ショービジネスの世界から引退し田舎でホテル経営を始めた歌手と元パートナーが巻き起こす騒動と恋の行方を描く、原案、音楽アーヴィング・バーリン、製作、監督マーク・サンドリッチ、主演ビング・クロスビー、フレッド・アステア、マージョリー・レイノルズ、ヴァージニア・デール、ウォルター・エイブル他共演のミュージカル・コメディ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーク・サンドリッチ
製作:マーク・サンドリッチ
原案:アーヴィング・バーリン
脚本:クロード・ビニヨン
撮影:デヴィッド・エイベル
編集:エルズワース・ホーグランド
音楽
アーヴィング・バーリン
ロバート・エメット・ドーラン
出演
ジム・ハーディ:ビング・クロスビー
テッド・ハノーバー:フレッド・アステア
リンダ・メイソン:マージョリー・レイノルズ
ライラ・ディクソン:ヴァージニア・デール
ダニー・リード:ウォルター・エイブル
メイミー:ルイーズ・ビーヴァーズ
ガス:アーヴィング・ベーコン
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1942年製作 100分
公開
北米:1942年8月4日
日本:1947年6月18日
製作費 $3,200,000
北米興行収入 $8,175,000
■ アカデミー賞 ■
第15回アカデミー賞
・受賞
歌曲賞(ホワイト・クリスマス)
・ノミネート
原案・ミュージカル音楽賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
クリスマス・イヴ、ニューヨーク。
人気歌手のジム・ハーディ(ビング・クロスビー)とダンサーのテッド・ハノーバー(フレッド・アステア)は、ライラ・ディクソン(ヴァージニア・デール)と共にショービジネスの世界で活躍していた。
引退してライラと結婚し、コネチカットの農場で暮らす準備をしていたジムは、彼女がテッドと恋したことに気づかない。
それをジムに伝えることができないライラは、ショーの後で自分が話すと言うテッドと共にステージに上がる。
三人でショーを終えたジムは楽屋に戻り、テッドから話があると言われる。
そこに、ライラと共にマネージャーのダニー・リード(ウォルター・エイブル)が現れ、次の仕事の契約のことをテッドに伝える。
恋仲になったテッドとライラから、このままショーを続けるつもりだと言われたジムは、働き詰めの生活とはおさらばすると二人に伝えて、コネチカットのミッドヴィルに向かう。
ミッドヴィル。 クリスマス・イヴ。 忙しいダニーはその場を去り、テッドからライラに贈る婚約パーティーのための花を買いに行く。 花屋の店員リンダ・メイソン(マージョリー・レイノルズ)は、ダニーが有名なマネージャーだと気づき接客する。 ダニーからランを注文されたリンダは、自分が配達すると伝えて感謝され、ショーの関係者席に座れると言われて名刺を渡される。 自分を知っていたリンダが売り込もうとしていることに気づいたダニーは、今は忙しいと伝えて、ホリデイ・インのカードを渡す。 友人がホテルをオープンさせるので、自分の紹介だと言えば仕事をもらえるとリンダに伝えたダニーはその場を去る。 ショーを見に行ったリンダはジムと同席になり、彼がテッドとは知り合いだということを知る。 ステージに登場したテッドとライラは、ダンスを終えてテッドの席に向かう。 リンダはその場を去り、ジムから、リンダは自分の友達のはずだと言われたテッドは戸惑う。 嫉妬したライラは、リンダが自分を見て逃げたと思い苛立つものの、テッドと共にステージに戻り挨拶する。 ガス(アーヴィング・ベーコン)のソリでホリデイ・インに送ってもらったリンダは、屋根に看板を取り付けていた男性(ジム)に声をかける。 リンダに気づいたジムは驚いて雪の上に落ちてしまい、彼女をホテル内に案内する。 ジムは、メイドのメイミー(ルイーズ・ビーヴァーズ)と子供達にリンダを紹介する。 その後、ジムの計画を聞いたリンダは、何か仕事をしたいと伝えて得意なことを訊かれ、歌とダンスだと答える。 軌道に乗るまで給料の保証はないと言われたリンダは、チャンスが欲しいとジムに伝える。 試してみたいと言うジムは、営業する祭日ごとに作ったと伝えて、クリスマスの曲”ホワイト・クリスマス”を歌う。 歌詞をリンダに教えるジムは、パイプでツリーのベルを叩き伴奏に入れて彼女と歌う。 ニューイヤーズ・イヴ。 ジムとリンダは歌い、新年を祝おうとする。 その頃、楽屋にテッドがいないことに気づいたダニーは、ライラがテキサスの大富豪と結婚することを決めたために、彼がショックを受けたことを知る。 