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奥様は魔女 I Married a Witch (1942)

1941年に発表された、ソーン・スミスとノーマン・H・マトソンによるファンタジー小説”The Passionate Witch”を基に製作された作品。
結婚を控える知事候補の祖先に火炙りにされた魔女親子が巻き起こす騒動を描く、製作、監督ルネ・クレール、主演フレドリック・マーチヴェロニカ・レイクロバート・ベンチリースーザン・ヘイワードセシル・ケラウェイ他共演のファンタジー・ロマンチック・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ロマンチック・コメディ


スタッフ キャスト ■
監督:ルネ・クレール

製作
ルネ・クレール

プレストン・スタージェス
製作総指揮:バディ・G・デシルヴァ
原作
ソーン・スミス

ノーマン・H・マトソン
”The Passionate Witch”
脚本
ロバート・ピロッシュ

マーク・コネリー
ダルトン・トランボ
撮影:テッド・テズラフ
編集:エダ・ウォレン
音楽:ロイ・ウェッブ

出演
ジョナサン/ナサニエル/サミュエル/ウォレス・ウーリー:フレドリック・マーチ

ジェニファー:ヴェロニカ・レイク
ダドリー・ホワイト:ロバート・ベンチリー
エステル・マスターソン:スーザン・ヘイワード
ダニエル:セシル・ケラウェイ
マーガレット:エリザベス・パターソン
J・B・マスターソン:ロバート・ワーウィック
タバサ・ウーリー:エイリー・マリオン

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ

1942年製作 77分
公開
北米:1942年10月30日
日本:1951年3月6日


アカデミー賞 ■
第15回アカデミー賞
・ノミネート
ドラマ音楽賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1670年代。
魔女裁判で火炙りにされたジェニファーと父親ダニエルを突き出したジョナサン・ウーリー(フレドリック・マーチ)は、彼女から子孫まで呪いをかけると言われたことを思い出し母タバサ(エイリー・マリオン)にそれを伝える。

1770年。
魔女の灰の上に植えられた樫の木は成長して大木となり、ジョナサンの子孫ナサニエル(フレドリック・マーチ)は、婚約者とその木陰で愛を語る。

1861年。
南北戦争が始まり、婚約者から逃げるためにサミュエル(フレドリック・マーチ)は軍に志願する。

1904年。
老人になったサミュエルは結婚する。
...全てを見る(結末あり)

1942年。
代々、口やかましい女性と結婚するのが運命だったウーリー家の跡取りである州知事候補のウォレスは(フレドリック・マーチ)は、新聞社社主J・B・マスターソン(ロバート・ワーウィック)の娘エステル(スーザン・ヘイワード)との結婚式を翌日に控えていた。

