伝説の奇術師ハリー・フーディーニの半生を描く、監督ジョージ・マーシャル、主演トニー・カーティス、ジャネット・リー、トーリン・サッチャー、アンジェラ・クラーク他共演の実録ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・マーシャル
製作:ジョージ・パル
原作:ハロルド・ケロック”Houdini”
脚本:フィリップ・ヨーダン
撮影:アーネスト・ラズロ
編集:ジョージ・トマシーニ
音楽:ロイ・ウェッブ
出演
ハリー・フーディーニ:トニー・カーティス
ベス・フーディーニ:ジャネット・リー
オットー:トーリン・サッチャー
ヴェイス夫人:アンジェラ・クラーク
ドイツの検察官:ステファン・シュナベル
マルエ:イアン・ウルフ
シュルツ:シグ・ルーマン
ドゥーリー:マイケル・ペイト
シュルツ夫人:コニー・ギルクリスト
イギリスの刑務所長:マルコム・リー・ベッグス
ハンター:フランク・オース
マーリックケイブ:バリー・バーナード
シムズ:ダグラス・スペンサー
ウェイター/用心棒:フレッド・アルドリッチ
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1953年製作 106分
公開
イギリス:年月日
北米:1953年7月2日
日本:1954年5月2日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1890年代、ニューヨーク、コニーアイランド。
学生のベス・ラーナー(ジャネット・リー)は、カーニバルの見世物小屋に興味を持ち、野生人”ブルート”を見物する。
ブルートに扮していた三流芸人のハリー・フーディーニ(トニー・カーティス)は、案内人のシュツツ(シグ・ルーマン)に檻の外から鞭打たれる。
見物していたベスはシュルツを制止し、隣りの見世物に向かう。
ベスに惹かれたハリーは、野生人からマジシャン”グレート・フーディーニ”の衣装に変えてショーを始める。
ベスを舞台に上げて手伝ってもらったハリーは、彼女の名前を当てるマジックで客を驚かせる。
また会いたいことをベスに伝えたハリーは、無礼だと言われるものの、諦めずにブルートのマスクを被り、彼女に迫り騒ぎを起こしてしまう。 ベスに嫌われたハリーは、シュルツの妻(コニー・ギルクリスト)に解雇されてしまう。 数日後、ボーイフレンドと共に別のカーニバルに向かったベスは、ハリーのショーを見物する。 ハリーが気になるベスは、その後も彼のショーを見に行き、互いに気持ちを伝えた二人は愛を確かめる。 ベスを家に連れて行ったハリーは、母(アンジェラ・クラーク)に彼女を紹介する。 ハリーとベスは、自分たちが結婚したことに気づいた母に祝福される。 その後、巡業で各地を回るハリーとベスは、過酷な労働と共に生活状況は悪化する。 それに耐えられないベスは、家庭を第一に考えてほしいと言ってハリーを説得する。 ニューヨークに戻ったハリーは、鍵の製造工場で働くようになり、金庫の担当をさせてもらえないのが不満だった。 ハロウィンの夜、ベスを”ホテル アスター”の食事に誘ったハリーは、マジシャン協会の催し物に出席する。 主催者である司会のマルエ(イアン・ウルフ)は、拘束衣を脱ぐ競技の参加者を募る。 ベスを説得して舞台に上がったハリーは、参加者皆が苦労する中、集中して拘束衣を脱ぎ賞を受け取る。 ハリーの才能を認めたマルエだったが、トリックではない、特別な能力を使うことはやめるべきだと助言する。 以前にもそれを体験したマルエは、ヨハン・フォン・シュウェガーというマジシャンの話をして、彼が成功する前に引退したことをハリーに伝える。 マルエは、フォン・シュウェガーに会ってみたいと言うハリーに、成功と引き換えに命を失わないようにと助言する。 帰宅したハリーは、賞品がヨーロッパ行きの乗船券だと知り、マジックが学べてシュウェガーにも会えると言って喜ぶ。 往復券一枚だったために片道二枚にすることを考えるハリーは、換金して家の頭金にしようとするベスに従う。 その後、仕事場で、ランチタイムに金庫から脱出することにチャレンジしたハリーは、扉を爆破する騒ぎとなったために解雇される。 夕食の際、ベスからわざと解雇されたと言われたハリーは、マジシャンになる考えを変えない。 出て行くと言って部屋に閉じこもったベスに、自分が出て行くと伝えたハリーはその場を去る。 カーニバルで芸をしていたハリーの元に向かったベスは、片道乗船券二枚を彼に見せて喜んでもらう。 ロンドン。 記者のドゥーリー(マイケル・ペイト)からインチキだと言われたハリーは、どこに閉じ込められても脱出できると伝える。 スコットランドヤードの独房に入れられることになったハリーは、楽屋に現れたサクラだったドゥーリーに感謝する。 脱出できればフロントページを飾れると言われたハリーは、ドゥーリーに謝礼を払い、イギリスの監房はアメリカとは違うことを知る。 翌日、監房に向かったハリーは、刑務所の所長(マルコム・リー・ベッグス)から、外からしか開けられないことなどを知らされ、その場に入れられる。 針金を隠していたハリーは、それを使い外のロックを外して脱出する。 ハリーは、自分に扮して何とかショーを続けていたベスと入れ替わり、客を喜ばせる。 ベルリン。 ベスと共にクラブに向かったハリーは、誕生日を確認する彼女が、お祝いで母を呼び寄せてくれたことを知り感激する。 ところが、ハリーは詐欺罪で訴えられて出廷し、自分のマジックは超常現象だと言われたために反論する。 マジックにはすべてトリックがあると言うハリーは、その場に用意された金庫を開けることができた場合には、告訴が取り下げらえることになる。 