フォーク・シンガーのデイヴ・ヴァン・ロンクの自伝を基に製作された作品。 問題を抱えながらその日暮らしをするフォーク・シンガーの1週間を描く、製作、監督、脚本、編集コーエン兄弟、主演オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン、ギャレット・ヘドランド、ジャスティン・ティンバーレイク、F・マーリー・エイブラハム他共演のコメディ・ドラマ。 |
・コーエン兄弟 / Joel Coen, Ethan Coen 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
製作
スコット・ルーディン
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
製作総指揮
オリヴィエ・クールソン
ロバート・グラフ
脚本
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
撮影:ブリュノ・デルボネル
編集:ロデリック・ジェインズ
出演
ルーウィン・デイヴィス:オスカー・アイザック
ジーン・バーキー:キャリー・マリガン
ローランド・ターナー:ジョン・グッドマン
ジョニー・ファイヴ:ギャレット・ヘドランド
ジム・バーキー:ジャスティン・ティンバーレイク
バド・グロスマン:F・マーリー・エイブラハム
トロイ・ネルソン:スターク・サンズ
ジョイ:ジーニーン・セラルズ
アル・コーディ:アダム・ドライバー
ミッチ・ゴーフェイン:イーサン・フィリップス
マーティ・グリーン:アレックス・カルボウスキー
パッピ・コルシカート:マックス・カセラ
マイク・ティムリン:クリス・エルドリッジ
ボブ・ディラン:ベンジャミン・パイク
アメリカ/フランス 映画
配給 CBS Films
2013年製作 105分
公開
フランス:2013年11月6日
北米:2013年12月6日
日本:2014年5月30日
製作費 $11,000,000
北米興行収入 $13,214,260
世界 $32,935,320
■ アカデミー賞 ■
第86回アカデミー賞
・ノミネート
撮影・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1961年、ニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジ、”ガスライト・カフェ”。
シンガー・ソングライターのルーウィン・デイヴィス(オスカー・アイザック)は、ステージで歌い終わる。
オーナーのパッピ・コルシカート(マックス・カセラ)に呼ばれたルーウィンは、外で男が待っていると言われる。
客席からヤジを飛ばしたことで男に攻められたルーウィンは殴られる。
__________
知人のミッチ・ゴーフェイン教授(イーサン・フィリップス)の家に泊めてもらったルーウィンは、目覚める。
お礼のメモを残し部屋を出たルーウィンは、飼い猫が逃げ出してしまったために焦り、入り口のドアが閉まってしまう。 仕方なく猫を抱いてアパートを出たルーウィンは、ゴーフェインに電話をするものの授業中で、猫を預かっているという伝言を残す。 人目を気にしながら地下鉄に乗り、同じミュージシャンのジーン・バーキー(キャリー・マリガン)のアパートに向い、非常階段の窓から部屋に入ったルーウィンは、猫を置いてレコード会社のメルに会う。 音楽パートナーで自殺したマイク・ティムリン(クリス・エルドリッジ)と出した曲”インサイド・ルーウィン・デイヴィス”も売れず、印税も払ってもらえないルーウィンは、ジーンの部屋に戻る。 その場にいた陸軍兵士でもあるミュージシャンのトロイ・ネルソン(スターク・サンズ)が泊まると言われたルーウィンは、妊娠したことをジーンから知らされて驚く。 その夜、ガスライト・カフェでトロイの歌を聴いていたルーウィンは、ジーンが席を離れる間に、彼女の夫ジム(ジャスティン・ティンバーレイク)に、ある女が妊娠したため金を貸してほしいと頼む。 トロイに紹介されたジムとジーンは、ステージに上がり歌う。 