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ハッド Hud (1963)

1961年に発表された、ラリー・マクマートリーの小説”Horseman, Pass By”を基に製作された作品。
牧場を経営する父と親子の関係の溝を埋めることができない男の心の動き描く、製作、監督マーティン・リット、主演ポール・ニューマンメルヴィン・ダグラスパトリシア・ニールブランドン・デワイルド他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:マーティン・リット

製作
マーティン・リット
アーヴィング・ラヴェッチ
原作:ラリー・マクマートリーHorseman, Pass By
脚本
アーヴィング・ラヴェッチ
ハリエット・フランクJr.
撮影:ジェームズ・ウォン・ハウ
編集:フランク・ブラクト
美術・装置
ハル・ペレイラ
タンビ・ラーセン
サミュエル・M・コマー
ロバート・R・ベントン
音楽:エルマー・バーンスタイン

出演
ハッド・バノン:ポール・ニューマン
ホーマー・バノン:メルヴィン・ダグラス
アルマ・ブラウン:パトリシア・ニール
ロン”ロニー”バノン:ブランドン・デワイルド
バーリス:ウィット・ビッセル
ジェシー:クラハン・デントン
ホセ:ヴァル・エイヴリー
ハーミー:ジョン・アシュレイ
ジョー・スキャンロン:ジョージ・O・ペトリー
トルーマン・ピーターズ:カート・コンウェイ
リリー・ピーターズ:イヴェット・ヴィッカーズ
トンプソン:シェルドン・オールマン

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1963年製作 112分
公開
北米:1963年5月29日
日本:1963年11月2日
製作費 $2,500,000
北米興行収入 $10,000,000


アカデミー賞
第36回アカデミー賞

・受賞
主演女優(パトリシア・ニール
助演男優(メルヴィン・ダグラス
撮影賞(白黒)
・ノミネート
監督
主演男優(ポール・ニューマン
脚色・美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
テキサス
町に着いたロン”ロニー”バノン(ブランドン・デワイルド)は、叔父のハッド・バノン(ポール・ニューマン)を捜す。

割れたショーウィンドウのガラスを掃除する店主に話しかけたロニーは、ハッドが喧嘩をしたことを知る。

ロデオ大会の垂れ幕を張るラーカーに、ハッドを捜していることを伝えたロニーは、車を見たが近づかないほうがいいと言われる。

女の家の中にいるはずのハッドを叫び、車のクラクションを鳴らしたロニーは、出て来た彼に牧場が大変なことになっていることを伝える。
...全てを見る(結末あり)

