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ホンドー Hondo (1953)

騎兵隊の偵察兵と母子との関係を描く、監督ジョン・ファロー、主演ジョン・ウェインジェラルディン・ペイジワード・ボンド他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇

ジョン・ウェイン / John Wayne 作品一覧
ジョン・ウェイン / John Wayne/Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ジョン・ファロー

製作:ロバート・M・フェローズ
原作:ルイス・ラムーア“The Gift of Cochise”
脚本:ジェームズ・エドワード・グラント
撮影
ロバート・バークス
アーチー・スタウト
編集:ラルフ・ドーソン
音楽
エミール・ニューマン
ヒューゴー・フリードホーファー

出演
ホンドー・レーン:ジョン・ウェイン
アンジー・ロウ:ジェラルディン・ペイジ
バッファロー・ベイカー:ワード・ボンド
ヴィットリオ:マイケル・ペイト
レニー:ジェームズ・アーネス
シルヴァ:ロドルフォ・アコスタ
エド・ロウ:レオ・ゴードン
マッケイ中尉:トム・アイリッシュ
ジョニー・ロウ:リー・エーカー
シェリー少佐:ポール・フィックス
ピート:レイモンド・バーンズ
エド・ロウの相棒:フランク・マクグラス
アパッチの戦士:チャック・ロバーソン

アメリカ 映画
配給
ワーナー・ブラザーズ(公開時)
パラマウント・ピクチャーズ(現在)
1953年製作 84分
公開
北米:1953年11月27日
日本:1954年5月28日
製作費 $3,000,000
北米興行収入 $4,100,000


アカデミー賞
第26回アカデミー賞

・ノミネート
助演女優(ジェラルディン・ペイジ
原案賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
アリゾナ準州
先住民から逃げる途中で馬を失ったホンドー・レーン(ジョン・ウェイン)は、ある牧場にたどり着く。

ホンドーに気づいたアンジー・ロウ(ジェラルディン・ペイジ)は、息子のジョニー(リー・エーカー)と共に警戒する。

野営中、愛犬のサムがアパッチに気づき起こしてくれたと言うホンドーに、アンジーは、先住民とは休戦中のはずだと問う。

それを認めたホンドーは馬が欲しいと伝え、自分は、クルック将軍率いる騎兵隊の偵察兵であることをアンジーに伝えて名を名乗る。
...全てを見る(結末あり)

安心したアンジーとジョニーも、ホンドーに挨拶する。

夫は牛を追って不在だとアンジーから聞いたホンドーは、馬を見せてもらい、食事をご馳走になる。

サムに餌を与えようとするアンジーに、ホンドーは、その必要はないと言い張る。

あばれ馬を馴らそうとするホンドーは、斧の刃を研ぎながら牧場のことなどをアンジーと話す。

両親を殺された夫を自分の父が引き取ったと話すアンジーは、偶然にしては都合がいいと言うホンドーに、運命の出会いもあり得ると伝える。

そうとも思えないホンドーは、研いだ斧で薪を割り、サムと遊びたいと言うジョニーに、警告はしたので自分の判断で決めるようにと指示する。

アンジーはサムを警戒するが、噛まれれば分かると言うホンドーは、経験も必要だと伝える。

ジョーニーにサムと遊ぶことを禁じたアンジーは、馬を囲いから出して乗りこなすホンドーを見つめる。

馬の蹄鉄を打つホンドーは、しきりに夫の話をするアンジーに、男仕事がされてないことを指摘し、夫の話は嘘だと言って彼女を追及する。

夫がいなければ襲うとでも思ったのかとホンドーから言われたアンジーは、それを認める。

女に飢えた男しか知らないようだともホンドーから言われたために、アンジーは気分を害する。

その後も仕事をしてくれるホンドーに、夫は長い間不在だが、アパッチに殺されたとは限らないと伝えたアンジーは、とにかくこの場を離れた方がいいと忠告される。

アパッチの酋長ヴィットリロ(マイケル・ペイト)が、戦の話し合いをしていたことを伝達に行くと言うホンドーは、彼らとは友好的に接してきたと話すアンジーに今回は警戒が必要だと伝える。

