会して、2人の仲が円満なのを喜ぶ。

クリスはそこで、トレイシー・タトゥロ(クリステン・スチュワート)という少女に出会う。

16歳のトレイシーは、クリスに肉体関係を求めるが、彼はそれを拒み集会で2人は共に歌う。

ジャンはかつて結婚し、夫と別れ息子を育てていた時にレイニーと知り合ったのだが、その息子が2年前に彼女の元から消えてしまったことをクリスは聞かされる。

アラスカの大地に向かうために、体を鍛えたクリスは、トレイシー、そしてレイニーとジャンに別れを告げて旅立って行く。
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”不思議なバス:9週間目”
クリスはバスを離れ旅立とうとするが、川の激流に前進を阻まれ一旦バスに引き返す。
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● 最終章:英知を得る

1992年1月12日。
クリスソルトン・シティーで、革職人の老人ロン・フランツ(ハル・ホルブルック)に出会う。

アンザ・オレゴ砂漠のオー・マイ・ゴッド温泉に野営していたクリスは、フランツの自宅に招かれる。

工房をフランツに見せてもらったクリスは、革製品の加工を彼から教わりながら親交を深める。

クリスは自分の体験した旅を、革のベルトに刻み込み、家族を遠い昔に交通事故で失ったフランツは、近づく彼との別れを辛く思う。

1992年3月22日。
フランツから自活する道具を受け取ったクリスは、彼との別れ際に養子の話を持ちかけられる。

アラスカから戻ってから話そうと、クリスはフランツに言い残して旅立って行く。
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バスでの生活が続いたクリスは、食料が底を突き自然植物を口にするが、それに毒が含まれていたことに気づき、もがき苦しむ。

1992年8月。
衰弱しきったクリスはバスの中で、メッセージに”クリストファー・ジョンソン・マッカンドレス”と自分の名を書き残して、両親の元に戻った時のことを思い浮かべながら息を引き取る。
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クリスの死の2週間後、ヘラジカ狩りの猟師が彼の遺体を発見する。

1992年9月19日。
妹カリーンは、クリスの遺灰を、アラスカから東海岸まで飛行機で運んだ。


解説 評価 感想 ■
1996年に発表された、ジョン・クラカワーの同名小説の映画化。

*(簡略ストー リー)
1990年。
名門校エモリー大学を優秀な成績で卒業したクリストファー・マッカンドレスは、両親ウォルトとビリー、そして妹カリーンとの、しっくりこない食事を済ませる。
クリスは、学資預金2万4000ドルを”オックスファム”に寄付し、全てを捨てて旅立つ。
途中、所持金まで燃やしてしまったクリスは、徒歩やヒッチハイクで旅を続ける。
その間、両親は、消息を絶った息子を探し始める。
そして、様々な人々との出会いを得たクリスは、ついに目的地アラスカにたどり着くのだが・・・。
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自然に親しむことが好きだった訳でもない青年が、いかにして文明社会から逃避するか、そして、彼が、苦労しながら過去や未来を見つめる姿を、生々しくも大胆に描いたショーン・ペンは、当然のごとく若者の無謀さだけではなく、家族の絆や単調な日々を、人間らしく生き抜く尊さなども丹念に描いている。

製作に10年以上を費やし、自ら脚本も手がけた、ショーン・ペンの演出手腕が見所であり、アラスカにたどり着いた主人公が、息を引き取るまでの3ヶ月間の進行と、旅の行方を交互に見せていく展開も効果を上げ、編集のジェイ・キャシディアカデミー賞にノミネートされた。

第80回アカデミー賞では、その編集賞の他、助演男優(ハル・ホルブルック)にノミネートされた。

主人公が旅する各地の自然を、見事に映し出したエリック・ゴーティエの映像も実に美しい。

ロードムービーにマッチしたマイケル・ブルックカーキ・キングエディ・ヴェダーらの音楽も心地よい。

目的地アラスカで衰弱していく主人公を演ずるため、20キロ近く減量したエミール・ハーシュの熱演は見もので、大胆ではあるが、知的で思慮深く繊細な放浪青年を見事に演じている。

ミルク」(2008)でもショーン・ペンと共演していたエミール・ハーシュは、次代の実力派俳優として、今後も大いに期待できる。

彼の両親を演ずる、マーシャ・ゲイ・ハーデンウィリアム・ハート、兄の心境を察しながら語っていく妹のジェナ・マローン、放浪のヒッピー役、キャサリン・キーナーブライアン・H・ディアカー、豪快な農場主ヴィンス・ヴォーンコミューンで出会う少女クリステン・スチュワート、そして、上映2時間を前にようやく登場する、撮影当時81歳のハル・ホルブルックの、燻し銀の名演も見事で、アカデミー助演賞候補は誰もが納得するだろう。


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