監督マイケル・マンによる1989年にテレビ映画としてNBCで放映された”L.A. Takedown”を基に製作された作品。 犯罪事件捜査を進めるロサンゼルス市警の警部捕と犯罪者集団のリーダーとの駆け引きと戦いを描く、製作、監督、脚本マイケル・マン、主演アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、ヴァル・キルマー、ジョン・ヴォイト、トム・サイズモア、ダイアン・ヴェノーラ、アシュレイ・ジャッド他共演のクライム・アクション。 |
・アル・パチーノ / Al Pacino / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・マン
製作
マイケル・マン
アート・リンソン
製作総指揮
アーノン・ミルチャン
ピーター・ジャン・ブルージ
脚本:マイケル・マン
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集
ドヴ・ホウニグ
パスクァーレ・ブバ
ウィリアム・ゴールデンバーグ
トム・ロルフ
音楽:エリオット・ゴールデンサール
出演
ヴィンセント・ハナ:アル・パチーノ
ニール・マッコーリー:ロバート・デ・ニーロ
クリス・シヘリス:ヴァル・キルマー
ネイト:ジョン・ヴォイト
マイケル・チェリト:トム・サイズモア
ジャスティン・ハナ:ダイアン・ヴェノーラ
イーディ:エイミー・ブレネマン
シャーリーン・シヘリス:アシュレイ・ジャッド
ドラッカー:ミケルティ・ウィリアムソン
サミー・カサルス:ウェス・ステュディ
マイク・ボスコ:テッド・レヴィン
ドナルド・ブリーダン:デニス・ヘイスバート
ロジャー・ヴァン・ザント:ウィリアム・フィクナー
ローレン・グスタフソン:ナタリー・ポートマン
ケルソ:トム・ヌーナン
ウェイングロー:ケヴィン・ゲイジ
アラン・マルシアーノ:ハンク・アザリア
トレホ:ダニー・トレホ
ヒュー・ベニー:ヘンリー・ロリンズ
アルバート・トリーナ:リッキー・ハリス
リチャード・トリーナ:トーン・ロック
医師ボブ:ジェレミー・ピヴェン
ラルフ:ザンダー・バークレー
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1995年製作 170分
公開
北米:1995年12月15日
日本:1996年5月25日
製作費 $60,000,000
北米興行収入 $67,436,820
世界 $187,436,820
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロサンゼルス
犯罪者ニール・マッコーリー(ロバート・デ・ニーロ)は、病院から救急車を盗む。
マッコーリーの仲間であるクリス・シヘリス(ヴァル・キルマー)は、届いた爆発物を受け取る。
ロサンゼルス市警の殺人課警部補ヴィンセント・ハナ(アル・パチーノ)は、妻ジャスティンと精神的に不安定な彼女の連れ子ローレン・グスタフソン(ナタリー・ポートマン)と暮らしていた。
仕事を優先するハナとジャスティンの意見は噛み合わなかった。
マッコーリーの仲間マイケル・チェリト(トム・サイズモア)は、新たに加わったウェイングロー(ケヴィン・ゲイジ)を拾う。
犯行現場に向かうトレホ(ダニー・トレホ)はマッコーリーに連絡を入れ、クリスは大型トラックで行動を開始する。 救急車のマッコーリーが現れ、走行輸送車にクリスが衝突して横転させる。 武装したマッコーリーらはマスクをして輸送車を襲い、無記名債を奪い計画は順調に進む。 しかし、ウィングローが警備員を射殺してしまい、仕方なく全員を殺したマッコーリーらは救急車で逃走する。 現場には警察が駆けつけ、マッコーリーらは救急車を爆破して車を乗り換えその場を離れる。 犯行を仕切るのネイト(ジョン・ヴォイト)に会ったマッコーリーは、160万ドルの無記名債の持ち主で、麻薬資金をマネー・ロンダリングしているロジャー・ヴァン・ザント(ウィリアム・フィクナー)に、それを買い戻させることを知らされそれに従う。 ネイトは、ケルソ(トム・ヌーナン)が8桁の稼ぎになるヤマがあることをマッコーリーに伝えて別れる。 