スタン・リーとジャック・カービーにより創作され、1962年5月にマーベル・コミックに初登場した怪力の超人が活躍する物語「ハルク」を基に製作された作品。 遺伝子学者の父の研究実験の影響で恐ろしい能力が備わってしまった青年の苦悩と変身する超人的なパワーを持つ”ハルク”の運命を描く、監督アン・リー、主演エリック・バナ、ジェニファー・コネリー、サム・エリオット、ジョシュ・ルーカス、ニック・ノルティ他共演のアクション大作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:アン・リー
製作総指揮
ケヴィン・フェイグ
スタン・リー
製作
ゲイル・アン・ハード
ジェームズ・シェイマス
ラリー・J・フランコ
アヴィ・アラッド
原案:ジェームズ・シェイマス
原作
ジャック・カービー
スタン・リー
脚本
ジェームズ・シェイマス
マイケル・フランス
ジョン・ターマン
撮影:フレデリック・エルムズ
編集:ティム・スクワイアズ
音楽:ダニー・エルフマン
主題歌”Set Me Free”
ヴェルヴェット・リヴォルヴァー
出演
ブルース・バナー”クレンズラー”/ハルク:エリック・バナ
ベティ・ロス:ジェニファー・コネリー
サディウス・E・”サンダーボルト”ロス将軍:サム・エリオット
グレン・タルボット:ジョシュ・ルーカス
デヴィッド・バナー:ニック・ノルティ
デヴィッド・バナー(30年前):ポール・カージー
イーデス・バナー:カーラ・ブオノ
サディウス・ロス中佐(30年前):トッド・テーセン
ブルース・バナー(少年期):マイク・アーウィン
ハーパー:ケヴィン・ランキン
クレンズラー夫人:セリア・ウェストン
警備員:ルー・フェリグノ
警備員:スタン・リー
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2003年製作 138分
公開
北米:2003年6月20日
日本:2003年8月2日
製作費 $137,000,000
北米興行収入 $132,177,230
世界 $245,360,500
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1966年、砂漠地帯のアメリカ陸軍基地。
遺伝子学者であるデヴィッド・バナー(ポール・カージー)は、サディウス・E・ロス中佐(トッド・テーセン)の警告を無視し、自分を実験台にして研究を進めてしまう。
やがて、バナーと妻イーデス(カーラ・ブオノ)の間には、息子ブルースが生まれる。
バナーは、研究のために、わが子を観察する日々を送る。
研究室で人間の血液サンプルを見つけたロスは、バナーを実験から外すことを告げる。
憤慨したバナーは、研究施設の破壊を考え、基地内は大量のガンマ線が放出される危機にさらされる。
そして、家に戻ったバナーは、イーデスに真実を告げる・・・。 十数年後。 数年後、バークレー。 ベティは、何か人と違ったところがあるブルースが、亡くなったという両親のことを調べようとしないことを疑問に思っていた。 そんな時、元軍人のグレン・タルボット(ジョシュ・ルーカス)がベティを訪ねる。 学生時代にベティと関係があったグレンは、彼女の研究に興味を示し、軍関連の民間研究施設に誘うおうとするが断られてしまう。 ベティの父である、タディウス”サンダーボルト”ロス大将(サム・エリオット)は、それに関連した情報を知らされる。 その頃、実は生きていたブルースの父デヴィッド(ニック・ノルティ)は、センターの清掃員となり、息子の毛髪を採取して実験を続ける。 翌日、再びベティを訪ねたグレンは、致命的な傷を負った兵士を治癒することが可能な研究を手に入れるため、手段を選ばないことを,その場にいたブルースに伝える。 ベティは、不仲の父親に頼み、それを阻止するための圧力をかけてもらうことをブルースに伝える。 その直後、実験準備をしていたブルースは、事故により大量のガンマ線を浴びてしまう。 これまでの、実験失敗による影響を心配するベティだったが、入院していたブルースは、完全な健康体で膝の故障なども回復してしまっていた。 