”ルワンダ紛争”末期に起きた”ルワンダ虐殺”時に1200人以上の避難民を匿ったホテル支配人の勇気ある行動を描く、製作、監督、脚本テリー・ジョージ、主演ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス、ジャン・レノ他共演の実録ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:テリー・ジョージ
製作
A・キットマン・ホー
テリー・ジョージ
脚本
テリー・ジョージ
ケア・ピアソン
撮影:ロベール・フレース
編集:ナオミ・ジェラティ
音楽
アフロ・ケルト・サウンド・システム
ルパート・グレグソン=ウィリアムズ
アンドレア・グエラ
出演
ポール・ルセサバギナ:ドン・チードル
タチアナ・ルセサバギナ:ソフィー・オコネドー
オリヴァー大佐:ニック・ノルティ
ジャック・ダグリッシュ:ホアキン・フェニックス
ティレン:ジャン・レノ
オギュスタン・ビジムング将軍:ファナ・モコエナ
デュベ:デズモンド・デュベ
デヴィッド:デヴィッド・オハラ
パット・アーチャー:カーラ・セイモア
ジョルジュ・ルタガンダ:ハキーム・ケイ=カジーム
グレゴワール:トニー・キゴロギ
トーマス・ミラマ:アントニオ・ライオンズ
フィデンス・ミラマ:レレティ・クマロ
イギリス/イタリア/南アフリカ 映画
配給
MGM
Lionsgate Films
2004年製作 121分
公開
イギリス:2005年2月25日
イタリア:2005年3月11日
北米:2004年12月22日
日本:2006年1月14日
製作費 $17,500,000
北米興行収入 $23,472,900
世界 $33,882,240
■ アカデミー賞 ■
第77回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優(ドン・チードル)
助演女優(ソフィー・オコネドー)
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1994年、ルワンダ。
フツ族とツチ族の長年の敵対が続き、フツ族の過激派民兵組織”インテラハムウェ”の現地リーダー、ジョルジュ・ルタガンダ(ハキーム・ケイ=カジーム)は、旧政府勢力”RPF”(ルワンダ愛国戦線)の一掃をラジオ放送で宣言する。
キガリ。
”サベナ・ベルギー航空”が経営する”オテル・デ・ミル・コリン”の副支配人ポール・ルセサバギナ(ドン・チードル)は、従業員デュベ(デズモンド・デュベ)と共に空港に向いキューバからの荷物を受け取る。
その後、フツ族であるポールはルタガンダに会い、キューバ産の葉巻を渡す。
ポールは集会に誘われるものの、政治に関わる暇がないことを伝え、その場でビールなどを仕入れてホテルに向かう。
ルタガンダが危険人物だとデュベに忠告されたポールは、彼らが愚かなだけでやがて活動も終わると考えていた。 カナダ人である国連平和維持軍のオリヴァー大佐(ニック・ノルティ)は、政府軍の指導者オギュスタン・ビジムング将軍(ファナ・モコエナ)とホテルで話し合い、民兵の動きを警戒する。 ポールは二人のテーブルに向い挨拶して、ビジムングのバッグにウイスキーを2本入れるようスタッフに指示する。 帰宅したポールは、妻タチアナ(ソフィー・オコネドー)や子供達、そして義兄トーマス・ミラマ(アントニオ・ライオンズ)とその妻フィデンス(レレティ・クマロ)と食事をして楽しい時を過ごす。 その後、道向いの住人がフツ族の民兵に痛めつけられて連行されるのを目撃したポールらだったが、何もすることはできなかった。 ツチ族のタチアナは不安を隠せず、政治とは無関係の単なる庭師である隣人を助けられないのかとコネのあるポールに問う。 それが無理だと答えるポールは、ホテルで政治家や外交官をもてなし恩を売っているのは、家族を助けるためだと言ってタチアナを納得させる。 