わがままなエステルに手を焼くウォレスは、支援者である友人の医師ダドリー・ホワイト(ロバート・ベンチリー)に紹介されてスピーチし、結婚と立候補についてを語る。

その頃、魔女の大木に雷が落ち、ダニエルとジェニファーが復活して煙に姿を変える。

270年ぶりに世の中を見るダニエルとジェニファーは驚き、ウーリー家の様子を窺う。

酒瓶に隠れた二人は近くにいたウォレスに見覚えがり、彼が自分達を火炙りにしたジョナサンの子孫であることに気づく。

ウォレスが不幸な顔をしているので、ジェニファーは自分の呪いが効いていると考える。

意地の悪そうな婚約者エステルも確認したジェニファーは、結婚相手との仲が最悪になる呪いをかけたことが成功していると言って喜ぶ。

男にとって最も不幸なのは、結婚できない女性に恋してしまうことだとダニエルに言われたジェニファーは、ウォレスが魔女の自分に恋をすれば面白いことになると考える。

瓶から出た二人はほうきに乗ってその場を去り、ジェニファーは体が欲しいとダニエルに伝える。

炎で焼かれた体は炎から生まれると言って、ダニエルはホテルに火を放ち、その場に向かうジェニファーと別れる。

付近を通りがかったウォレスは車を止めて火事の様子を見ていたが、建物の中から声がすることに気づく。

煙の中で自分を呼ぶ女性に近づいたウォレスは、服を着ていないと言う彼女にコートを着せて抱きかかえて避難する。

ある部屋で待機したウォレスは、ブロンドの美女ジェニファー(ヴェロニカ・レイク)に、2階が崩れて閉じ込められたことを知らせる。

全く動揺しないジェニファーを、何とか部屋から連れ出し建物の外に出たウォレスは、頭を打った彼女が異常であることをダドリーに知らせて診察を任せる。

病院に向かったウォレスは、エステルにジェニファーとのことを疑われる。

傷一つないジェニファーは、ショックで妄想を口にしているのだろうとダドリーから言われたウォレスは、不機嫌なエステルに尚も問い詰められながらその場を去る。

掃除婦が使っていたほうきはジェニファーの病室に向かう。

自宅に戻りエステルと別れたウォレスは、部屋にジェニファーがいたために驚く。

ジェニファーを帰そうとしたウォレスだったが、彼女は先祖のジョナサンの肖像画に気づく。

ジョナサンを知っていると言うジェニファーは、彼の方が愛想が良かったと意味不明な話をして、その場に居座ろうとする。

ジェニファーを抱きかかえたウォレスは家を出て、彼女をタクシーに乗せて追い払う。

ところが、タクシー・ドライバーはジェニファーがいないことに気づく。

眠ろうとしていたウォレスは訪ねて来たダドリーに、ジェニファーがこの場にいたことを知らせる。

ダドリーはジェニファーが病室で眠っていたことを伝え、ウォレスの様子がおかしいため、スキャンダルが選挙に影響しないかを心配する。

ジェニファーが対立候補の回し者と考えたウォレスは少し落ち着き、ダドリーが帰ったことを確認する。

ところが、寝室のベッドにジェニファーがいたためにウォレスは驚く。

敵陣営のことでジェニファーを問い詰めたウォレスは、軽はずみに愛を語る彼女に説教を始める。

数時間後、叶わぬ恋を語るウォレスは数分しか経っていないように思っていたのだが、朝の八時であることに気づく。

家政婦のマーガレット(エリザベス・パターソン)が朝食を運んでくるが、ウォレスの結婚式当日に知らない女性がベッドで寝ていたため驚いてしまう。

説明は後だと言われたマーガレットは混乱し、その後、マスターソンとエステルが来ていることをウォレスに知らせる。

マスターソンは新聞の第一面をウォレスの救出劇が飾っていることを伝え、式の前にラジオ出演が入ったことも知らせる。

家の飾りつけなどを考えると言うエステルは残ろうとするが、ウォレスは不安なため付き添ってほしいことを伝え、彼女を強引に連れて行く。

それを知ったジェニファーは苛立ち、ウォレスを追うのを邪魔するマーガレットを眠らせてしまう。

暖炉に現れた父ダニエルに相談したジェニファーは、惚れ薬を飲ませなかったのかと聞かれ、自分の力でウォレスの心を捉えたかったことを伝える。

魔女なのだから薬を作るようにとダニエルに言われたジェニファーは、それを暖炉で作る。

ダニエルも体が欲しくなり、この屋敷に火を放つ訳には行かないと言うジェニファーは、ウォレスが向かったビルを火事にすることを提案する。

火事に遭い急いで家に戻ったウォレスは、入り口でダドリーに出くわしてその件を話す。

眠っていたマーガレットから、ジェニファーがまだいると言われたウォレスは彼女を追いだそうとする。

ドレスを着たジェニファーは美しかったのだが、ウォレスは惑わされることなく彼女と話をつけようとする。

