第二次大戦開戦前夜、アメリカ第32代大統領フランクリン・D・ルーズベルトが故郷ハイド・パークで過ごした際の従妹との愛やイギリス国王ジョージ6世との友情を描く、監督ロジャー・ミッシェル、主演ビル・マーレイ、ローラ・リニー、サミュエル・ウェスト他共演の歴史ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロジャー・ミッシェル
製作
デヴィッド・オーキン
ケヴィン・ローダー
脚本:リチャード・ネルソン
撮影:ロル・クロウリー
編集:ニコラス・ガスター
音楽:ジェレミー・サムズ
出演
フランクリン・D・ルーズベルト:ビル・マーレイ
マーガレット”デイジー”サックリー:ローラ・リニー
ジョージ6世:サミュエル・ウェスト
エリザベス王妃:オリヴィア・コールマン
マルガリーテ”ミッシー”リーハンド:エリザベス・マーヴェル
エレノア・ルーズベルト:オリヴィア・ウィリアムズ
サラ・ルーズベルト:エリザベス・ウィルソン
トーマス・ガーディナー・コーコラン:マーティン・マクドウガル
ジェームズ・キャメロン:アンドリュー・ヘイヴィル
デイジーのおば:エレノア・ブロン
イギリス 映画
配給 フォーカス・フィーチャーズ
2012年製作 95分
公開
イギリス:2013年2月1日
北米:2012年12月7日
日本:2013年9月13日
製作費 $
北米興行収入 $6,367,800
世界 $8,887,600
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1939年、春、ニューヨーク州。
アメリカ大統領フランクリン・D・ルーズベルト(ビル・マーレイ)の母親サラ(エリザベス・ウィルソン)からの連絡を受けた、彼の六人のいとこのうちの一人マーガレット”デイジー”サックリー(ローラ・リニー)は、ハイド・パークに呼び出される。
一緒に暮らすおば(エレノア・ブロン)に、デイジーはルーズベルトの屋敷に向かうことを伝える。
ハイド・パーク。
デイジーは、ルーズベルトの鼻炎が悪化して体調が悪いと聞いたデイジーは、書斎に案内されて彼との何年かぶりの再会を喜ぶ。
デイジーに切手のコレクションを見せたルーズベルトは、書類のサインを求めるために入って来た秘書マルガリーテ”ミッシー”リーハンド(エリザベス・マーヴェル)に、従妹を紹介する。 この年、以降の世界情勢は、ヨーロッパでは戦争が始り、大恐慌の傷跡も癒えぬままで、アメリカも参戦することになるのだった。 その年の春、ルーズベルトはハイド・パークで執務を行うのだが、彼が求めるのは安らぎだった。 ルーズベルトはデイジーを度々ドライブに誘い、ある日、護衛の車を追い払い二人だけの時間を過ごし、互いの愛情を確かめ合う。 ”親しい親友”となったデイジーは、ルーズベルトのハイド・パークの滞在が楽しみになった。 森の中に建てられた家にデイジーを連れて行ったルーズベルトは、その場で二人だけで過ごせたらいいという考えを伝え、愛を確認する。 イギリス国王ジョージ6世(サミュエル・ウェスト)とエリザベス王妃(オリヴィア・コールマン)が、同国王として初めてアメリカを訪問することになる。 国王がハイド・パークも訪れることが決まり、サラがその準備を仕切っていた。 お互いの不倫などを容認しているルーズベルトと妻エレノア(オリヴィア・ウィリアムズ)は、彼女の同性愛を含めて干渉せず、不仲には見えなかった。 ハイド・パークに向かう途中の国王と王妃は、ルーズベルトの複雑な家庭環境を知り不安が募る。 戦火が迫るヨーロッパの影響を受けることを嫌ったルーズベルトは、国王夫妻をあえて田舎に招いたのだった。 国王夫妻を歓迎したルーズベルトは、母と妻を紹介する。 王妃を部屋に案内したエレノアは、突然入って来たデイジーに、用はないと伝える。 義母に禁じられてていた”エリザベス”と呼んでいいかを、エレノアは王妃に聞いてしまう。 戸惑いながら構わないことを伝えた王妃は、エレノアが”女友達”との共同生活で作ったベッドを褒める。 エレノアが王妃とうまくやっているかをデイジーに確認させたルーズベルトは、異常がないことを知る。 国王が予想以上に若いことや緊張している様子が気になったデイジーは、イギリスがアメリカの支援を必要としているからだとルーズベルトに言われる。 自分も緊張していると言うルーズベルトから、晩餐会の後に静かな場所に行きたいと言われたデイジーは、お供すると答える。 国王の部屋には米英戦争でのイギリス兵の風刺画が飾られ、それはルーズベルトが飾るよう指示し他ということだった。 翌日は、エレノアに誘われたピクニックで、ホットドッグを食べさせることも王妃は国王から知らされる。 自分達がバカにされているのかと考える二人には、相手の意図が理解できなかった。 