空の酒瓶を見たダニーは焦り、テッドがコネチカットのジムのホテルに向かったことを知る。 新年を迎えたホリデイ・インに着いたテッドは、酔ったままでパーティーに参加し、リンダとジムが彼に気づく。 リンダと何とか踊ったテッドは倒れてしまい、ジムに助けられて二階に向かう。 そこに現れたダニーは、テッドが新しいパートナーと踊ったことを知り彼の元に向かう。 客の喝采に興奮するダニーから、テキサスの富豪と駆け落ちしたライラにフラれたテッドに次の女性が見つかったと言われたジムは、また同じことの繰り返しかと思い嘆く。 翌朝、二日酔いで何も覚えていないテッドから、ライラとのことを尋ねたジムは、そこに現れ、新しいパートナーのことをテッドに確認するダニーの話を聞く。 その気になったテッドは、次の祭日には踊った女性に会えると、ジムとダニーに伝える。 2月12日、リンカーンの誕生日。 今後も祭日の度に女王になりたいとジムに伝えたリンダは、ビジネスが軌道に乗ればずっと一緒にいられると言われる。 それがプロポーズだと思ったリンダは、テッドと共に婚約したことを喜ぶ。 テッドとダニーは、ニューイヤーズ・イヴに踊ったパートナーを捜す。 ショーは終わり、テッドとダニーに見つからないようにしながら、ジムはリンダを帰そうとする。 ガスを待つリンダが外にいることに気づいたダニーは、それをテッドに伝えるものの、ジムは二人が彼女に会えないようにする。 バレンタイン・デー。 そこにダニーと共にテッドが現れ、パートナーだったリンダに気づき、曲に合わせて踊る。 それに気づいたジムは、リンダを見つけてくれたと言うテッドから感謝され、ダニーは彼女が花屋の店員だったことを思い出す。 次の”ワシントン誕生日”のショーを、自分とリンダで盛り上げようとするテッドの考えが気に入らないジムだったが、彼女はそれに賛成する。 2月22日、ワシントン誕生日。 閉演後、リンダをツアーに誘ったテッドだったが、祭日のショーをジムと約束していた彼女はそれを断り、自分達は結婚すると話す。 テッドから愛を告白されたリンダは、自分にとってはチャンスだと言われるものの、その気はがいことを伝える。 ジムを牽制しながらリンダから手を引くことを伝えたテッドだったが、”結婚”の言葉に動揺した彼を見て諦めるのをやめたとダニーに伝える。 4月、イースター。 7月4日、独立記念日。 ハリウッドから声がかかったことをダニーから知らされたテッドは、リンダをここから連れ出そうとする彼の考えを聞く。 それを知ったジムは、ガスを駅に向かわせてリンダを来させないようにするよう指示し、ライラに電話をする。 リンダが来ないためにテッドは落ち着かず、ダニーはハリウッドから来た客を前に焦る。 車に乗せたリンダに近道を行くと伝えたガスは、川を渡ろうとして立ち往生してしまう。 ショーを始めさせたダニーは、テッドにソロで踊るようにと指示する。 川に落ちてびしょ濡れになりながら街道に出たリンダは、車で通りがかったライラに乗せてもらう。 ライラがテッドのパートナーだったことに気づいたリンダは、彼女がショーでテッドと踊ることを知る。 テッドのパートナーは来ないと言われたリンダは不思議に思い、自分はホリデイ・インのウエイトレスだとライラに伝える。 ジムがライラを呼び寄せたことを知っリンダは、ハリウッドからも客が来ていると言われる。 自分が運転すれば早くつけるとライラに伝えたリンダは、ガスがいる川に車で突っ込み、農家で助けを呼ぶと言ってその場を去る。 踊るようにとダニーから指示されたテッドは、仕方なく爆竹をもってステージに上がる。 爆竹を使ったテッドのパフォーマンスは喝采を受け、リンダが着いたことに気づいた彼は妨害されたと言われる。 リンダから責めらえたジムは、ハリウッドの客に君を奪われると思ったと伝える。 自分を信じてもらえなかったリンダはジムに失望し、その場を去ろうとする。 ダニーから客を紹介されたジムは、ホリデイ・インをモデルにした映画を作りたいと言われる。 今のホテルのままで満足だと言うテッドは、リンダらが不満なら自分一人でも営業を続けようとする。 残りたいならその気持ちを尊重すると、テッドがリンダに伝える姿を見て焦るダニーは、チャンスなので喜ぶようにと二人に伝える。 その後、テッドと共にハリウッドに向かったリンダは、スターとなる。 11月、感謝祭。 リンダのために書いた曲を聴きながら食事をしようとしたジムは、気落ちして食べる気にならない。 ジムを励ますメイミーは、ハリウッドに行きリンダを取り戻すべきだと伝えて、彼をその気させる。 クリスマス・イヴ。 その場にいたダニーに閉じ込められたジムだったが、その場から抜け出して、逆に彼とテッドを閉じ込めてしまう。 スタジオに再現されたホリデイ・インのセットに向かったジムは、ツリーをピアノのそばに移してパイプを置く。 撮影を始めたリンダは、ピアノの前で”ホワイト・クリスマス”を歌い始める。 涙するリンダはパイプに気づき、口笛と共に歌い現れたジムに気づき、彼に駆け寄り抱き合う。 撮影は中断されてスタジオに入ったテッドは、抱き合う二人を見て、リンダの本心だろうとダニーに伝える。 ニューイヤーズ・イヴ。 テッドは、戻ってきたパートナーのライラと共に踊る。
