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アンデルセン物語 Hans Christian Andersen (1952)

デンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの人柄などをユーモアを交えて描く、製作サミュエル・ゴールドウィン、監督チャールズ・ヴィダー、主演ダニー・ケイファーリー・グレンジャージジ・ジャンメールフィリップ・トング他共演のミュージカル・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ミュージカル)


スタッフ キャスト
監督:チャールズ・ヴィダー
製作:サミュエル・ゴールドウィン
原作:マイルズ・コノリー
脚本:モス・ハート
撮影:ハリー・ストラドリング
編集:ダニエル・マンデル
美術・措置
リチャード・デイ
アントニー・クレイヴ
ハワード・ブリストル
衣裳デザイン
アントニー・クレイヴ
メアリー・ウィリス
バーバラ・カリンスカ
音楽
フランク・レッサー
ウォルター・シャーフ

出演
ハンス・クリスチャン・アンデルセンダニー・ケイ
ニールス:ファーリー・グレンジャー
ドーロ:ジジ・ジャンメール
ピーター:ジョーイ・ウォルシュ
オットー:フィリップ・トング
”リトル・マーメイド”の王子:ローラン・プティ
”アイス・スケーティング・バレエ”の騎兵:エリック・ブラン
校長:ジョン・ブラウン
村長:ジョン・クォーレン

アメリカ 映画
配給 RKO
1952年製作 120分
公開
北米:1952年11月25日
日本:1953年10月24日
製作費 $4,000,000
北米興行収入 $6,000,000


アカデミー賞
第25回アカデミー賞

・ノミネート
撮影・美術・衣裳デザイン・録音・歌曲・ミュージカル音楽賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1830年代、デンマークオーデンセ
靴職人のハンス・クリスチャン・アンデルセンダニー・ケイ)は、登校前の子供達と凧揚げなどをして遊び、おとぎ話をして楽しく過ごす。

子供達が登校しないのはハンスのせいだと校長(ジョン・ブラウン)が気づいたため、ハンスの弟子である孤児のピーター(ジョーイ・ウォルシュ)は焦る。

ハンスの元に向かったピーターは、校長が村長(ジョン・クォーレン)のところに行ったことを知らせる。

村長らと共に現れた校長から非難されたハンスだったが、気にせずに話を始めてしまう。
...全てを見る(結末あり)

村長らは思わずハンスの話に聞き入ってしまうものの、憤慨する校長は話を止めさせる。

今後は慎むようにとハンスに注意した村長は、子供達を学校に向かわせる。

ピーターから、子供達と遊ぶのはやめた方がいいと言われたハンスだったが、全く気にする様子はなかった。

翌朝も子供達が登校せず、凧が揚がっていることを知った校長は、市長の元に向かい、自分かハンスのどちらかが村を出なければ解決しないと訴える。

父兄達の意見は分かれ、ハンスの話は役に立つとピーターは意見するものの、納得いかない校長は、後任を探すようにと言ってその場を去る。

話し合った結果、ハンスに村から出て行ってもらうことを校長が決めたために、ピーターは家に戻り荷物をまとめる。

戻って来たハンスに、商売もうまくいかないので大きな街に行くことを提案したピーターは、コペンハーゲンに興味を持っていた彼に荷物を渡し、今すぐ旅立つべきだと伝える。

その気はなかったハンスだったが、この村に一人もいないコペンハーゲンに行けば、皆がその話でもちきりになると言われる。

旅立つ気になったハンスは、戻ってきたら話を聞かせるとピーターに伝えてコペンハーゲンに向かう。

暫くすると、荷車に荷物を乗せたピーターが現れ、コペンハーゲンが気に入り戻ってこないかと思ったとハンスに伝える。

コペンハーゲンでも靴屋を開けると言われたハンスは、ピーターと共に先を急ぐ。

船に乗りシェラン島に向かうハンスとピーターは、陸が見えたために期待に胸膨らませる。

コペンハーゲン
故郷とは違い活気ある街の様子に驚くハンスとピーターは、様々な人々が店を開く広場で商売を始めることにする。

しかし、国王の銅像の前だったためにハンスは逮捕されてしまい、ピーターはその場から逃げる。

デンマーク王立バレエ団”の演出家ニールス(ファーリー・グレンジャー)は、バレリーナがトウシューズのことで問題を起こしているため、靴屋を探せなければ公演は中止だと興行主のオットー(フィリップ・トング)に伝える。

