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別離 Intermezzo (1939)

1936年に公開されたスウェーデン映画”Intermezzo”のリメイクで、同作で同じ役を演じたイングリッド・バーグマンハリウッドでのデビュー作品。
妻子のある著名なヴァイオリニストと奨学生を目指すピアニストの恋を描く、製作デヴィッド・O・セルズニック、監督グレゴリー・ラトフ、製作、主演レスリー・ハワードイングリッド・バーグマンエドナ・ベストジョン・ハリデイ他共演の恋愛ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

イングリッド・バーグマン / Ingrid Bergman / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:グレゴリー・ラトフ

製作
デヴィッド・O・セルズニック

レスリー・ハワード
原作
ゴスタ・スティーヴンス

グスタフ・モランデル
脚本:ジョージ・オニール
撮影
グレッグ・トーランド

ハリー・ストラドリング
編集:フランシス・D・ライオン
音楽
ロバート・ラッセル・ベネット

マックス・スタイナー

出演
ホルガー・ブラント:レスリー・ハワード

アニタ・ホフマン:イングリッド・バーグマン
マーギット・ブラント:エドナ・ベスト
トーマス・ステンバーグ:ジョン・ハリデイ
チャールズ・モラー:セシル・ケラウェイ
グレタ・ステンバーグ:エニッド・ベネット
アン・マリー・ブラント:アン・E・トッド
エリック・マリー・ブラント:ダグラス・スコット

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1939年製作 70分
公開
北米:1939年9月22日
日本:1952年12月9日
製作費 $800,000


アカデミー賞 ■
第12回アカデミー賞
・ノミネート
撮影(白黒作品)・音楽賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ニューヨーク
スウェーデンの著名なヴァイオリニスト、ホルガー・ブラント(レスリー・ハワード)は公演を終えて帰国することになる。

伴奏のピアニスト、トーマス・ステンバーグ(ジョン・ハリデイ)が引退することをステージで伝えたホルガーは、彼と演奏ができたことに感謝する。

トーマスと共に帰国したホルガーは、駅で家族の出迎えを受ける。

ホルガーは妻マーギット(ジョン・ハリデイ)、娘アン・マリー(アン・E・トッド)、息子エリック(ダグラス・スコット)と、トーマスは妻グレタ(エニッド・ベネット)に迎えられる。

翌日、ピアノを習い始めていたアン・マリーの教師で、トーマスの教え子でもあるアニタ・ホフマン(イングリッド・バーグマン)がブラント家を訪れ、ホルガーに挨拶する。
...全てを見る(結末あり)

トーマスのように落ち着いた生活をしたいと考えるホルガーだったが、次の演奏旅行の予定は決まっているため、マーギットに同行することを提案する。

家族を置いて行くわけにはいかないと言うマーギットに、全員で旅立てばいいと答えるホルガーだったが、エリックの学校などがあるため無理だった。

行きたい気持ちはあっても家族を守るのが自分の役目だと言うマーギットは、コンサートが仕事であるホルガーにそれを納得させる。

アン・マリーの7歳の誕生日のパーティーにアニタも招待されることになり、トーマスとグレタ、ホルガーのマネージャーであるチャールズ・モラー(セシル・ケラウェイ)なども出席する。

