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素晴らしき休日 Holiday (1938)

妹の結婚相手に恋した富豪令嬢が巻き起こす騒動を描く、監督ジョージ・キューカー、主演キャサリン・ヘプバーンケーリー・グラントドリス・ノーランリュー・エアーズヘンリー・コルカーエドワード・エヴェレット・ホートン他共演のロマンチック・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ロマンチック・コメディ

ケイリー・グラント / Cary Grant / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ジョージ・キューカー

製作:エヴェレット・リスキン
原作:フィリップ・バリーHoliday
脚本
ドナルド・オグデン・スチュワート
シドニー・バックマン
撮影:フランツ・プラナー
編集
アル・クラーク
オットー・マイヤー
音楽:シドニー・カトナー

出演
リンダ・シートン:キャサリン・ヘプバーン
ジョナサン”ジョニー”ケース:ケーリー・グラント
ジュリア・シートン:ドリス・ノーラン
エドワード”ネッド”シートンJr.:リュー・エアーズ
エドワード・シートンSr.:ヘンリー・コルカー
ニック・ポッター:エドワード・エヴェレット・ホートン
スーザン・ポッター:ジーン・ディクソン
ローラ・クラム:ビニー・バーンズ
シートン・クラム:ヘンリー・ダニエル

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1938年製作 95分
公開
北米:1938年6月15日
日本:1939年2月8日


アカデミー賞
第11回アカデミー賞

・ノミネート
美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ニューヨーク
ジョナサン”ジョニー”ケース(ケーリー・グラント)は、友人の大学教授ニック・ポッター(エドワード・エヴェレット・ホートン)と教師である妻スーザン(ジーン・ディクソン)の元に向かう。

ジョニーが結婚することを知ったニックとスーザンは、レークプラシッドで知り合った女性ジュリア・シートン(ドリス・ノーラン)の話を聞くが、相手の家族のことなどを知らない彼が心配になる。

ジュリアの家に向かったジョニーは、巨大な建物に驚き裏口に向かう。

執事のヘンリーに案内されたジョニーは大邸宅に驚き、額を怪我して現れたジュリアの兄ネッド(リュー・エアーズ)が、教会に行くことを知る。

エレベーターで2階に上がったジョニーはジュリアに迎えられ、彼女が銀行家である大富豪シートン家の令嬢だと知る。

急に現実的になれなくなったジョニーは悩むものの、愛は変わらないと言ってエレベーター内でジュリアにキスする。

そこに姉のリンダ(キャサリン・ヘプバーン)が現れ、ジュリアはジョニーを紹介して結婚することを伝える。
...全てを見る(結末あり)

リンダは、シートン家の状況を把握していない様子のジョニーのことを心配しながら、気さくな彼を気に入る。

ジュリアは、父エドワード(ヘンリー・コルカー)とネッドが待つ教会に着く。

エドワードは、知り合った男性がランチに来ると言うジュリアから、彼と結婚することを知らされて驚き動揺する。

ホブソン社で働く将来有望な青年だと知ったエドワードは、知人である経営者ホブソンに会うためにジュリアと別れる。

シートン邸に戻ったジョニーは、ジュリアガいないことを知り、遊戯室にいたリンダに呼ばれる。

ジュリアが心配なリンダは、ジョニーがどんな人物か探ろうとする。

とは言え、自分も何をしたいのか迷っている状況のリンダは、10歳の時から働き続けていたジョニーも同じ様な考えで、長期休暇をとって人生の意味を探ろうとしていることを知る。

ジョニーに興味を持ったリンダは、教会から戻った弟のネッドを彼に紹介する。

父に従属し過ぎることで精神が不安定となったネッドは、アルコール依存症だった。

リンダは、戻ったジュリアと共にジョニーが父に会うためのチェックを始め、財産も人脈もない彼だったが、婚約が許されることを確信し、出来る限り協力しようとして、独自のパーティーを計画しようとする。

父が戻り、リンダと共に話をしたジュリアは、結婚したい日まで指定して彼を困らせる。

ホブソンとは話せなかったために、今晩、来てもらうことにしたと言うエドワードは、ジョニーについて悪い印象はなかったとジュリアとリンダに伝えものの、彼の家系にこだわる。