ウォレスを落ち着つかせようとして水(惚れ薬)を渡したジェニファーはソファーに座るが、先祖の肖像画が壁から落ちて頭に当たり気絶してしまう。

慌てたウォレスはジェニファーに水を飲ませてしまう。

ジェニファーは益々ウォレスに惹かれてキスしてしまい、現れたダドリーは二人の様子を見て驚く。

自分が水を飲んでしまったことを知ったジェニファーは動揺し、彼女はそのままでいいとダドリーに言われたウォレスは式場に向かう。

式の後でジェニファーを追いだせばいいとダドリーに言われたウォレスだったが、彼女を気の毒に思う。

その頃、火事現場から救出された男性(ダニエル)が行方不明になる。

体を手に入れたダニエル(セシル・ケラウェイ)はジェニファーの元に向い、惚れ薬を彼女が飲んでしまったことを知る。

ウォレスを愛してしまったジェニファーだったが、ウォレスが呪いのせいで結婚することを考えると、複雑な状況であることが分かる。

ジェニファーは、ウォレスの結婚を阻止するため、自分に恋するようにすることができるかをダニエルに聞く。

それが可能だと答えるダニエルは、正装して結婚式場に向かう。

結婚式は始まり、ジェニファーがこの場に現れないことを願うウォレスは落ち着かない。

そこに現れたジェニファーとダニエルは、強風を吹かせて会場を混乱させる。

ダドリーにジェニファーがいると言われたウォレスは驚き、奥の部屋にいた彼女から父親ダニエルを紹介される。

ウォレスはダドリーに席を外してもらいダニエルから話を聞き、彼が屋敷から持ってきた拳銃を渡される。

殺したければ自分を撃てばいいと言うダニエルは、ウォレスの先祖に”火遊び”が好きな者がいたが、子孫が焼かれるのを見られないのは気の毒だと皮肉を言う。

現代的に椅子に腰かけて電気で焼く方法がいいと提案したダニエルは、拳銃に殺人を犯せと指示を出す。

拳銃はダニエルを撃ち、彼はその場で息を引き取り、現れたダドリーにウォレスに殺されたと伝える。

ジェニファーは脅かしているだけだと言って動揺するウォレスを落ち着かせて、ダドリーはダニエルの死を確認する。

死体は自分の父親ではなく、借りた体だと言うジェニファーの話に驚くウォレスとダドリーは薄気味悪く思う。

犯人でないと言うウォレスは混乱しながら式場に向い、ダドリーに支えられながらエステルを迎えるが気を失ってしまう。

ジェニファーは自分の恋をどうすることもできず戸惑い、ダニエルが煙になり酒瓶に入っていることに気づき、それを拳銃で撃つ。

銃声で目覚めたウォレスは、ジェニファーが自殺したと思い2階に向かう。

式を行うことができないエステルは憤慨する。

ダニエルは死体に戻ろうとせずジェニファーは苛立つが、ウォレスとダドリーが戻ったためダニエルは生き返る。

酔ったダニエルは、不満を口にしながら窓から落下してしまう。

その場は騒ぎとなり、現れた警官をネズミにしようとしたダニエルだったが、酔っていたため呪いをかけることができずに連行されてしまう。

愛を語るジェニファーを相手にしている場合ではないウォレスは、式を続けようとする。

ジェニファーが叫び声を上げたためにダドリーがその場に向う。

ウォレスはジェニファーが気になり、苛立つエステルの問いに答えられないまま2階に戻ってしまう。

気を失っていたジェニファーが本当に自分のことを愛していたことを知ったウォレスは、仮病を使っていた彼女にキスされる。

そこに我慢の限界に達したエステルが現れ、弁解しようとするウォレスらを追いだす。

激怒したマスターソンは、破滅させると言ってウォレスを罵倒する。

翌日、新聞は大々的にウォレスのスキャンダル記事を報じ、選挙で勝ち目がなくなったことでダドリーも破産を覚悟する。

酔いが醒めず呪文がかけられないダニエルは留置場から出ることがでず、ウォレスに寄り添っているはずのジェニファーを懲らしめる方法を考える。

ある宿屋に着いたウォレスとジェニファーは、判事を探して結婚してしまう。

ウォレスの愛は手に入れたものの将来が不安になったジェニファーは、自分が魔女だと告白する。

ウォレスはそれを真剣には捉えずに、魔法の様に魅了されていることを認め、魔法で翌日の選挙に勝たせると言われ喜ぶ。

270年前の出来事を話そうとしたジェニファーだったが、ウォレスとの愛を優先させる。

翌日、留置場に向かったウォレスは、ジェニファーが270年前からこの町にいる魔女で、選挙にも勝たせると言っていることなどをダニエルに話す。

この場から出してくれればジェニファーのことは何とかすると言うダニエルに、ウォレスは努力することを約束してその場を去る。

その後、ジェニファーは人々に魔法をかけてウォレス支持者を増やし、公然と批判するマスターソンまで彼を応援に回る。