そこに、ハッドが一夜を共にした女の夫ジョー・スキャンロン(ジョージ・O・ペトリー)が帰宅し、早朝から自分の家で何をしているのか二人に尋ねる。

ロニーが夜遊びをしたことにしたハッドは、憤慨するジョーを落ち着かせて、自分が叱っておくと言ってその場を去る。

父ホーマー(メルヴィン・ダグラス)が自分を呼んだ理由を気にしながら、ハッドは家に戻る。

バノン家の住み込みメイドであるアルマ・ブラウン(パトリシア・ニール)は、ハッドが自分の花壇に車を止めたことに気づく。

自分を呼んだ理由をホーマーに尋ねたハッドは、牛が死んだと言われる。

死因が不明なことが気になると言うホーマーは、牧童のジェシー(クラハン・デントン)とホセ(ヴァル・エイヴリー)が番をしていることをハッドに伝える。

アルマから、花壇に車を止めないでほしいと言われたハッドは、不機嫌なまま放牧地に向かう。

現場に着いたハッドは、牛の死体をチェックして外傷などがないことを確認し、州の獣医に調べてもらうべきだと言うホーマーの提案に反対する。

土地に役人を入れたくない考えのハッドだったが、役場に電話をして獣医を呼ぶつもりのホーマーは、こんなことで自分を呼んだのかと言うハッドに非難される。

ジェシーとホセを休ませたいホーマーは、ロニーと共に死骸の番をしてほしいとハッドに伝えてその場を去る。

後のことをロニーに任せたハッドは、馬で家に向かってしまう。

車で町に向かうハッドは、トラックがパンクしたアルマに呼び止められる。

嫌々止まったハッドは、アルマを乗せていくことになる。

仕事をサボったことがバレたハッドは、アルマから、ピーターズ夫人と関係していることなどを訊かれる。

その夜、アルマの用意した食事を済ませたホーマーは、ポーチで、ロニーの父である亡くなった息子の写真を見ながら話をする。

父を覚えていないロニーは、ハッドの写真は持ち歩かないホーマーにその理由を尋ね、不仲の理由も気にするものの、知らなくていいと言われる。

その日も出かけるハッドは、ホーマーから、獣医が来るので朝までには戻ってくるようにと言われ、アルマを誘うものの断られる。

ロニーが付き合うことになり、ハッドは、”気を付けるように”と言うホーマーの言葉が気になる。

ハッドは、ロニーに運転させて出かける。

考え込むハッドは、何かあったのかと尋ねるロニーに、酔った時にでも話すと言ってウィスキーを口にする。

町に着いたハッドはバーに入り、ロニーはカービーの店に向かい、バーから出て来たハッドからフレッチャー夫人の家に行くと言われる。

母が死んだ後、荒れた父と派手に遊び、女を追いかけ回した話をハッドから聞いたロニーは彼と別れる。

翌朝、アルマに起こされたロニーは、獣医が来ると言われる。

牛の死骸から検体を採取した獣医のバーリス(ウィット・ビッセル)は、検査のために牛を集めることをホーマーに指示する。

牛が”口蹄疫”で死んだことを知ったホーマーは、それが伝染していないか調べる必要があると言われる。

ホーマーはショックを受け、ハッドから対策を訊かれたバーリスは、集めた牛の検体を健康な牛と馬に接種して様子を見ると答える。

ハッドは、病気であれば殺処分だということを確認する。

以前に7万7000頭の牛と家畜などを処分したことを聞いたホーマーは、最近メキシコから買った牛が原因の可能性があり、バーリスから、接触した牛はすべて処分の対象になると言われる。

