ロマの一族の後継問題を描く、監督ニコラス・レイ、主演ジェーン・ラッセル、コーネル・ワイルド他共演のドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ニコラス・レイ
製作
ハワード・ ウェルシュ
ハリー・テイトルマン
原案:ジーン・エヴァンス
脚本:ジェシー・ラスキーJr.
撮影:レイ・ジューン
編集:オットー・ラディング
音楽:レス・バクスター
出演
アニー・カルダッシュ:ジェーン・ラッセル
ステファーノ・トリノ:コーネル・ワイルド
マルコ・トリノ:ルーサー・アドラー
パパ・セオドール:ジョゼフ・カレイア
ヴェルマ:ヘレン・ウェストコット
スウィフト:リチャード・ディーコン
ゼノ:ジェイミー・ラッセル
ビンボ:ウォリー・ラッセル
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1956年製作 84分
公開
北米:1956年3月
日本:未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
流浪部族ロマの王(族長)マルコ・トリノ(ルーサー・アドラー)は不治の病と診断される。
マルコはそれを隠し、王の座を弟ステファーノ(コーネル・ワイルド)に渡そうとする。
さらにマルコは、ステファーノをシカゴの同族の娘アニー・カルダッシュ(ジェーン・ラッセル)と結婚させようとする。
しかし、自分で妻を選びたいステファーノは、部族の仕来りに縛られることを嫌い、それを拒む。
一方、アニーと父セオドール(ジョゼフ・カレイア)は、結婚の契約書と共に渡される2000ドルを受け取り、持ち逃げする計画だった。 ステファーノは、自分の気持ちを正直にアニーらに伝えるが、彼女も、この結婚を利用した詐欺だということを話してしまう。 自分達に損はなく、マルコが被害を受けるだけだと気づいたステファーノは思わず噴出してしまい、その話に乗ることにする。 そして、結婚式の日を迎え、マルコはセオドールに2000ドルを渡し、アニーの弟ゼノ(ジェイミー・ラッセル)が、逃亡のための車を用意する。 しかし、仮病を使うはずのアニーは、そのままマルコの誓いの言葉に従い、彼女とステファーノの結婚は成立してしまう。 セオドールは現金を手にしたものの、予定外の娘の行動に戸惑い嘆き、ステファーノは不本意ながら、マルコに促されて、アニーとダンスを踊る。 その後、アニーとステファーノは大喧嘩を始め、結婚を祝う家族や部族仲間は、それが、若い二人の情熱だと思い込んで喜ぶ。 マルコ達が引き上げた後、ステファーノはアニーを残し、迎えに来た恋人ヴェルマ(ヘレン・ウェストコット)と出かけてしまう。 ステファーノは、ダンス教室のスウィフト(リチャード・ディーコン)の元に向かい、自分を雇わないことで因縁を付けて、その場でダンスを見せた後に、彼を叩きのめしてしまう。 逮捕されたステファーノを、罰金を払い釈放させたマルコは、それを家族には内緒にする。 しかし、そこにステファーノが戻ってきてしまい、見かねたセオドールは、結婚してしまった理由をアニーに聞く。 アニーは、ステファーノに惹かれてしまったことをセオドールに伝え、よき妻になり、トリノ一族で一番の金持ちになると言い切る。 怒りが収まらないセオドールは、ステファーノとマルコに責任を取らせようとする。 ステファーノに族長を継がせることを、マルコはアニーに知らせ、自分が重い病気だということも話す。 マルコはアニーに協力を求めるが、その話を聞いてしまったセオドールに、シカゴに帰ることを伝える。 その後ステファーノは、飲みながらアニーの身の上話などを聞くうちに、彼女に惹かれそうになる。 しかし、ステファーノは、それが彼女とマルコの企みだと知って憤慨し、再びヴェルマの元に向かってしまう。 そこに、占い師に扮したアニーが現れ、ヴェルマと喧嘩を始めて大騒ぎとなり、マルコが彼女を連れて帰る。 ステファーノは、ダンサーとなり各地を回るが、アニーが恋しくなり一族の元に戻る。 ところが、祖父がステファーノのために作った媚薬をアニーが飲んでしまい、彼女の気分が悪くなったことで、妊娠したのではないかという噂が広がる。 仲が悪く離れ離れになっていた二人だったが、ステファーノはアニーの浮気を疑い、彼女は気分を害し、マルコこそ王に相応しい男性だと言い返す。 マルコが浮気の相手だと思い込んだステファーノは、彼にそれを問質す。 二人は争いになり、ステファーノはマルコを叩きのめし、そこにアニーが現れて彼を介抱する。 アニーはシカゴに帰ることを決心し、ステファーノはマルコの企みの証拠を掴もうとする。 そしてステファーノは、マルコが結核で、深刻な状態にあり、それを理由に早く自分に後を継がせ、生活の基盤を築かせようと考えていたことを知る。 一族会議が始まり、マルコの後継にステファーノが指名され、長老会はそれを承認する。 ステファーノはそれを受け入れるが、アニーが結婚の解消を申し立てる。 夫としての務めも果たさず、噂を信じて妻を非難したことを、素直に謝罪したステファーノは、マルコを偉大な王と称える。 ステファーノは、アニーの申し出を認めて離婚が成立するのだが、マルコに促されて彼女を追う。 最初からやり直そうと言って、ステファーノはアニーを引き止め、王と結婚することを承諾した彼女を固く抱きしめる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
流浪部族ロマの王(族長)マルコ・トリノは、不治の病と診断され、それを秘密にして、弟ステファーノに王の座を継がせようとする。
更にマルコは、美しいロマの娘アニー・カルダッシュとステファーノとの結婚もお膳立てする。
しかし、白人社会に憧れを持つ、ダンスが好きなステファーノは、結婚相手を自分で決められない、部族の仕来りに反発し、それを断ってしまう。
アニーにも正直にそれを伝えたステファーノは、彼女も、結婚で得られる現金を持ち逃げする詐欺を考えていることを知る。
両者に損のないことに気づいたステファーノは、マルコをからかうつもりで、その話に乗ることにする。
しかし、ステファーノを気に入ってしまったアニーは、計画を無視して結婚を成立させてしまう。
怒り心頭のステファーノは、いきなりアニーと大喧嘩を始めてしまうが、マルコをはじめ一族は、それが若い二人の情熱だと思い込む・・・。
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アメリカ社会の中で、一族の誇りを胸に、一つのコミュニティーを築いているロマ族の、陽気で逞しい生き様などが興味深く、エネルギッシュに描かれている。
ダンスが効果的に使われ、ミュージカル仕立ての場面などもあり、ユーモアを交えたニコラス・レイの切れのいい演出は痛快でもある。
爽やかな余韻を残す楽しい作品が、日本では劇場未公開だったのは残念だ。
いつもながら、男性陣を圧倒する存在のジェーン・ラッセルの迫力ある演技、白人社会に憧れを抱くものの、一件で一族の誇りを取り戻し、逞しく成長する青年を熱演するコーネル・ワイルドの歯切れのいい演技も見ものだ。
一族の王(族長)を、人間味溢れる演技で演ずるルーサー・アドラー、若者達に振り回されるヒロインの父親役ジョゼフ・カレイア、ステファーノ(C・ワイルド)の恋人役ヘレン・ウェストコット、ダンス教室の経営者リチャード・ディーコン、ジェーン・ラッセルの実弟ジェイミー・ラッセルとウォリー・ラッセルも共演している。