食事が終わり、ホルガーは初コンサートだと言ってアン・マリーのピアノ伴奏でヴァイオリンを演奏する。

褒められたアン・マリーはアニタの演奏も聴きたいと言い出し、マーギットやトーマスもそれに賛成する。

アン・マリーのことばかりを考えていたホルガーは、アニタの素晴らしい演奏に驚き、思わずヴァイオリンを弾き始める。

その後、コンサート会場で出くわしたアニタをカフェに誘ったホルガーは、トーマスの代わりにコンサートで伴奏する提案をする。

学業に専念し奨学生になることが現在の目標であるアニタは、ホルガーの申し出を断るものの光栄に思う。

尊敬し続けていたホルガーと親しく話ができることが夢のようだと語るアニタは、ワインではなくシャンパンで祝うと言う彼と共に楽しい時を過ごし、そして二人は惹かれ合う。

春になり、デンマークの親類を訪ねるとアニタから聞いたトーマスは、彼女とホルガーの関係を知っていたため良い考えだと伝える。

マーギットに会うべきかと問うアニタに、困難に立ち向かう場合は勇気を出せと自分に言い聞かせるとトーマスは助言する。

苦しむアニタはトーマスの胸の中で涙する。

ブラント家を訪ねたアニタは、デンマークに向かうことをマーギットに伝える。

マーギットはホルガーとアニタの関係に気づいていたが、その件には触れぬまま彼女に別れを告げる。

カフェでホルガーに会ったアニタは、隠れて愛し合うことに疑問を感じ辛い思いを伝える。

周囲を騙し続けることに耐えられなくなったアニタは、別れる気持ちがあることを伝えてホルガーも納得する。

カフェを出た二人はある店のウインドーの前で立ち止まり、振り向かないようにとホルガーに伝えたアニタはその場を去る。

帰宅したホルガーは、アン・マリーからアニタが教師を辞めたことを知らされ、彼女がデンマークに行くらしいとマーギットに言われる。

アン・マリーを寝かせたマーギットは、次の演奏旅行についてなどをホルガーに尋ねる。

自分が年をとったかをホルガーに尋ねたマーギットは、演奏旅行に同行したいことを伝える。

返事をしないホルガーが何を考えているか察したマーギットは、その場を去ろうとする。

マーギットを引き留めたホルガーはある話をしようとするが、そこにエリックが現れる。

映画に行く予定のエリックに許可を出したホルガーは部屋に向い、話があると言ってマーギットを呼ぶ。

駅に向かったホルガーは、旅立つアニタを呼び止めて別れられないことを伝える。

マーギットが全てを知っていることを伝えたホルガーはアニタを説得し、汽車は出発してしまう。

その後、ホルガーとアニタは演奏旅行で各地を回り絶賛され、二人の愛は深まる。

ホルガーとアニタの演奏をラジオで聴くことを楽しみにしている何も知らないアン・マリーの世話をしながら、マーギットは辛い日々を送る。

演奏旅行を終えたホルガーとアニタは、南フランスで休暇を過ごす。

地元の少女マリアンヌと知り合ったホルガーは、彼女を可愛がるようになる。

トーマスからの手紙を受け取ったアニタは、自分が奨学生になれたことを知り喜ぶ。

それをホルガーに知らせようとしたアニタだったが、何かの招待ならば別れたくないので断るようにと彼に言われたため、その場では黙っている。

食事の際にそれを知らされたホルガーは、自分と別れたくないために、アニタが奨学生の件を断る気であることを知る。

アニタの夢を奪ってしまったと考えるホルガーは心を痛めるが、彼女は愛を優先して手紙を燃やしてしまう。

アン・マリーのことや家族を想うホルガーの気持ちを察したアニタは、不安を感じながらも彼との愛を確かめる。

そんな時ホルガーはトーマスの訪問を受けて、離婚届を持参したと言われる。

直ぐにサインしようとしないホルガーに、マーギットのことを考えるなら早めの決断がいいとトーマスは助言する。

そこに現れたマリアンヌにレッスンを催促されたホルガーは階下に向かう。

その様子を見たトーマスは、ホルガーがマリアンヌにアン・マリーを投影しながら家族を想っていることに気づく。

アニタと再会したトーマスは、ホルガーが家族を恋しがっていることを察している彼女が悩んでいることを知る。

奨学生の件を尋ねたトーマスは、夢を捨ててまで愛を選ぼうとするアニタに、他人を不幸にしてまで幸せになれるかを問う。

苦しむアニタはどうすればいいのかを尋ねるが、それは自分で決めることで、必ず正しい答えを出すと信じると言ってトーマスは彼女を励ます。

翌朝、ホルガーとトーマスそしてマリアンヌと共にピコニックに行く予定だったアニタは、旅立つことをトーマスに伝える。

