名門大学に入学した3人の学生生活を通してアメリカの抱える様々な問題を描く、製作、監督、脚本ジョン・シングルトン、主演オマー・エップス、クリスティ・スワンソン、マイケル・ラパポート、アイス・キューブ、ローレンス・フィッシュバーン、ジェニファー・コネリー他共演の社会派ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・シングルトン
製作
ジョン・シングルトン
ポール・ホール
脚本:ジョン・シングルトン
撮影:ピーター・ライオンズ・コリスター
編集:ブルース・キャノン
音楽:スタンリー・クラーク
出演
マリク・ウィリアムズ:オマー・エップス
クリステン・コナー:クリスティ・スワンソン
レミー:マイケル・ラパポート
ファッジ・ホワイト:アイス・キューブ
モーリス・フィップス教授:ローレンス・フィッシュバーン
タリン:ジェニファー・コネリー
デジャ:タイラ・バンクス
モネ:レジーナ・キング
ウェイン:ジェイソン・ワイルズ
スコット・モス:コール・ハウザー
クノッコ:アンドリュー・ブリニアースキー
デヴィッド・アイザックス:アダム・ゴールドバーグ
ドレッズ:バスタ・ライムス
ニコール:ブリジット・ウィルソン=サンプラス
クローディア:カリ・サリン
ビリー:ジェイ・R・ファーガソン
ブラッドリー:ブラッドフォード・イングリッシュ
リレーのアンカー:モリス・チェスナット
学生:グウィネス・パルトロー
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1995年製作 127分
公開
北米:1995年1月11日
日本:1995年7月29日
北米興行収入 $38,290,723
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
コロンブス大学。
新入生である陸上の奨学生マリク・ウィリアムズ(オマー・エップス)、カリフォルニア出身のクリスティン・コナー(クリスティ・スワンソン)、アイダホから来たレミー(マイケル・ラパポート)は、それぞれの学生生活を始める。
ルームメイトのモネ(レジーナ・キング)と話したクリステンは、オレンジ郡のディズニーランドの近くから来たことを伝える。
クリステンは、同じ寮のニコール(ブリジット・ウィルソン=サンプラス)とクローディア(カリ・サリン)と共に男子寮のパーティーに向かう。
マリクは、在籍6年目の黒人学生のリーダーであるファッジ・ホワイト(アイス・キューブ)の話を聞く。
騒ぎに我慢の限界に達したレミーは、警備員を呼びパーティーを終らせる。
一人で帰ろうとしたクリステンは、運動家である学生タリン(ジェニファー・コネリー)から声をかけられ、夜の一人歩きは危険だと言われる。 歩道のライトは警備灯で緊急電話も設置されていることを知らされたクリステンは、キャンパス内でも危ないと言われる。 3年生だとタリンから言われたクリステンは新入生であることを伝え、”性差別をなくす会”のチラシを渡され、水曜の集会に誘われる。 マリクは、ルームメイトのウェイン(ジェイソン・ワイルズ)が部屋を汚し、片付けもしないために不満を訴える。 政治学科の教授モーリス・フィップス教授(ローレンス・フィッシュバーン)はボランティアを募り、手を挙げたマリクにリストを渡し、チェックされた学生の名前を呼ばせる。 マリクも含めた名を呼ばれて起立した者達は、授業料を完納していないために、支払いを済ませるまで授業に出ることを許可しないとフィップスは伝える。 学生課へ行くよう指示されたマリクは、全額奨学生ではなく部分奨学生として登録されているため、授業料が未払いだと言われる。 クリステンも授業料未払いを指摘され、バイトを探すよう指示される。 陸上部のコーチの元に向かったマリクは、指示通りにトレーニングを始める。 いきなり入って来たファッジが、勉強中にも拘らず音楽を流したため、レミーは憤慨して寮を出る。 パーティーでビリー(ジェイ・R・ファーガソン)といいムードになったクリステンは、強引に迫れれる。 取り乱したクリステンはその場を去り、モネが、寮で泣いている彼女に気づく。 ビリーからの電話を受けたモネは、話したくないというクリステンを気遣うが、彼に侮辱されてしまう。 それをモネから知らされたファッジは、ビリーの元に向かって彼を脅し、モネに謝罪させようとする。 そこに、呼ばれた警備員のブラッドリー(ブラッドフォード・イングリッシュ)が現れたために、ファッジらは退散する。 数日後、傷つき動揺するクリステンは、タリンの集会に参加する。 ファッジと話す機会が増えたマリクは、彼に感化されていく。 