人間社会に興味を持つ半神半人の英雄ヘラクレスが巻き起こす騒動を描く、監督アーサー・アラン・シーデルマン、主演アーノルド・スタング、アーノルド・ストロング(アーノルド・シュワルツェネッガー)、アーネスト・グレイブス、ジェームズ・カレン他共演のファンタジー・コメディ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:アーサー・アラン・シーデルマン
製作:オーブリー・ウィスバーグ
製作総指揮
ルイス・G・チャピンJr.
マーレイ・M・カプラン
脚本:オーブリー・ウィスバーグ
撮影:レオ・レボウイッツ
編集:ドナルド・P・フィナモーレ
音楽:ジョン・バラモス
出演
プレッツィー:アーノルド・スタング
ヘラクレス:アーノルド・ストロング(アーノルド・シュワルツェネッガー)
ゼウス:アーネスト・グレイブス
カムデン教授:ジェームズ・カレン
ヘレン・カムデン:デボラ・ルーミス
ジュノー:タニー・マクドナルド
ロッド・ネルソン:ハロルド・バースタイン
マーキュリー:ダン・ハミルトン
ネメシス:テーナ・エルグ
プルートー:マイケル・リプトン
アメリカ 映画
配給
Trimark Pictures(1985-2000)
ライオンズゲート(2000-)
1970年製作 91分
公開
北米:1970年2月25日
日本:未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
オリンポス山で平凡な日々を送っていたヘラクレス(アーノルド・ストロング/アーノルド・シュワルツェネッガー)は、全能の神である父ゼウス(アーネスト・グレイブス)に下界を見てみたいことを伝えるものの許されない。
行く価値がないと言わたヘラクレスは納得できず、憤慨したゼウスは彼を下界に送る。
下界に向かうヘラクレスは、旅客機の乗客を驚かせる。
ヘラクレスにははいい薬になると言う彼を嫌う妻ジュノー(タニー・マクドナルド)の言葉を聞いたゼウスは、下界の様子を見てみることにする。
海に落下したヘラクレスは貨物船に救助され、自分を高貴なものだと言う彼が正気ではないと判断した船長は、とりあえず船員と同じ扱いをする。 ニューヨークに向かうと言われたヘラクレスは、仕事を拒否して喧嘩を始めてしまい、船員達を叩きのめす。 その後、ニューヨーク港に到着したヘラクレスは、許可なく船を降りてしまい、そこでも男達を相手に喧嘩をして騒動を起こす。 その様子を見ていたプレッツェル売りの小男プレッツィー(アーノルド・スタング)は驚き、ヘラクレスを連れてタクシーでマンハッタンに向かう。 ギリシャから来たことなどを話しプレッツィーと意気投合してセントラルパークでタクシーを降りたヘラクレスは、運転手から料金の2ドルを請求される。 金のことが理解できないヘラクレスは、自分を乗せたことを光栄に思えと運転手に伝え、彼を投げ飛ばしてタクシーを横転させてしまう。 その後、大学のグラウンドに着いたヘラクレスとプレッツィーは、体育部の学生達の競技を見る。 大学教授のカムデン(ジェームズ・カレン)と娘のヘラン(デボラ・ルーミス)は、彼女の恋人ロッド・ネルソン(ハロルド・バースタイン)らの練習の様子を見守る。 プレッツィーから、皆、優秀な選手達だと言われたヘラクレスは、彼らのレベルの低さを見て黙っていられず、手本を見せようとする。 円盤を手にしたヘラクレスはコーチに制止され、ロッドは記録保持者だと言われる。 ギリシャのオリンピックでは自分が投てきしたと言う、ヘラクレスの言葉を信じないコーチだったが、投げさせてから判断することをロッドに提案される。 ヘラクレスの投げた円盤はグラウンドの端まで達し、槍投げや走り幅跳びでも学生を圧倒する。 驚いたカムデンとヘレンは選手達に近づき、プレッツィーは、その場にいた男達と賭けをして勝つ。 カムデンから声をかけられたプレッツィーは名刺を受け取り、ヘラクレスと共に家に招待される。 ヘラクレスとカムデンの家を訪ねたプレッツィーは、書斎にあった”神と悪魔”の本の”ヘラクレスの冒険”などに興味を持つ。 二人を歓迎してヘラクレスと話したヘレンは、女神のようだと言われる。 客が来たためにヘレンは席を外し、プレッツィーは、初めて会った女性を口説いたヘラクレスの失礼な態度を非難する。 それが理解できないヘラクレスの様子を見て、文化の違いだろうと考えたプレッツィーは、アメリカではそんな態度をとらないようにと伝える。 