犯行現場に着いたハナは、部下のマイク・ボスコ(テッド・レヴィン)から状況説明を受け、ドラッカー(ミケルティ・ウィリアムソン)、サミー・カサルス(ウェス・ステュディ)らと捜査方針を考え無記名債を追わせる。 レストランに現れたマッコーリーは、警備員を殺したウィングローを痛めつけ駐車場で始末しようとする。 見張っていたチェリトがパトカーに気づき、それをマッコーリーに知らせるが、その隙にウィングローは姿を消す。 クリスは分け前の大半を賭けに使ってしまい、生活を考えないことで妻シャーリーン(アシュレイ・ジャッド)と口論になりその場を去る。 帰宅したハナは、すれ違い生活が続いていることを不満に思うジャスティンに仕事を理解してもらえずに苛立つ。 本を購入したマッコーリーは、書店で働くイーディ(エイミー・ブレネマン)にカフェで話しかけられる。 警戒し不愛想だったマッコーリーはイーディに謝罪し、彼女がグラフィックデザイナーであることを知る。 意気投合した二人は、イーディの家に向かい愛し合う。 翌日、ドラッカーと共に故買屋アルバート・トリーナ(リッキー・ハリス)の元に向かったハナは、兄リチャード(トーン・ロック)から情報を得られると言われ、兄弟と夜中に会う約束をしてその場を去る。 ケルソに会ったマッコーリーは、銀行を襲い1200万ドル以上の大金を強奪する話に乗る。 その場にいたネイトはヴァン・ザントに連絡を入れ、100%保険金が下りる無記名債を買い取ることで合意させる。 自宅にクリスがいたため、マッコーリーはシャーリーンに電話をして事情を聞く。 賭けでスッたことと稼ぎの悪さを責めるシャーリーンが出て行くと言うクリスに、マッコーリーは夫婦間のことを尋ね、プラチナの件を済ませ、次に銀行を襲うことを伝える。 出所して保護観察中のドナルド・ブリーダン(デニス・ヘイスバート)は、仕方なくレストランの雑用兼調理の仕事をするが、支配人の態度が気に入らない。 ヴァン・ザントに連絡して残金を受け取ることになったマッコーリーは、シャーリーンがモーテルでアラン・マルシアーノ(ハンク・アザリア)と密会している現場を目撃してしまう。 シャーリーンの部屋に向かったマッコーリーは、クリスにチャンスを与えることを約束させ、家に戻るよう彼女に強要する。 クラブに向かったハナはトリーナ兄弟に会い、”マイケル・チェリト”の情報を手に入れ、ボスコらに連絡して監視体制を整えるよう指示する。 ヴァン・ザントの使いから現金を受け取ったマッコーリーは、監視していたクリスから相手が裏切っていることを知らされる。 マッコーリーは自分を狙った男に車で体当たりし、クリスとチェリトが男達を射殺する。 現金が紙切れだったことでヴァン・ザントに電話をしたマッコーリーは、彼の死を予告する。 仲間達の家族と共に食事をしたマッコーリーは、イーディに電話をして会う約束をする。 レストランから出たチェリトを監視していたハナは、マッコーリーらの存在を知り彼らを探るよう部下に命ずる。 ウィングローは、街で拾った少女と愛し合い殺害し、その後ある男の連絡先を知らされる。 同僚の家族と共に楽しんでいたハナは、少女殺害現場に呼び出される。 店に戻ったハナは、その場に残っていたジャスティンから事件について質問される。 話すような内容でないと答えるハナとジャスティンの意見は噛み合わない。 レストランの仕事に不満を抱くドナルドは苦悩し、今後への希望を失う。 家族を持つ考えのなかったマッコーリーは、イーディとの時間に安らぎを感じ、ニュージーランドで共に生活することを提案し、彼女はそれを承諾する。 ハナらは、チェリトが探っていたプラチナ倉庫を監視していたが、マッコーリーはそれに気づき、クリスに退去を命じてその場を離れる。 マッコーリーらが手ぶらで出てきたため、ハナは武装部隊に見逃すよう指示する。 自分達が監視されていることなどを考え警戒するマッコーリーは、銀行襲撃の件で仲間達と話し合い、予定通り決行することを確認する。 犯罪の疑いがあるマルシアーノが、クリスの妻シャーリーンと関係していることを知ったハナは、彼に協力を強要する。 マッコーリーらを精油所と廃品置き場で見張っていたハナは、相手がそれを承知で、自分達を逆に監視していることに気づく。 ネイトから銀行の情報を受け取ったマッコーリーは、ハナが手強い相手だということを知らされる。 