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戀の十日間 I’ll Be Seeing You (1944)

刑期中に一時帰宅を許可された秘密を持つ女性と戦争神経症の男性の恋を描く、監督ウィリアム・ディターレ、主演ジンジャー・ロジャースジョセフ・コットンシャーリー・テンプルスプリング・バイイントントム・タリー他共演の恋愛ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)


スタッフ キャスト
監督:ウィリアム・ディターレ

製作:ドア・シャリー
原作:チャールズ・マーティン”Double Furlough”
脚本:マリオン・パーソネット
撮影:トニー・ゴーディオ
編集:ウィリアム・H・ジーグラー
音楽:ダニエル・アンフィシアトロフ

出演
メアリー・マーシャル:ジンジャー・ロジャース
ザカリー”ザック”モーガン:ジョセフ・コットン
バーバラ・マーシャル:シャーリー・テンプル
サラ・マーシャル:スプリング・バイイントン
ヘンリー・マーシャル:トム・タリー
ブルース中尉:ジョン・デレク
スワンソン:チル・ウィルス
列車の水兵:ケニー・ボワーズ
フランクリン:ゲイリー・グレイ
列車の売り子:オーリン・ハウランド

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1944年製作 85分
公開
北米:1944年12月24日
日本:1946年8月27日
製作費 $1,300,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
クリスマス・シーズン。
メアリー・マーシャル(ジンジャー・ロジャース)は、過失致死罪で起訴され服役中だったが、8日間の一時帰宅を許され、クリスマス休暇をおじ夫婦の家で過ごすために列車に乗る。

軍人のザカリー”ザック”モーガン軍曹(ジョセフ・コットン)は、戦場で負傷し神経症も患い入院していたが、病院から10日間の外泊を許可され、普通の生活ができることを証明するために電車で旅立とうとする。

メアリーとザックは、列車内の席で向かい合う。

相席になったにぎやかな水兵(ケニー・ボワーズ)らが席を外した間に、メアリーとザックは話をする。

2人はお互い休暇だと確認し、職業を訊かれたメアリーは、旅をするセールスレディだとウソをついてしまう。

秘書かモデルかと思ったと言われたメアリーは、行き先も訊かれたためにパインヒルと答える。
...全てを見る(結末あり)

ザックは、自分も妹に会うためにパインヒルで降りるとメアリーに伝える。

パインヒル。
タクシーまでメアリーを送ったザックは、電話をしたいと言って、彼女のおじの名前を聞き、自己紹介して別れる。

妹のことはウソだったザックは、YMCAで部屋を借りる。

ザックは、もう少しで普通に戻れると考えながらも、思い通りに体が動かないために悩む。

おじヘンリー(トム・タリー)の家に着いたメアリーは、妻サラ(スプリング・バイイントン)と娘のバーバラ(シャーリー・テンプル)に歓迎される。

メアリーは、自分に気を遣う2人に、8日後には刑務所に戻るので普通に接してほしいと伝える。

バーバラの部屋を使うことになったメアリーは、模範囚は一時帰宅を許されることなどを話すが、石鹸やタオルを、名前を付けて別々に用意してあることが気になる。

その後メアリーは、3年間の服役生活のことなどをサラに話し、結婚して平凡な生活を築きたいと伝える。

メアリーは、自分で手に入れられる幸せが一番だと気づいたサラの体験を聞き、どうすればいいか分からないと言って悩む。

ザックから電話を受けたメアリーは、妹が留守だったことを知り、サラの許可を得て、彼を夕食に招待して住所を教える。

帰宅したヘンリーはメアリーとの再会を喜び、犯罪者であることを気にする彼女に、過ぎたことは忘れて休暇を楽しむようにと伝える。

夜になり、マーシャル家を訪ねたザックは、メアリーらに歓迎される。

メアリーから妹のことを訊かれたザックは、その件はウソで、君がこの街で降りると知り一緒に降りる口実を考えたと伝える。

ザックはヘンリーに挨拶し、席に着いて食事をする。

食後にバーバラは、メアリーが刑務所に入った理由をヘンリーに尋ねるが、いずれ分かると言う父から何も教えてもらえなかった。

メアリーと出かけたザックは映画を観に行くが、戦争映画だったために楽しめない。

劇場を出たザックは、メアリーから実際の戦場について訊かれ、普段は何も語れない自分が話していることに気づき、気分が良くなる。

2人はカフェに寄り、第一次大戦の退役軍人であるオーナーのスワンソン(チル・ウィルス)から戦争の話をされたザックは、彼も戦争神経症で顔が痙攣していることを知り、動揺して店を出る。

