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バッドタイム Harsh Times (2006)

過酷な戦争体験の後遺症で平穏な社会生活に馴染めない男の苦悩と鬱屈した日々を描く、主演クリスチャン・ベールフレディ・ロドリゲスエヴァ・ロンゴリアJ・K・シモンズ他共演、製作、監督、脚本デヴィッド・エイヤーによる社会派ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・エイヤー

製作
デヴィッド・エイヤー

アンドレア・スパーリング
脚本:デヴィッド・エイヤー
撮影:スティーヴ・メイソン
編集:コンラッド・バフ
音楽:グレアム・リーヴェル

出演
ジム・ルーサー・デイヴィス:クリスチャン・ベール

マイク・アロンゾ:フレディ・ロドリゲス
シルヴィア:エヴァ・ロンゴリア
マルタ:タミー・トゥルール
トゥーサン:チャカ・フォーマン
ダレル:テリー・クルーズ
フラコ:ノエル・グーリーエミー
リチャーズ捜査官:J・K・シモンズ

アメリカ 映画
配給 MGM

2005年製作 115分
公開
北米:2006年11月10日
日本:未公開
製作費 $2,000,000
北米興行収入 $3,335,840
世界 $5,967,040


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
アフガニスタンで過酷な戦闘体験をした元陸運レンジャー
部隊
員ジム・ルーサー・デイヴィス(クリスチャン・ベール)は、心的外傷後ストレス障害で悩んでいた。

メキシコ人の恋人マルタ(タミー・トゥルール)に必ずアメリカに連れて行くと約束したジムは、ロサンゼルスに戻り市警からの不採用の通知を受けてしまう。

同行していた親友マイク・アロンゾ(フレディ・ロドリゲス)の前で激怒するジムは、仕方なく郡保安官の採用をあたってみることにする。

マイクも、弁護士の恋人シルヴィア(エヴァ・ロンゴリア)に職を探すよう言われていたが、二人はビールとマリファナを手に入れ遊び回る。

ハイになったジムは、知り合いの女の仲間を銃で脅し、金品を巻き上げ逃走してしまう。
...全てを見る(結末あり)

その後、そのことがシルヴィアにばれないよう、ジムが人事担当を装い、マイク宛に留守電を入れる。

暫くすると、ジムに連邦政府から電話が入り、国土安全保障省の採用試験を受けることになる。

翌日、採用試験を受けたジムは、マイクと共に悪友のダレル(テリー・クルーズ)の元に向かい、奪った拳銃を売ろうとする。

しかし、ダレルは保釈されたばかりで金がなく、マイクのために”人事担当”を演じる。

ダレルの紹介で、ある酒場に行ったジムとマイクは、銃を売ろうとした男がいきなり殺されてしまい、慌てて店を出て逃亡する。

帰宅したマイクは、シルヴィアに”人事担当”が嘘だったということが知られてしまい、家を追い出され、ジムの所で世話になる。

ジムの採用試験は進み、担当官リチャーズ(J・K・シモンズ)が、彼に目をつけている上役がいることを伝える。

しかし、ジムは尿検査でマリファナ成分が検出され、軍時代の虐殺行為も指摘されてしまう。

任せられるのが、コロンビアの仕事だけだと聞かされたジムは、マルタとの結婚を諦め任務を受けることを担当官に告げる。

マイクに採用されたことを告げたジムは、仲間のトゥーサン(チャカ・フォーマン)なら銃を買うと知らされ、それを売って羽目を外しにメキシコに向かおうとする。

シルヴィアにそれを止められたマイクだったが、ジムが彼女に言いがかりをつける。

二人は口論になるが、結局はマイクはジムとトゥーサンと共に気勢を上げてメキシコに向かう。

マルタの家に着いた三人は、彼女の家族を連れて湖に向かう。

ジムは、マイクとトゥーサンにコロンビアに赴任することを告げるが、二人はマルタと気楽に暮らすべきだとジムに助言する。

しかし、ジムはコロンビアで再び戦いに挑む意気込みを見せる。

その後、マルタから妊娠を告げられたジムは、動揺してしまい、ストレス障害の後遺症が出て彼女に銃を向けてしまう。

マイクがジムを制止し彼は正気に戻り、ロサンゼルスに向かおうとする。

酒を浴びながら、猛スピードで車を走らせたジムは、専門的な治療を受けるべきだとトゥーサンに忠告され、マイクもそれに同調する。

ジムは、マルタが妊娠したため動揺したことをマイクに告げ、メキシコで手に入れたマリファナを売りさばこうとする。

マイクは、ジムが自分を巻き込んだことを非難するが、仕方なく取引現場に向かう。

そこに、以前ジムが金品を奪った男が現れ、ジムと男は互いに銃を構える。

ジムは、その場の相手全員を撃ち殺しマイクと逃亡するが、残っていた売人に銃撃されてしまう。

銃弾を受けたジムは、全てをダメにしたことを悔やみ、自分を射殺するようマイクに伝える。

そしてマイクは、瀕死のジムの頭部を撃ち抜き、その場を走り去り、シルヴィアの元に戻る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
心的外傷後ストレス障害の後遺症が残る元陸運レンジャー部隊員のジム・デイヴィスは、ロサンゼルス市警に不採用となり、悪友であるマイクと共に好き勝手な毎日を送っていた。
そんなジムに、国土安全保障省からの採用の話が舞い込み、彼は再び国家のために尽くそうという意気込みに燃える。
しかし、ジムは愛する恋人と別れなければならないという立場に立たされ、マイクと悪友仲間トゥーサンとの最後の気晴らしに、恋人のいるメキシコへと向かうのだが・・・。
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デンゼル・ワシントンの「トレーニングデイ」(2001)の脚本担当デヴィッド・エイヤーが、製作、脚本そして初監督した意欲作。

極悪人にしか見えない主人公が、警察や政府機関に採用されるという社会の仕組が、まず日本人には理解できないことであり怖さを感じる。

ありがちなのだが、戦争の悲劇は戦場だけでないという社会へのアピールが、後遺症が攻撃的暴力として表面化してしまうという、人間性を破壊する”悲劇”に近い描かれ方をしているところも注目だ。

拡大公開もされず、商業ベースには乗らなかった作品ではある。
ダークナイト」(2008)など、ハリウッド最大級の作品で主演するトップ・スター、クリスチャン・ベールは、地味で社会性のあるテーマの小作でも、手抜きのない演技を見せるところが、さすがにプロフェッショナルだ。

主人公の悪ガキ風の親友で、繊細な一面も見せるフレディ・ロドリゲス、その恋人エヴァ・ロンゴリア、主人公の恋人タミー・トゥルール、主人公の悪友のチャカ・フォーマン、テリー・クルーズ、敵対するノエル・グーリーエミー国土安全保障省の採用担当官J・K・シモンズなどが共演している。


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