翌朝、部隊に戻るトロイは、除隊後に、シカゴの”ゲイト・オブ・ホーン”のマネージャー、バド・グロスマン(F・マーリー・エイブラハム)に認められたため、会うことになっているとルーウィンに伝えてその場を去る。 猫が窓から逃げてしまい、焦ったルーウィンは捜しに行くものの見つからない。 ジーンを誘い外出したルーウィンは妊娠のことを話し、ジムの子なら産みたいが、父親が不明では堕ろすしかないと彼女に言われる。 愚痴を言われたルーウィンは、共同責任も認めないジーンに、猫が逃げたために非常階段の窓を開けておいてほしいと伝える。 姉ジョイ(ジーニーン・セラルズ)に会いに行ったルーウィンは、その後、レコーディングの話を聞き”コロムビア・レコード”に向かう。 ジムやアル・コーディ(アダム・ドライバー)が待つスタジオ入りしたルーウィンは、レコーディングを終え、ギャラの小切手を現金化するためにメルの許可がいると言われ、彼のオフィスに向かう。 メルがいなかったためにアルのアパートを訪ねたルーウィンは、ジーンの部屋に荷物を取りに行く。 入れてもらえなかったルーウィンはカフェで待ち、荷物を持ってきたジーンと話し、中絶の話から言い争いになる。 通りにいた猫を見かけたルーウィンは、店を出てネコを捕えてカフェに戻る。 負け犬だと言われたルーウィンはジーンと別れ、アルのアパートに戻りシカゴ行きを勧められる。 医師の元に向かったルーウィンは、堕胎手術の予定を決めて金を払おうとする。 ところが医師は無料でいいと言って、以前の相手が手術をせずに産んだために、その分で補うとルーウィンに伝える。 相手に出産するための医師を紹介したと言われたルーウィンは、子供が2歳くらいだろうと確認し、返金したくても連絡先や住所が分からなかったことを知らされる。 ゴーフェインに猫を返したルーウィンは、食事をしていくようにと言われる。 食事後に歌ってほしいと言われたルーウィンは、ゴーフェインの妻が共に歌ったために気分を害す。 プロがこんな場所で歌えるかとルーウィンから言われた妻は取り乱し、猫が違うことに気づく。 その後ルーウィンは、二人のミュージシャン、ジョニー・ファイヴ(ギャレット・ヘドランド)とジャズ・ミュージシャンのローランド・ターナー(ジョン・グッドマン)と共に車でシカゴに向かう。 不愛想なジョニーとつまらない話をするローランドにうんざりするルーウィンは、不愉快になる。 ガソリンスタンドに寄る度にトイレに行くローランドが、レストランのトイレで気を失ったために驚いたルーウィンだったが、ジョニーは慌てずに彼を車に乗せて先を急ぐ。 街道で車を止めて休んでいたジョニーは、警官に声をかけられてパトカーに乗せられ連行されてしまう。 鍵がなかったために、車を降りたルーウィンは、ローランドと猫をその場に残してヒッチハイクでシカゴに向かう。 ”ゲイト・オブ・ホーン”に着いたルーウィンはグロスマンを待ち、現れた彼に出演させてほしいと頼む。 曲を聴かせることになったルーウィンは、”インサイド・ルーウィン・デイヴィス”を歌う。 下手ではないがソロではだめだと言われたルーウィンは、トリオを組むようにとグロスマンに言われたため、パートナーがいたことを話す。 寄りを戻すことだと助言されたルーウィンは、グロスマンに礼を言ってその場を去る。 ヒッチハイクをして、ドライバーにニューヨークに行きたいことを伝えたルーウィンは、眠りたいと言うドライバーに代わって運転する。 眠気を我慢しながら街道で飛び出した猫に気づき急ブレーキを踏んだルーウィンは、バンパーの血を確認するものの、そのまま走り去る。 ニューヨークに戻りジョイの家に泊まったルーウィンは、商船隊の船に乗る登録をして、施設にいる父に会い好きだった歌を聴かせる。 ルーウィンに非難されたジョイは、捨てろと言われたから捨てたと伝えて苛立ち、彼を追い出す。 ジーンのアパートに向かったルーウィンは疲れ果てたと話しながら、彼女に励まされるものの歌はやめて船に乗ることを伝える。 航海士免許の再発行に金が要ると言われたルーウィンは、登録を取り消そうとするものの返金してもらえない。 ガスライト・カフェに向かったルーウィンは、パッピがジーンと寝たことを知り、出演者の初老の女性をヤジり騒ぎを起こして追い出される。 