グラウンドで会ったロッドが現れ、ヘレンの恋人かと尋ねたヘラクレスは、失礼な言い方だと非難するロッドの話す意味も理解できない。 謝罪しろと言われたヘラクレスは、褒めたのに謝る必要があるのかとロッドに尋ねる。 憤慨したロッドはヘラクレスの腹部を殴るものの、彼に持ち上げられて騒動になる。 その様子を見ていたゼウスは嘆き、どうしたらいいかを考える。 ヘラクレスに興味を持つ父に、彼は頭がどうかしていると伝えたヘレンは、それを否定し、彼のことをもっと知りたいと言う父の考えを受け入れられない。 そんなことを言いながらヘレンは、ヘラクレスに食事に誘われたために、それを承諾したことを父に伝える。 ヘレンと食事をしたヘラクレスは、馬車に乗り、家族の話などをしながら公園を通過する。 その途中でヘラクレスは、動物園から逃げたグリズリーと遭遇して、格闘になり叩きのめす。 事件は号外となって街中に知れ渡り、興行主からレスリングで稼げると言われたプレッツィーは、ヘラクレスにそれを伝える。 無敵のレスラーとなったヘラクレスが金になると考えたギャングのマキシーは、プレッツィーに近づいて強引に契約させようとする。 それを拒んだプレッツィーは、マキシーに脅されて仕方なくサインし、現金を受け取る。 ジュノーから下界でのヘラクレスの悪評を聞いたゼウスは、女神ネメシス(テーナ・エルグ)を呼び、自分に代わり罰を与えさせるためにニューヨークに向かわせる。 息子のマーキュリー(ダン・ハミルトン)から、まだ子供である異母兄弟のヘラクレスを許すべきだと言われたゼウスは、自分が下界に向かい連れ戻すと言われ、女神達も同じ意見だった。 ゼウスはマーキュリーを下界に向かわせるが、ジュノーは、あくまでヘラクレスに罰を与えるべきだと主張する。 憎しみだけで語るジュノーに対してゼウスは、哀れみの心でヘラクレスを罰するべきだと伝える。 ヘラクレスを連れて街を案内したヘレンは、彼と親交を深める。 訪ねてきたマーキュリーと話したヘラクレスは、オリンポス山に戻るようにと言われるものの、それを拒む。 ネメシスが連れ戻しに来ると言われたヘラクレスは、それを信じようとせず、ここはいる場所ではなく、人間を混乱させるだけだと話すマーキュリーの意見を聞き入れない。 仕方なく戻ろうとするマーキュリーは、ネメシスを警戒するようにとヘラクレスに伝えて窓から消え去る。 その様子を見ていたプレッツィーは驚き、気を失ってしまう。 ヘレンとロッドと共に、興味深い人物であるヘラクレスのことを話していたカムデンは、訪ねてきたプレッツィーが動揺しているので驚く。 マーキュリーという男が、23階のビルの窓から飛び出していったと話すプレッツィーは、カムデンらから酔っていたせいだと言われる。 戻ったマーキュリーからの報告を受けたゼウスは激怒し、ネメシスをヘラクレスの元に向かわせようとする。 ネメシスがゼウスから受けた命令を聞き出したジュノーは、冥界を支配するプルートーにヘラクレスを引き渡すことだと知る。 それでは納得しないジュノーは、ヘラクレスを人間の世界にとどめさせて、超人的なパワーを奪うようネメシスの命じ、それが行える薬を渡す。 拒むことは許されなかったネメシスは下界に向かい、ヘレンとバーにいたヘラクレスの飲み物に薬を混ぜる。 プルートー(マイケル・リプトン)に会ったネメシスは、一時的に人間になったヘラクレスを冥界に連れて行くよう指示する。 街を停電させてヘラクレスに会い、冥界に向かうよう説得するプルートーだったが、それを断られる。 マキシーに連絡して取引したプルートーは、ヘラクレスの負けに2万ドルを賭けて話をつけ、街の電力を復旧させる。 ヘラクレスが重量挙げの対決をすることになった報道が話題になり、カムデンとヘレンは、彼の勝ちを疑わなかった。 試合の前にヘラクレスの様子を見に行ったヘレンは、現れたマキシーが話す、負けたら大変なことになると言う言葉が気になる。 ヘレンから脅しだと言われたヘラクレスは、負けるはずがないと伝える。 プレッツィーは、悪党のマキシーと関わるべきではなかったと言って後悔する。 テレビで全国中継される対決は始り、怪力男モンストロとヘラクレスは紹介される。 互角の戦いを続ける二人だったが、ウエイトが上げられ、パワーを失ったヘラクレスは負けてしまう。 パワーが消えたことで動揺するヘラクレスは、マキシーが現れることを警戒して、プレッツィーと共にその場から逃れる。 