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天国の門 Heaven’s Gate (1980)

19世紀末の混乱するアメリカ社会での東ヨーロッパからの移民問題を描く、”ジョンソン郡戦争”を題材にした一大叙事詩。
監督、脚本マイケル・チミノ、主演クリス・クリストファーソンクリストファー・ウォーケンジョン・ハートイザベル・ユペールジェフ・ブリッジスサム・ウォーターストンジョゼフ・コットンミッキー・ローク他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・チミノ

製作:ジョアン・ケアリ
製作総指揮
デニス・オディール
チャールズ・オークン
ウィリアム・H・レイノルズ

脚本:マイケル・チミノ
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
編集
リサ・フラックマン

ジェラルド・B・グリーンバーグ
ウィリアム・H・レイノルズ
トム・ロルフ
音楽:デヴィッド・マンスフィールド

出演
ジェームズ・エイヴリル:クリス・クリストファーソン

ネイサン・D”ネイト”チャンピオンクリストファー・ウォーケン
ウィリアム・C”ビリー”アーヴァイン:ジョン・ハート
エラ・ワトソンイザベル・ユペール
ジョン・L・ブリッジス:ジェフ・ブリッジス
フランク・カントンサム・ウォーターストン
総長:ジョゼフ・コットン
エグルストン:ブラッド・ドゥーリフ
ニック・レイ:ミッキー・ローク
トラッパー・フレッド:ジェフリー・ルイス
カリー:リチャード・メイサー
エキストラ:ウィレム・デフォー

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1980年製作 149分/219分(修復版)
公開
北米:1980年11月19日
日本:1981年9月26日
製作費 $44,000,000
北米興行収入 $3,484,330


アカデミー賞 ■
第54回アカデミー賞

・ノミネート
美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1870年、ハーバード大学
卒業式で、ジェームズ・エイヴリル(クリス・クリストファーソン)と親友ウィリアム・C”ビリー”アーヴァイン(ジョン・ハート)は、牧師でもある総長(ジョゼフ・コットン)の祝辞を聞く。

卒業生代表として総長に指名されたアーヴァインは壇上に立ち、周囲を気にせず持論を説き会場を沸かせる。

その後エイヴリルら学生達は、構内での舞踏会や女学生に見つめなられながら夜通し騒ぎ卒業を祝う。

20年後、ワイオミング州。
アメリカは、東ヨーロッパからの移民問題を抱え混乱期を迎えていた。

畜産者協会側は、殺し屋のネイサン・D”ネイト”チャンピオン(クリストファー・ウォーケン)を雇い、牛を盗んだ移民を殺害する強硬策を行っていた。
...全てを見る(結末あり)

ワイオミング州、キャスパー
保安官となっていたエイヴリルは、駅長である友人カリー(リチャード・メイサー)に迎えられる。

ジョンソン郡に向うエイヴリルは、牛を盗み解体した移民が殺されたことをカリーから知らされる。

エイヴリルは、移民が虐げられる様子を観察しながら、痛めつけられている家族を助ける。

馬車を用意しながらそれを見ていたカリーは、職を失いたくないために、移民と住民との争いには関わりたくないことをエイヴリルに話す。

畜産者協会長のフランク・カントン(サム・ウォーターストン)は、会合で、牛泥棒の罪が軽いことに不満を訴え、50名を雇い犯人を捕らえるか射殺する提案をする。

カントンは、既に125名の処刑リストを用意したことを協会員のアーヴァインらに伝える。

驚いたアーヴァインは反論するが、カントンは、既に州知事の支持も受け大統領も同意見だと答え、強硬姿勢を変えようとしない。

カントンが協会委員の同意を確認し始めたため、アーヴァインはその場を離れる。

クラブ内でエイヴリルと再会したアーヴァインは、処刑リストの件を彼に話す。

エイヴリルは決議を終えたカントンに対し、自分の土地で行おうとしている暴挙を許さないことを伝え、手を出してきた彼を殴りその場を去る。

ジョンソン郡、スイート・ウォーター。
移民の集まる酒場の主人であるジョン・L・ブリッジス(ジェフ・ブリッジス)に頼まれた銃を渡したエイヴリルは、処刑リストの件を伝える。