ヘリコプターの誘導でマッコーリーの車を追い停車させたハナは、彼をカフェに誘いお互いに探りをいれる。 署に戻ったハナは、クリスら3人を見失ったことをカサルスら部下から知らされる。 クリスらは銀行の地下の壁を破壊し、配電盤などを細工する。 ウィングローはヴァン・ザントと接触し、マッコーリーと仕事をしたことを伝え、役に立つと言って自分を売り込む。 レストランでトレホを待っていたマッコーリーらは、刑務所で一緒だった調理係のドナルドに気づく。 トレホから尾行が厳しくて向かえないという連絡を受けたマッコーリーは、ドナルドに話しかけて仲間に引き入れる。 マッコーリーらは銀行に向かい、行員と客に銃を向けて現金を奪う。 ハナらは、ある情報でマッコーリーらの銀行襲撃に気づき、武装して現場に急行する。 チェリトは待機していたドナルドの車に乗りこみ、マッコーリーもそれに続く。 ハナらは現場に到着してマッコーリーらの動きを追う。 それに気づいたクリスが発砲し、ボスコが銃弾を受け、ハナは彼の死を確認する。 車を発進させたドナルドは撃たれ、その場から退避したマッコーリーらと警察側との激しい銃撃戦が始まる。 マッコーリーは、銃弾を受けたクリスを連れて車を奪い逃走する。 ハナは、少女を抱きかかえながら発砲するチェリトを射殺する。 事件はニュースで大きく伝えられ、チェリトらの家族はそれを知る。 マッコーリーは、医師ボブ(ジェレミー・ピヴェン)の元にクリスを運び治療させる。 ボブに大金を払ったマッコーリーは、ネイトが家に連れて行ってくれることをクリスに伝え、裏切った可能性があるトレホの家に向かう。 シャーリーンは、マルシアーノから迎えに来るという連絡を受けるが、それは警察の指示だった。 マッコーリーは、痛めつけられた瀕死のトレホに銃を向ける。 愛人をウィングローに捕えられたため仕方なく裏切ったと言うトレホは、黒幕がヴァン・ザントだとマッコーリーに伝える。 助かる見込みのないトレホは、これ以上苦しみたくないことを伝え、マッコーリーは彼を射殺する。 ネイトに連絡したマッコーリーは、クリスの様子を確認してウィングローを殺すことを伝え、逃走経路を確保することを約束させる。 マッコーリーの逃走経路を考えるハナは、彼を密告した者を探す。 ヴァン・ザントの家に押し入ったマッコーリーは、ウィングローの居場所を教えないヴァン・ザントを容赦なく射殺する。 マルシアーノに案内された場所はドラッカーの別宅で、シャーリーンは、逮捕かクリスを裏切るかの選択を迫られる。 幼い子供のためにシャーリーンは仕方なくそれを承知し、マッコーリーの密告が、彼の元仲間でヴァン・ザントに雇われたウィングローの指示であることを突き止めたハナにその連絡が入る。 ハナは、ヴァン・ザントが殺されたため、マッコーリーが次に狙うのがウィングローであると考える。 空港のホテルに部屋をとっているウィングローを監視させたハナは、マッコーリーがまだ逃走せずにいるはずだとカサルスに伝える。 現れたマッコーリーが、事件の犯人だと知ったイーディは動揺し、彼に説得されるもののその考えを理解できない。 帰宅したハナは、その場に見知らぬ男ラルフ(ザンダー・バークレー)がいることに気づく。 ハナが責める気もないことを知ったジャスティンは、別れる考えでとった行動だと伝える。 ネイトからフライト・チケットなどを受け取ったマッコーリーは、その後の逃走経路とクリスが出て行ったことを知らされる。 マッコーリーはイーディを説得し、彼女は行動を共にすることを決意する。 クリスらしき男が現れたという連絡で、ドラッカーは、シャーリーンにそれを確認するためバルコニーに出るよう指示する。 シャーリーンはクリスに逃げるよう手で合図し、ドラッカーに人違いだと伝える。 ドラッカーはその男をチェックするよう指示するが、身元が確認できたことで検問を通し、それをハナに知らせる。 ウィングローの部屋を見張らせたハナは、マッコーリーの居所を掴めずに苛立ちホテルに戻る。 自殺を図ったローレンに気づいたハナは、止血をして彼女を病院に運ぶ。 駆けつけていたジャスティンと共に状況を見守るハナは、ローレンが助かることを知り安堵する。 イーディを連れて空港に向かったマッコーリーは、ウィングローの居場所をネイトから知らされる。 