父ロスと再会したベティだったが、ブルースのことなどを調査した父を受け入れられず、自分への愛も感じられないまま席を外してしまう。 ブルースは、自分の中に並外れた能力が隠されていると言われたデヴィッドの言葉などに怒りを感じ始めた次の瞬間、強靭な体力を持つ緑色の超人に変身し、研究室を破壊してしまう。 建物内にいた父デヴィッドと触れ合ったブルースだが、かつての事故の記憶が甦りかけて、再び怒りを抑えきれずセンターから脱出してしまう。 翌朝、自宅のベッドで横たわっていたブルースの元にベティが現われ、彼は悪夢を見たことと、清掃員が自分の父親らしいことを伝える。 そこに、ロスが現われブルースを危険人物として拘束し、彼の安全は保証するが、近づかないようにとベティに警告する。 ベティは、清掃員の住所を調べてデヴィッドに会い、自分がしていることが、どれだけ危険かを遠まわしに知らされて引き上げる。 ブルースを尋問したロスは、かつて、自分がその存在を葬り、その後、消息を絶ったデヴィッドの所在をブルースから聞き出そうとする。 幼い頃に起きた事故の記憶を思い出せないブルースに、ロスは真相を語らず、軍の管理下に置かれる研究施設への立ち入りと、ベティに近づくことを禁じられる。 デヴィッドからの連絡を受け、ベティに危険が及ぶことを知ったブルースだったが、現われたグレンが、自分を出し抜いたことで彼を非難する。 争いになったブルースは怒りを抑えきれず、超人に変身してしまい巨大化してグレンらを叩きのめす。 ベティの元に向かったブルースは、デヴィッドが遺伝子操作で凶暴化させた犬達から彼女を守り元の姿に戻る。 ブルースは、父デヴィッドが自分を凶暴な巨人”ハルク”に変えたことをベティに伝える。 ベティは、父ロスに連絡を入れ、ブルースを守るために彼を軍に引き渡す。 ブルースは、砂漠地帯の軍地下秘密施設に運び込まれ、ベティは、彼がデヴィッドに、何をされたのかを父ロスから聞き出そうとする。 その頃デヴィッドは実験を重ねた結果、全ての物質と融合できる体となる。 ベティは、意識が戻ったブルースを、かつて住んでいた廃墟となった家に連れて行くものの、彼の記憶は戻らない。 やがて、ブルースの監視体制がロスの手から離れることになり、ベティはそれを知らされて施設を去る。 ロスから施設を引き継いだグレンは、ブルースの身体の監視調査を続ける。 自宅に戻ったベティは、その場にいたデヴィッドから、ブルースを助けるために自分は投降することを伝えられる。 しかし、父ロスが手を引いたためにべティは協力できず、彼女は、デヴィッドがブルースにしたことを責める。 あの事故の際、仕方なく幼いブルースを殺そうとしたデヴィッドは、誤って妻イーデスをナイフで刺し殺してしまったことをベティに語る。 同じ頃、実験室で悪夢を見たブルースは、ハルクに変身して暴れ始める。 それを知ったロスは、グレンに施設からの退去を指示するが、彼はハルクに危害を加えようとして誤って命を落とす。 ロスは、施設からの撤退と武装チームのハルクへの攻撃を命ずるものの、それが無駄だと分かり、外部で決着をつけようとする。 施設を脱出したハルクは、軍の攻撃に対して抵抗し、戦車(M1エイブラムス)の部隊を撃退する。 ロスは、あらゆる手段を実行し、ハルクを始末する許可を大統領から得る。 砂漠を抜けたハルクは、武装偵察ヘリコプター”RAH-66”の追撃をかわし、サンフランシスコに向かう。 ロスは、ステルス戦闘機”F-22 ラプター”の出撃を要請し、ベティに連絡を入れて警戒させる。 ”ゴールデンゲート・ブリッジ”によじ登っていたハルクは”F-22”に飛び移り、ロスは機体を上昇させるよう命ずる。 意識を失ったハルクは海に落下し、サンフランシスコ市内に現われる。 ロスのヘリに気づき、攻撃を加えようとしたハルクだったが、それにベティが乗っていることを知り思い止まる。 ハルクは、警官や軍に包囲され、現われたベティの前でブルースに戻る。 軍の基地に拘束されたブルースは、同じく捕らえられていたデヴィッドと対面する。 