アーネスト・ヘミングウェイ原作の”ニック・アダムス”を主人公にした短編10本を基に製作された作品。 人生経験が浅い家出青年が様々な人との出会いや戦争を体験しながら成長していく姿を描く、監督マーティン・リット、主演チャード・ベイマー、ダイアン・ベイカー、ポール・ニューマン、イーライ・ウォラック、スーザン・ストラスバーグ他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・リット
製作:ジェリー・ウォルド
原作:アーネスト・ヘミングウェイ
脚本:A・E・ホッチナー
撮影:リー・ガームス
編集:ヒュー・S・ファウラー
音楽:フランツ・ワックスマン
出演
ニコラス”ニック”アダムズ:リチャード・ベイマー
キャロリン:ダイアン・ベイカー
ヘンリー・アダムズ医師:アーサー・ケネディ
ヘレン・アダムズ:ジェシカ・タンディ
伯爵夫人:コリンヌ・カルヴェ
ビリー・ターナー:フレッド・クラーク
ビリー・キャンベル:ダン・デイリー
電信技手:ジェームズ・ダン
アド・フランシス:ポール・ニューマン
バグス:ホアン・エルナンデス
ジョヴァンニ”ジョン”ブラッチャ:イーライ・ウォラック
パドュラ少佐:リカルド・モンタルバン
ロザンナ・グリフィ:スーザン・ストラスバーグ
ジョー・ボルトン:サイモン・オークランド
ジョージ:マイケル・J・ポラード
制動手:エドワード・ビンズ
バーレスク・クイーン:シャロン・テート
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1962年製作 145分
公開
北米:1962年7月25日
日本:1962年9月22日
製作費 $4,100,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ミシガン州、サイデス。
湖畔に住む19歳のニコラス”ニック”アダムズ(リチャード・ベイマー)は、医師である父ヘンリー(アーサー・ケネディ)と共にボートで流木を運ぶ。
そこに現れたジョー・ボルトン(サイモン・オークランド)に、流木には所有者がいるとヘンリーは言われ、気分を害する。
自宅に戻ったヘンリーは、ジョーとの喧嘩の原因を知りたがる妻ヘレン(ジェシカ・タンディ)に、肺炎だったの妻の治療費を払いたくないためだと答える。
その後、教育熱心なヘレンは、カモ猟に行きたがるニックに、ヴィオラのレッスンを強要する。
二人の間に入ったヘンリーは、1時間レッスンをして、その後に猟に行く提案をしてニックを納得させる。
次の土曜日、恋人キャロリン(ダイアン・ベイカー)に会ったニックは、何もかもが面白くないことを伝えて、彼女に恋をしたくないのか問われても明確な答えを返せない。 その夜、ヘンリーはニックを伴い、ジョーの妻のお産のために彼の家に向かう。 ヘンリーは、帝王切開の手術を始めるが、ジョーはその場から逃げ出してしまう。 無事に男の子が産まれ、自宅に戻ったヘンリーは、ニックを手術に付き添わせたことをヘレンに批判される。 敬虔なクリスチャンであり、教育熱心、自分を溺愛する母ヘレンに、ニックは逆らってしまう。 ヘレンに従うだけのヘンリーに、婚約を控えたキャロリンと別れたことを伝えたニックは、父の忠告も聞く気になれずに部屋を出てしまう。 友人ジョージ(マイケル・J・ポラード)の家を訪ねたニックは、キャロリンと別れたことを伝え、家を出る決心をした二人は旅立つ。 ジョージは、宿もない生活に耐えられなくなり町に戻り、仕方なくニックは一人で旅を続ける。 貨物列車に忍び込んでいたニックは、制動手(エドワード・ビンズ)に殴られ突き落とされる。 森の中をさ迷っていたニックは、野営をしていた、顔が崩れて言動のおかしな男(ポール・ニューマン)に声をかけられる。 