偉大なる作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの遺言状に残された”不滅の恋人”の謎を描く、監督、脚本バーナード・ローズ、主演ゲイリー・オールドマン、ジェローン・クラッベ、イザベラ・ロッセリーニ、ヨハンナ・テア・ステーゲ、ヴァレリア・ゴリノ他共演のドラマ。 |
・ドラマ
・ゲイリー・オールドマン / Gary Oldman / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:バーナード・ローズ
製作:ブルース・デイヴィ
製作総指揮:スティーブン・マクヴィーティ
脚本:バーナード・ローズ
撮影:ピーター・サシツキー
編集:ダン・レイ
音楽
ジョージ・フェントン
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
ジョアキーノ・ロッシーニ
出演
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:ゲイリー・オールドマン
アントン・フェーリクス・シンドラー:ジェローン・クラッベ
アンナ=マリー・エアデーディ伯爵夫人:イザベラ・ロッセリーニ
ヨハンナ・ライス:ヨハンナ・テア・ステーゲ
カスパール・ヴァン・ベートーヴェン:クリストファー・フルフォード
カール・ヴァン・ベートーヴェン:マルコ・ホーフシュナイダー
ニコラウス・ヨハン・ヴァン・ベートーヴェン:ジェラルド・ホーラン
ナネッテ・シュトライヒャー:ミリアム・マーゴリーズ
クレメンス・メッテルニヒ:バリー・ハンフリーズ
ジュリエッタ・グイチアルディ:ヴァレリア・ゴリノ
カール・ホルツ:ドナル・ギブソン
イギリス/アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1994年製作 121分
公開
イギリス:年月日
北米:1994年12月16日
日本:1995年12月1日
北米興行収入 $9,914,400
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1827年3月26日、ウィーン。
偉大な作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(ゲイリー・オールドマン)が世を去る。
ベートーヴェンの秘書であった音楽家のアントン・フェーリクス・シンドラー(ジェローン・クラッベ)は、葬儀で、ベートーヴェンの偉大な功績を語る。
葬儀が終わり、兄ルートヴィヒの遺言状を見せて遺産の正当な受取人を主張するニコラウス・ヨハン(ジェラルド・ホーラン)は、シンドラーが見つけたベートーヴェンの最後の遺言状を見せられる。
それには、”全ての楽譜と財産を、ただ一人の不滅の恋人に捧げる”とだけあり、名前は記されていなかった。
諦めたニコラウス・ヨハンは、兄の恥をさらすことを嫌い、手紙を破るようにとシンドラーに伝えるが、それを拒まれる。
代理人としてベートーヴェンの遺志を全すると言うシンドラーは、その場を去る。 カールスバート、スワン・ホテル。 大変な損害を受けたと言うナネッテは、ベートーヴェンに部屋をめちゃくちゃにされたことをシンドラーに伝える。 ナネッテに金を渡したシンドラーは、彼女からその話を聞く。 ある婦人が到着してベートーヴェンを待つために部屋に向かい、その後手紙が届き、名前を確認するためにナネッテはその手紙を読む。 ”私の天使、私の全て、私の分身・・・” ナネッテはそれを婦人の部屋に届け、その手紙が原因だと思われるが、婦人はホテルを発った。 その後、到着したベートーヴェンは婦人が発ったことを知り激怒し、部屋を壊した椅子を窓から放り投げたために、ナネッテは警察を呼んだ。 婦人の宿帳のサインを確認したシンドラーとナネッテだったが、二人はそれを読むことができなかった。 ウィーン、ガレンベルク邸。 