ジョニーと対面したエドワードは、2人だけで話そうとするものの、リンダはその場に残る。

エドワードの質問に素直に答えるジョニーは、苦労して育ったことも話す。

エドワードにジュリアとの結婚について尋ねたジョニーは、慎重に検討すると言われ、時間をとって話し合うことにする。

戻ったジュリアとリンダから、結婚を認めてほしいと言われたエドワードは、すべて自分が決めると伝えてランチにする。

その夜、ジュリアから考えを聞かれたエドワードは、娘を信じて結婚を許可し、ニューイヤーズ・イヴのパーティーで発表することにする。

リンダがパーティーを計画していたために戸惑うジュリアは、父から彼女も理解してくれると言われ、現れたリンダと共に父娘で喜びを分かち合う。

興奮するリンダは、遊戯室でのパーティー計画について話す。

ニューイヤーズ・イヴ。
いとこのシートン・クラム(ヘンリー・ダニエル)と妻ローラ(ビニー・バーンズ)と話をしたジュリアは、ジョニーを紹介する。

酔っているネッドにリンダのことを訊いたジュリアは、計画したパーティーが没になったことを気にしていと言われて戸惑う。

招待されたニックとスーザンも現れ、エレベーターに乗り階上に向かった2人は、音楽が聴こえた部屋に入る。

遊戯室にいたリンダは、学生時代に講義を受けたことがあるスーザンを思い出し、意気投合した2人に、計画していたパーティーが出来なくなったことを話そうとする。

リンダは、現れたネッドに2人を紹介し、4人で乾杯してシャンペンをを飲み、楽しい時間を過ごす。

ジョニーは、リンダを連れて来ることをジュリアに頼まれて、遊戯室に向かう。

リンダにパーティーのことを話したジョニーは、人形を操る声を聞いてニックとスーザンだと気づき喜び、5人で乾杯しようとする。

そこにシートンとローラが現れ、リンダは下のパーティーに誘われるものの、それに興味を示さない。

ホブソンと話をしていたシートンは、株を6万株も買ったことをジョニーに確認し、専門家に任せればさらに大金を手に入れることができると伝える。

リンダがパーティーに顔を出す気がないために、諦めたシートンはローラと共に戻る。

その後もジョニーとリンダは楽しむが、そこに現れたエドワードとジュリアは呆れてしまう。

エドワードに新年を下で祝うよう指示されたリンダは、それを拒む。

ジョニーからジュリアとエドワードを紹介されたニックとスーザンは、その場を去りネッドも部屋を出る。

リンダは、今日は自分にとって特別な日になるような気がすると言いながら、この部屋には幼いころの思い出があるとエドワードに伝えるものの、納得してもらえない。

エドワードから、気に入らないのなら旅にでも出ろと言われたリンダは、そうすると伝えて、パーティーに行く気になれず立ち去る。

ジョニーと話したエドワードは、株で成功したことを確認して、新婚旅行から戻った、らうちの銀行で働いてほしいと伝える。

それを嬉しく思うものの、自分には計画があると言うジョニーは、数千ドル稼いだら仕事を休み、人生について考えたいとエドワードに伝える。

それを聞いて驚いたジュリアは、ジョニーと2人きりで話しをしようとする。

エドワードは納得できないままパーティーに戻り、ジュリアは、父の好意を無駄にしようとするジョニーを批判する。

ジョニーは、ジュリアが自分の考えを理解してくれないために失望する。

戻ったリンダをパーティーに連れて行こうとしたジョニーは、彼女がそれを拒むために話をしようとする。

ジュリアはパーティーに向かい、リンダと話しをしたジョニーは彼女と踊り、その場で新年を迎える。

リンダが気になる存在となっていたジョニーはキスしようとするが、もうすぐ義姉になると言う彼女に拒まれたためにその場を去る。

戻ったネッドと新年を祝ったリンダは、ジョニーに惹かれていることに気づいた彼に、愛してしまったと伝える。

エドワードはジュリアとジョニーの婚約を発表し、出席者とと共に新年も祝う。

ネッドは眠ってしまい、リンダは仕方なくパーティー会場に向かい、ジュリアを祝福する。

ジョニーが婚約発表後に姿を消したことを知ったリンダは、ジュリアが傷ついていることを知る。

ジョニーを捜したリンダは、彼が勝手口から出て行ったことを知り心配になる。

翌日、リンダはニックとスーザンを訪ね、2人が研究のためにフランスに行くことを知り、姿を消したジョニーを捜していると伝える。

ニックとスーザンは、この事態を何とかしようとしているリンダが、ジョニーに惹かれていることに気づく。

ニックから、ジョニーはジュリアに会い船旅に誘うが、断られたらどうすると思うかと訊かれたリンダは、自分ならどうすると言われて迷う。

そこにジョニーからの電報が届き、ジュリアを誘ったが船旅を断られたということだった。

帰宅したリンダは、ジョニーと共に旅立つべきだとジュリアに伝える。

しかしジュリアは、ジョニーが計画を諦めて戻ってくることを確信していた。

ジュリアの自分に対する冷たい態度が気になるリンダは、ジョニーに味方するからだと言われ、意見が合っただけだと伝える。

リンダは、様子を見に来た父に、ジュリアと共に2人で、ジョニーの幸せも考えずに考えを押しつけたことを批判する。

父とジュリアが、ジョニーは折れると思っていると考えたリンダは、それ以上、話をする気になれなかった。

ネッドにその件を話したリンダは、ジュリアを誤解している、彼女は怠け者で今の生活に満足していると言われるものの、自分を嫌っているからだと伝える。