農場生活を始めたジムは田舎暮らしにも慣れ、ある計画を思いついき、テッドに連絡して会うことになる。
...全てを見る(結末あり)
ニューヨークに戻ったジムは、農場を”ホリデイ・イン”と名付けたホテルに改装する案をテッドとダニーに話し、祭日のみ営業することを伝える。
ホリデイ・インのオープン当日、広告を見た人々でホテルのショーは満席となる。
ホリデイ・インでは”ミンストレル・ショー”が行われ、テッドとダニーが現れたことを知ったジムは、ショーのためにリンダの顔を黒塗りにする。
ジムは、リンダのために書いた曲”Be Careful, It’s My Heart”を彼女に歌って聞かせる。
18世紀の雰囲気のショーが行われ、優雅に歌いダンスするテッドとリンダの曲を、嫉妬したジムは現代風にアレンジして二人を困らせる。
訪ねて来たテッドから、ホリデイ・インのショーに協力したいと言われたジムは、何か企んでいる雰囲気の彼を警戒する。
車を購入し運転手としてガスを雇ったジムは、テッドの考えに探りを入れる。
ホテルを閉鎖していたジムは、テッドと婚約したリンダに手紙を書く。
結婚式を前に悪い予感がしていたテッドは、ジムが現れたために焦り、最終日の撮影を見学したいと言われる。
ホリデイ・インは再開され、ゲストのテッドを迎えたジムは、リンダと共にステージに上がる。
*(簡略ストー リー)
人気歌手のジム・ハーディはパートナーであるダンサーのテッド・ハノーバーと別れ、同じくステージに立っていた恋人ライラと結婚してコネチカットの農場で暮らすことを考えていた。
ところが、テッドとライラが恋仲であることを知ったジムはショックを受け、独りで田舎暮らしを始める。
農場を祭日だけ営業する”ホリデイ・イン”と名付けたホテルに改装して、ショーを行うことを考えたジムは、それをテッドとマネージャーのダニーに話す。
その後、ダニーの紹介でホリデイ・インに向かった歌手志望のリンダは、歌い踊れることをジムにアピールして雇ってもらい、彼と共にオープンの日を迎える。
富豪と駆け落ちしたライラに捨てられたテッドは、失意のままホリデイ・インに向かい、酔った勢いでリンダと踊ってしまい、彼女を新しいパートナーにしようと考える。
リンダに惹かれていたジムは、またも自分の恋人を奪おうとするテッドに対抗しようと考えるのだが・・・。
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アーヴィング・バーリンの原案により製作され、歴史的な名曲となった”ホワイト・クリスマス”が初めて歌われた作品と知られる作品。
ビング・クロスビーの主演作「ホワイト・クリスマス」(1954)は、本作の部分的なリメイクと言える作品。
名作ミュージカルを多く手掛けたマーク・サンドリッチが製作を兼ねて監督し、大スター、ビング・クロスビーとフレッド・アステアの共演が話題になったミュージカル・コメディの名作。
第15回アカデミー賞では、”ホワイト・クリスマス”が歌曲賞を受賞し、原案・ミュージカル音楽賞にノミネートされた。
飄々とした雰囲気で人々の心を惹きつける愛すべきスター、ビング・クロスビーの素晴らしい歌声と共に持ち味は生かされ、エレガントではあるものの、本作ではプレイボーイに扮して騒動を巻き起こすフレッド・アステアのパフォーマンスも見事だ。
ユーモア溢れる雰囲気で進行する内容なのだが、”独立記念日”のショーのシーンで、突然、戦意高揚的な映像が流れることに注目したい。
これは、撮影中に日本海軍による”真珠湾攻撃”があったために、特別に挿入された映像だと言われている。
そのため、ヨーロッパ諸国の要請にも拘わらず参戦に消極的だったルーズベルト大統領の映像まで登場して、日本への宣戦布告の正当性を訴えているようにも思える。
主人公との恋も芽生え、成功のチャンスを掴んでも彼を見捨てないマージョリー・レイノルズ、彼女とは対照的に男を乗り換える歌手兼ダンサーのヴァージニア・デール、主人公らのマネージャーを愉快に演ずるウォルター・エイブル、主人公のメイド、ルイーズ・ビーヴァーズ、ホリデイ・インに雇われる運転手アーヴィング・ベーコンなどが共演している。