スコット・モス(コール・ハウザー)から声をかけられたレミーは、仲間のクノッコ(アンドリュー・ブリニアースキー)らを紹介される。 クリステンは、警察に通報する気にもならない辛い気持ちを理解してくれるタリンと親しくなる。 クラスでたった一人の、同じ黒人である自分を差別しているとフィップスに意見するマリクは、注意するのは、自分にはそれが必要だからだと言われる。 その後、陸上競技会で思うように走れなかったマリクは、アンカー(モリス・チェスナット)から責められ、自分達は走るための奴隷だと言い返してしまい争いになる。 そんなマリクは、同じ陸上競技の学生デジャ(タイラ・バンクス)に話しかけて、互いに意識をしていたことを知る。 ネオナチだったスコットの考えを聞いたレミーは、学生達は同じ人種グループを作り対立していると話し、自分が孤立していることを伝え、いつでも相談に乗ると言われる。 デジャに協力してもらいフィップスにレポートを提出したマリクは、何か悩みあるのかと訊かれ、精神的な人種差別に遭っていると話す。 陸上競技で手強い相手に立ち向かう気持ちがあることをマリクに確認したフィップスは、それを目標にさせる。 スコットら仲間達と同じスキンヘッドにしたレミーは、周囲の他人種を意識し始める。 ”性差別をなくす会”の活動を始めたクリステンは、集会でレイプされたことについてスピーチする。 白人の女子学生と付き合う黒人学生を痛めつけるスコットらから、仲間に加わるようにと言われたレミーは躊躇してしまう。 スピーチがよかったとタリンから言われたクリステンは、彼女から誘われる。 その姿をモネに見られたクリステンは、タリンがレズなのか訊かれ、変っているだけだと答える。 マリクとデジャは、意見し合い共にトレーニングをしながら愛を深める。 以前の自分に戻りつつあるクリステンは、ウェインに誘われてデートする気になる。 警察の押収品である拳銃を手に入れたスコットは、銃を所持するレミーが、子供時代から父親にその扱い方を教わっていることを知る。 クリステンは、ウェインとタリン、二人と愛し合うようになる。 差別についてデジャに語るマリクに言いがかりをつけたレミーは、”我が闘争”を読み、アーリア人至上主義に傾倒する。 部屋に現れたマリクから徴発されたレミーは、彼が去った後で怒りを爆発させて悔しがり、銃を手にして弾を込める。 ルームメイトのデヴィッド・アイザックス(アダム・ゴールドバーグ)は、部屋を荒らし私物も壊したレミーを非難するものの、逆に暴力を振るわれそうになる。 騒ぎに気づいたマリクが制止するものの、銃を手にしたレミーは、ユダヤ人のデヴィッドと黒人のマリクを侮辱し、白人至上主義を語り部屋から出て行く。 レミーを追ったマリクだったが、興奮していたために警備員に取り押さえれてしまう。 デヴィッドが事情を話して構内は厳戒態勢となり、警備員のブラッドリーは、レミーの部屋にあった”ハーケンクロイツ”の旗を見つける。 帰るようブラッドリーから指示されたファッジらは、レミーを捕まえろと言って抗議する。 寮を出たマリクの話を聞いたウェインは、白人に脅される場所にはいられないと言って、差別に堪える気はないことを伝える。 自分は差別していないと伝えたウェインだったが、周囲は違うとマリクから言われる。 知識はパワーで、その頭脳で勝負を挑み、人間としての責任を自覚することを考えるようにとフィップスから言われたマリクは、それを自覚しても黒人扱いは変わらないと答える。 黒人はゲームの歩に過ぎないと決めつけるマリクだったが、頭を使えばその歩でも王手をかけられると話すフィップスから、厳しい世の中では作戦を持つ者が勝つと言われる。 今回の事件を問題視したクリステンは、平和集会を企画する。 大学の勉強を諦めたレミーだったが、白人の医師や弁護士、そしてエンジニアなどが必要なため、ドロップ・アウトはするなとスコットから言われる。 そこに、マリクとドレッズ(バスタ・ライムス)を従えたファッジが現れ、スコットらを叩きのめす。 仲間達と共に暴力で解決しようとするマリクを、デジャは批判する。 ファッジは、周囲が白人に支配されている現実を嘆く。 反撃しようとして騒ぐだけのレミーを黙らせたスコットは、相手を殺す気があることを確認して、狙撃用のライフルを彼に渡す。 クリステンが主催する平和集会は開かれ、校舎の屋上に向かったレミーは、狙撃を始める。 デジャと共にその場にいたマリクはレミーに気づき、その場は混乱する。 銃弾を受けたデジャを運んだマリクは、現れたフィップスから救急車を呼ぶよう指示されるが、混乱して何もすることができない。 レミーの元に向かい襲い掛かったマリクは格闘になるが、駆けつけたブラッドリーらに叩きのめされる。 