恵まれない生い立ちから軍隊しか生きる道を見つけられない海兵隊員と孤島に独り残された修道女との友情を越えたサバイバル生活を描く、監督、脚本ジョン・ヒューストン、デボラ・カー、ロバート・ミッチャム共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・ヒューストン
製作
バディ・アドラー
ユージン・フレンキー
原作:チャールズ・ショウ
脚本
ジョン・ヒューストン
ジョン・リー・メイヒン
撮影:オズワルド・モリス
音楽:ジョルジュ・オーリック
出演
デボラ・カー:シスター・アンジェラ
ロバート・ミッチャム:アリソン伍長
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1957年製作 106分
公開
北米:1957年11月7日
日本:1959年5月
製作費 $3,000,000
■ アカデミー賞 ■
第30回アカデミー賞
・ノミネート
主演女優(デボラ・カー)
脚色賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1944年、太平洋戦争中の南太平洋。
アメリカ海兵隊アリソン伍長(ロバート・ミッチャム)は、ある孤島に漂着する。
アリソンはその島で、同行した神父に死なれ、独りで生活する修道女シスター・アンジェラ(デボラ・カー)に出会う。
残り少ない食料を、アンジェラから分け与えてもらったアリソンは、彼女のために魚やウミガメを獲り飢えをしのぐ。
島を脱出したいアリソンだったが、アンジェラを置き去りにすることはできなかった。
果物も豊富なこの島の生活が、考え方によっては長く続いてもかまわないとも考えたアリソンだった。 しかしアリソンは、アンジェラに励まされて脱出の準備を始める。 日本軍の偵察機を警戒したアリソンは、一時的に山の洞窟に身を潜めることにする。 やがて日本軍の爆撃が始まり、住居だった建物や教会、そして脱出用のボートも完全に破壊されてしまう。 そして日本兵の上陸が始まり、洞窟に隠れた二人だったが、アンジェラが日本軍に投降すると言い出し、アリソンはそれを制止する。 その後アリソンは、日本軍の食料を盗み出そうとする。 それを実行に移したアリソンは、日本兵に見つかりそうになり、アンジェラは銃声を聞き、彼が撃たれたものと思い投降しようとする。 そこに、大量の食料を持ったアリソンが姿を現し、再び二人の洞窟生活が始まる。 やがて二人は心が通い合い、日本軍が島を撤退した頃、それは愛情へと変わっていく。 日本軍は食料資材を残して行き、一転快適な島の生活が始まってしまう。 そしてアリソンは、修道女のアンジェラに尼僧にならずに、自分と結婚してくれと伝える。 アンジェラは、神に心を捧げた身なのでそれはできないと断り、アリソンは潔く諦めて無礼を謝罪する。 ある夜、アリソンは、アンジェラが見つけた酒を飲み過ぎて、酔った勢いで彼女に言い寄ってしまう。 その場を逃げ出したアンジェラは、雨の中で一晩過ごしたために、病に倒れてしまう。 その後、日本軍が再上陸し、二人は再び洞窟に隠れるが、アリソンは兵舎に忍び込む。 アンジェラのために、毛布を調達しようとしたアリソンは、日本兵一人を刺し殺してしまう。 日本兵は山を焼き払い、隠れている者を捜そうとしたため、アリソンとアンジェラは覚悟を決める。 その時、アメリカ軍の総攻撃が始まり、二人は命拾いをする。 そしてアリソンは、突然、神の声を聞き、日本軍の大砲を破壊しに戦火の中へと向かう。 死力を尽くしたアリソンは生き残り、別れの日が近いことをアンジェラに告げる。 アリソンはアンジェラに介抱されながら、上陸したアメリカ兵に救助される。 日本軍の大砲を破壊したのは誰なのか、アメリカ兵は不思議に思う。 アリソンの行動は、アンジェラ、そして神のみぞ知ることだった。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1944年、太平洋戦争中の南太平洋。
アメリカ海兵隊アリソン伍長は、ある孤島に漂着し、神父に死なれて独りで暮らす、修道女のシスター・アンジェラに出会う。
食料をアンジェラから分け与えてもらったアリソンは、彼女のために魚などを獲り二人は飢えをしのぐ。
島からの脱出を考えるアリソンだったが、アンジェラを置き去りにすることもできず、果物も豊富な島の生活を、アリソンは続けてもかまわないとも考える。
しかしアリソンは、アンジェラに励まされて脱出の準備を始める。
日本軍を警戒したアリソンは、一時的に山の洞窟に身を潜めることにする。
やがて日本軍の爆撃で住居や教会、脱出用ボートも破壊されてしまう。
その後、日本兵の上陸が始まり、洞窟に隠れた二人だったが、アンジェラが投降すると言い出したため、アリソンはそれを制止しする。
アリソンは、敵の食料を盗み出そうと兵舎に向かい大量の食料を手に入れる。
アリソンとアンジェラとの洞窟生活が始まり、やがて、日本軍が島を撤退した頃、二人の関係は、愛情へと変わっていくのだが・・・。
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1952年に発表された、チャールズ・ショウの同名小説を基に製作された作品。
主な登場人物は、デボラ・カー(修道女)とロバート・ミッチャム(海兵隊員)だけという異色の作品ながら、味わい深い作品に仕上がっている。
布教のため訪れた南海の孤島で、同行神父に先立たれ路頭に迷う美しい修道女と、荒削りだが人間味のある現実主義者の海兵隊員の友情は、次第に愛に変わっていくが、修道女は揺れ動く心を抑えながら誓いをたて、兵士は神の声に導かれて武勲をあげるという、ヒューマン・ドラマの秀作でもある。
第30回アカデミー賞では、主演女優(デボラ・カー)と脚色賞にノミネートされた。
信心深くはない、どちらかと言えば粗暴な兵士が、修道女への愛が神を信ずる心に変わり、やがて、神の声を聞くまでになる。
そして修道女は、自分の誓いの尊さを実感するという、ユーモアも交えた、ジョン・ヒューストンが自ら手がけた、繊細なタッチの脚本も素晴しい。
彼独特の男臭さもにじませながら、日米両国の島への攻撃場面などの、手抜きのないリアルな映像も見応え十分。
酒や米、箸や剣道着姿の日本兵など、日本の文化が登場するシーンも興味深い。
前年の「王様と私」(1956)に続き、アカデミー主演賞にノミネートされたデボラ・カーの、神への誓いをたてて、健気に生きる姿は、いつもの貴婦人のような役柄とは違う、内面的な美しさを感じさせてくれる。
まだ30代のロバート・ミッチャムは、若々しく逞しくもあり、朴訥で正直な人間臭い兵士役が、孤島のサバイバル生活に実に良くマッチしている。