ベートーヴェンを愛していたと言うジュリエッタは、彼のことを話し始める。 二人のいとこがベートーヴェンと親密な関係だと知ったジュリエッタも、彼に惹かれてしまう。 ベートーヴェンが来るという演奏会に招かれたジュリエッタは、胸をときめかせてその場に向かう。 その演奏を聴き感動のあまり気を失いかけたジュリエッタは、演奏をバカにする男性がベートーヴェンであることに気づかない。 ピアノを教えるために明朝、訪ねると言う男性を、ジュリエッタは相手にしない。 翌朝、約束通り現れた男性を迷惑に思ったジュリエッタだったが、彼がベートーヴェンだということを父から知らされて驚く。 その後、毎日ベートーヴェンのレッスンを受けるようになったジュリエッタは、彼と親密な関係になる。 音楽家であるガレンベルク伯爵から、結婚の申し込みがあったことを父から知らされたジュリエッタは不満に思い、ベートーヴェンからも申し込まれたと言われたために、即、承諾をしてほしいと伝える。 自分達は裕福ではなく、地位も富も定職もない性格も悪いベートーヴェンとは幸せになれないと父に言われたジュリエッタは、彼は天才だと反論する。 演奏も作曲もせず病気ではないかという噂もあるベートーヴェンが、演奏するのを確認すれば考え直すと父から言われたジュリエッタは、それで納得する。 ロンドンから取り寄せた最高級のピアノが届いたことをベートーヴェンに知らせたジュリエッタは、留守の間に試してほしいと手紙で伝える。 部屋の奥に隠れて、父と共にベートーヴェンが演奏する様子を見ていたジュリエッタは、ピアノに耳を当てながら演奏する彼に、気づかれないようにして近づく。 忍び寄るジュリエッタに肩を触れられたベートーヴェンは驚き、激怒してその場を去る。 取り乱しながらベートーヴェンを追うジュリエッタは、父から、彼は耳が聴こえないのだと言われる。 話を終えたジュリエッタは、翌月、ガレンベルク伯爵と結婚したことをシンドラーに伝える。 シンドラーは、その後はベートーヴェンから手紙がきたとだけ、ジュリエッタから知らされる。 耳が聴こえないことを人に伝えたい気持ちはあったベートーヴェンだったが、自分を憎む者達にそれを知られたくなかった。 ニコラウス・ヨハンはシンドラーの行動を批判して協力を拒み、ベートーヴェンの使い走りのような存在だった兄カスパール(クリストファー・フルフォード)を奪った女ヨハンナ・ライス(ヨハンナ・テア・ステーゲ)の話をする。 カスパールと結婚を決意したヨハンナを侮辱したベートーヴェンは、弟の幸せを妬んでいた。 警官を連れてヨハンナの元に向かい逮捕させようとしたベートーヴェンは、カスパールから、既に結婚して彼女は身ごもっていると言われる。 自分が結婚した時も同じだったとシンドラーに伝えたニコラウス・ヨハンは、女を捜すのはやめるようにと伝える。 それを拒むシンドラーは、女性を見つけて法に従いベートーヴェンの遺産を相続させる考えを変えない。 ハンガリー、エルデーディ家の領地。 離婚して三人の子供を育てる身だったアンナ=マリーは、演奏会で失態を演じたために笑われるベートーヴェンを気遣う。 耳が聴こえないことを人々に知られてしまい気を落とすベートーヴェンは、優しく接してくれるアンナ=マリーに感謝する。 ベートーヴェンとアンナ=マリーは、ナポレオンを解放者であり革命の旗手と信じた。 しかしナポレオンは、自らを皇帝と称し世界征服を目指し、国を王制から解放したと言うものの、わが子さえもおとしめる魔王だった。 ナポレオンの砲火はウィーンを襲い、アンナ=マリーは息子を失う。 失意のアンナ=マリーは、訪ねて来たベートーヴェンから、音楽で訴えたいと言われて楽譜を受け取る。 ベートーヴェンはアンナ=マリーに心を開き、二人は、人生で最も幸せな時を過ごす。 シンドラーは、秘書としてベートーヴェンの雑務を処理していた頃のことをアンナ=マリーに話し始める。 シンドラーと共にカスパールの元に向かい、預けてある楽譜を受け取ろうとしたベートーヴェンは、全て返したと言われたためにそれを捜す。 