ゴリラの生態調査の末に同化したと思われる人類学者と彼の心を開こうとする精神科医の関係を描く、監督ジョン・タートルトーブ、主演アンソニー・ホプキンス、キューバ・グッディングJr.、ドナルド・サザーランドによるドラマ。 |
監督:ジョン・タートルトーブ
製作
マイケル・テイラー
バーバラ・ボイル
原作:ダニエル・クイン”Ishmael”
脚本:ジェラルド・ディペゴ
撮影:フィリップ・ルースロ
編集:リチャード・フランシス=ブルース
音楽:ダニー・エルフマン
出演
イーサン・パウエル:アンソニー・ホプキンス
テオ・コールダー:キューバ・グッディングJr.
ベン・ヒラード:ドナルド・サザーランド
リン・パウエル:モーラ・ティアニー
ジョン・マーレイ:ジョージ・ズンザ
ダックス:ジョン・アシュトン
ジャック・キーファー所長:ジョン・アイルワード
アニー:トレーシー・エリス
アレン:レックス・リン
アメリカ 映画
配給 ブエナビスタ
1999年製作 123分
公開
北米:1999年6月4日
日本:2000年4月15日
製作費 $55,000,000
北米興行収入 $34,105,207
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
アフリカ。
ゴリラの生態を調査していた人類学者イーサン・パウエル(アンソニー・ホプキンス)は、殺人を犯した罪で投獄されていた。
アメリカ国務省は、1994年に行方不明になっていたパウエルの所在を確認して身柄を保護し帰国させる。
マイアミ大学。 空港に到着したパウエルは、ドアの警報で取り乱し、係官に襲い掛かり逃亡するものの取り押さえられる。 コールダーはパウエルについて調べ、ゴリラと共に生活していた彼が狂暴化している可能性をヒラードに指摘する。 パウエルに興味を持ったコールダーは、彼の鑑定に志願してヒラードに許可される。 ハーモニーベイ刑務所。 刑務所を訪れたコールダーは、所長ジャック・キーファー(ジョン・アイルワード)と精神科医ジョン・マーレイ(ジョージ・ズンザ)に迎えられる。 パウエルに面会したコールダーは、心を閉ざし言葉を口にしない彼に紙と鉛筆を渡す。 警戒するダックスが監視する中、パウエルは鉛筆でコールダーに襲い掛かろうとするが取り押さえられる。 ダックスは囚人達にカードを配り、ダイヤのAを受け取った者を屋外に出していた。 ダイヤのAを受け取ったパウエルは、それを奪おうとした囚人を締め殺そうとする。 制止されたパウエルは、ダイヤのAを持っていたため屋外に出ることを許され、暫しの解放感を味わう。 パウエルの家を訪ねたコールダーは、娘のリン(モーラ・ティアニー)に強力を求め、パウエルの書斎を確認する。 刑務所に戻ったコールダーは、パウエルに面会して書斎から持ち出した写真を見せる。 パウエルはリンの写真も見せられ、それを鉛筆で傷つけ、何を言いたいかをコールダーに問われる。 ”別れ”だと答えたパウエルが話したことで、付き添っていたマーレイやダックスは驚く。 コールダーは、家に戻ることをリンが希望していると伝え、薬の量を減らせば話をするというパウエルの言葉を信ずる。 その場の録音を聴いたリンは悲しむが、協力すればパウエルに会えるよう努力するとコールダーに言われる。 ヒラードに面会の様子を報告したコールダーは、慎重に事を運ぶよう指示される。 ダックスらを部屋から出しパウエルに会ったコールダーは、彼の心理を探る。 パウエルは、アフリカの密林でゴリラの調査をしていたことを思い出し、彼らの仲間になれたことを話す。 毎日ゴリラの生息地に向かったパウエルは、やがて彼らと過ごす時間が増え、キャンプに帰らなくなる。 そして、ゴリラと触れ合うことができたパウエルは、安らぎと調和を見つけたとコールダーに語る。 精神を病む他の囚人の鑑定も任されたコールダーは、その異常な環境に動揺する。 パウエルは、ゴリラに同化したと言うコールダーに対して声を荒げて反論し、彼らが人間を受け入れと主張する。 リンが会いたがっていると言われたパウエルは彼女の話を拒み、面会を打ち切ろうとする。 コールダーは、今は密林の話を聞きたいと答える。 殺人の件と再びリンのことを話し始めたコールダーに襲い掛かったパウエルは、自分に幻想を奪われたと言わせて彼を解放する。 精神的に落ち込んだコールダーは、リンの家に向かい安らぎを感じる。 翌日、官房に向かったコールダーは、パウエルが文明の歴史を壁に描いていることを知る。 コールダーは、世界は全ての生物のものであり、人間は神ではないため、独占欲を捨てるようにとパウエルに言われる。 翌日、野外に出られる者を選ぶカードを廃止することを、コールダーは囚人達に宣言する。 ダックスはそれを認めず、パウエルのカードを確認しようとする。 しかし、パウエルはカードを破り捨ててしまい、拾えというダックスの命令を無視する。 他の囚人達もパウエルに続き、カードを破り捨ててしまう。 それを見ていたマーレイは、コールダーの行動を認める。 キーファー所長は、騒ぎについてコールダーに意見するが、現場にいたマーレイは彼を擁護する。 