牧場の牛すべてを失うことになると言うホーマーに、自分の見込み違いならいいがと伝えたバーリスはその場を去る。

ハッドは、失業することを心配するジェシーとホセに、フェンスの修理をするようにと指示する。

納得いかないハッドは、病気が判明すれば牧場が閉鎖されるのは確実なために、本格的な検査が始まる前に牛を売り払うことをホーマーに提案する。

同業者に疑いがある牛を売る気にはなれないホーマーは、強引なハッドに国中が汚染されてしまうと伝える。

この国はとっくに汚染されていると言うハッドは、手遅れにならないうちに手を打つべきだという考えを変えない。

不道徳な男だと言われたハッドは、父が善人なので釣り合いが取れ得ると伝えてその場を去る。

その後、ハッドは仕方なく牛を集め、希少価値のあるロングホーンだけは放してあげるべきではないかと考えたロニーだったが、ホーマーから正しくない考えだと言われる。

その夜、ロニーと映画を観に行ったホーマーは、上映前に”いとしのクレメンタイン”を歌い疲れを忘れる。

帰りにロニーとダイナーに寄ったホーマーは、ハッドがリリー・ピーターズ(イヴェット・ヴィッカーズ)と現れたことに気づく。

呼ばなくてもいいとロニーに伝えたホーマーだったが、自分達に気づいたハッドからリリーを紹介される。

体裁を気にして席に誘いもしないと、ハッドに嫌味を言われたホーマーは気分が悪くなる。

ハッドとロニーに帰りたいと伝えたホーマーは、車の中で眠ってしまう。

ホーマーの老いを気にするロニーは、ハッドから、人間はいつかは死ぬので覚悟しておくようにと言われる。

家に着き、ホーマーに手を貸そうとするものの断られたハッドは、牧童とポーカーをして離れの部屋に向かったアルマに声をかける。

部屋に入れてもらったハッドは、アルマから、ギャンブル好きの元夫の話などを聞く。

自分を誘うようなハッドの言葉に答えようとしないアルマは、その場を去る彼を見つめる。

翌日、牧場の牛から採取した検体を健康な牛に接種したバーリスは、6日後には結果が出るとホーマーに伝える。

牛に蹴られて柵で頭を打ったロニーは、家の部屋に運ンでくれたハッドから休むようにと言われる。

心配してレモネードを飲ませてくれたアルマの手を握ったロニーは、優しくていい人だと伝える。

牧場の柵の各所には、口蹄疫感染の恐れがあるという警告文だ貼られる。

翌朝、回復したロニーは仕事をしようとするものの、ホーマーから、検疫が終わるまではすることがないと言われる。

検査の結果次第では破産だと言うハッドは、愚痴をこぼすばかりだった。

酔ったハッドはアルマに言い寄り、誘い方を指示されたために気分を害する。

馬鹿な男に引っ掛かるのはもうこりごりだと言うアルマに、ハッドは自分が引っ掛かったと伝える。

食事を終えたハッドは、何もすることがないために苛立ち、アルマを祭りに誘うものの返事もしてもらえない。

ハッドがアルマを誘うのは珍しいと言うロニーだったが、いつも一緒にいる女は本当の相手ではなく、ハッドでも寂しいのだろうと考えるホーマーの話を聞く。

豚追いを見たいと言うロニーと祭りに行こうとするホーマーだったが、アルマは付き合う気になれないことを二人に伝える。

ダンス・コンテストの後で豚追い競技が始まり、それに参加したハッドは、ホーマーとロニーの前で張り切る。

優勝したハッドは、ホーマーが帰った後でロニーを連れて町のバーに向かい、現れた魅力的な女性を気にする。

女性に声をかけたロニーは、連れの男に因縁を付けられ、間に入ったハッドが彼を叩きのめす。

他の男も加わって喧嘩になったハッドとロニーは、痛い目に遭ったものの気が晴れる。

共に楽しい思いをした兄の話になったハッドは、事故を起こして兄は死んだものの自分は無傷だったと言って、愛想が尽きただろうとロニーに尋ねる。

そんなことはないと言うロニーと共に、ハッドは歌いながら家に戻る。

騒ぎに気づき起きて来たホーマーは、ハッドに憧れている様子のロニーに、騙されるなと忠告する。

兄を死なせた自分を許せないのだと考えるハッドに、ホーマーは、飲酒運転のせいだと伝える。

15年が経っているにも拘わらず、いまだに責められることが不満なハッドは、問題はそこではなく、事故の前に既に見限っていたと言われる。

兄の件とは関係ないことを知ったハッドは驚き、悲しみは乗り越えたと言われたため、それならばどうでもいいことだとホーマーに伝える。

何事もどうでもいいと考えることが問題であり、それが理解できないハッドに対しホーマーは、他人に関心がなく、何かを大切にしたり常識的な考えを持てないことを指摘する。

気ままに生きることしかできない身勝手な人間だと言うホーマーは、息子とは思えないと伝える。

母親は愛してくれたと言うハッドは、その場を去る。

厳し過ぎないかと意見するロニーは、この土地の男達はハッドのようなものだとホーマーに伝えるものの、何の救いにもならないと言われる。

ハッドのような男を慕うから、国が変わってしまうと伝えたホーマーは、言い過ぎだと考えるロニーに、そうかもしれないが、老いて頑固になったことは認める。

いつか、どんな生き方をするか人生を選ぶことになるとロニーに伝えたホーマーは部屋に戻る。

キッチンにいたハッドは苛立ち、自分を気遣うロニーを迷惑に思い追い払う。

翌日、ロデオ会場で、ロニーに席をとるために10ドル渡したハッドは、自分と組めば直に金が入ると言って、年老いたホーマーは強制的に引退させられることを弁護士から聞いたと伝える。