ネイトから、これで自由になれると言われたマッコーリーだったが、ウィングローの宿泊するホテルに向かい、イーディに待機させる。 マッコーリーは、火災報知機を作動させてホテル内と警備室を混乱させる。 ジャスティンからやり直せるかを問われたハナは、努力しても結局はうまくいかないと伝え、ポケベルで呼び出される。 ハナはジャスティンに現場に向かうよう言われ、彼女を気遣いながらその場を離れる。 警備員を装い部屋に押し入ったマッコーリーは、ウィングローを射殺する。 警官に銃を向けられたマッコーリーは、彼を叩きのめしてイーディの元に向かう。 ヘリで現場に到着したハナは、マッコーリーの車に気づく。 マッコーリーは車に近づくものの、ハナが駆け寄ってくることを知り、イーディを見つめながらその場から逃走する。 発砲するハナから逃れ滑走路を横切ったマッコーリーは、一瞬の隙に銃弾を受ける。 歩み寄ったハナは、刑務所には戻らないと伝えたと言うマッコーリーの言葉に頷く。 差し出した手をハナに握られながら、マッコーリーは息絶える。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス。
犯罪者ニール・マッコーリーとクリスらは、無記名債を強奪して逃亡する。
事件を担当した市警・殺人課の警部補ヴィンセント・ハナは、犯人一味と思われるチョリトの情報を得て、彼に関係するマッコーリーらの存在を知る。
ハナは、部下らにマッコーリーらを監視させるものの、逆に手の内を読まれて捜査に梃子摺る。
そして大金が保管されている銀行を襲ったマッコーリーらと、それを知ったハナら警察との激しい戦いが始まる・・・。
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マイケル・マンが監督したテレビ映画”L.A. Takedown”のリメイク的な作品ではあるが、何といっても「ゴッドファーザーPARTII」(1974)以来となるアル・パチーノとロバート・デ・ニーロの共演が話題となった作品。
共演とは言っても、時代を隔てた親子関係であった「ゴッドファーザーPARTII」(1974)では一度も顔を合わせる場面がなかった二人は、本作では同一場面には登場する。
しかし、正面から映す二人のショットがないというところに注目したい。
既にハリウッドを代表する演技派として活躍していた二人の隙の無い演技を、同一場面でありながら別々に演じているように見せるマイケル・マンの演出は見事だ。
そして、戦争やハード・アクション映画は別として、警察の少数チーム対数人の銀行強盗の戦いの凄まじさは、映画史上に残ると言っていい銃撃戦であり、その迫力は圧巻だ。
警察と犯人側、同僚や仲間達そしてその家族を含め、多くの登場人物それぞれの個性を生かした描写など、単なる犯罪映画に留まらない域に達する内容で、3時間弱の長尺も全く長さを感じない。
製作費6000万ドル、北米興行収入は約6700万ドル、全世界では約1億8700万ドルのヒットとなった。
役者としての全ての資質を備えたような、主演二人の演技はため息がでるほどであり、全く違う雰囲気のアル・パチーノとロバート・デ・ニーロの才能を共演により再確認できる素晴らしい作品である。
主演二人以外の豪華スター競演も見逃せない。
ややはみ出し者的な犯罪者を好演するヴァル・キルマー、犯行を仕切るジョン・ヴォイト、犯罪者一味のトム・サイズモアとダニー・トレホ、主人公(アル・パチーノ)との生活のすれ違いに苦悩する妻ダイアン・ヴェノーラ、情緒不安定なその娘ナタリー・ポートマン、マッコーリー(ロバート・デ・ニーロ)との関係を深めるグラフィックデザイナーのエイミー・ブレネマン、クリス(ヴァル・キルマー)の妻アシュレイ・ジャッド、その愛人ハンク・アザリア、刑事ミケルティ・ウィリアムソン、ウェス・ステュディ、テッド・レヴィン、犯罪集団に加わるデニス・ヘイスバート、裏銀行のボス、ウィリアム・フィクナー、その部下ヘンリー・ロリンズ、銀行襲撃を提案するトム・ヌーナン、犯罪集団でミスを犯し裏切るケヴィン・ゲイジ、故買屋の兄弟リッキー・ハリスとトーン・ロック、医師ジェレミー・ピヴェン、そしてテレビ映画でウィングローを演じたザンダー・バークレーがダイアン・ヴェノーラの愛人役で登場する。