その様子を見ていたゼウスは、ヘラクレスのパワーを奪うようにとは命じていないためにネメシスを呼ぶ。 姿が見えないヘラクレスを捜すマキシーは、カムデンとヘレンの車に彼が乗っていると考え、それを追う。 カムデンとヘレンがおとりになっていることに気づいたヘラクレスは、二人の車を追うために、その場で休息していた古代の戦車を奪う。 セントラルパークに向かったカムデンの車を追ったヘラクレスは、戦車が壊れたために彼らの車に乗り込む。 ガス欠のために車を停めたカムデンは、ヘラクレスらと共に建物に逃げ込む。 ネメシスを呼んだゼウスは、ヘラクレスからパワーを奪う任務を命じた者の名前を聞き出そうとする。 マキシーらも建物に入り、ヘラクレスは襲い掛かる彼らに抵抗する。 ジュノーが命じたことを知ったゼウスは、ヘラクレスの愚かさと強情が招いた結果だと言って、下界の様子を見守る。 マキシーの手下に叩きのめされるヘラクレスを見ながら、ヴィーナスから援軍を送る方法があると言われたマーキュリーは、アトラスとサムソンを下界に向かわせる。 ヘラクレスがアトラスとサムソンに助けられる様子を見ていたゼウスは、マーキュリーが二人を送り込んだことを知る。 自分の考えだと言うヴィーナスから、子供のように無力のヘラクレスを助けてほしいと頼まれたゼウスは、そのパワーを戻す。 パワーが戻ったヘラクレスは、ギャング達を倒す。 エンパイア・ステート・ビル。 アパートに戻ったプレッツィーは、一人になり寂しく思うが、ラジオから聴こえるヘラクレスの声で、彼との出来事を思い出す。 プレッツィーは、ヘラクレスから、”会いたい時には思い出してほしい、いつでも君の心の中にいる”と言われる。
...全てを見る(結末あり)
プレッツィーと共に展望台に向かったヘラクレスは、ゼウスに許しを請い姿を消す。
*(簡略ストー リー)
オリンポス山で平凡な日々を送っていたヘラクレスは、全能の神である父ゼウスに下界を見てみたいことを伝えるものの許されない。
尚も下界行きを望むヘラクレスに憤慨したゼウスは、彼を人間社会に向かわせてしまう。
貨物船に救助されたヘラクレスは、そのパワーを持て余して船員達とトラブルを起こし、ニューヨークに到着すると下船してしまう。
そこでも騒動を起こしたヘラクレスを見て驚いたプレッツェル売りの小男プレッツィーは、彼を連れてマンハッタンに向かう。
大学教授のカムデンと娘のヘレンと知り合ったプレッツィーは、ヘラクレスのパワーに興味を持つ二人と親交を深める。
その後、ヘラクレスのパワーは話題になり、レスリングの世界で成功し、ギャングに言いくるめられたプレッツィーは彼らと契約してしまう。
人間社会を乱すヘラクレスに罰を与えようとしたゼウスは、女神ネメシスを送り込もうとするが、異母兄弟を連れ戻すと言う息子のマーキュリーの意見を聞き入れ、彼を下界に向かわせるのだが・・・。
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人間社会に興味を持ったギリシャ神話の英雄ヘラクレスが、ニューヨークに向かい巻き起こす騒動を描く、低予算映画のファンタジー・コメディ。
素人が作ったC級映画程度の酷い内容なのだが、その後、大スターとなるアーノルド・シュワルツェネッガーが出演し、彼の成功により注目された作品である。
ボディビルダーとして世界的に有名となったアーノルド・シュワルツェネッガーが、アーノルド・ストロングという芸名でスクリーン・デビューを果たした記念すべき作品でもある。
酷い訛りで演技力も最悪のヘラクレス役のシュワルツェネッガーなのだが、まだ20代前半のはち切れんばかりの彼の肉体美と迫力は圧巻だ。
主演は、ヘラクレスと出会い親交を深めるプレッツェル売り役のコメディアンのアーノルド・スタングであり、彼が小柄であるため、シュワルツェネッガーの巨体が際立つ映像が興味深い。
人間社会で騒動を起こすヘラクレスに頭を抱える全能の神ゼウスのアーネスト・グレイブス、ヘラクレスに興味を持つ大学教授のジェームズ・カレン、その娘でヘラクレスと親交深めるデボラ・ルーミス、その恋人ハロルド・バースタイン、ヘラクレスを憎むゼウスの妻ジュノーのタニー・マクドナルド、ヘラクレスの異母兄弟マーキュリーのダン・ハミルトン、女神ネメシスのテーナ・エルグ、冥界を支配するプルートーのマイケル・リプトンなどが共演している。