その考えに同意できないロニーは、金を返して去ろうとするが、ハッドから、これまで働いた見返りだと言われる。

要領よく生きなければいけないと言うハッドは、誰も助けてはくれないとロニーに伝えて、10ドルを彼の胸ポケットに入れて立ち去る。

その夜、引退させられる件をロニーから聞き、ハッドにそれをに確認したホーマーは、死ぬまでは自分が仕切ると言って去ろうとする。

そうはいかないだろうと言うハッドは、子供時代から規則に縛られたことの反動で自分はこうなったのだろうとホーマーに伝える。

なぜこんな男が自分の子であるかを問いながら、ホーマーは自分の部屋に戻る。

自分は拾われたのではなく、ホーマーも普通の男だったからだと声を荒げる酔ったハッドは、その様子を見つめるロニーを無視して外に出る。

離れから出てきたアルマに気づいたハッドは、部屋に押し入り彼女に迫り抵抗される。

そこに現れたロニーに制止されたハッドは、彼を殴ろうとするものの思い留まり、その場を去る。

ハッドは酔っていたと伝えて、アルマを気遣うロニーだったが、出て行ってほしいと言われる。

外にいたハッドから、惹かれていたアルマに迫りたかったはずだと言われたロニーは、否定はしないものの、あんなやり方はしないと伝える。

翌日、訪ねて来たバーリスから検査の結果を知らされたホーマーは、最悪の結果だと言われる。

治療法はなく、感染が広まらないうちに牛を処分するようにと言われたホーマーはショックを受ける。

必ず立ち直れるというバーリスは、牧草地を石油会社に売ることを提案する。

ハッドから、自分が石油を嫌っていると言われたホーマーは、土地に穴を開けるつもりはなく、育てることも捕まえることもできない石油を扱っても、誇りを持てないと話す。

金になると言うハッドに、自分で稼いだ金でなければほしくないと伝えたホーマーは、報告してくれたバーリスには感謝する。

その後、ブルドーザーで掘られた穴に集められた牛を見つめるホーマーは、始めるようにとハッドに指示する。

牛はハッドらによって射殺され、死骸には消毒液と石灰などが散布される。

ロニーから呆気なく終わったと言われたホーマーは、時間をかけた育てたが殺すのは一瞬だったと考えながら、埋めるようにと指示する。

ブルドーザーにより、穴は埋められる。

その後、バーリスと共に現れた役人は、残った二頭のロングホーンを射殺しようとする。

ホーマーから自分が始末すると言われた役人は、車に戻るようバーリスに指示される。

バーリスから後は任せると言われたホーマーは、二頭は自分で始末するので、役人を連れて出て行ってほしいと伝える。

ホーマーに同情するバーリスは、その場を去る。

嫌な仕事を引き受けるバーリスを気遣うホーマーは、ジェシーとホセに、今後は雇っていけないことを伝える。

ハッドからライフルを受け取ったホーマーは、ロングホーンを探し回ったことをロニーに話しながら、一人にしてほしいと伝えて囲いに入り二頭を射殺する。

ホーマーは苛立ちながら家に向かい、ハッドとロニーに牛を埋めるようにと指示する。

去ることになったアルマに200ドルを渡そうとしたロニーは、それを断られる。

ロニーにバス乗り場まで送ってもらったアルマは、いてほしいと言う彼に、涙ぐみながら別れを告げて彼を抱きしめる。

心残りのロニーだったが、それ以上、何も語らずにその場を去る。

弁護士事務所から出て来たハッドは、バスを待つアルマに気づき、先日のことが原因だったのか尋ねる。

もう決めたことだと話すアルマに謝罪したハッドは、乱暴にしなければ受け入れてたと言われる。

アルマが自分に好意を持っていたことを知ったハッドは、言ってほしかったと伝える。

到着したバスに乗ろうとするアルマは、自分を振った女なので忘れないと言うハッドに、何も答えずに乗車する。

車で追ってきたハッドに煽られてぶつけられたロニーは、道に倒れていたホーマーに気づき急停車する。

牧場を見回っている途中でホーマーが落馬したことを知ったハッドとロニーは、彼の怪我を確認する。

自分の車で救急車を呼んでくるようにとロニーに指示したハッドは、エンジンがかからないと言われたために、ホーマーにウィスキーを飲ませようとする。

飲もうとしないホーマーは、ハッドがロニーに助けを呼びに行かせようとしたために、それを制止する。

ロニーにその場にいてほしいホーマーは、寒気がして死を予感し、自分がいてはハッドが迷惑だろうと言って静かに息を引き取る。

ホーマーの死にショックを受けるロニーは、年老いて怪我をした身では仕方がないと言うハッドの話を否定し、重傷ではな買ったので、気力さえあれば助かったと考える。

自分のせいで死んだと言われたハッドは、すべてを知らないロニーに、ホーマーとは不仲だったが、自分なりに父を支えてきたことを伝える。

土地を売って気力まで奪ったと言うロニーは、それが支えたことになるのかとハッドに問う。

その後、ホーマーの葬儀を終えたロニーは、祖父は安らかに眠っていないとハッドに伝える。

ホーマーは牧場の仕事をして天気のことを気にしていると考えるロニーは、祖父の友人であるトルーマン・ピーターズ(カート・コンウェイ)から、ホーマーは天国でここより幸せに過ごしていると言われる。