ブルースは、自分のパワーを吸収し治療するというデヴィッドの話を受け入れられない。 興奮して電圧腺を食いちぎり、その電流でモンスターに変身したデヴィッドと共に、ブルースはハルクとなり基地内から脱出し対決することになる。 デヴィッドがハルクのパワーを吸収し切った瞬間、ロスは戦闘機にミサイル攻撃の命令を出し爆破が起きて、ブルースは元の姿に戻る。 1年後。 その場合の情報提供を断ったベティだったが、ロスは娘を理解し、今までのことを謝罪する。 アマゾン熱帯雨林。 そして、ブルースの目は緑になり、やがてハルクのうなり声が密林から聞こえる。
...全てを見る(結末あり)
養母クレンズラー夫人(セリア・ウェストン)に育てられていたブルース(マイク・アーウィン)は、時々ある発作に悩まされながらも、大学に進学することになる。
科学者として、核物質バイオテクノロジー・センターの研究員になっっていたブルースは、ガンマ線による細胞再生の研究などを、元恋人で同僚のベティ・ロス(ジェニファー・コネリー)とハーパー(ケヴィン・ランキン)とで進めていた。
その夜、激しい発作が起きたブルースの病室にデヴィッドが現われ、自分が実の父親であることと、彼を守ることを伝える。
ベティとのわだかまりが消えていたロスは、多数の緑色の物体の目撃情報から、死んだはずのブルースが、姿を現す可能性を指摘しする。
医療活動をしていたブルースは、退去を命ずる男に、”自分を怒らせると後悔するぞ”と警告する。
*(簡略ストー リー)
両親を亡くし養母に育てられたブルース・クレンズラーは、科学者となり、同僚で元恋人のベティと共に、ガンマ線による細胞再生の研究をしていた。
二人は、元軍人である民間の研究機関のグレンから、自分達の研究に興味を持っていることを伝えられ誘われる。
それを断った二人だったが、ブルースが実験中の事故で、ガンマ線を大量に浴びてしまう。
その後ブルースは、それまで以上に健康状態が良好となるものの、子供時代からの悪夢にも悩まされる。
そんなブルースの元に、死んだと言われてい父デヴィッド・バナーが現われ、息子ブルースに、秘められた能力があることを伝える。
デヴィッドは、かつてベティの父で、アメリカ陸軍大将ロスとの確執の末、遺伝子操作実験を自分に施し、そして、家族が破滅する悲劇を体験したのだった。
そして、自分の能力の追求に苦悩するブルースに怒りがこみ上げた瞬間、彼は緑色の超人”ハルク”に変身してしまう・・・。
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2008年に公開された、「インクレディブル・ハルク」は本作の続編ではなく、主な登場人物は同一で、新たな展開と戦いを強いられる敵役が登場する。
1970年代に人気のあったTVシリーズの映画版ということもあり、また、「グリーン・デスティニー」(2000)で評価を得たアン・リーが監督する、製作費1億3700万ドルをかけた超大作ということでも大いに話題になった。
興行的には、北米で約1億3200万ドル、全世界で約2億4500万ドルのヒットとなるものの、観客、批評家共に評価は悪く、ファンの期待を裏切る結果となった。
TVシリーズは、”ハルク”を、並外れた巨体ではあるが、生身の人間のルー・フェリグノが演じている。
本作では、完全にCG化された”ハルク”の迫力たるや凄まじいが、作り物にしか見えないその主人公を好しとするかで見方も変わる。
変身前の主人公を、エリック・バナは魅力的に演じてはいるが、苦悩するばかりで、父親役のニック・ノルティと、彼と対立する将軍役のサム・エリオットの個性や熱演の方が印象に残り、そのあたりの描写なども、ややちぐはぐにも思える。
彼らの間で、親子関係もありさらに苦悩する、主人公の元恋人で科学者役のジェニファー・コネリー、彼女らの研究を狙う民間研究機関のジョシュ・ルーカス、主人公の同僚ケヴィン・ランキン、主人公の養母セリア・ウェストン、そしてTVシリーズのハルク役ルー・フェリグノと原作者スタン・リーが、研究センター警備員役で登場する。