男が元ボクシング・チャンピオンのアド・フランシスだと知ったニックは、現れた相棒バグス(ホアン・エルナンデス)に食事をもらう。 翌日ニックは、アドがおかしくなった原因などをバグスに聞きながら、その後も三人で旅を続ける。 ある夜ニックは、ナイフをアドに貸そうとして、それをバグスに止められる。 そのことでアドは気分を害し、ニックに言い寄り襲いかかったため、バグスが彼を殴り気絶させる。 バグスは、アドが再び襲いかかるだろうとニックに告げて、そろそろ別れた方がいいことを伝える。 共に行動していたかったニックだったが、バグズに友達を作るようにと助言されて、故郷に帰るべきだとも言われその場を去る。 家に帰る決心をしたニックは、父ヘンリーに汽車賃を送金するよう電報を打とうとする。 電信技手(ジェームズ・ダン)は、自分も若き日に家出して挫折した結果、その後、度々、それを続けていればどんな人生だったかなどを考えると話す。 父への連絡を思い止まったニックは、その後、巡業の宣伝をするビリー・キャンベル(ダン・デイリー)と出会い、彼の助手となり、希望だったニューヨークに行ける可能性が出て来る。 バーレスク・ショーの巡業主ビリー・ターナー(フレッド・クラーク)が到着してしまうが、アルコール依存症及び麻薬中毒のキャンベルはベッドから起き上がれない。 ターナーはキャンベルを使うことを諦めて病院に入れ、代わりにニックを雇うことを決める。 ニューヨーク。 その後ニックは、新聞社に手書きの原稿を持参して出向くが、経験不足を指摘され、必ず一人前になって戻ってくることを伝える。 レストランの給仕をしていたニックは、その場で開かれていた、第一次大戦で苦戦をするイタリアを支援する集会で、美しい伯爵夫人(コリンヌ・カルヴェ)の話に感化される。 宿に戻ったニックは、父ヘンリーの訪問を喜ぶが、自分を連れ戻そうとする彼に、軍の医療班に志願したことを伝える。 驚くヘンリーは、アメリカが参戦もしていない状況で、志願するニックの考えを避難する。 ようやくしたいことを見つけたという、ニックの気持ちだけを理解したヘンリーは、その場を去る。 イタリア。 ニックは、従卒のジョヴァンニ”ジョン”ブラッチャ伍長(イーライ・ウォラック)と共に活動を始める。 シカゴで10年間移民として暮らしていたジョンと、気心知れるようになったニックは、各地で医療活動に貢献する。 そんな時ある戦場で、ニックはパドュラ少佐を救い出すため、無謀にも戦場に向かってしまう。 ニックは、救急車を運転してパドュラ少佐の元に向かい、負傷した彼を救い出す。 しかし、休息中に爆撃を受けたニックは負傷してしまい、ヴェローナの陸軍病院に運ばれる。 両足に重傷を負ったニックは、手術に成功するものの心を閉ざしてしまう。 赤十字の看護師ロザンナ・グリフィ(スーザン・ストラスバーグ)は、そんな彼を励まし献身的な看護をする。 ニックは、ロザンナの兄がこの病院で死んだことを知り、辛さに耐えながらも患者に尽くす彼女に、話をする気になる。 その後、パドュラ少佐とジョンがニックを見舞い、彼は勲章を授与されることになり、三人は病室で酒を酌み交わし楽しい時間を過ごす。 ようやく病院の外に出る気になったニックは、車いすに乗ったまま、ロザンナと共に市内を回る。 笑顔を見せたニックは、ロザンナと心触れ合い、病院に戻り、イスから立ち上がり愛を告げて、彼女も同じ気持ちだということを確認する。 数日後、心の中では結ばれている二人は教会に向かい、結婚することを決心する。 ロザンナの実家に向かい、父親から結婚の許しを得て、代々伝わる指輪を受取ったニックだったが、病院は爆撃を受け、彼女は他の病院に搬送されていた。 重傷を負ったロザンナの元に向かったニックは、その場で彼女と結婚しようとする。 神父を前に誓いの言葉交わそうとしたニックだったが、ロザンナは静かに息を引き取る。 呆然とするニックは神を恨み、杖で燭台を叩き壊してしまう。 