あくまで楽観的なアンジーに、白人側が協定を破ったと伝えたホンドーは、アパッチは嘘を決して許さないと言って、彼らが白人を追い出す気だと断言する。

それでもアンジーが話を聞き入れないために、ホンドーは諦める。

サムが先住民の匂いを1キロ先から嗅ぎ分けるという話をしたホンドーは、それを信じないアンジーに、自分も女を嗅ぎ分けられると伝える。

アンジーに近づいたホンドーは、今日はパンを焼き、塩漬けの豚肉も調理し、風呂の石鹸の香りである女らしい匂いがするため、暗闇の中でも見つけられると伝える。

動揺したアンジーは、何も語らずにその場を去る。

夜になり、家畜に餌と水をやったことをアンジーに知らせたホンドーは、その辺で寝ることを伝える。

ホンドーを呼び止めたアンジーは、嵐が来るために外では寝られないと言って、寝床を用意したことを伝えて彼を家の中に招き入れる。

床で眠ったホンドーの、ウィンチェスターのホルスターを見たアンジーは、彼がガンマンの”ホンドー・レーン”だと気づく。

物音で起き上がったホンドーに銃を向けるアンジーは、去年、撃ち合いで3人殺したことを追及する。

それを認めたホンドーは、弾の入っていない銃をアンジーから奪う。

弾を込めたホンドーは、ジョニーが触れないように、高い場所に置いておくようにと指示してアンジーに銃を渡す。

去ろうとしたホンドーを引き止めたアンジーは、いてほしいと言って、紳士だと分かったことを彼に伝える。

納得したホンドーは、寝床に横になる。

翌朝、旅立つホンドーは、ジョニーを起こしてくると言うアンジーに、寝かせておくようにと伝える。

ジョニーに作ってくれた笛のことでホンドーに感謝したアンジーは、メスカレロ族の妻がそれをよく作ってくれたと彼から言われる。

妻デスタルテは死んだと言うホンドーは、同情するアンジーに、悲しい過去ではない伝える。

その名前の意味を訊かれたホンドーは、”朝”を意味すると言って、アンジーに似ていたことを話す。

ブロンドだったのかと訊かれたホンドーは、長い黒髪だとアンジーに答える。

愛していたかを訊かれたホンドーは、分からないが、彼女を必要としていたと答え、外見はアンジーと全く似ていないと伝える。

肝心なのは外見ではなく、美人でも信用できない女はいるが、内面の美しさに惹かれる場合があり、妻のように君もそうだと言って、ホンドーはアンジーにキスする。

夫がいると言われたホンドーは、妻のせいなのか、それともアンジーを守りたかったのかを考え、自分の心は決まっているが押しつけはしないとアンジーに伝える。

変わった人だとアンジーから言われたホンドーは、彼女に別れを告げて、サムと共にその場を去る。

その後、牧場に、ヴィットリオ(マイケル・ペイト)率いるアパッチの一団が現れる。

この場から去れとヴィットリオから言われたアンジーは、いつも水をあげていると伝えて友好関係を示す。

銃を構えたジョニーに近づいたシルヴァ(ロドルフォ・アコスタ)は、発砲されて倒れる。

仲間達に笑われたシルヴァは、弾が当たっていないことに気づき、ナイフを手にしてジョニーに近づくものの抵抗される。

それを見ていたヴィットリオは、自分を恐れないジョニーの勇気を称え、指を切って血の契りを交わす。

これで兄弟だと言うヴィットリオは、ジョニーを”戦士”と呼ぶと伝えて、チリカウワの一員として、アンジーと共にこの場に住むことを許す。

感謝したアンジーは、子供同士が友達になれると伝えるが、子供は殺されたと言ってヴィットリオはその場を去る。

砦に戻ったホンドーは、友人のバッファロー・ベイカー(ワード・ボンド)に迎えられる。

指揮官のシェリー少佐(ポール・フィックス)に、ヴィットリオに受けた被害を訴えようとしていた男(レオ・ゴードン)の話を聞きながら、ホンドーは、北部の守備隊が全滅したことをシェリーに知らせる。

男を追い払ったシェリーは、北部の状況をホンドーから知らされ、移住民の中に母子がいたかを訊かれ、いないと答える。

その夜、酒場に向かったホンドーは、ベイカーとカードをしていたピート(レイモンド・バーンズ)と話をしようとするが、昼間の男に因縁をつけられる。

ホンドーは、止めに入ったベイカーと男を殴ってしまう。

男を叩きのめしたホンドーは、彼の名前が”エド・ロウ”だとベイカーから知らされ、アンジーの夫だと気づく。

ジョニーを可愛がってくれるヴィットリオから、男が必要だと言われたアンジーは、夫が戻ってくると伝える。

死んでいるとアンジーに伝えたヴィットリオは、戦士には父親が必要だと言ってその場を去る。

ホンドーの馬の鞍が自分の物であることを軍に訴えたエドだったが、ホンドーはそれを認めて、馬を返しに行くと伝えて砦を離れる。

エドは、相棒(フランク・マクグラス)と共にホンドーを追う。

現れたヴィットリオから、夫は間違いなく死んでいると言われたアンジーは、次の雨が降るまでに夫が戻らなければ、部族の中からアパッチの男を選ぶよう強要される。

川で野営の準備をしていたホンドーは、人の気配を感じてサムと共に退避する。

そこに現れたエドは、相棒をアパッチに殺されて襲われる。

アパッチを殺したホンドーはエドを助けるが、銃を向けた彼を射殺してしまう。

エドが手にしていたジョニーの写真を確認したホンドーは、仕方なく殺したものの、後悔してライフルを投げ捨てる。

その後、アパッチに襲われたホンドーは、捕らえられる。

”インターミッション”