楽譜を売り売女ヨハンナと結婚したと言ってカスパールを罵るベートーヴェンは、彼に襲い掛かる。 肺病のカスパールは吐血し、ヨハンナはベートーヴェンを追い払う。 カスパールは他界し、ベートーヴェンが甥ののカールの後見人となり、ヨハンナは息子から引き離される。 ベートーヴェンはカールを可愛がるが、アンナ=マリーは、その溺愛ぶりが気になる。 アンナ=マリーは、作曲もしないベートーヴェンに、ヨハンナが気の毒だと伝えるが、激怒する彼は意見を聞こうとしない。 その後、ベートーヴェンとヨハンナは法廷で争うことになり、証言したカールは、耳が不自由な伯父のために一緒に暮らしたいと伝える。 母親に会えないのは寂しいと言うカールは、望むのは、皆が一緒に暮らすことだと話す。 宰相のクレメンス・メッテルニヒ(バリー・ハンフリーズ)に会ったベートーヴェンは、法廷の件で協力を求めるが、メッテルニヒから、自分を批判する言動などを指摘される。 しかし、ベートーヴェンから”オラトリオ”を献呈すると言われたメッテルニヒは納得し、法廷では、ヨハンナに養育権が認められない判決が下る。 その後カールに全てを捧げたベートーヴェンは、5年間も作曲もせず、”彼は終わった”と言われた。 やがて、成長したカール(マルコ・ホーフシュナイダー)もベートーヴェンの期待がプレッシャーとなり嫌気がさし、彼を見限ろうとする。 しかしカールは、病気のベートーヴェンを見捨てることはできなかった。 ベートーヴェンが演奏会を開催してくれることをカールから知らされたシンドラーは、才能がないにも拘らず無理矢理音楽家にさせられることを喜ばない彼から、伯父が正気を失っていると言われる。 カールへの期待は拷問に近いと言って意見したシンドラーは、ベートーヴェンに追い払われる。 悩み苦しんだ末に銃を手に入れたカールは、酔って屋敷から出て行く。 シンドラーの家に向かったベートーヴェンは、カールが去ったことを伝えて彼を責める。 自殺を図るものの失敗したカールは、農民に見つけられてヨハンナに介抱される。 シンドラーを伴いカールを捜していたベートーヴェンは、二度と自分の前に現れるなとカールから言われて絶望する。 この女性を捜さなければならないと言うシンドラーは、ベートーヴェンが彼女に全財産を残したとアンナ=マリーに伝えて、遺言状を見せる。 自分ではないと伝えたアンナ=マリーは、それでは誰なのかと訊かれ、自分とベートーヴェンの間に存在した人だと答える。 ベートーヴェンを苦しめてしまったと言って後悔するシンドラーは、せめて遺言通りのことはしてあげたいとアンナ=マリーに伝えて、女性の名を聞き立ち去る。 ヨハンナの元に向かったシンドラーは、彼女の筆跡を見せてもらい、カールスバートのホテルの宿帳にサインした人物だと確信する。 ベートーヴェンが自分を苦しめていたことを知っているはずだと言うヨハンナだったが、彼とは和解したとシンドラーに伝える。 最後の交響曲”第9番”の演奏会に向かったヨハンナは、あれほど憎んでいたベートーヴェンを許す気になった。 心の奥の秘密をぶつけた、あれほどの曲を作曲できる人物を憎むことができなくなったヨハンナは、病床のベートーヴェンの元に向かう。 ニコラウス・ヨハンから、なぜか自分を呼べとベートーヴェンから言われたことを知らされたヨハンナは、曲を書いているベートーヴェンに会う。 カールの後見人の権利を放棄して実母に戻すという書類にサインしたベートーヴェンは、ヨハンナにそれを渡して、”こうあるべきかと?”楽譜に書いて彼女に問う。 ”そうあるべきよ”と書いて答たたヨハンナは、ベートーヴェンから、喜劇は終わったと言われその場を去る。 一度はベートーヴェンを愛したことを認めたヨハンナは、そして裏切られ見捨てられ、それきりだったと話し、本気ではなかった彼を信じた自分は愚かだったとシンドラーに伝える。 しかし、手紙があると言うシンドラーは、ベートーヴェンからの手紙をヨハンナに渡してその場を去る。 家を出たシンドラーは涙し、窓の奥で手紙を読むヨハンナの姿を見つめる。 手紙を読むヨハンナも涙し、ベートーヴェンと愛し合った日々を思い出す。 カスパールに知られないようにして、カールスバートでヨハンナと会う約束をしたベートーヴェンは、彼女から、お腹にあなたの子がいることを知らされる。 カールスバートに向かう途中、馬車で立ち往生して遅れたベートーヴェンは、そのことを知らせる手紙を送るものの、ヨハンナは、ナネッテが食事と共に運んできた手紙に気づかなかった。 ヨハンナは、ホテルを去ろうとして部屋を出る。