翌日、イギリスのテレビ取材班のカメラマン、ジャック・ダグリッシュ(ホアキン・フェニックス)とリポーターのデヴィッド(デヴィッド・オハラ)を歓迎したポールは、彼らが民族紛争を理解できないことを知る。 ビジムング将軍にインタビューしたデヴィッドらは、政府軍が民兵を訓練しているという噂を否定され、ジュベナール・ハビャリマナ大統領を指示するだけだと言われる。 その後ハビャリマナ大統領は反乱軍との平和協定を結ぶことになり、ホテルでは国連平和維持軍を代表してオリヴァーの演説が始まる。 その場にいたルタガンダとビジムングは、ポールの前で”平和”に対して乾杯を捧げる。 その夜、ホテルを訪ねたトーマスとフィデンスは、”高い木を切れ”というコードネームと共に民兵が行動を開始するという情報をポールに伝える。 タチアナを避難させるべきだと言われたポールは、平和協定も結ばれ国連平和維持軍がいるこの地は安全だと考えていた。 帰宅途中、街の不穏な動きに気づいたポールは警戒しながら家に向かい、タチアナが家を焼かれた人々と息を潜めて隠れていることを知る。 ハビャリマナ大統領が反乱軍に暗殺されたことをタチアナから知らされたポールは、平和協定が結ばれた直後だったためにそれを信じようとしない。 停電して電話もつながらない状況であり、冷静に対処しようとしたポールは、姿が見えなくなった息子を捜しだして家に運ぶ。 誰かの血を浴びていただけの息子が、怪我をしていなかったことを知ったポールとタチアナは安堵する。 翌朝、ラジオ放送を聞いたポールらは、ツチ族が大統領を暗殺したことで裏切り者を探せという、トーマスが言っていた”高い木を切れ”のコードネームが発せられたことを確認する。 兵士が現れ、対応したポールはフツ族の証明書を見せて”オテル・デ・ミル・コリン”の者だと伝える。 ホテルの金庫を開けると言う兵士はポールに同行を求め、家族や隣人らも連れて行くことになる。 反抗したツチ族は殺され街が混乱する中、オフィスに着いたポールは、支配人室の金庫にあったホテルの鍵と現金を持って外に出る。 家族や隣人を撃てと命令されたポールは、それを拒み金を払おうとする。 一人1万フランを要求されたポールは無理だと伝え、1000ドルと家族の5万フラン分の指輪、そしてまだ金があると言って隣人からも金品を集めて兵士に渡す。 その金が一人分だと言われたポールは、10万フランで全員の解放を要求してホテルでそれを払うと伝える。 国連平和維持軍に守られたホテルの入り口に着いたポールは、金を持ってくるように言われる。 現金を兵士に渡したポールは、解放されたタチアナと隣人を連れてホテルに向い、避難すると言う支配人から鍵を渡されて後を任される。 タチアナと子供達を部屋に連れて行き、隣人達にスタッフ・ルームを提供し混乱する客の対応をしたポールは、フロント係のグレゴワール(トニー・キゴロギ)がいないことに気づく。 グレゴワールがプレジデンシャル・スイートにいることをデュベから知らされたポールは、民兵を指示するグレゴワールに仕事を拒否される。 対応に追われるポールは、赤十字のパット・アーチャー(カーラ・セイモア)から協力を求められ、ツチ族の孤児達を預る。 残りの子供の元に向かうパットは、トーマスの家に寄り彼らを連れて来てほしいとポールに頼まれ写真を渡される。 デヴィッドのインタビューを受けたオリヴァーは、虐殺の報告があるという質問に対し、国連平和維持軍は介入することは許されないと答える。 カメラマンのジャックは、街の様子を取材しなけらば真実を伝えられないと意見するが、デヴィッドは、ホテルの外には出ない約束であることを伝える。 しかし、ジャックはそれを無視して街に向かってしまう。 収容能力を超えた現状をオリヴァーに話したポールは、国連の施設への移送を求めるもののそれを拒まれる。 ”サベナ・ベルギー航空”社長のティレン(ジャン・レノ)に電話をしたポールは、ホテルの閉鎖も検討するティレンの意見に反対する。 評判が落ちることを心配したポールは、状況が悪化した際は閉鎖するというティレンからの指示を受ける。 