家族がある身のホルガーのことを考えたアニタは、自分は彼の人生にとっての”間奏曲”だったことをトーマスに語る。

体調がすぐれないためピクニックには行けないことをホルガーに伝えたアニタは、”さよなら”と言って三人を送り出そうとする。

思わずホルガーに抱き付きキスしたアニタは、彼らを見送る。

家族の元に戻るようにという置手紙をホルガーに残し、アニタは汽車で旅立つ。

アニタの将来を無駄にしたくないと考えるホルガーは、彼女を追う気のないことをトーマスに伝える。

家族の元に戻ろうと言うトーマスに対し、ホルガーは自分には家族はないと伝えて離婚届を受け取る。

何年かが経ち、その間トーマスは戻るようにという手紙を何度もホルガーに送る。

ようやく戻ったホルガーはトーマスに歓迎されるが、直ぐに旅立つと言って、頼まれたカメラを渡すためにアン・マリーの学校に向かう。

ホルガーに気づいたアン・マリーは道路に飛び出し、車と接触してしまう。

アン・マリーを抱いて自宅に向ったホルガーは、マーギットに事故のことを知らせて医者が来ると伝える。

駆け付けたチャールズとトーマスの気遣う言葉も、医師の診断を待つホルガーの慰めにならない。

父ホルガーが帰って来たとうわ言を言いながら、アン・マリーは生死をさ迷う。

自分の行為を理解してくれない息子エリックに、子供が期待するほど親は完璧なものではなく、平凡な人間であることをホルガーは話して聞かせる。

誰もが間違いを犯すもので、いずれ分かるとホルガーは付け加える。

許すこともできるはずだと語るホルガーは、父として必要とされなくても、自分には息子が必要だとエリックに伝える。

ホルガーの言葉を理解したエリックは涙する。

医師からアン・マリーが回復することを知らされたホルガーは、安心してその場を去ろうとする。

マーギットに呼び止められたホルガーは”お帰りなさい”と言われ、家族の元に戻る決心をする。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
スウェーデンの著名なヴァイオリニスト、ホルガー・ブラントは、引退するピアニストのトーマスとのニューヨーク公演を終えて帰国する。
妻マーギットと娘アン・マリーや息子に迎えられたホルガーは、久し振りに家族との時間を過ごそうとする。
アン・マリーのピアノ教師でトーマスの教え子でもあるアニタに出会ったホルガーは、彼女の素晴らしい演奏と美しさに惹かれてしまう。
やがて二人は愛し合う仲になり、アニタは叶わぬ恋と知り手を引こうとするものの、ホルガーに引き留められる。
二人は共にステージに立ち、演奏旅行のため各地を回り絶賛され、そして愛を深める。
フランスで休暇を楽しむ二人だったが、アニタは娘アン・マリーや家族を想うホルガーの気持ちを察する・・・。
__________

主演のレスリー・ハワードは、本作を共同で製作することを条件に、製作者のデヴィッド・O・セルズニックの次回作である同年公開の「風と共に去りぬ」(1939)への出演に同意したと言われている。

デヴィッド・O・セルズニックレスリー・ハワードは、両作の撮影を同時に行っていたことになる。

また何と言っても注目は、本作の原作となるスウェーデン映画”Intermezzo”(1936)で同じ役を演じたイングリッド・バーグマンハリウッドでのデビュー作品であることで、24歳になったばかりの彼女の表情や仕草は実に魅力的であり、その美しさは際立つ。

叶わぬ恋を描くメロドラマ・タッチの作風ではあるが、愛を諦める若きピアニストの将来が有望であることを感じさせ、そして、崩壊しかけた家族関係も修復するという、希望が窺えるラストもいい。

第12回アカデミー賞では撮影(白黒作品)、音楽賞にノミネートされた。

日本では「風と共に去りぬ」(1939)の”アシュレー・ウィルクス”役ばかりが取り上げられるレスリー・ハワードだが、映画製作に対する強い思い入れを感じさせる人物であり、演ずる役柄でもそれが伝わる素晴らしい役者である。
本作でも、恋と家族に対する考えに苦悩する音楽家を好演している。

主人公の妻エドナ・ベスト、主人公を支える友人でピアニストのジョン・ハリデイ、その妻エニッド・ベネット、主人公のマネージャー、セシル・ケラウェイ、主人公の娘アン・E・トッド、息子ダグラス・スコットなどが共演している。


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