...全てを見る(結末あり)
女主人のナネッテ・シュトライヒャー(ミリアム・マーゴリーズ)と話したシンドラーは、ベートーヴェンを知っているかを尋ね、表情を曇らせる彼女の態度を気にする。
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ヴェンゼル・ロベルト・フォン・ガレンベルク伯爵の妻ジュリエッタ・グイチアルディ(ヴァレリア・ゴリノ)に会ったシンドラーは、他言しないことを条件に彼女から話を聞く。
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アンナ=マリー・エアデーディ伯爵夫人(イザベラ・ロッセリーニ)に会ったシンドラーは、ベートーヴェンの話を聞く。
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*(簡略ストー リー)
1827年3月26日、ウィーン。
偉大な作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが世を去る。
ベートーヴェンの秘書だった音楽家のシンドラーは、”全ての楽譜と財産を、ただ一人の不滅の恋人に捧げる”という遺言状を見つける。
その女性の名前が分からないまま、シンドラーは、ベートーヴェンの弟ニコラウス・ヨハンの反対を押し切り、故人の遺志を尊重して”不滅の恋人”を捜そうとするのだが・・・。
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偉大なる大作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、その遺言状に遺した”不滅の恋人”である女性への思いを描く、監督、脚本バーナード・ローズ、主演ゲイリー・オールドマンによるドラマ。
生涯を独身で通し、音楽家としては致命的な聴覚障害を抱えながら、その才能を世に知られるものの、傲慢で偏屈だったベートーヴェンの心の奥底に迫る重厚な物語に仕上がっている。
ベートーヴェンの壮絶な人生を描く人間ドラマとして見応えある内容に加え、”不滅の恋人”が誰なのかという謎解きのヒントが随所に隠され、ミステリーとしても楽しめる作品。
主演のゲイリー・オールドマンは、主人公であるベートーヴェンの心に秘めた苦悩を見事に演じ切っている。
ベートーヴェンの秘書であり、彼の死後、遺言状に従い”不滅の恋人”を捜す音楽家アントン・フェーリクス・シンドラーのジェローン・クラッベ、ベートーヴェンと関係を持ち”不滅の恋人”の秘密を知る伯爵夫人イザベラ・ロッセリーニ、ベートーヴェンの弟カスパール・ヴァン・ベートーヴェン(クリストファー・フルフォード)の妻であり、主人公から憎まれる関係でありながら実は”不滅の恋人”だったヨハンナ・ライスのヨハンナ・テア・ステーゲ、その息子であるベートーヴェンの甥カール・ヴァン・ベートーヴェンのマルコ・ホーフシュナイダー(本作ではベートーヴェンの息子ということにもなっている)、ベートーヴェンの弟ニコラウス・ヨハン・ヴァン・ベートーヴェンのジェラルド・ホーラン、ホテルの女主人ミリアム・マーゴリーズ、オーストリアの宰相クレメンス・メッテルニヒのバリー・ハンフリーズ、ベートーヴェンと関係を持つ伯爵夫人ジュリエッタ・グイチアルディのヴァレリア・ゴリノ、ヴァイオリニストであるカール・ホルツのドナル・ギブソンなどが共演している。