従業員を集めたポールは、仕事をしたくない者は今直ぐこの場から去るようにと伝え、名乗り出る者が誰もいないことを確認する。 部屋のクーラーの修理でデヴィッドに呼ばれたポールは、その場に戻ったジャックが、虐殺の映像を撮影してきたことを知る。 映像を確認したデヴィッドは、それをトップ・ニュースで流す手配をする。 ジャックに撮影したことを感謝したポールは、これで何らかの救援活動が始まると言って喜ぶ。 世の中の人々は他人事と考え、単純に物事は運ばないことをジャックはポールに伝える。 翌日、襲撃から逃れて来た人々はホテルに押し寄せ、皆殺しが始まったことを伝える。 首相を警備していたオリヴァーの部下も殺され、欧州各国で組織する介入軍が数日で到着することをポールは知らされる。 これ以上ホテルに収容できないことを再び訴えるポールだったが、オリヴァーに何とかするよう言われる。 タチアナと共にパットに会ったポールは、トーマスと家族の姿はなく、家は略奪の跡があったことを知らされる。 二人の娘は保護されていたが、トーマスとフィデンスの消息は分からず、娘を連れて来るのも不可能だとパットは伝える。 孤児院の子供達も自分の目の前で民兵に殺されたと話すパットは、ツチ族を根絶するために行われている行為だと語る。 子供達の行き場がないと言って嘆くパットは、介入軍が来ると言うポールに励まされる。 ようやく援軍が現れるものの、オリヴァーは見捨てられたと言って憤慨し、虐殺を止めずに軍が撤退することをポールに伝える。 そのことをタチアナに話したポールは、支配階級気取りで贅沢をしながら仕事をしてきた自分が、ゴミのように捨てられる現実を語る。 外国人の退去が始まり、白人の考えを恥と思いながらジャックは仕方なくバスに乗る。 そこに神父らが多数の子供達などを連れて現れるが、軍は移送を拒む。 納得できない神父を説得したポールはホテルに入るよう指示し、デヴィッドとジャックはその様子を取材する。 自分を置いて子供を連れて逃げるようにとタチアナに言われたポールは、できるはずがないと答えて彼女を抱きしめる。 翌朝、現れた政府軍兵士にホテルから出るよう指示されたポールは、ビジムング将軍を捜すものの居場所は分からない。 ティレンに電話をしたポールは、政府軍にホテルを出るよう言われ、従業員100名と客800名が殺されるだろうと伝える。 国連や政府に連絡を取ろうとしたティレンは、保留にしてあった電話口のポールから、政府軍にフランスが援助していることを知らされて時間稼ぎをするよう伝える。 兵士に宿泊者名簿を見せるよう言われたポールは、混乱前の外国人を含めたものを渡す。 ツチ族の名簿だけを渡すよう指示した兵士は、誰に電話をしたのかを問うがポールは白を切る。 殺すと脅されたポールだったが、連絡を受けた兵士は撤収する。 ティレンに電話をしたポールは、フランス大統領府に連絡をしたことを知らされる。 救出の要請もしたものの、その可能性は低いと言われたポールは、欧米各国にとってはルワンダは血を流す価値がないとも言われる。 従業員らに自衛しかないことを伝えたポールは、自分達の危機を外国の要人に知らせることを考え、それを実行させる。 現れたビジムング将軍に信頼されているポールは協力を約束され、アメリカがスパイ衛星で監視しているらしいという嘘の情報を伝える。 更に、働こうとしない従業員のグレゴワールにポールが梃子摺っていることを知ったビジムングは、グレゴワールを脅し仕事をするよう命ずる。 心を入れ替えて詫びるグレゴワールを連れてルタガンダの元に向かったポールは、食料を調達しようとする。 ルタガンダがツチ族を絶滅させようとしていることを知ったポールは、既にそれが半ばに達していると聞きショックを受ける。 軍はホテルを警戒して手出ししないが、やがて軍は去り民兵が実権を握り、その時に最終的な絶滅計画が実行されることをポールは知らされる。 ホテルにいる裏切り者を引き渡せば身内は見逃すと、ポールはルタガンダに言われる。 