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荒野のストレンジャー High Plains Drifter (1973)

ある町に現れた謎の流れ者がかつて裏切られた町民や悪党に復讐を果たすまでを描く、監督、主演クリント・イーストウッドジェフリー・ルイスヴェルナ・ブルームマリアンナ・ヒルミッチェル・ライアン他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇

クリント・イーストウッド / Clint Eastwood 作品一覧
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スタッフ キャスト
監督:クリント・イーストウッド
製作総指揮:ジェニングス・ラング
製作:ロバート・デイリー
脚本:アーネスト・タイディマン
撮影:ブルース・サーティース
編集:フェリス・ウェブスター
音楽:ディー・バートン

出演
クリント・イーストウッド:ストレンジャー/ジム・ダンカン
ヴェルナ・ブルーム:サラ・ベルディング
マリアンナ・ヒル:キャリー・トラヴァース
ミッチェル・ライアン:デイヴ・ドレイク
ジェフリー・ルイス:ステイシー・ブリッジス
ダン・ヴァディス:ダン・カーリン
アンソニー・ジェームズ:コール・カーリン
ウォルター・バーンズ:サム・ショー保安官
テッド・ハートレー:ルイス・ベルディング
ジャック・ギング:モーガン・アレン
ステファン・ギーラシュ:ジェイソン・ホバート町長
ポール・ブリンガー:リューティー・ネイラー
ロバート・ドナー:牧師
ビリー・カーティス:モーディカイ
ウィリアム・オコンネル:床屋
ジョン・クエイド:ジャイク・ロス

アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1972年製作 105分
公開
北米:1973年8月22日
日本:1973年6月
北米興行収入 $15,700,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
アリゾナ準州、ラーゴ。
流れ者/ストレンジャー(クリント・イーストウッド)が町に現れる。

町の者達は通りを行くよそ者を見つめ、流れ者は、ジャイク・ロス(ジョン・クエイド)が荷馬車の馬を鞭打つ音を気にする。

喉の渇きを癒すために酒場に向かった流れ者は、三人の男に因縁をつけられる。

格が違うと言って男達を相手にしない流れ者は床屋に向かい、主人(ウィリアム・オコンネル)に髭を剃らせようとする。

そこに現れた男達は再び言いがかりをつけるが、流れ者は容赦なく三人を撃ち殺す。
...全てを見る(結末あり)

床屋を出た流れ者は、駆け寄ってきた小男のモーディカイ(ビリー・カーティス)から名前を訊かれ、言っていないと答える。

床屋を出た流れ者は、絡んできたキャリー・トラヴァース(マリアンナ・ヒル)を納屋に連れ込み、強引に犯してしまう。

ホテルに向かった流れ者は、主人のルイス・ベルディング(テッド・ハートレー)から鍵を受け取り、宿帳に記入を求められるものの、それを無視して部屋に向かい眠る。

流れ者は、助けを求める男(クリント・イーストウッド)が何者かに鞭打たれ、町民がそれを見捨てる夢を見る。

翌日、殺した男達の棺桶が運ばれるのを確認品がら、流れ者は床屋に向かい風呂に入ろうとする。

その場で髭を剃っていた保安官のサム・ショー(ウォルター・バーンズ)は流れ者と話し、殺した男達は厄介者だったので罪は問わないと伝える。

そこに銃を手にしたキャリーが現れ、流れ者に向かって発砲するものの、保安官が取り押さえる。

かつて、この町の鉱山会社の用心棒として雇われ、町の者達に裏切られ投獄された悪党ステイシー・ブリッジス(ジェフリー・ルイス)、コール(アンソニー・ジェームズ)とダン(ダン・ヴァディス)のカーリン兄弟の三人)が、刑務所から出所することになる。

鉱山会社のデイヴ・ドレイク(ミッチェル・ライアン)やモーガン・アレン(ジャック・ギング)は、ブリッジスらの復讐を恐れ、流れ者を雇い三人に対抗しようとする。

そこに、キャリーを連れたショーが現れ、興奮する彼女をアレンが落ち着かせる。

納得しないキャリーは、何もしようとしないアレンらを罵りわめき散らす。

その後、かつてブリッジスとカーリン兄弟を逮捕したショーは、流れ者に協力を求めるものの断られる。

流れ者から、もう一度、自分で逮捕しろと言われたショーは、三人を逮捕した時は彼らが酔っていて、ジム・ダンカン連邦保安官が鞭でなぶり殺されたために仕方なく手を下したことを話す。