メアリーを家に送ったザックは、自分の病気のことを話そうとしながら、小石を拾い街灯を狙って投げる。

ザックが外したために、自分のがうまいと言い小石を拾ったメアリーだったが、彼は黙って去って行く。

帰宅して部屋に戻ったメアリーは、バーバラがクローゼットも分けていることに気づき傷つく。

メアリーは、服役した理由をバーバラに話す。

メアリーは17歳で母を亡くし、その後、父もなくなり自立して秘書になり、ある日、上司にパーティーに誘われる。

上司が独身なので結婚のチャンスだと思ったメアリーは着飾り、贈られた白いランのコサージュを胸につけて部屋に向かう。

誰もいない部屋で上司に襲われて抵抗し、彼を窓から突き落としてしまったことを、メアリーはバーバラに話す。

メアリーは、刑務所に入れられるのは間違っていると言うバーバーに、殺人と判断されて有罪となり、刑期6年という判決が下ったことを伝える。

バーバラは、クローゼットの仕切りと名札を外し、メアリーに謝罪する。

翌日メアリーは、ザックからの電話で湖に誘われ、彼と共にバスで郊外に向かう。

湖に着いたザックは、昨夜の態度をメアリーに謝罪し、自分のことを話す。

ザックは、孤児院で育ち戦争で神経症になったことを話し、戦前は運動選手だったと言って、以前なら街灯に石は当たったはずだと伝える。

話題を変えたザックは、君といると楽しいと言って、メアリーの話を聞こうとする。

正直に話してくれたザックに対し、メアリーは真実を話す勇気がなかった。

その後ザックは、マーシャル家のクリスマス・イヴの食事に招待され、楽しい時間を過ごす。

メアリーは、いずれまたこの家を訪ねたいと言うザックと数日後には別れることを考えると悲しくなり、席を外してしまう。

ザックはメアリーを気遣い、愛を確かめた2人はキスする。

ヘンリーらは、2人のことを気にしながらプレゼント交換を始めて、メアリーとザックもそれに加わる。

ザックが帰った後でメアリーは、真実を話すべきか悩んでいることをサラに話す。

メアリーのザックに対する気持ちを知ったサラは、結婚するわけでもないので気にせずに、今を楽しむべきだと助言する。

翌日サラは、ニューイヤーズ・イヴに出かけるバーバラのために、ドレスを買いに行く。

サラは、ザックの誘いでYMCAのパーティーに呼ばれていたメアリーにもドレスを買うことを勧めて、ヘンリーとプレゼントすると言って彼女に試着させる。

ドレスの値段が69ドルだと知ったメアリーは、30ドルを店員に渡して、サラには39ドルだと言ってほしいと伝える。

店員からドレスが39ドルだ聞いたサラは、20ドル渡すのでメアリーには19ドルだと言ってほしいと伝える。

サラは、試着したメアリーの前で店員にドレスの値段を聞き、19ドルだと言われて驚いてみせる。

メアリーは、思わず笑ってしまう。

ニューイヤーズ・イヴ。
バーバラは、迎えに来たブルース中尉(ジョン・デレク)と出かける予定だった。

現れたザックはブルースを紹介され、バーバラと出かける彼を見送る。

ドレスを着てザックを驚かせたメアリーは、彼から白いランのコサージュを受け取り、事件のことを思い出して戸惑う。

その後、YMCAで催されたパーティーを楽しむメアリーは、ザックとダンスをしながらコサージュを外してしまう。

メアリーは、旧友のチャーリーに声をかけられて踊り、服役のことを知る彼に、ザックには何も言わないでほしいと頼む。

その後ザックは、エメット上院議員から兵士の立場で政治的な質問をされ、兵士に限らず人はみな意見が違うものだと答える。

年が明けて人々は新年を祝い、パーティーは盛り上がって終わる。

メアリーを送るザックは、ある家の飼い犬に襲われ、飼い主が現れて何とか犬を引き離す。

家に着いたザックは、メアリーから1週間前とは別人のようになったと言われ、夢のために必ず治ると伝えて愛を確かめる。