ゴーフェインの家を訪ねたルーウィンは、先日の件で妻から謝罪され、猫が戻って来たことを知らされる。 その場に泊めてもらったルーウィンは、翌朝、猫が逃げないようにして部屋を出る。 映画館の前でディズニー映画の”三匹荒野を行く”のポスターが目に留まったルーウィンは、犬2匹と猫1匹が300キロもの旅をした奇跡の実話であることを知る。 ガスライト・カフェで歌ったルーウィンは、ステージを下りてパッピに呼ばれ、騒ぎを起こしたことを謝罪し、気にしていないと言われる。 外に男が来ていると言われたルーウィンは、ステージで歌い始めたボブ・ディラン(ベンジャミン・パイク)を気にしながら裏口に向かう。 昨夜、客席からヤジを飛ばしたことを男から責められ、殴られて痛めつけられたルーウィンは、妻が出演していたと言われる。 タクシーを拾い去っていく男を見つめるルーウィンは呟く”au revoir/さよなら”。
...全てを見る(結末あり)
ジョイの家に戻ったルーウィンは、荷物を捨てたと言われ、その中に航海士の免許が入っていたために焦る。
*(簡略ストー リー)
1961年、ニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジ。
知人の家で寝泊まりする、その日暮らしのフォーク・シンガー、ルーウィン・デイヴィスは、ゴーフェイン教授の飼い猫を外に出したままアパートを出てしまう。
仕方なく猫と共に行動することになったルーウィンは、ミュージシャン仲間のジーンのアパートに向い、彼女から妊娠したことを知らされる。
自分がその相手だろうということで対処することになったルーウィンは、自殺したパートナーと出した曲”インサイド・ルーウィン・デイヴィス”も売れないまま、今後に不安を抱く。
そんなルーウィンは、猫が逃げてしまったために焦り、それを何とか見つけるものの、ゴーフェイン教授の妻には違う猫だと言われてしまう。
全てがうまくいかないルーウィンは、チャンスを見つけるためにシカゴに向かう決心をするするのだが・・・。
__________
フォーク・シンガーのデイヴ・ヴァン・ロンクの自伝を基に、1961年のニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジを舞台にした、その日暮らしの売れないフォーク・シンガーの1週間を描いたコメディ・ドラマ。
成り行きで猫と行動を共にすることになったシンガーのロードムービーのような宣伝をされたが、全く内容は違う。
全てが空回りして事がうまく運ばない男のしがない人生をしみじみと描く、ヒューマンドラマ・タッチのコメディであり、コーエン兄弟の作品らしい、世の中の不条理の一端が描かれているとも言える。
アーティストが避けて通れない厳しい現実、可笑しくもあり、またもの悲しい男の心情を切実に描く、コーエン兄弟の繊細な人間描写に注目したい。
第86回アカデミー賞では、撮影、録音賞にノミネートされた。
また、第66回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを獲得し、第71回ゴールデングローブ賞では、作品、主演男優、(ミュージカル・コメディ部門)、主題歌賞にノミネートされた。
各方面で絶賛された主演のオスカー・アイザックは、全てがうまくいかないシンガー・ソングライターを、キャリア最高と言える演技で見事に演じている。
主人公のミュージシャン仲間のキャリー・マリガン、同じくその夫のジャスティン・ティンバーレイク、主人公とシカゴへの旅をするジャズ・ミュージシャンのジョン・グッドマンとギャレット・ヘドランド、シカゴの”ゲイト・オブ・ホーン”のマネージャー、F・マーリー・エイブラハム、ミュージシャンのスターク・サンズ、アダム・ドライバー、主人公が世話になる大学教授のイーサン・フィリップス、その友人アレックス・カルボウスキー、ライブ・ハウスのオーナー、マックス・カセラ、主人公の姉ジーニーン・セラルズ、主人公の音楽パートナー、クリス・エルドリッジ、ボブ・ディランのベンジャミン・パイクなどが共演している。