誰がそんなことをしたのかと流れ者から訊かれたショーは、善人ばかりの町の者でないことを伝える。

必要なのは度胸で自分ではないとショーに伝えた流れ者は、戦うための対抗策を指示する。

あくまでも協力を断る流れ者だったが、望み通りの物を与えると言われ、用心棒を引き受けることにする。

雑貨店を経営するジェイソン・ホバート町長(ステファン・ギーラシュ)からも、それを約束された流れ者は、店にいた先住民に無料で物を与える。

欲しいものを手に入れた流れ者は皆を引き連れて酒場に向かい、全員に酒を振る舞う。

酒場の主人リューティー・ネイラー(ポール・ブリンガー)は、ショーと町長から全てタダだと言われて戸惑う。

ショーのバッジを外した流れ者は、それをモーディカイに渡して保安官に指名し、町長まで任せてしまう。

モーディカイは銃を手に入れ、自警団を組織しようとした流れ者は、町民にも銃を渡して射撃の訓練をさせようとする。

その頃、刑務所を出たブリッジスとカーリン兄弟は、復讐するためにラーゴに向かう。

町民を通りに配備させた流れ者は、荷馬車に人形を乗せて射撃の訓練をさせる。

その後、流れ者は、ベルディングの納屋を壊して巨大なテーブルを作らせようとする。

更に、パーティーの準備を始めた流れ者は、大量のベッドシーツと丸焼き用の牛1頭、そして赤ペンキ200ガロンを用意させて、ホテルの宿泊客を追い出すようベルディングに指示する。