パウエルの鑑定の期間を短縮されたコールダーは、ヒラードの元に向かい不満をぶつける。 ヒラードは、期限内にパウエルの安全を証明し自由にする方法を考えるようコールダーに支持する。 リンに会い助言されたコールダーは、パウエルを動物園に連れて行き、ゴリラと対面させようとする。 かつて自分が捕獲したゴリラを見ながら、コールダーに質問されたパウエルは、殺人について話し始める。 ゴリラと触れ合う日々を送っていたパウエルは、襲い掛かってきたハンターに反撃し数人を殺す。 しかし、叩きのめされたパウエルは、銃撃され息を引き取るゴリラを目の前に絶望したのだった。 檻の扉を開けてもゴリラが逃げないことを確認したパウエルは、自分も自由になれるチャンスがあるとコールダーに言われ、その場を去ろうとする。 審問の日、コールダーにスーツを渡されたパウエルは、その場に来ているリンに会うよう促される。 面会した父と娘は、わだかまりがないことを確認し、愛を伝えたパウエルは、唯一の所持品だったリンの子供時代の写真を渡し、二人は手を握りしめる。 壁の絵を消された監房に戻ったパウエルに、中に入るようダックスが強引に迫られる。 囚人達はそれに反発し罵声を浴びせ、ダックスは一人の囚人を痛めつける。 パウエルはダックスに襲い掛かるものの、看守達に取り押さえられる。 ヒラードの元に向かったコールダーは、全てが台無しになり、再び心を閉ざしたパウエルについてを語り悲観する。 するべきことはなくなったとヒラードに言われたコールダーは、肩を落としながらその場を去る。 パウエルに会ったコールダーは謝罪し、出世のことだけ考えていた自分だったが、人生を教えられたと言ってパウエルに感謝する。 別れを言いたくないと涙ながらに伝えたコールダーは、鑑定が終了したという言葉を残してその場を去る。 動物園でコールダーから受け取ったペンを隠し持っていたパウエルは、それを利用して窓を開けて脱出する。 コールダーは、パウエルが姿を消したことをキーファー所長から知らされる。 パウエルの手紙を受け取ったコールダーは、その内容で、彼が誰にも見つからない場所に行ったことを悟る。 リンの家の前で車を止めたコールダーは、雨の中、天に向かって願いを込め、彼女はそれを窓越しに見詰める。 アフリカ。
同大学の教授だったパウエルの精神鑑定を依頼された教授ベン・ヒラード(ドナルド・サザーランド)は、野心家の若手精神科医テオ・コールダー(キューバ・グッディングJr.)にその件を伝え、資料を揃えるよう指示する。
...全てを見る(結末あり)
パウエルは精神異常と診断されて収監され、看守長ダックス(ジョン・アシュトン)らの監視下にあった。
パウエルは、密林の仲間達の元に向かう。
*(簡略ストー リー)
アフリカの密林で行方不明になっていた、ゴリラの生態を調査していた人類学者イーサン・パウエルは、殺人の罪で収監されていたが、国務省に身元が確認され帰国する。
マイアミ大学教授ヒラードは、同大の教授であったパウエルの精神鑑定を依頼され、野心家の精神科医コールダーに準備をさせる。
帰国直後に空港で騒ぎを起こし、ゴリラと暮らしていたため狂暴化したと思われるパウエルに興味を持ったコールダーは、彼の鑑定に志願する。
ハーモニーベイ重犯罪刑務所に収監されていたパウエルに面会したコールダーだったが、パウエルは心を閉ざし口を開こうとしなかった・・・。
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1992年に発表された、ダニエル・クインの小説”Ishmael”を基に製作された作品。
堅実な仕事を続けていた若手監督ジョン・タートルトーブの演出と、演技派スターのアンソニー・ホプキンス、キューバ・グッディングJr.、ドナルド・サザーランドなど豪華競演が話題になった作品。
全体的には無難な仕上がりとは言えるものの、どこかで観たようなシーン、役柄、展開が気になる。
「カッコーの巣の上で」(1975),「ショーシャンクの空に」(1994)、「グッド・ウィル・ハンティング」(1997)などを掛け合わせた内容、そして、主人公を演ずるアンソニー・ホプキンスが「ザ・ロック」(1996)のショーン・コネリーに見えて仕方なかったのは私だけではなかったはずだ。
故に新鮮味に欠けている展開なのだが、視点を変えて、実力派スターの演技のぶつかり合いを単純に楽しむことをお勧めしたい。
製作費に5500万ドルかけた作品だが、北米興行収入は約3400万ドルに終わった。
ゴリラの生態を調査し同化し、野獣のような序盤から、若手医師との出会いで人間性を取り戻した後、原題でもある”Instinct”本能に従い行動する主人公を重厚に演ずるアンソニー・ホプキンスの演技は、観る者に訴えるものがある。
エリート医師として、出世欲から興味本位で主人公に接するものの、その体験で人生を見つめ直すことになるキューバ・グッディングJr.、彼に主人公の鑑定を任せる大学教授ドナルド・サザーランド、主人公の娘モーラ・ティアニー、刑務所の精神科医ジョージ・ズンザ、所長ジョン・アイルワード、看守長ジョン・アシュトン、看守レックス・リン、患者トレーシー・エリスなどが共演している。