それを信じないロニーは、冷たい土の中だと言い残して立ち去る。

牧場に戻ったハッドは、埋葬を済ませたことをロニーに伝える。

旅立つ決心をしたロニーは、遺産のことをハッドから訊かれて、銀行に入れておいてほしいと言って、自分はよそで働く考えがあることを話す。

独り立ちには早過ぎると言われたロニーは、何とかすると答える。

自分と同じ年頃に入隊した際、ホーマーが男になれと言ってくれたことを話したハッドは、ロニーから、徴兵逃れしないか心配だったのだろうと言われる。

ロニーを呼び止めたハッドは、路頭に迷ったら戻ってくるようにと言って、雇ってやると伝える。

戻っては来ないと言われたハッドは、ホーマーと同じで自分のことを家族とは思えないのかとロニーに問い、残念に思う。

自分を慕っていたはずだと伝えるものの、昔の話だと言われたハッドは、その場を去るロニーに、汚れている世の中に誰でも染まってしまうと忠告する。

ハッドを無視するロニーは、歩いてその場を去る。

家に向かったハッドは、冷蔵庫からビールを取り出し、タバコに火を点けて、外を眺めながら微笑みドアを閉める。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
テキサス
牧場主の息子ハッド・バノンは、女と酒に溺れる自堕落な日々を送っていた。
ある日、町で一夜を過ごしたハッドは、迎えに来た甥のロニーと共に父ホーマーの元に向い、牛が変死したことを知らされる。
獣医のバーリスから、すべての牛が口蹄疫に感染している疑いがあることを知らされたホーマーはショックを受け、牧場の閉鎖の危機に直面する。
検査結果次第ではすべての牛を殺処分する命令が下るため、ハッドは、その前に牛を売ることを考えるものの、不道徳なその提案にホーマーは賛成できるはずがなかった。
飲酒運転で兄を事故死させたことか、ら親子の関係に溝が入ったハッドとホーマーは、いがみ合いながら検査結果を待つのだが・・・。
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ピューリッツァー賞受賞者であるラリー・マクマートリーの小説”Horseman, Pass By”を基に、マーティン・リットが製作を兼ねて監督した作品。

疫病による牧場閉鎖の危機に直面した不仲である親子の関係を描く内容は、かつての理想を失いかけた、当時のアメリカ社会そのものを映し出す、強いメッセージ性を訴えた作品でもある。

容姿がいい派手に遊ぶ叔父に憧れる少年が、牧場の危機や女性に対する目覚め、また祖父の死による悲しみを体験しながら、成長して自分の生きる道筋を見つける物語も、マーティン・リットは一つのテーマとして繊細に描いている。

クライマックスで叔父を見限る少年の後ろ姿に逞しさを感じさせると共に、それでも尚且つ、自分を変えようとする様子が窺えない主人公の表情で終わるラストも印象的だ。

第36回アカデミー賞では、主演女優(パトリシア・ニール)と助演男優(メルヴィン・ダグラス)、そして撮影賞(白黒)を受賞した。
*ノミネート
監督
主演男優(ポール・ニューマン
脚色・美術賞
ゴールデングローブ賞でも、作品、監督、主演男女優、助演男優賞にノミネートされた。

2018年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

いつもとは違う雰囲気の、エルマー・バーンスタインのしっとりとした楽曲にも注目したい。

主演のポール・ニューマンは、不仲の父親との生活の中で、すべてに不満を抱き自堕落な日々を送る牧場主の息子を好演している。

昔ながらの考えを変えずに息子に厳しく接する、主人公の父親である牧場主を燻し銀の演技で深く演ずるメルヴィン・ダグラスと、彼の家の住み込みメイドを雰囲気ある演技で演ずるパトリシア・ニールも各方面で絶賛された。

主人公である叔父に憧れながら、様々な体験をして成長する少年を好演するブランドン・デワイルド、獣医のウィット・ビッセル、牧童のクラハン・デントンヴァル・エイヴリー、主人公の不倫相手の夫ジョージ・O・ペトリー、同じくカート・コンウェイ、その妻イヴェット・ヴィッカーズ、町の店の店主シェルドン・オールマンジョン・アシュレイなどが共演している。


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