拘束されたホンドーは、シルヴァに脅されるものの動じない。

現れたヴィットリオから兵士のいる場所を訊かれたホンドーは、話さないために拷問される。

ジョニーの写真に気づいたヴィットリオは、ホンドーを解放して、兄弟を殺されたと言うシルヴァとナイフで戦わせる。

胸を刺されながら、シルヴァに襲い掛かり脅したホンドーは、ヴィットリオにその勇気を認められる。

雨の中、アンジーの元にホンドーを連れて行ったヴィットリオは、彼が夫であることを確認する。

アパッチと暮らしたことがあるホンドーなら、戦士(ジョニー)の育て方を知っているはずだと伝えたヴィットリオは、その場を去る。

ホンドーは、アンジーとジョニーに家の中に運び込まれるが、サムはシルヴァに殺されてしまう。

手当てを受けたホンドーは、エドが持っていたジョニーの写真を見せて、エドが死んだことを伝える。

エドの死に方を訊かれたホンドーは、立派だったとしか答えられない。

ジョニーが大人になったら、自慢の父親だったと話すと言うアンジーの言葉に、ホンドーは心が痛む。

翌日、釣りをしていたジョニーが泳げないことを知ったホンドーは、彼を川に投げ入れて泳ぎを教える。

その夜、エドのことをアンジーに話そうとしたホンドーは、月を見てロマンチックな気分に浸っている彼女に、偵察の報告をした後に人を殺したことを伝える。

そこにヴィットリオが現れ、ホンドーは、間もなく始まる戦いでは白人に加勢するなと言われる。

偽の情報を流せと言われたホンドーはそれを断り、正直な男だと伝えたヴィットリオは、戦士(ジョニー)のことを任せてその場を去る。

アンジーから愛していると言われたホンドーは彼女にキスし、ヴィットリオの指示をはっきり断ったのは、嘘は見抜かれるためで、嫌いだと伝える。

誰かのために優しい嘘はつくこともあると言うホンドーは、アンジーに再びキスする。

翌日、ベイカーや部隊を率いたマッケイ中尉(トム・アイリッシュ)が現れる。

ヴィットリオが、この場は襲はないと約束したことをマッケイに話したホンドーだったが、士官学校を出たばかりの若い将校は、それを信じないまま野営地に向かう準備をする。

アンジーに歓迎されたベイカーは、この場が、カリフォルニアサンディマスにある、ホンドーの牧場に似ていると話す。

ホンドーは、部隊に同行するスカウトのレニー(ジェームズ・アーネス)から、エドの死体と自分の馬の足跡を見たと言われる。

アンジーと牧場をうまく手に入れたと言われたホンドーは、ライフルを渡せば黙っていると脅すレニーを殴り倒す。

その様子を見ていたアンジーは動揺し、ホンドーは、話そうと思ったと彼女に伝える。

マッケイから同行を求められたホンドーは、ヴィットリオとの約束は破れないと伝え、この先にある家は既に襲われているはずなので退却するべきだと忠告する。

それを聞き入れようとしないマッケイは、部隊と共に出発する。

アンジーに話しかけたホンドーだったが、頭の中を整理したいと言われたために、旅立とうとする。

行く前に話したいとアンジーに伝えたホンドーは、エドが襲ってきたために、仕方なく殺したことを話す。

優しい嘘をついたと言うアンジーは、エドを嫌ってはいたが可哀そうに思えると伝え、自分に嫌気がさしたかとホンドーから訊かれる。

走り出した気持ちは抑えられないと言うアンジーは、今更、嫌いにはなれないが、ジョニーのことが心配だとホンドーに伝える。

ジョニーに話さないわけにはいかないと言うホンドーは、釣りをしていた彼に近づき、ある男を殺したと伝える。

正直に話そうとしたホンドーの言葉を遮ったアンジーは、カリフォルニアに向えばやり直せると言って、真実を追求することだけが正しくはないとホンドーに伝える。

女にとっては夫が全てであり、最低の男だったエドは、牧場が欲しく自分と結婚するが家出したと、アンジーはホンドーに話す。

この真実をジョニーに話すべきかと訊かれたホンドーはそれを否定し、そんな辛い時期に自分が現れたとアンジーから言われる。

真実を話せば自分もジョニーも傷つくと言って涙するアンジーに、ホンドーは先住民の言葉でプロポーズする。

そこにアパッチに襲われた部隊が戻り、負傷したマッケイは、ヴィットリオを殺したことをホンドーに伝える。

部隊に出発の準備とレニーに人を集めるように指示し、ホンドーはその場から退避する。