ザックは結婚について話そうとするが、戸惑うメアリーを気遣い、明日発つ前に話をしたいと言って、彼女に愛を告げてキスする。

家に戻ったメアリーは、ザックを愛していることで、苦しみが増しているとサラに話し、彼の回復の妨げになりたくないと言って悩む。

部屋に戻ったザックは、症状が出て苦しむものの、メアリーと過ごした日々を思い、何とかそれを克服する。

翌朝メアリーは、訪ねて来たザックを見送りに行こうとする。

バーバラと話したザックは、メアリーと結婚したいことを話す。

メアリーが服役中であることをザックに話したと思ったバーバラは、彼に出所まで待てるか尋ねる。

メアリーが犯罪者だと知ったザックは動揺しながら、彼女と共にヘンリーの車で駅に向かう。

ザックの様子がおかしいことに気づいたメアリーは駅に着き、素っ気ない態度で列車に乗り去った彼が、自分のこと知ったと考える。

クリスマスツリーの片づけをするサラは、メアリーが服役中であることをバーバラが話したことを知り驚く。

そこにメアリーが戻り、バーバラは自分が話したと言って彼女に謝罪する。

メアリーは何も話さず部屋に向かいベッドで泣き崩れ、サラ、ヘンリー、バーバラは彼女のことを気遣う。

メアリーは、泣きながら謝罪するバーバラを許す。

その後、州立刑務所に戻ろうとするメアリーは、通りにザックがいることに気づく。

メアリーを抱きしめたザックは、君の涙は見たくないと言いながら、駅での態度を謝罪して愛を確かめ、自分も回復してこの場で待っていることを伝える。

メアリーと共に小石を拾い街灯に当てたザックは、彼女を刑務所に送る。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
過失致死罪で服役中だったメアリー・マーシャルは、一時帰宅を許可され、おじヘンリーの家に向かう。
戦場で負傷し神経症を患うザカリー”ザック”モーガンは、外泊を許可される。
列車で相席になった2人は同じ街で降りることになり、ザックはメアリーの電話番号を聞き別れる。
おばサラと娘のバーバラに歓迎されたメアリーは、電話がかかってきたザックを夕食に招くことにする。
ザックから、一緒に降りる口実のために妹に会うとウソをついたことや神経症について話を聞いたメアリーは、自分のことを正直に話せずに悩みながら彼に惹かれるのだが・・・。
__________

チャールズ・マーティンのラジオ放送”Double Furlough”を基に製作された作品。

時帰宅であることを隠す服役中の一女性と戦争神経症の男性の恋を描く、ラブロマンスの秀作。

互いに心に傷を負いながらも、愛を確かめ合う男女の恋を、ウィリアム・ディターレらしい繊細なタッチで描く作品。

ウィリアム・ディターレジョセフ・コットンは、本作後に「ラヴレター」(1945)、「ジェニーの肖像」(1948)、「旅愁」(1950)、「北京超特急」(1951)で組んでいる。

第二次大戦中に製作された作品ということもあり、戦争に対する考えや疑問なども脚本に盛り込まれ、当時のアメリカ社会の姿勢なども窺える内容も興味深い。

主演のジンジャー・ロジャースは、過失致死罪で服役し一時帰宅を許可された女性を演じ、心触れ合うようになった男性との関係で苦悩する主人公を好演し、彼女に惹かれ、戦争神経症を克服しようとするジョセフ・コットンの抑えた演技も素晴らしい。

主人公を気遣いながら様々なことを学ぶ、おじ夫婦の娘シャーリー・テンプル、その母親スプリング・バイイントン、その夫で実はまだ30代半ばのトム・タリーシャーリー・テンプルとデートする中尉役で端役出演のジョン・デレク第一次大戦で神経症になったカフェのオーナー役チル・ウィルス、主人公らと列車で相席になる水兵ケニー・ボワーズ、映画館の入り口の少年ゲイリー・グレイ、列車の売り子オーリン・ハウランドなどが共演している。


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