リンダは、ニックとスーザンも、自分のジョニーに対する気持ちに気づいているとネッドに伝える。

執事のヘンリーから、ジョニーが来たことを知らされたリンダは、ジュリアにも伝えるよう指示する。

ネッドは、何か起きそうだと言って期待するリンダに、女としてジュリアよりはるかに魅力的だと伝える。

現れたジョニーは、ジュリアが納得するまで数年、銀行で働くことをリンダに伝えるものの、本心ではないために辛かった。

ジョニーに意見を求められたリンダは、愛し合う2人の間を裂くことはできないと伝える。

リンダは、様子を見に来た父に、自分たちは邪魔だと言ってその場を去る。

そこにジュリアが現れ、エドワードは話を始め、部屋に入ってきたネッドにも加わるよう指示する。

ジョニーは、とりあえず銀行で働き、数年後に気持ちが変わらなければ辞職するとエドワードに伝える。

ジュリアがすぐに結婚する考えが変わらないことを確認したエドワードは喜ぶが、ジョニーはその気にはなれない。

エドワードは、ロンドンパリなどに向かう新婚旅行の計画を考え始め、新居も用意してあることをジョニーに伝える。

その話を聞いていたリンダとネッドは、状況が悪化しているために心配する。

考えが変わったジョニーは、その計画に従う気になれず、一生、束縛されることのなると言って発言を撤回する。

最初からやり直すと言うジョニーは、今夜、結婚することをジュリアに提案するが、それを断られたために独りで旅立つことにする。

愛より自由を選んだことになると伝えたジョニーは、エドワードに感謝し、リンダにキスして、ネッドに別れを告げてその場を去る。

ジュリアが本心ではジョニーを愛していないこと知ったリンダは、彼女に感謝してネッドと共に行動を開始する。

旅立つと言うリンダはネッドを誘うものの、残ると言う彼を残し、夢を叶えて見せると父とジュリアに伝えて立ち去る。

リンダから必ず迎えに来ると言われたネッドは、リンダと祖父の肖像画に乾杯する。

船室に到着したニックとスーザンは、ジョニーがいたために驚き、婚約が解消されたことを知り喜ぶ。

部屋を出たジョニーがバク転をして転ぶと、そこにリンダが現れる。

ニックとスーザンは気を利かせて部屋に戻り、ジョニーは、リンダを床に引き寄せてキスる。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
ニューヨーク
苦労して育つものの努力して将来有望視される青年ジョナサン”ジョニー”ケースは、休暇先で知り合ったジュリアとの結婚を決意する。
ジュリアが銀行家である大富豪シートン家の令嬢だと知ったジョニーは、彼女の姉リンダに素性を探られる。
ジュリアの父親エドワードは、突然、結婚すると言われて戸惑うが、ジョニーが優秀なビジネスマンだと知り一応、納得する。
リンダは、ジョニーが長期休暇をとり人生の意味を探ろうとしていることを知り、ジュリアの幸せを願いつつ、彼に興味を持ち惹かれるのだが・・・。
__________

1928年に上演された、フィリップ・バリーの戯曲”Holiday”を基に製作された、1930年公開の”Holiday”のリメイク。

妹の結婚相手に恋してしまう富豪令嬢が巻き起こす騒動を描くロマンチック・コメディの秀作。

若くして多くの話題作を手掛けていたジョージ・キューカーが監督し、大成功した「新婚道中記」(1937)のケーリー・グラントアイリーン・ダンの共演が予定されたものの、ジョージ・キューカーキャサリン・ヘプバーンをヒロインに起用したという経緯がある。

風変わりな青年が登場してドタバタ・コメディ・タッチで始まるのだが、人生の意味を考えようとする彼の心の動きが焦点となり、それがヒロインに影響を与えてさらなるトラブルに発展する。
単純なコメディではなく、人生哲学を深く掘り下げた重みのあるセリフが心に残るドナルド・オグデン・スチュワートの見事な脚本、それを活かしながらのジョージ・キューカーの軽快な演出が見どころの作品。
ドナルド・オグデン・スチュワートは、舞台で大学教授ニック・ポッター役を演じた。

作品の評価は高かったものの、興行的には成功しなかった理由は、大恐慌で疲弊し職もない人々が多い中で、仕事を辞めて人生を見つめ直そうとする”ジョニー・ケース”の考えに、人々が共感できなかったからだと思われる。

映画の舞台となる、富豪シートン家の邸宅の豪華なセットは話題になり、第11回アカデミー賞では美術賞にノミネートされた。

主演のキャサリン・ヘプバーンは、富豪令嬢として何不自由ない日々を送りながらも、人生の目標が見つけられないロマンチストの女性を好演し、周囲と違う考えが彼女に影響を与える風変わりな青年を演じ、度々アクロバティックな演技も見せてくれる、ケーリー・グラントの熱演も見ものだ。

ジョニー(ケーリー・グラント)との結婚を決意するものの、相手の考えを尊重しない富豪令嬢ドリス・ノーラン、その兄で、アルコール依存症リュー・エアーズ、その父親である富豪の銀行家ヘンリー・コルカー、1930年版でも同じ役を演じている、ジョニーの友人である大学教授エドワード・エヴェレット・ホートン、その妻ジーン・ディクソン、主人公のいとこヘンリー・ダニエル、その妻ビニー・バーンズなどが共演している。


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