野営していた男達を襲って殺したブリッジスらは、馬を奪いラーゴに向かう。

鉱山会社のドレイクは、流れ者の奇行に手を焼くアレンとベルディングの不満を聞くものの、状況を冷静に判断しようとする。

ブリッジスに対抗していた前の保安官ダンカンを、町民が知らぬ振りをして見殺しにしたことで、三悪人はその弱みにつけこんでいた。

町民全員に責任があることをアレンとベルディングに伝えて、流れ者は雇っておく考えのドレイクだったが彼らの反発は必至だった。

ホテルの客を追い出した流れ者に不満を訴えた牧師(ロバート・ドナー)は、話を聞き入れられない。

牧師は、自分の家をホテルと同じ料金で提供すると客達に伝える。

ベルディングの妻サラ(ヴェルナ・ブルーム)から部屋のことを言われた流れ者は、食事と酒をベルディングに用意させる。

モーディカイは、ブリッジスとカーリン兄弟が、ダンカン保安官を鞭打ち、町の人々が何もしなかった時のことを思い出す。

ホテルを出ることを拒んだキャリーに強引に迫った流れ者は、彼女と食事をして愛し合う。

町民を集めたベルディングと牧師らは、流れ者の行いについて話し合う。

ベッドから出たキャリーは、アレンや荷馬車を奪われたロスらに協力して流れ者を殺そうとする。

それに気付いた流れ者は、ホテルの部屋を爆破して彼らを撃退するものの、アレンは銃弾を受けながら馬で逃げる。

ホテルを爆破されたベルディングは不満を訴えるが、流れ者は彼を相手にしない。

町民の行為に愛想を尽かした流れ者だったが、ドレイクから、悪党一人に1000ドル出すと言われために思い留まる。

それを知ったベルディングは納得できないが、ドレイクから、約束しただけで、流れ者も殺されるので支払う必要はないと言われる。

寝る部屋がなくなった流れ者は、爆破で壊れていないサラの部屋に彼女向かい、その様子を見ていたベルディングは手出しできない。

今は相手にしないと言って眠ろうとした流れ者は、はさみを手にして襲い掛かかってきたサラを強引に抱いてしまう。

翌朝サラは、死んだ保安官のダンカンのことを知っているか流れ者に尋ね、墓石に名前がないために霊がさ迷っていると話す。

ダンカンが原因で町民はよそ者を恐れると言うサラに、身に覚えがあるからだと流れ者は言葉を返す。

その後、死体を町民に埋めさせた流れ者は、ラーゴの町の看板を”地獄”と書き換え、町中の建物を赤いペンキで塗るよう指示する。

ベルディングと話したサラは、鉱山が国有地だと知ったダンカンが報告しようとしたために殺されたと言われる。

町民の愚かな行為に嫌気がさしたサラは、町を出ることをベルディングに伝える。

ブリッジスらと出くわしたアレンは助けを求め、会社の金庫の番号を教えれば手当をすると言われる。

それを拒んだアレンは、ブリッジスに殺される。

アレンを捜していた流れ者は、ダイナマイトを使い発砲してブリッジスらを脅し町に戻る。

町の建物は赤く塗られ、ブリッジスらが来ることを流れ者から知らされたモーディカイは、酒場にいたショーやホバートに配置に着くよう指示する。

いよいよブリッジスらが町に現れようかという時に、流れ者はモーディカイに後を任せて姿を消えてしまう。

町に到着したブリッジスらは、対抗できない町民をに次々と殺す。

ドレイクも殺され、夜になり町を支配したブリッジスらだったが、鞭を持って現れた流れ者がコールを殺す。

警戒するブリッジスはダンも殺されたために焦り、通りに現れた流れ者に射殺される。

ベルディングが建物の影から流れ者を銃で狙うが、モーディカイが彼を射殺する。

翌日、町を去ろうとする流れ者は、ダンカンの墓石に墓碑銘を刻んでいたモーディカイから名前を訊かれる。

”知っているはずだ”と答えた流れ者は、その場を去る。

墓石には、”連邦保安官ジム・ダンカン この場に眠る”と刻まれていた。

その後、流れ者は陽炎の中に姿を消す。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
アリゾナ準州、ラーゴ。
名もない流れ者が町に現れる。
絡まれた悪党三人を難なく倒した流れ者の凄腕を見た保安官ショーらは、町に恨みを持つ出獄した悪党ブリッジスとカーリン兄弟に対抗するために、彼を雇おうとする。
何をしてもいいという条件でそれを受けた流れ者は、好き勝手な行動を始める。
やがて、町民は流れ者の奇行に手を焼き始め、彼を抹殺しようとする者も現れる。
しかし、流れ者が町に来た理由は、その町民への復讐でもあった・・・。
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クリント・イーストウッド作品でお馴染みの”名無し”の主人公が、今回は”幽霊”のような存在として登場するという異色の西部劇。

後年に製作されるイーストウッド監督、主演の「ペイルライダー」(1985)は、似たような雰囲気の作品だ。

正統派西部劇の雰囲気を残しつつも、奇抜なアイデアなどで物語にアクセントが加わっている作品。
1970年代に入ったこの時代に、まともな西部劇と言える作品を作り続けていたのは、ジョン・ウェインイーストウッドくらいだった。

陽炎から現れる流れ者/ストレンジャーの登場シーンから始まり、西部劇には珍しい湖に隣接する町と、突貫工事で建てたようなやや味気ないセットも逆に雰囲気があり、ディー・バートンの不気味な主題曲が異様なムード漂わせる。

幽霊には見えないものの、いつもの気だるい仕草と傲慢な態度で他を圧倒してしまうクリント・イーストウッドは、誰にも真似できない、独特なスタイルを持っている。

本作は、「恐怖のメロディ」(1971)に継ぐ2作目の監督作品で、今では大監督となったイーストウッドの演出家としての原点がここにある。

出演者を見ると、その後のイーストウッド作品でお馴染みの面々が顔を揃えている。

特に、本作以後で数々のイーストウッド作品に登場する、ジェフリー・ルイスが悪役で登場し、印象に残る演技を見せてくれる。
彼は10人の子供の父親であり、女優ジュリエット・ルイスは娘。

鉱山会社を仕切るミッチェル・ライアン、悪党のダン・ヴァディス、荷馬車の所有者ジョン・クエイド、保安官のウォルター・バーンズ、床屋のウィリアム・オコンネルらはイーストウッド一家とも言える俳優で、この後、彼の作品で活躍していく。

ホテル主人の妻ヴェルナ・ブルーム、その夫テッド・ハートレー、町の女マリアンナ・ヒル、悪党兄弟のアンソニー・ジェームズ、鉱山会社のジャック・ギング、酒場の主人ポール・ブリンガー、小男ビリー・カーティス、町長のステファン・ギーラシュ、牧師のロバート・ドナーなどが共演している。


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