人の潜在意識に侵入して情報を入手する企業スパイに課せられた会社解体の使命を描く、製作、監督、脚本クリストファー・ノーラン、主演レオナルド・ディカプリオ、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、トム・ハーディ、渡辺謙、キリアン・マーフィー、トム・ベレンジャー、ピート・ポスルスウェイト、ルーカス・ハース、マイケル・ケイン他共演によるSF犯罪サスペンス・アクションの超大作。 |
・レオナルド・ディカプリオ / Leonardo DiCaprio 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:クリストファー・ノーラン
製作総指揮
クリス・ブリガム
トーマス・タル
製作
エマ・トーマス
クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
撮影:ウォーリー・フィスター
編集:リー・スミス
美術・装置
ガイ・ヘンドリックス・ディアス
ラリー・ディアス
ダグラス・モワット
音楽:ハンス・ジマー
出演
ドミニク”ドム”コブ:レオナルド・ディカプリオ
アーサー:ジョゼフ・ゴードン=レヴィット
マローリー”モル”コブ:マリオン・コティヤール
アリアドネ:エレン・ペイジ
イームス:トム・ハーディ
サイトー:渡辺謙
ユスフ:ディリープ・ラオ
ロバート・フィッシャー:キリアン・マーフィー
ピーター・ブラウニング:トム・ベレンジャー
モーリス・フィッシャー:ピート・ポスルスウェイト
ナッシュ:ルーカス・ハース
ステファン・マイルス教授:マイケル・ケイン
ブロンドの女:タルラ・ライリー
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
2010年製作 148分
公開
北米:2010年7月16日
日本:2010年7月23日
製作費 $200,000,000
北米興行収入 $292,576,200
世界 $825,532,760
■ アカデミー賞 ■
第83回アカデミー賞
・受賞
撮影・音響編集・音響・視覚効果賞
・ノミネート
作品・脚本・作曲・美術賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
浜辺に打ち上げられたドミニク”ドム”コブ(レオナルド・ディカプリオ)は、武装した男達によって老人(渡辺謙)の元に連れて行かれる。
コブは拳銃とコマ型の”トーテム”を所有していたが、老人は自分を殺しに来たのかを尋ねる。
老人は、そのトーテムを手に取り、遠い昔、夢で見た男が持っていたことを語り始める。
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人が寝ている間に夢(潜在意識)に侵入し、秘密など情報を入手する企業スパイのコブは、相棒のアーサー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)と共に、世界企業のオーナー、サイトー(渡辺謙)に面会していた。
コブは、最愛の妻マローリー”モル”(マリオン・コティヤール)とも、”夢”を体験することを繰り返していた。 そんなコブは、二人の幼い子供をアメリカの家に残し、逃亡生活を送っていた。 サイトーはアイデアが盗めるのなら、”インセプション”(植え付け)も可能ではないかとコブに尋ねる。 そして、モーリス・フィッシャー(ピート・ポスルスウェイト)率いる、ライバル企業を解体しようとする計画を聞かされる。 病に伏すフィッシャーだったが、その息子で後継者のロバート(キリアン・マーフィー)の潜在意識に、”会社を解体させる”という”インセプション”することを、サイトーはコブに依頼する。 コブは、犯罪歴を抹消して、アメリカに帰れることを条件にそれを引き受け、早速、アーサー以外のメンバー選びを始める。 パリに飛んだコブは、義父の大学教授ステファン・マイルス(マイケル・ケイン)に、夢の世界を構築する”設計士”として大学院生アリアドネ(エレン・ペイジ)を紹介される。 コブは、アリアドネにテストと実習を兼ねた体験をさせて、その才能に満足する。 その後コブは、他人に姿を変えられる”偽装師”イームス(トム・ハーディ)、安定した夢の世界を提供するための鎮静剤を作る”調合師”ユスフ(ディリープ・ラオ)らを仲間に引き入れる。 イームスは、フィッシャーの側近で、ロバートの名付け親でもあるピーター・ブラウニング(トム・ベレンジャー)に扮し、彼を利用することを考える。 