ブラッドリーらに追い詰められたレミーは、拳銃を手にするものの、それを下ろすよう説得される。 落ち着いたレミーは、捕えられて連れて来られたマリクの姿を見ながら謝罪し、絶望して自殺する。 解放されるものの動揺するマリクを抱きしめたフィップスは、彼を落ち着かせる。 高等学問”ハイヤー・ラーニング”を学ぶべき場所であるコロンブス大学で起きた事件は大きく報道され、三人の死亡が伝えられる。 それをテレビで見るスコットらは、白人のパワーの勝利を確信する。 数日後、どうしたらいいか分からないマリクは、悲劇に堪え壁を乗り越えたとフィップスから言われる。 そんなマリクに尊敬すると伝えたフィップスは、正しい決断をすることを信じていると言って彼を励ます。 それを理解したマリクは、しっかりと考えることを伝えて、フィップスと握手して席を立つ。 マリクを呼び止めたフィップスは、”苦しみのない進歩はない”と伝える。 奴隷制度廃止運動家である”フレデリック・ダグラス”の言葉であることをフィップスに確認したマリクは、その場を去る。 フィップスは、マリクが立ち直り正しい道を歩むことを確信する。 コロンブスの銅像に向かったマリクは、その場にいたクリステンに、デジャがここで死んだことを伝える。 集会を企画した自分のせいだと言って嘆くクリステンに、自分を責めることはないと伝えたマリクは、自己紹介する。 会ったことがあると伝えたマリクは、フィップスのクラスで一緒だとクリステンから言われる。 お互いを気遣いながら、二人は別れる。 その後ファッジは卒業することになり、マリクは新たな人生を歩み始める。 オフィスを出たフィップスの頭上には、星条旗が掲げられていた。
...全てを見る(結末あり)
(画面には”unlearn”、既得の知識、習慣を捨てろと表記される。)
*(簡略ストー リー)
名門コロンブス大学に入学した、陸上の奨学生マリク・ウィリアムズ、カリフォルニア出身のクリステン、アイダホから来たレミーは、それぞれの学生生活を始める。
黒人のマリクは、白人が支配する世の中に反発する学生のリーダー、ファッジに感化され、パーティーでレイプされたクリステンは心を閉ざし、差別廃止の運動家であるタリンとの親交を深める。
孤立するレミーは、ネオナチ思想の過激派学生スコットらの仲間に入り、白人至上主義に傾倒していく・・・。
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「ボーイズ’ン・ザ・フッド」(1991)で注目され、史上最年少でアカデミー監督賞にノミネートされたジョン・シングルトンが、製作と脚本を兼ねた監督作品。
同作のスタッフ、キャストの多くが本作にも参加、出演している。
主人公となる三人の新入生の学生生活を中心に、それぞれの心の変化と成長、そして挫折を、繊細な人物描写で描く作品。
人種偏見、白人至上主義など、アメリカの抱える大きな社会問題を、高等学問”ハイヤー・ラーニング”を学ぶべき場所である名門大学を舞台に鋭く描く、ジョン・シングルトンの問題提起が人々の心に訴える力強い作品に仕上がっている。
差別問題に直面する主人公の黒人学生は恋人も失い、苦しみのない進歩はないことを恩師から教わり歩むべき道を見つけるのだが、一方で、事件を起こした白人至上主義者が勝利を確信する姿を描写することで、アメリカに根付くこの問題の深さを切実に伝えている。
陸上の奨学生として新生活をスタートさせるものの、様々な問題を乗り越えなくてはならない厳しい立場の学生を熱演するオマー・エップス、レイプされたことをきっかけに生き方を変えて活動を始めるクリスティ・スワンソン、孤立する日々の中で白人至上主義に傾倒して事件を起こすマイケル・ラパポート、白人社会を批判する黒人学生のリーダー、アイス・キューブ、主人公らを厳しくも温かく見守る政治学科の教授ローレンス・フィッシュバーン、クリステン(クリスティ・スワン)と親密になる学生の活動家ジェニファー・コネリー、主人公のガールフレンド、タイラ・バンクス、クリステンのルームメイト、レジーナ・キング、クリステンと付き合う学生のジェイソン・ワイルズ、白人至上主義者のリーダー、コール・ハウザー、その仲間アンドリュー・ブリニアースキー、レミー(マイケル・ラパポート)のルームメイト、アダム・ゴールドバーグ、過激な黒人学生のバスタ・ライムス、クリステンの友人ブリジット・ウィルソン=サンプラスとカリ・サリン、クリステンをレイプする学生のジェイ・R・ファーガソン、大学の警備員ブラッドフォード・イングリッシュ、陸上部の学生モリス・チェスナット、そして、学生役でグウィネス・パルトローが端役出演している。