米ソ冷戦の副産物と言っていい宇宙開発競争の頂点に立つ大プロジェクト”アポロ計画”で初の月面着陸に成功した”アポロ11”のミッションを中心に描かれたドキュメンタリー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・シントン
製作:ダンカン・コップ
撮影:クライヴ・ノース
編集:デヴィッド・フェアヘッド
音楽:フィリップ・シェパード
提供:ロン・ハワード
出演
・アポロ11
エドウィン”バズ”オルドリン:月着陸船パイロット
マイケル・コリンズ:指令船パイロット
・アポロ14
エドガー・ミッチェル:月着陸船パイロット
・アポロ15
デイヴィッド・スコット:月着陸船パイロット(アポロ9)
・アポロ16
ジョン・ヤング:船長(アポロ10)
チャールズ・デューク:月着陸船パイロット(アポロ11通信担当官)
・アポロ17
ユージン・サーナン:船長(アポロ10)
ハリソン・シュミット:月着陸船パイロット
イギリス 映画
配給
THINKFilm(アメリカ)
Vertigo Films(イギリス)
2007年製作 100分
公開
イギリス:2007年11月2日
北米:2007年9月7日
日本:2009年1月16日
製作費 $2,000,000
北米興行収入 $1,134,050
世界 $1,846,820
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1960年代初頭、冷戦下の米ソは、有人宇宙飛行を
競っていた。
1961年4月1。
ソ連のユーリイ・ガガーリンが、人類初の有人宇宙飛行
に成功する。
1962年5月5日。
アメリカのアラン・シェパードが、わずか15分間の飛行ではあったがそれに続く。
5月25日。 全国から、精鋭の宇宙飛行士候補”ライト・スタッフ”が集められ、不可能に近い大計画に挑む過酷な訓練と実験が始まる。 1967年1月27日。 そして1968年12月、サターンV型巨大ロケットのアポロ8が発射され、人類が始めて月の周回軌道に達し、生還することに成功する。 続いて、アポロ9、アポロ10が、月着陸船の試験飛行を行い、いよいよ月着陸の時を迎える。 1969年7月16日。 7月20日午後8時17分(UTC)。 1969年7月20日午前2時56分(UTC)。 ”これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、 人類にとっては偉大な飛躍である。” 全世界の人々が見守る中、人類が初めて地球以外の天体に到達して降り立った瞬間だった。 オルドリンがそれに続き、2時間半の月面活動を終えた二人は、休息をとった後、コリンズの待つ指令船(コロンビア)に向け飛び立つ。 月面を離れた月着陸船(イーグル)は、指令船(コロンビア)とのドッキングに成功し、38万キロ彼方の地球に向けて進路をとる。 地球軌道に戻った指令船(コロンビア)は、大気圏に突入し、7月24日、太平洋上に無事着陸し、3人の宇宙飛行士は、空母ホーネットに回収される。 3人は世界中で大歓迎を受け、その偉業を称えられる。 4ヵ月後にアポロ12の飛行も成功するが、アポロ13は、月に向かう途中、機械船の酸素タンクの爆発で月着陸を断念し、月着陸船(アクエリアス)を救助船として使い、指令船(オディッセイ)で地球への奇跡の生還を成功させる。 その後、アポロ14からアポロ17は無事に月着陸に成功し、アポロ15では、初めて月面車が使用され、最後のミッション、アポロ17では、高度な地質学調査を行った。 アポロ計画に関わった人々は、数十万人にも及ぶが、いまだかつて、月に降り立った人間は12人しかいない。
”我々は、1960年代中に、人類を月に送り生還させる”という、アメリカのケネディ大統領の議会演説で国民は一つとなり、NASAによる、月面到達の”アポロ計画”への実行の道が開ける。
...全てを見る(結末あり)
アポロ1の火災による、3名の宇宙飛行士(バージル”ガス”グリソム、エド・ホワイト、ロジャー・チャフィー)の事故死の悲劇を乗り越え、1968年10月からは、有人宇宙飛行が始まる。
船長ニール・アームストロング、月着陸船(イーグル)パイロット、エドウィン”バズ”オルドリン、指令船(コロンビア)パイロットマイケル・コリンズを乗せたアポロ11は、フロリダのケネディ宇宙センター発射される。
3日間の飛行の後、コリンズを指令船(コロンビア)に残し、アームストロングとオルドリンが月に向かい、予定の着陸地点を避け、ほぼ燃料を使い果たしながら、二人は無事に”静かの海”に着陸する。
アームストロングは船外活動を始め、月面に足を踏み下ろし、地球に向かい発する。
”That’s one small step for ”a” man, one giant leap for mankind.”
*(簡略ストー リー)
1960年代初頭。
冷戦下の米ソは、有人宇宙飛行を競い、1961年4月12日、ソ連のユーリイ・ガガーリンが、人類初の有人宇宙飛行に成功する。
5月5日、アメリカのアラン・シェパードが、わずかの飛行ではあったがそれに続く。
そして、アメリカのケネディ大統領の、”我々は、1960年代中に人類を月に送り生還させる”という議会演説で国民は一つとなり、月面到達への道、”アポロ計画”が実行されることになる・・・。
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自分も含め、当時からアポロ計画に親しんだ方にとっては、あまり目新しい映像などはないが、映画館のスクリーンに広がる漆黒の宇宙空間と月面、更に美しい青い地球を見ると、新たな感動を体験できる、見応えある作品。
アポロ17以降、人類が他の天体に足を踏み入れていないことを考えると、当時計画に携わった人々の驚異的な意志の強さと技術力の高さに、改めて驚かされる。
また、アポロ計画に参加し、月に降り立った12人の内の9人と、アポロ11の偉業を月の軌道上で見守ったマイケル・コリンズら、元宇宙飛行士が語る真実の記録が、効果的に挿入されている。
特に、アポロ12のアラン・ビーンの、偉業に名を連ねた喜びと幸福感を伝える満面の笑みとその表情、アポロ17船長ユージン・サーナンがクライマックスで語る、”大宇宙の中での偶然の産物”地球”を、宇宙から見た時、宗教的なものではなく、霊的な感じを受けた”という言葉が印象に残る。
アポロ計画以前の、マーキュリー計画実行のため、初めて選ばれた宇宙飛行士候補を描いた物語の「ライトスタッフ」(1983)や、奇跡の生還を果たす「アポロ13」(1995)、更には、テレビ朝日で放映された、立花隆氏をコメンテーターにした”アポロ13”生還のドキュメンタリー、また、トム・ハンクスとロン・ハワードが共同製作したアメリカHBOのTVドラマ「人類、月に立つ」(1998)などが、本作を見る上で参考になる。
エンドロールで飛行士らが語る”月着陸陰謀説”への反論は、その表情や力説、そしてラストで再び語る、ユージン・サーナンの、”誰も、私が残した月面の足跡は消せない”という言葉で、全ての人を納得させる説得力がある。