ルタガンダから川沿いの道を行くよう言われたポールは、霧のために車を止めさる。 無数の死体を確認したポールは引き返し、このことは誰にも話すなとグレゴワールに伝える。 ホテルに戻ったポールは汚れたシャツを着替えるが、ネクタイを締めることができずに動揺する。 デュベはポールの様子を心配して気遣い、何百もの死体を見たことを知らされる。 つかの間の平穏な時をタチアナと過ごしたポールは、民兵が襲ってきた場合は子供を残して死ねないことを伝える。 その時は屋上に上がり、子供を抱いて飛び降りるようにと言われたタチアナは取り乱しそうになるが、惨殺を免れるには他に方法がないとポールに言われて納得する。 翌日、現れたオリヴァーは電話作戦が成功したことを伝え、出国ビザが下りた者の名前を呼び、ポールと家族はベルギー行きが決まる。 兄トーマスの娘達を置いて行けないと言うタチアナの言葉を聞いたポールは、パットに姪達を捜してほしいと頼み、孤児達を必ず出国させることを約束する。 翌日、出発の時間が迫り姪達のことを諦めたポールは、人々に別れを告げて出発しようとする。 しかし、人々を見殺しにできないポールは、それをタチアナに伝えてその場に残る。 グレゴワールは、出国する者の中に裏切り者がいることを民兵に通報する。 民兵が移送トラックを襲おうとしていることをラジオで知ったポールは、ビジムング将軍に助けを求める。 オリヴァーは襲いかかる民兵から出国者達を守り、その場に現れた政府軍と民兵が小競り合いになる。 トラックを出発させたオリヴァーはホテルに戻り、負傷者の手当てをさせる。 ラジオで裏切り者扱いされたポールは、タチアナから自分達を見捨てたと言って罵られる。 冷静になったタチアナに謝罪したポールは、プールの水を汲むデュベから水を止められたことを知らされる。 現れたビジムング将軍から助けた見返りを求められたポールは、ルワンダ紙幣を渡すものの受け取りを拒否される。 ビジムングはポールを見限り、他に助けを求めろと言い残してその場を去る。 フツ族の捕虜と避難民の交換が成立したことをポールに知らせたオリヴァーは、2日後にそれが実行されることを伝える。 2日間も持ち堪えられない状況を説明したポールは、見返りを渡すと言って、ビジムング将軍と共にオフィスのある戦闘地帯のディプロマトに向かう。 その途中でポールは、パットの車が横転していることに気づく。 オフィスの金庫を開けたポールは、宝石と酒をビジムングに渡すが、ホテルには戻らないと言われる。 命を助け本部に連れて行くと言われたポールは、戦犯として訴追されることをビジムングに伝える。 それを信じないビジムングに対し、軍の指導者であれば間違いなく裁かれるとポールは伝え、自分が証人にならなければ虐殺者と思われると言って説得する。 虐殺とは無関係だと言うビジムングだったが、誰もそれを信じないとポールは断言する。 証人になれと言われたポールは、今すぐホテルに戻るようビジムングに指示する。 ホテルに戻ったビジムングは押入っていた民兵を追い出し、ポールはタチアナと子供達を捜す。 タチアナが自分の指示に従い屋上に向かったと考えたポールだったが、グレゴワールに見つかってしまう。 ポールは民兵に捕らえられるものの、政府軍兵士が現れて解放される。 屋上でタチアナを見つけられず、飛び降りてもいなかったことを知ったポールは部屋に戻り、浴室に隠れていた彼女らを見つける。 ホテルを閉鎖したポールは、国連平和維持軍のトラックで移送される途中、無数の避難民と遭遇する。 民兵が現れてトラックに立ちはだかるが、前線を越えた反乱軍がそれを一掃する。 難民キャンプに到着したポールは、タンザニア行きのバスに乗るようオリヴァーに指示される。 ポールとタチアナは姪達を捜すものの、見つけられないままバスに乗ろうとする。 その場で支援活動をする無事だったパットは、ポールらがバスに乗ったことを知りそれを追う。 パットに気づいたポールとタチアナは、バスを降りて互いの無事を喜び合う。 