やがて、フィッシャーが亡くなり、サイトーを加えた6人は、シドニーからロサンゼルスに向う。 そして、コブ達は旅客機のファーストクラスに乗り込み、同じく搭乗していたロバートに接触して”鎮静剤”を飲ませ、彼の夢の世界に入り計画は実行される。 計画では、3段階のレベル(階層)の夢を進み”インセプション”を行うのだが、レベルが深くなるに連れて、夢の中の進行時間は遅くなる。 ● レベル1 雨の降るダウンタウン、コブ達チームのメンバーはタクシーに乗ろうとしたロバートを誘拐する。 しかし、ロバートは既に潜在意識の中での防御策をとっていたため、コブ達はその守備隊から反撃を受ける。 あらゆる場所から現れる敵の妨害や銃弾を浴び、サイトーが胸に銃弾を受けてしまう。 夢から覚めるには、その中で落下する”キック”と呼ばれる方法か死ぬことだった。 しかし、ユスフの薬により深い夢の中で死ぬと、現実の肉体は”limbo”(リンボ/辺獄/天国と地獄の中間)で、潜在意識の中に閉じ込められてしまう可能性があった。 その後、チームはロバートを監禁し、父フィッシャーの遺書が入っている金庫の暗証番号を聞き出そうとする。 イームスがブラウニングに扮して現れ、フィッシャーが会社を解体する意思のあったことをロバートに伝える。 アリアドネは、コブがモルや子供達に会うために、仲間達を自分の夢に巻き込んでいると指摘する。 コブは、最愛の妻モルと”夢”を体験していたのだが、夢と現実の区別がつかなくなった彼女が、自殺したことをアリアドネに話す。 その結果、コブにモル殺害の疑いがかけられてしまい、仕方なく子供達と別れて逃亡生活を送り、それ以来彼は、帰国することばかりを考えていたのだった。 アリアドネは、苦悩するコブに、今回の仕事を終わらせたら、自分を許しモルと向き合うべきだと彼を励ます。 敵が近づき、暗証番号を知らないロバートを連れ、コブ達はその場を脱出する。 バンを運転するユスフ以外のメンバーは、ロバートと共にレベル2に進むために眠りにつく。 ● レベル2 コブは、ホテルのバーでロバートに近づき、これが夢であることを彼に伝える。 さらにコブは、潜在意識に侵入した者達からロバート救うため、指示に従うようにと説得する。 ある部屋でコブは、ロバートの夢に侵入して、コントロールしようとしていることを彼に伝える。 そこにブロウニング(ロバートの投影)が現れ、”自分で何かを成し遂げろ”というのが、フィッシャーの遺言だったことを知らせ、会社の解体はさせないと語る。 ロバートは、やはり父は自分を恥じていたと思い失望する。 コブは、ブロウニングの真意を探ろうと、ロバートのレベル3の夢の中に入り込もうとする。 部屋では守備隊に対抗するアーサーだけを残し、メンバーとロバートを眠らせレベル3に向かわせる。 ● レベル3 雪山の巨大な要塞を目指した一行の中で、コブは、死に際のフィッシャーの遺言の意味がそこにあることをロバート伝える。 父フィッシャーが、”失望した”と言い遺して逝ったと考えていたロバートはそれを確かめようと要塞に向かう。 レベル1では、守備隊に襲われたユスフは、橋の上から車を落下させ”キック”を実行する。 コブの指示を受けたアーサーは、レベル2が無重力の状態で”キック”を実行しようとする。 守備隊の抵抗を受けながら、ロバートは要塞に侵入するが、コブの妻モルが現れて彼に銃を向ける。 コブは銃を構えためらうが、アリアドネはモルが本物でないことを伝える。 次の瞬間、モルはロバートを、コブは彼女を銃撃して現場に向い、チームは計画の失敗を余儀なくされる。 しかし、一旦レベル4に向かい時間を稼ぎ、ロバートを救うことをアリアドネが考え、イームスと吐血するサイトーを残し、コブと彼女は眠りにつく。 ● レベル4 コブとアリアドネは、彼の作り出した潜在意識の世界にたどり着く。 レベル2では、アーサーがメンバーを束ね、エレベーターに押し込みワイヤーを切って落下させ”キック”を実行する。 その後、モルに再会したコブは、アリアドネの前で彼女と語り始める。 50年もの間過ごした街から、モルが現実に戻ることを拒み始め、彼女は、現実と夢の区別をつける”トーテム”(コマ)を金庫に入れてしまう。 そして、コブはモルの潜在意識に、”現実に戻る”という”インセプション”を試した。 しかし、モルは現実に戻ってもそれを受け止めることが出来ずに、”現実”に戻ろうとして、結婚記念日にコブの目の前でホテルの窓から身を投げてしまった。 アリアドネが、その場のベランダにいたロバートの生存を確認し、レベル3では、目覚めたロバートが、臨終を迎えようとしている父フィッシャーの部屋に入ろうとする。 