外からではなく、あえて中に入り難なく金庫を開けたハリーの告訴は取り下げられ、ベスは、金庫は中からの方が簡単に開けられることを母に伝える。 フォン・シュウェガーの家を訪ねたハリーは、彼のアシスタントだったトーリン・サッチャーから、本人は2日前に亡くなったことを知らされる。 フォン・シュウェガーから手紙を受け取っていたハリーは、自分に興味を持った彼が会いたがってことを知る。 オットーから、フォン・シュウェガーが非物質化について聞きたがっていたと言われたハリーは、彼がそれを再現できなかったことも知る。 自宅に記者を招待しようとしたハリーは、誰も現れないために、アメリカでの自分の知名度の低さを痛感する。 宣伝のため、拘束衣を着てビルの屋上から宙吊りとなったハリーは、注目を浴びて一気に名が知られるようになる。 デトロイト。 ハロウィン。 ハリーは箱からは脱出するものの流され、厚い氷が張っているために水面に出られず、隙間の空気を吸いながら移動する。 氷上では箱が引き上げられるものの、空だったために、ベスはショックで気を失ってしまう。 行方不明だと報道されたハリーはベスの元に戻り、流されてしまった際に、母の声を聞いたことを伝える。 母の声を追っているうちに氷の穴にたどり着いたことをベスに話すハリーは、最愛の母が亡くなったという連絡を受ける。 それをベスに知らせたハリーは、母が亡くなったのが声を聞いた頃だと伝える。 2年後。 シムズは取材を断られるものの、拘束衣の宙吊りの記事でハリーを有名にしたこともあり、話を聞いてもらえる。 2年間、母の霊と接触しようとしてきたことをシムズに伝えたハリーは、彼も霊能者の元に連れて行く。 何かが現れるものの降霊は失敗し、オットーが偽の霊能者だったことを暴く。 その後ハリーは復帰し、危険な水牢からの脱出ショーが、ハロウィンの夜に初日を迎えることになる。 水牢の準備をするハリーの考えを、危険すぎると言って非難するベスは、彼の元を去ろうとする。 納得したハリーは水牢を諦め、その夜のショーに備える。 虫垂を痛めているハリーは、心配するオットーに、ショーを終えた後に病院で検査を受けることを約束する。 ショーは始まり、鋼鉄製の鎧を脱ぐことに成功したハリーは、宣伝にあった水牢のマジックを観客から求められる。 オットーに制止されるものの、観客の声援に応えてしまったハリーは、逆さまの状態で水牢に入れられることになる。 それを止めさせようとするベスは、桟敷席からステージに向かうものの、近づくことができない。 水牢に入り時間が経過し、苦しむハリーは脱出できず、入り口から客席に向かったベスは叫び声をあげる。 オットーは、水牢のガラスを割りハリーを助ける。 ”自分は必ず戻る・・・”
...全てを見る(結末あり)
再び夫婦で組んだハリーとベスは、マジシャンとして人気者になっていた。
”スコットランドヤードの監獄を破った男”として有名になり、成功してヨーロッパ巡業の旅を続けるハリーは、フォン・シュウェガーを捜すものの、見つけることができない。
人気者となったハリーは、激寒の川に沈められた箱から脱出するマジックの準備をする。
大勢の人々が見守る中、厳重に鍵がかけられた箱に入り沈められるハリーは、チェーンが切れてしまったために川に落ちてしまう。
母親の死後、活動を停止していたハリーの取材をしようとした記者のシムズ(ダグラス・スペンサー)は、彼に話しかける。
*(簡略ストー リー)
1890年代、ニューヨーク、コニーアイランド。
見世物小屋の三流奇術師ハリー・フーディーニは、見物人の学生ベスに惹かれる。
ベスに付きまとうハリーは、苦労しながら彼女の心を射止めて結婚する。
芸人として一流になれないハリーは、ベスに説得されて平凡な生活を選び、鍵工場の工員になる。
夢を諦めきれないハリーは、あるマジックのショーで才能を認められ、芸の世界に戻るのだが・・・。
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1928年に発表された、ハロルド・ケロックの小説”Houdini”を基に製作された作品。
伝説の奇術師ハリー・フーディーニが、三流芸人から成功し生涯をマジックに捧げる人生を描く実録ドラマ。
ハリー・フーディーニと妻ベスとの愛の物語をベースにした作品は、見世物小屋の芸人だった主人公が、最高の奇術師として頂点を極めることになる人生を、史実に従いかなり忠実に描いている。
妻以上に愛する母親との関係や、自分の芸に霊的なものを感じながらそれを追及する姿、母の死後に心霊術に傾倒するもののトリックだと気づき、それを暴くことに取り組んだ事実なども興味深く描かれている。
19世紀末以降の時代の雰囲気もよく再現され、マジックのショーの芸も多彩であり、娯楽作品としても十分に楽しめる。
主演のトニー・カーティスは見事なマジックを披露しながら、ユーモアをまじえてハリー・フーディーニを熱演し、実生活で彼の妻である美しいジャネット・リーは、息の合った演技で、フーディーニの妻役ベス・フーディーニを好演している。
主人公が捜し求める奇術師のアシスタントであり協力者となるトーリン・サッチャー、フーディーニの母親アンジェラ・クラーク、ドイツの法廷の検察官ステファン・シュナベル、フーディーニの才能を認めるショーの主催者イアン・ウルフ、コニーアイランドの見世物小屋の運営者シグ・ルーマン、その妻コニー・ギルクリスト、クライマックスで主人公を取材する記者マイケル・ペイト、イギリスの刑務所長マルコム・リー・ベッグス、他フランク・オース、フレッド・アルドリッチなどが共演している。