郊外の娼館の女主人で心を寄せるエラ・ワトソン(イザベル・ユペール)の元に向かったエイヴリルは、彼女に馬車を贈り、二人で遠乗りをする。

二人は川辺で休息し、エイヴリルは混乱が近づく土地から離れる提案をエラにする。

その後、二人は、ブリッジスが経営するローラー・スケートリンク”ヘブンズ・ゲイト”で移民達と楽しむ。

エラと付き合うチャンピオンは彼女の元に向かい、その場に友人のエイヴリルがいることを知る。

チャンピオンは、泥酔しているエイヴリルに手出しせずに、彼をブリッジスの店に運ぶ。

エラの元に戻ったチャンピオンは、商売を辞めるよう薦めるが、エイヴリルに旅に出る誘いを受けたことを彼女から知らされる。

翌朝、エイヴリルに会ったチャンピオンは、エラの件で牽制する。

しかしエイヴリルは、エラをこの土地から連れ出す考えを変えようとしない。

リストを手に入れたエイヴリルは、金の代わりに盗んだ牛でも体を売っていることで、その中にエラの名前があることを知る。

エラの元にいたチャンピオンに殴り掛かったエイヴリルは、彼女がリストに入っていることを伝える。

チャンピオンは初めて聞いたと答え、エイヴリルが去った後、身を守ることをエラに誓う。

処刑執行者を集めたカントンは、列車で武装した彼らを引き連れ、キャスパーを通過した地点で車両を止め行動を開始する。

列車が止まったことに気づいたカリーは様子を見に行くものの、一団に殺害されてしまう。

チャンピオンを信じたエラは彼の小屋に向かい、保護している青年ニック・レイ(ミッキー・ローク)や友人の猟師トラッパー・フレッド(ジェフリー・ルイス)に会う。

移民を集めた集会が開かれ、エイヴリルは、畜産者協会が雇った傭兵が襲って来ることとリストの件を話す。

既に夫を殺されている夫人の要望でリストは読み上げられ、人々は動揺する。

娼館に戻ったエラは、協会の者達に暴行されるが、現れたエイヴリルが男達を射殺する。

それを知ったチャンピオンに意見されたカントンだったが、捕えた移民を彼の目の前で容赦なく射殺する。

エラチャンピオンにプロポーズされて、共に暮らすことを知ったエイヴリルは苛立つ。

感謝と愛は伝えられるものの、エイヴリルはエラに別れを伝えてその場を去る。

町長は、リストの者達を協会に引き渡すことをエイヴリルに伝えるが、彼は辞職を申し出る。

カントンに小屋を襲われたチャンピオンらは抵抗し、現れたエラが加勢する。

エラは逃げるものの、チャンピオン、ニック、フレッドは殺害される。

意見が分かれる移民達は、エグルストン(ブラッド・ドゥーリフ)と、戻ったエラの、傭兵らが近づいているという言葉で戦いを決意する。

エラチャンピオンが死んだことをエイヴリルに伝えるのだが、冷たくあしらわれたため人々と共に戦いに備える。

戦いは始まり、協会側は女子供にまで容赦なく銃弾を浴びせる。

協会員としてその場にいたアーヴァインも命を落とし、カントンは援軍を呼ぶためにその場を離れる。

エラチャンピオンの死体に寄り添い、エイヴリルは旅立とうとしていたが戦いの場に向かう。

チャンピオンが攻撃を受けながら書いた遺書を見つけたエラは、現れたエイヴリルにそれを渡す。

覚悟を決めたチャンピオンが、自分とエラに宛てた文章を確認したエイヴリルは、後で迎えに行くと彼女に伝えその場を去る。

エイヴリルは移民達と共に抗戦体制を整え、翌朝攻撃を仕掛けて、多くの犠牲者を出しながら激しい戦いを続ける。

そこに、カントンと共に軍が現れ、傭兵達は強制的に連行されることをエイヴリルに伝え移民は退去するよう命ぜられる。

カントンは、秩序を唱える知事の声明と、傭兵の連行を妨害した場合は反乱罪を適用することをエイヴリルに伝えて引き上げる。

その後、エラを迎えに行ったエイヴリルは旅立とうとするが、カントンらの襲撃を受ける。