キャンプに戻どるようパットに言われたポールとタチアナは、姪達を見つけて抱きしめる。 そして、ポールとタチアナそして子供達は、パットと共に安全地帯へと向かう。 ポール・ルセサバギナは、1268人の避難民をキガリの”オテル・デ・ミル・コリン”に匿った。 ポールとタチアナは、子供達と養子にした姪達共にベルギーで暮らしている。 タチアナの兄トーマスとフィデンスの消息は分からなかった。 2002年、オギュスタン・ビジムング将軍は戦犯となりアンゴラ政府により逮捕され、タンザニアの国連の戦犯法廷で裁かれた。 同じ法廷で裁かれた”インテラハムウェ”のリーダー、ジョルジュ・ルタガンダは終身刑となった。 大量虐殺は1994年7月に終わり、フツ族の軍隊と民兵は国境を越えてコンゴに逃げた。 彼らが去った後には、約100万の死体が残された。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
1994年、ルワンダ、キガリ。
フツ族とツチ族の長年の敵対が続いていた。
”サベナ・ベルギー航空”が経営する”オテル・デ・ミル・コリン”の副支配人ポール・ルセサバギナは、軍人や外交官などに気配りして恩を売り、混乱時には家族を救うことを考えていた。
フツ族のポールは、ツチ族の妻タチアナが不安を抱えているため情勢を見守るものの、ハビャリマナ大統領が暗殺されたことをきっかけにして民兵の残虐行為が始まる。
現れた兵士に賄賂を渡すために、タチアナと子供達そして匿った隣人を連れてホテルに向かったポールは、何とか解放される。
国連平和維持軍のオリヴァー大佐の協力を得ながら、混乱するホテル運営を任されたポールは、次々と現れる避難民を見捨てることができずに匿うのだが・・・。
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実在の人物の人道的な行為を描いた作品であり、当時の情勢を知るために、まず”ルワンダ紛争”と”ルワンダ虐殺”などについての予習をしてご覧になることをお勧めします。
軍人や外交官などをもてなして恩を売る、世渡りのうまいビジネスマンとしても優秀である主人公ポール・ルセサバギナが、賄賂を全て使い果たしてまでも人命を救おうとする姿を見て、「シンドラーのリスト」(1993)の主人公”オスカー・シンドラー”を思い起こした方は多いはずだ。
民族抹殺の残虐性などは平和国家で暮らしている者にとっては信じ難い行為なのだが、それが本作の舞台に限らず世界各地で行われているかと思うと恐ろしい。
救う価値のない対象と判断すれば、それをゴミのように扱う西側諸国の対応なども描く、社会性に触れた厳しい内容のドラマは、この手の作品の多くと同じように鑑賞に覚悟がいると言ってもいい。
実際は更に悲惨であっただろうと思える映像が次々と登場するが、リアリズムと社会問題を追及する、製作と脚本を兼ねたテリー・ジョージの力強い演出は高く評価された。
第77回アカデミー賞では、そのテリー・ジョージとケア・ピアソンが脚本賞に、また主人公夫婦を演じたドン・チードルとソフィー・オコネドーが、それぞれ主演男優と助演女優賞にノミネートされた。
キャリア・ベストのパフォーマンスと言えるオスカー候補になったドン・チードルは、支配者階級気取りの恵まれた生活から地獄を見る男性ポール・ルセサバギナの苦闘を見事に演じ、その妻タチアナ役のソフィー・オコネドーの好演も光る。
国連平和維持軍の大佐ニック・ノルティ、イギリスのテレビ取材班のカメラマン役ホアキン・フェニックス、リポーターのデヴィッド・オハラ、ホテルを経営する”サベナ・ベルギー航空”の社長ジャン・レノ、オギュスタン・ビジムング将軍のファナ・モコエナ、主人公を慕う部下デズモンド・デュベ、赤十字の社員カーラ・セイモア、フツ族の過激派民兵組織”インテラハムウェ”のリーダー、ジョルジュ・ルタガンダのハキーム・ケイ=カジーム、主人公を憎む従業員トニー・キゴロギ、主人公の義兄アントニオ・ライオンズ、その妻レレティ・クマロなどが共演している。