アメリカ側に疑念を抱きつつ緊張する国王は、吃音症の心配もあり、王妃から見下されないようにと言われる。 母サラのスパイは何人かいたが、彼女の第六感は禁止したアルコールを嗅ぎつけ、ルーズベルトと口論になり、それにエレノアも加わる。 書斎に呼ばれた国王は、母親に酒を禁じられているためにお茶を持て成すと言うルーズベルトに対し、吃音症を必死に堪えながら、自分も母親にそう言われるが、カクテルを好むことを伝える。 話の分かる方だと言うルーズベルトと共に、国王は和やかな雰囲気で会話を楽しむ。 やがて晩餐会は始り、アクシデントが2度起きるが、いずれも天使の仕業だと言って、国王が出席者の笑いを誘う。 屋敷の外にいたデイジーは、ルーズベルトが国王の相手をするので、今晩は帰るようにと現れたミッシーに言われる。 晩餐会も終り、書斎で二人きりで話したいことをルーズベルトは国王に伝える。 今夜の国王の振る舞いに敬服したと語るルーズベルトは、自分が父親であれば誇りに思うと伝える。 伝えることがあると言って書面を読み始めた国王は、現在行われているスペインの内乱の悲劇などを語る。 今後考えられる戦いで、アメリカの中には、イギリスの敗北と国王の破滅を望んでいる者がいると伝える。 吃音により思うように話せない国王は苛立つが、”それがどうしたのだ、自分は小児麻痺だ”とルーズベルトに言われる。 国民が自分に期待していないことを嘆く国王に、自分の足が不自由だと述べる者はなく決して言わないと話すルーズベルトは、それは、周囲が気を遣っているからだと伝える。 立ち上がったルーズベルトは、信実を見たくないからだと今は思うと語る。 国民は我々の実像を見ているのではなく、欠点や犯した罪、または失敗を見たいと思ってはいないと言いながら、ルーズベルトはテーブルを伝って椅子に座る。 兄エドワード8世の退位で即位した国王はそれを気にしているのだが、王位が選挙で決まるのかと言われて苦笑してしまう。 ルーズベルトは国王に酒を勧め、互いの友好関係を確かめる。 眠れぬ夜を過ごしていたデイジーは、ルーズベルトを恋しく思う。 話し合いは夜中まで続き、書斎を出た国王は、その場で待っていたミッシーに声をかけて二階に向かう。 実りある話ができた国王は、眠っていた王妃に率直に語り合ったことを知らせるが、恥をかかされたのではないかと言われる。 ピクニックでしか活躍の場がないのがホットドッグだという、単純な話を楽しんだことを知った王妃は、自分の話はしていないと国王に言われるものの、それを疑う。 望んでいない人生が辛いと王妃に言われた国王は、イギリスが参戦した場合は、国民を説得して支援することをルーズベルトが約束してくれたことを伝える。 晩餐会の出席者の顔ぶれからイギリスの敗北を望んでいると言う王妃だったが、イギリスは自信を持つべきだと、眠れないほど興奮している国王は語る。 国王は、”あなたが国王であることを嬉しく思う”と言ってくれたルーズベルトは、父親のように接してくれたことを伝えて自分の寝室に向かう。 森の家に向かったデイジーは、満月を見ながらルーズベルトを想う。 その場に大統領の側近のトーマス・ガーディナー・コーコラン(マーティン・マクドウガル)が現れたために、デイジーは驚く。 大統領の邪魔をするなと言われたデイジーは、家の中からミッシーが現れ、更にルーズベルトの声がしたために動揺して、その場から走り去る。 デイジーを追い車で待っていたミッシーは、動揺する彼女に、他の愛人ドロシー・シフは受け入れられるのかと言って落ち着かせる。 エレノアとの別居もルーズベルトの不倫が原因だと言われたデイジーは、彼がルーシー・マーサー・ラザフォードとも親密な関係だと知らされる。 分かち合うしか方法がないとデイジーに伝えたミッシーは、心を決めることだと言ってその場を去る。 ルーズベルトは屋敷に戻り、彼が待っているとミッシーに言われていたデイジーは書斎に向かう。 ミッシーと母サラから、晩餐会に招待しなかったことを非難されたことを伝えてデイジーに謝罪したルーズベルトは、まるで自分が娼婦のようだと彼女に言われる。 それを否定したルーズベルトは、近づこうとしないデイジーを呼び寄せるが、彼女は罵倒したい気持ちを抑えて帰ると伝える。 ルーズベルトは再び謝罪し、デイジーは何も語らずにその場を去る。 夜明けが近づき、騒ぎに気づいた国王夫妻は、屋敷から去る女性がルーズベルトの愛人である可能性を語る。 現れたミッシーも、ジャーナリストのジェームズ・キャメロン(アンドリュー・ヘイヴィル)の話では愛人であり、他にもいるらしいと国王は王妃に伝える。 その後、ピクニックのホットドッグを食べるかどうかで、王妃に兄と比べられた国王は、何個でも食べると言って憤慨する。 二度と兄と比べるなと王妃に伝えた国王は、ルーズベルトがミッシーの元に向かったことを側近から知らされる。 ルーズベルトからデイジーの出方を問われたミッシーは、トラブルは起こさないだろうと答え、国王夫妻が自分達を見ていることに気づく。 