投票の結果ウォレスは圧勝するが、それがジェニファーの魔法のせいだと言って困惑しダドリーと対策を考える。

支持者が集まったため、ウォレスは演説をするようにとジェニファーに促される。

酔いが醒めたダニエルが現れ、魔女であることを人間に話してしまったジェニファーに罰を与えようとする。

夜の12時に木に登り人類が滅亡するまで降りて来てはならないと命じたダニエルは、それを拒むジェニファーの魔力を消してしまう。

演説をしているウォレスの元に向い彼をその場から連れ出したジェニファーは、危険が近づいていることを知らせる。

ところが、タクシー・ドライバーはダニエルで、彼は車で空中を飛び魔女の大木に激突する。

自分も木に登ると言うダニエルは、ジェニファーにも従わせようとする。

ジェニファーはウォレスに別れを告げて、普通の女性として自分のことを覚えておいてほしいことを伝える。

ウォレスがジェニファーを忘れることができず苦しむだろうとダニエルは話し、ジェニファーは罰として人間のことを忘れてしまうと語る。

それを信じないジェニファーは、全てを忘れないことをウォレスに伝えてキスする。

12時となり、ジェニファーは意識を失い煙となり、ウォレスの苦しむ姿を見たダニエルは、これでウーリー家に復讐できたと言って満足する。

ウォレスの苦しみを確かめるために、後をつけてみると言うジェニファーの意見にダニエルは賛成する。

悲しむウォレスを見て喜ぶダニエルは、ジェニファーに未練がないことを確認する。

しかし、ジェニファーは体に戻り、ウォレスにキスされて意識が回復する。

酒瓶に入っていたダニエルを蓋をしてそれに閉じ込めたジェニファーは、一応、心配はいらないとウォレスに伝える。

7年後。
ウォレスとジェニファーは、子供達も生まれ平穏に暮らしていた。

しかし、娘のジェニファーがほうきで遊び手に負えないことをマーガレットから知らされたジェニファーは、ウォレスに将来が心配だと伝える。

やや不安なウォレスとジェニファーは、暖炉の上に鍵をして閉じ込めてある、ダニエルの酒瓶から聞こえる笑い声を気にする。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1670年代、魔女裁判で火炙りにされたジェニファーとダニエル親子は、自分達を突き出したジョナサン・ウーリーを恨み呪いをかける。
1942年、その呪いによりウーリー家の男は代々不幸な結婚をしていたが、現在の家長ウォレスは、州知事候補として翌日の結婚を控えていた。
ウォレスの婚約者で新聞社社主マスターソンの娘エステルも、わがままに育てられウォレスは手を焼いていた。
そんな時、魔女の大木に雷が落ちたことでジェニファーとダニエルは復活し、煙となり人間社会を観察した二人はウォレスに気づく。
結婚できない相手に恋することが、男にとっては最悪であることをダニエルから知らされたジェニファーは、復讐をするため体を手に入れてウォレスに近づくのだが・・・。
__________

純粋なコメディであるため弾むような楽しさを期待するのだが、演出がルネ・クレールだけに意外にも”穏やかに”展開する内容を良しとするかどうかで評価が変わるかもしれない。

原作と共に、1958年公開のジェームズ・スチュアートキム・ノヴァク共演による「媚薬」、そして人気テレビ・シリーズ「奥様は魔女」(1964-1972)にヒントを与えた品でもある。

第15回アカデミー賞では、ドラマ音楽賞にノミネートされた。

既にベテランの域に達していた主演のフレドリック・マーチは、美しい魔女に翻弄される結婚を控えた知事候補を好演し、重厚な彼の演技しか知らないで観ると新鮮に思えるのではないだろうか。
芸幅が広いフレドリック・マーチは、このような役も楽しんで演じているのがよく分かる。

本作では、妖艶というよりもキュートさで楽しませてくれるヴェロニカ・レイクは、アメリカ人にしてはかなり小柄だが(151cm)、画面を占領していると言っても過言ではない、非常にインパクトのある独特の魅力を感じる素晴らしい女優だ。
フレドリック・マーチも178cmと小柄であり、長身スターが多い中で、更に小柄なアラン・ラッド(168cm)との相性が良かったのがよく分かる。

主人公の支援者で医師のロバート・ベンチリー、主人公の婚約者でわがままな令嬢スーザン・ヘイワード、その父親で新聞社社主のロバート・ワーウィック、ヒロインの父親を愉快に演ずるセシル・ケラウェイ、主人公の家の家政婦エリザベス・パターソン、主人公の祖先の母親エイリー・マリオンなどが共演している。


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