その後、静養したニックは何とか立ち直り、帰国することになり、訪ねて来たパドュラ少佐から勲章を渡され、彼とジョンに別れを告げる。 故郷に戻ったニックは、英雄として歓迎され、母ヘレンと再会する。 式典に出席するニックだったが、父ヘンリーが亡くなったことを初めて知る。 ヘレンは、ヘンリーが自殺したことを手紙で知らせたのだが、それがニックには伝わっていなかった。 ショックを受けたニックは、何も語らずにその場を去り、自宅に戻った彼は、ヘレンに父の死の原因を聞く。 その理由が分からないと言うヘレンは、銃で自殺したヘンリーの遺書をニックに渡す。 自分宛の遺書を読んだことでヘレンを責めるニックだったが、妻である自分には、一言もなかったことを彼女は悲しむ。 数週間が経ち、以前の生活に戻っていたニックだったが、愛情を示そうとせず働きもしないことを、口やかましく説教するヘレンに、家を出て独りで暮らすことを伝える。 戦場で様々な死を見てきたニックは、自分の想像と違う世界で、多くの体験をしたことを書く考えと、それがこの場では無理なことをヘレンに語る。 経験を積み戻るようにと言ってくれた、ニューヨークの新聞社を訪ねるため、ニックは、祈りを捧げるヘレンの元を去る。 そしてニックは、逃げるためではなく、自分の人生を見つけるために旅立つ。
...全てを見る(結末あり)
新聞記者になることを考えるニックは、ターナーに一座を任され10日間の巡業に出る。
中尉としてイタリア陸軍に所属することになったニックは、経験がないことをパドュラ少佐(リカルド・モンタルバン)に確認される。
*(簡略ストー リー)
ミシガン州、サイデス。
湖畔で暮らす19歳の青年ニコラス”ニック”アダムズは、両親からの愛は受けているものの、もどかしい日々を過ごし、友人と家出を決心する。
友人は、宿もない生活に耐え切れず町に戻るが、ニックは旅を続ける。
その後ニックは、様々な人々と出会いながら、記者になる希望を抱きニューヨークで暮らし始める。
しかし、経験不足を指摘されたニックは、一旦はそれに挫折し、第一次大戦で苦戦するイタリアの、陸軍の救急班に志願する。
ニックは、従卒ジョンと共に医療活動を続け、戦場で上官のパドュラ少佐の命を救う。
その後、爆撃で重傷を負ってしまったニックは、陸軍病院に運ばれるものの、心を閉ざしてしまう。
ニックは、赤十字の看護師ロザンナの献身的な看護を受けて回復し、やがて二人は愛し合うようになるのだが・・・。
__________
人生を知らない青年が、大人の気持ちを理解できないまま世界に飛び出し、様々な困難や人々との出会い、そして、悲惨な戦争を体験しながら成長していく姿を描くドラマは、当然ではあるが、多くの場面で、原作者アーネスト・ヘミングウェイの体験をベースにしている。
人間の成長のみならず、アメリカ社会における様々な問題や戦争の”矛盾”などを、監督マーティン・リットが鋭い視点で描く、社会派ドラマとも言える作品。
主人公が旅の途中で出会う多彩な人物達を、多くの名優などが演じているところも注目だ。
前年の「ウエスト・サイド物語」(1961)で一躍脚光を浴びたリチャード・ベイマーは、それを上回る熱演を見せ、苦悩する主人公を見事に演じている。
主人公の父アーサー・ケネディ、母ジェシカ・タンディ、主人公の恋人ダイアン・ベイカー、イタリア支援を訴える伯爵夫人役のコリンヌ・カルヴェ、巡業主フレッド・クラーク、その宣伝係ダン・デイリー、電信技手のジェームズ・ダン、元ボクシング選手ポール・ニューマン、その相棒ホアン・エルナンデス、主人公の戦友役イーライ・ウォラック、上官役のリカルド・モンタルバン、主人公と愛し合う看護師役のスーザン・ストラスバーグ、主人公の隣人役サイモン・オークランド、友人のマイケル・J・ポラード、列車の制動手エドワード・ビンズ、バーレスク・クイーンのシャロン・テートなどが共演している。