国王夫妻に朝の挨拶をしたルーズベルトは、よく眠れたと言って国王を水泳に誘う。 水着姿のまま車でプールに向かったルーズベルトと国王は、水泳を楽しむ。 その後ルーズベルトは、国王夫妻と共に、ピクニックが用意されている森の中の家に向う。 国王はその場の雰囲気を楽しみ、ホットドッグが用意されていることを気にする。 ルーズベルトに呼ばれたデイジーはそれを拒むものの、仕方なく国王夫妻と同席して、エレノアの考えだった先住民の歌が始まる。 それが延々と続くために、ルーズベルトはそれを止めさせてしまう。 そして、いよいよその時が訪れ、ホットドッグを差し出された国王はそれを手にし、ルーズベルトの指示でデイジーがマスタードを塗る。 国王がそれにかぶりつき、記者達のフラッシュと共に周囲から拍手が起きる。 国王はその反応に驚くが、その瞬間、アメリカとイギリスの関係が強固なものであることが証明された。 国王は、両国は特別な関係が築けたと確信しながらハイド・パークを離れる。 その後デイジーは、迎えの車が来ても体調不良だと言って外出しなかった。 1週間後。 その後デイジーは、わだかまりが消えたミッシーと心が通じ合う仲となった。 病気になったミッシーの医療費はルーズベルトが払い、財産の半分を渡すよう遺書を書き換えたものの、彼は一度も見舞いに行かなかった。 デイジーはその件を問い、弱さのせいであり、病人に会うのは辛過ぎるとルーズベルトは答えた。 ミッシー以外の大統領のスタッフとも仲良くなったデイジーは、平穏に過ごしていた。 数年後、疲労が重なったルーズベルトは体力が衰えて病気になり、彼はそれを世間に隠すが、デイジーだけには隠さなかった。 国民は、ルーズベルトに期待し続け、当時は秘密を暴かない寛大さがあった。 ルーズベルトは約束を守り、第二次大戦をイギリスと共に戦った。 1991年、デイジーが99歳で亡くなった時に、ベッドの下から手紙と日記が発見された。
...全てを見る(結末あり)
車でデイジーの家を訪ねたルーズベルトは、彼女を誘い笑顔を取り戻させる。
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*(簡略ストー リー)
1939年、春、ニューヨーク州、ハイド・パーク。
アメリカ大統領フランクリン・D・ルーズベルトは、従妹のマーガレット”デイジー”サックリーを屋敷に呼び、数年ぶりの再会を喜ぶ。
安らぎを求めていたルーズベルトは、デイジーと過ごす時間を楽しみ、惹かれ合う仲になる。
イギリス国王ジョージ6世とエリザベス王妃が、同国王として初めてアメリカを訪問することになり、ルーズベルトの母サラと別居している妻のエレノアがその準備を始める。
国王は、戦火が近づくヨーロッパの現状下で、アメリカに支援の約束をとりつける重責のため緊張し、それを承知のルーズベルトは国王夫妻を歓迎する。
晩餐会が終り、ルーズベルトと国王は二人だけの話し合いをして、互いの友好関係を確認する。
その夜、ルーズベルトを恋しく想うデイジーは、彼が自分のために建ててくれた家で、ある秘密を知ってしまう・・・。
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フランクリン・D・ルーズベルトと従妹のマーガレット”デイジー”サックリーの、秘められた恋を描いたドラマだと印象づけたような邦題はよろしくない。
第二次大戦開戦前夜、ルーズベルトが、イギリス国王ジョージ6世を迎えた歴史的な会談とも言える話がメインテーマではないが、それを中心に、国王の望んでいたわけではない即位の経緯や世界情勢を考えながら鑑賞すると、本作がより興味深く観れるだろう。
難病を患いながら激務を行うルーズベルトが、多くの女性に安らぎを求めたのは理解できないでもない。
現在のようなスキャンダルばかり追っている時代とは違い、大恐慌で疲弊しきっている国民が、指導者に希望や理想を求め、秘密や信実など追及しなかったということがテーマとして描かれ、それに秘められたルーズベルトの女性関係を描いた作品。
人間味豊かにフランクリン・D・ルーズベルトを好演するビル・マーレイ、彼の心を癒す従妹マーガレット”デイジー”サックリーのローラ・リニー、イギリス国王ジョージ6世のサミュエル・ウェスト、エリザベス王妃のオリヴィア・コールマン、大統領の秘書である愛人の一人マルガリーテ”ミッシー”リーハンドのエリザベス・マーヴェル、大統領夫人エレノア・ルーズベルトのオリヴィア・ウィリアムズ、大統領の母親サラ・ルーズベルトのエリザベス・ウィルソン、大統領の側近トーマス・ガーディナー・コーコランのマーティン・マクドウガル、ジャーナリスト、ジェームズ・キャメロンのアンドリュー・ヘイヴィル、デイジーのおばエレノア・ブロンなどが共演している。