アパッチに襲われたホンドーらは、荷馬車などで円を作り対抗する。

その場から移動し、犠牲者を出しながらもそれを繰り返したホンドーは、逃げ遅れてシルヴァに襲われる。

ホンドーがシルヴァを倒したために、アパッチは退却する。

アンジーの元に戻ったホンドーは、手綱を引きたいと言うジョニーに、サンディマスに着く頃には立派な御者になるだろうと伝える。

勇敢に戦ったマッケイを称えたホンドーは、アパッチも終りだと言うベイカーに、この地の生活も変わるだろうと伝える。

そして、ホンドーは、部隊と荷馬車隊を率いて西に向う。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
アリゾナ準州
騎兵隊の偵察兵ホンドー・レーンは、アパッチに馬を奪われて、ある農場にたどり着く。
アンジーと息子ジョニーに歓迎されたホンドーは、アパッチと友好関係にあると言う彼女に、戦が始まる可能性を伝える。
夫が戻ると言うアンジーの言葉を疑うホンドーは、紳士的に振る舞いながら互いに惹かれ合う。
伝達に戻らなければならないホンドーは、アンジーに別れを告げて砦に向かう。
その後、現れたアパッチの酋長ヴィットリオが、自分を恐れないジョニーの勇気を称えて”戦士”として扱い、アンジーはその場に住むことを許される。
砦に着いたホンドーは、守備隊が全滅したことを指揮官のシェリー少佐に伝える。
酒場で揉めた男がアンジーの夫エドだと知ったホンドーは、彼女に馬を返すために牧場に向かう。
途中、アパッチの襲撃を回避したホンドーは、追って来たエドに襲われて射殺してしまい、ヴィットリオに捕えられてしまう・・・。
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1952年に雑誌”Collier’s”に掲載されたルイス・ラムーアの”The Gift of Cochise”を基に製作された作品。

全盛期を迎えようとするジョン・ウェイン主演の正統派西部劇の秀作で、モーリン・オサリヴァンの夫でミア・ファローの父であるジョン・ファローが監督を務めている。

クライマックスの、騎兵隊舞台と荷馬車隊がアパッチに襲われるシーンは、ジョン・フォードが演出している。

1967年の秋シーズンにABCで放映された、”Hondo”(アパッチ大平原)の原型となった作品。

当時、流行った3D映画として製作された作品で、84分という短い上映時間にも拘らず、途中でインターミッションが入る。

第26回アカデミー賞では、助演女優(ジェラルディン・ペイジ)、原案賞にノミネートされた。

不躾ではあるが誠実さと勇気を兼ね備えた、男らしい彼らしい役柄を好演するジョン・ウェインの魅力が十分に生かされた作品で、ファンには非常に人気があり評価も高い作品。

農場の男仕事を手伝い蹄鉄を調整しながら、ヒロイン、ジェラルディン・ペイジの話を聞き意見するジョン・ウェインの仕草や自然な演技などは、ファンにとっては惚れ惚れしてしまうシーンだ。

また、その後ジョン・ウェインのトレードマークとなるガンベルトや、「失われたものゝ伝説」(1957)、「リオ・ブラボー」(1959)などでも使用する騎兵隊帽を被っている、彼のコスチュームは注目だ。

騎兵隊と住民対アパッチとの戦いが一つのテーマである物語の中で、勇気ある行動に対しては、白人であっても友として扱う姿など、戦士としての生き方を重んじる先住民の誇りも確りと描かれている。

家出した夫とは違う、主人公の男らしさに惹かれる女性を好演するジェラルディン・ペイジ、その息子リー・エーカー、主人公の友人であるジョン・ウェインの盟友ワード・ボンドアパッチの酋長マイケル・ペイト、スカウトのジェームズ・アーネス、アパッチの戦士ロドルフォ・アコスタ、ヒロインの夫レオ・ゴードン、その相棒フランク・マクグラス、騎兵隊中尉のトム・アイリッシュ、ジョン・ウェインとは27作で共演する、騎兵隊指揮官役のポール・フィックス、主人公の友人レイモンド・バーンズ、そして、ジョン・ウェインのスタントでボディダブルでもあるチャック・ロバーソンアパッチの戦士役で出演している。


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