迎えに来ていたブリッジスとエラが撃たれ、エイヴリルは反撃してカントンを射殺する。

エラは息を引き取り、エイヴリルは彼女を抱きかかえる。

1903年、ロードアイランド州、ニューポート
ヨットで優雅に暮らすエイヴリルは、学生時代の恋人である妻からタバコを求められそれに応じる。

美しい妻と何不自由ない生活・・・しかしエイヴリルは、かつてワイオミングで共に戦った、エラチャンピオンらの面影がだけが脳裏に浮かぶ。

エイヴリルは、妻を見つめながら無言でその場を去る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1870年、ハーバード大学
学生生活を終えたジェームズ・エイヴリルは、親友アーヴァインらと共に卒業を祝う。
20年後、ワイオミング州。
保安官になっていたエイヴリルは、東ヨーロッパからの移民達を問題視する畜産者協会側の強硬姿勢を注視する。
協会長カントンは、牛を盗む移民を捕えて殺害する決議を求め、傭兵を雇う考えを示す。
協会員のアーヴィンはその考えに驚き、エイヴリルに125人もの処刑リストが作られたことを伝える。
ジョンソン郡に戻ったエイヴリルは、移民が集う酒場の主人ブリッジスにその件を伝える。
エイヴリルは、心を寄せる娼館の女主人エラの元に向かい、彼女と共に土地を離れる考えを伝える。
カントンに雇われていた殺し屋で、エイヴリルの友人チャンピオンに求婚されたエラの心は揺れ動く。
その頃、50人の傭兵を雇ったカントンは、処刑計画を実行しようとしていた・・・。
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ディア・ハンター」(1978)で絶賛されたマイケル・チミノが脚本を兼ねて挑んだ意欲作であり、世界中から期待が寄せられた作品。

ところが、当時ブームとなっていたSF超大作の製作費を遥かに上回る4400万ドルもの巨費を投じた本作は、公開と同時に酷評され、北米ではその1/10も稼ぐこともできない散々な結果に終わり、製作会社ユナイテッド・アーティスツは倒産に追い込まれるという非常事態にまでなった。
*同年公開「スター・ウォーズ エピソード5:帝国の逆襲」(1980)でさえも製作費は1800万ドル。

確かに、町並みなどのセットなどはスケール感もあり豪華なのだが、大自然の中で起きる社会問題を扱った人間ドラマだけに、費用の使い方を問われ批判されても仕方がないというところだろうか・・・。

とは言え、現在でも活躍を続けるスターの若き日の姿は今見ると新鮮で、219分(修復版)という長編も意外に飽きずに観れる丁寧な仕上がりにはなっている。
(クリス・クリストファーソンは撮影当時43歳)

第54回アカデミー賞では、美術賞にノミネートされた。

その後に評価は格段に高くなったと言われているが、アメリカ国内では、現在でもそれほどの評価を得ていないのが事実だ。

エリートとして青春時代を過ごし、その後、激動の時代を生き抜き、友を失いながら現在を見つめるラストの表情が印象的な主人公クリス・クリストファーソン、彼の友人でありながら、畜産者協会に殺し屋として雇われるネイサン・D”ネイト”チャンピオンクリストファー・ウォーケン、主人公の友人ジョン・ハート、主人公と友人の狭間で心揺れ動く娼館の女主人エラ・ワトソン役のイザベル・ユペール、主人公の協力者のジェフ・ブリッジス畜産者協会フランク・カントン役のサム・ウォーターストンハーバード大学の総長役ジョゼフ・コットン、移民の有識者ブラッド・ドゥーリフ、主人公と暮らす青年ミッキー・ローク、猟師のジェフリー・ルイス、主人公の友人で駅長リチャード・メイサー、他エキストラでウィレム・デフォーも出演している。


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