フィッシャーは、”失望したのは、自分の真似をしてばかりいることに対してで、自分の道を切り開け”とロバートに語る。 金庫を開けたロバートは、自分の作った紙の風車を、父が大切に保管していたことで、父の愛を知り涙する。 その瞬間、イームスが要塞を爆破し、レベル2のアーサー、そしてレベル1のバンの落下が”キック”を完了し、チームのメンバーは現実に戻ろうとする。 レベル4のコブは、アリアドネに”キック”するよう命じ、罪悪感を背負いながら、彼は夢の世界でモルと暮らし続けた日々に終止符を打とうとする。 レベル2で、唯一人、水中のバンに取り残されたコブは浜辺に打ち上げられ、潜在意識の中で生き続けていた、年老いたサイトーに、現実に戻ろうと語りかける。 チームのメンバーは機内で目覚め、彼らと父の真意を知ったロバートは安堵の表情を浮かべる。 ロサンゼルスに着いたコブは、問題なく入国を済ませ、空港に迎えに来た義父マイルスと共に自宅に戻る。 テーブルの上でトーテム(コマ)を回したコブは、愛する子供達と、ようやく顔を合わすことができる。 そして、テーブルの上のトーテムは回り続け、やがて止まりかける・・・。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
人の夢(潜在意識)に侵入し、情報を入手する企業スパイのドミニク・コブは、夢と現実の区別がつかなくなり、自殺した妻の殺害の疑いをかけられていた。
世界企業の経営者サイトーは、ライバル企業を潰すために、オーナーの息子ロバート・フィッシャーの潜在意識に、”会社解体”の”インセプション”(植えつけ)をすることをコブに依頼する。
残された子供達に会うことだけを考えてきたコブは、犯罪履歴抹消を条件に、それを引き受ける。
コブは、相棒のアーサーらと共に、ロバートに接触して彼の夢に入り込むのだが、彼の潜在意識の中には、既に防衛体制が整っていた・・・。
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一度見て全てを理解するのは不可能に近いのだが、綿密に練られたストーリー展開、そして斬新で迫力ある脅威の映像、スパイ映画の持つスリルとその雰囲気も十分に楽しめる作品。
何度か劇場に足を運ばせ、内容を理解させようとする、製作者の意図が見え隠れしないでもないが、実際に機会さえあれば、自分も再確認したくなったのも事実だ。
既に何度も鑑賞している方々も多いようなのだが、筋立てはそれほど複雑ではないが、夢の階層を行き来する巧みな場面展開は、解り辛いと感じてしまう人もいたようで、上映時間の長さ(約2時間半)に耐え切れず、自分が劇場に足を運んだ際も、何人もの人々が席を立っていた。
第83回アカデミー賞では、撮影、音響編集、音響、視覚効果賞を授賞した。
・ノミネート
作品・脚本・作曲・美術賞
製作費2億ドルをかけた超大作で、北米興行収入だけで約2億9300万ドル、全世界では8億2600万ドルを超す大ヒットを記録した。
クリストファー・ノーラン作品に単純を求めるのはタブーで、彼の卓越した感性と映像センスなどを、こちらから理解しようとしなければ、捉え方が全く変わってしまう作品でもある。
ターゲットの夢の中に侵入してからの、目まぐるしく入れ替わるリー・スミス編集も見事で、スケールの大きなウォーリー・フィスターの撮影や、ハンス・ジマーのダイナミックな音楽も、素晴らしい効果を上げている。
日本人の目から見ているからかもしれないが、渡辺謙だけが浮いている感じがする。
いかにも”演技してます”という表情や台詞回しが気になってならない。
一方、チームの若いメンバーの、頼もしい活躍や個性は、実にバランスよく描かれている。
体型的に、年齢よりも貫禄が出たいた、とにかく表情がいい雰囲気もあるレオナルド・ディカプリオは、妻への潜在的な罪悪感を抱きつつ任務をこなす企業スパイを、渋みすら感ずる演技で熱演している。
その相棒で、チームの中心的な働きをするジョゼフ・ゴードン=レヴィット、主人公の潜在意識の中で生き続ける妻マリオン・コティヤール、夢の世界での”設計士”エレン・ペイジ、小柄ではあるが、他人に姿を変えるタフガイでもある”偽装師”トム・ハーディ、世界的企業家の渡辺謙、安定した夢を見る鎮静剤の”調合師”ディリープ・ラオ、チームのターゲットとなるキリアン・マーフィー、メジャー作品で久しぶりに存在感を見せる企業幹部のトム・ベレンジャー、ターゲットの企業オーナー、ピート・ポスルスウェイト、”設計士”のルーカス・ハース、そして主人公の義父で子供達の後見人となっていた大学教授マイケル・ケインなどが共演している。