その話を聞いていたピーターは、オットーに靴屋を知っていることを伝えて協力を求める。

留置されていたハンスは、外で遊んでいた少女に話しかけて、鉄格子越しに親指で人形を作り話をする。

そこにピーターが現れ、ハンスを釈放したオットーは、”デンマーク王立バレエ団”の保護下にあることを伝える。

オットーと共に劇場に向かったハンスは、バレエ団のリハーサルを見学する。

その内容に納得できないニールスは、プリマドンナのドーロ(ジジ・ジャンメール)から、トウシューズを変えなければ無理だと言われる。

ハンスを舞台に呼んだニールスは、ドーロの要望に応えてほしいと伝える。

舞台裏にハンスを連れて行ったドーロは、特別なジャンプをするためのシューズが欲しいと言って、注文内容を伝える。

望みに応えられると思うと伝えたハンスは、ドーロに人目惚れしてしまい、そのことをピーターに話して早速シューズを作り始める。

舞台では厳しいもののニールスと愛し合っていドーロは、シューズには満足していたが意地悪しただけだと伝える。

気分を害したニールスは、皆に迷惑をかけたと言ってドーロを非難し、二人は言い合いになる。

平手打ちまでし合う二人を止めようとしたハンスだったが、オットーから、ニールスとドーロが夫婦だと知らされてショックを受ける。

ドーロからシューズのお礼を言われたハンスは、彼女がニールスと共に帰る姿を見つめる。

その後ハンスは、ドーロのことを考えながら物語を書く。

ハンスが眠った後で、彼が書いた”リトル・マーメイド”の物語を読んでいたピーターは、風で飛んだ紙が劇場の二階の部屋の窓に入ってしまったために、それを取りに行く。

翌朝、目覚めたニールスは、劇場にいたピーターが連れて来られたことを知り、彼が持っていた紙を渡されて、書かれていた物語を読む。

自分が書いたと言うものの、ウソがバレてしまったピーターは、ハンスが書いたことをニールスに伝えて、それを読んだドーロは喜ぶ。

ドーロは、からかうニールスに、笑ってはハンスに失礼だと伝える。

物語の紙がなくなったことに気づいたハンスはそれを探し、戻って来たピーターから、ドーロが読んだことを知らされる。

その理由を訊かれたピーターは、自分が読んでいたら風で飛ばされたことを話し、ハンスは、神様が運んでくれたと言って喜ぶ。

しかしハンスは、バレエ団が地方公演に向かうことを知る。

オーデンセの村と同じように子供達と仲良くするハンスは、病気で髪の毛を剃っているために仲間外れの少年ラーズに、”みにくいアヒルの子”の話をして励ます。

そんなハンスは、その後もドーロのことを想い続ける。

新聞社に呼ばれたハンスは、ラーズの父親だった編集長から、”みにくいアヒルの子”の物語を新聞に掲載することを知らされる。

ハンスの話が子供達に好評なために、編集長は、それを聞かせてくれれば印刷して、報酬も払うことを提案する。

作家になれることを喜んだハンスは、それをピーターに伝える。

バレエ団が戻ったことを知ったハンスは、靴の修理を後回しにしてドーロに会いに行く。

劇場に向かったハンスは、ドーロと愛し合う自分の姿を想像してしまう。

ドーロに声をかけられたハンスは、自分の物語が公演されることを知らされ、キスまでしてもらえる。

公演を観に行く準備をしていたハンスは、ニールスとドーロに馬鹿にされるだけだと言うピーターの意見を聞こうとせず、彼を非難して劇場に向かう。

劇場の前で、演目”リトル・マーメイド”のポスターに書かれた自分の名前を誇らしく思うハンスは、開演前の準備に忙しいニールスに、ドーロにシューズを渡しに来たと伝える。

客席に向かうよう指示されたハンスはドーロを捜すものの、邪魔してもらいたくないと言うニールスは、彼を道具部屋に閉じ込めてしまう。

ハンスは、仕方なくその場でドーロが踊る姿を想像する。

リトル・マーメイド”は開演し、ドーロは、王子役(ローラン・プティ)と共に見事に踊り終える。

その頃ハンスは、ドーロのことを想いながら眠ってしまう。

翌朝、劇場にハンスの姿が見えなかったことを不思議に思ったドーロは、彼を道具部屋に閉じ込めてしまったことを忘れていたニールスから、それを知らされる。

驚いたドーロはハンスを気の毒に思い、ニールスを責める。

ハンスを呼んだドーロはニールスのことを謝罪し、今夜は観れると伝えるものの、物語は知っているので音楽で姿は想像できたと言われる。

ニールスの前で泣いて叩かれて泣いたことなどを知っていたハンスが、物語を書いた理由を話そうとするため、自分に好意を抱いていることに気づいたドーロは動揺する。

そこに現れたニールスは、ハンスに昨晩のことを謝罪し、ドーロに愛を伝えてプレゼントを贈る。

ハンスに気を遣うドーロは気持ちを察し、シューズを渡されて見送る。

オーデンセに戻るハンスはピーターに気づき、もう話をするのはやめて靴屋に専念すると伝える。

絶対に無理だと言うピーターは、また必ず話をするとハンスに伝えて一緒に村に帰る。

その後ハンスの様々な物語は出版され、子供達だけでなく、批判的だった校長他、大人達にも受け入れられる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1830年代、デンマークオーデンセ
靴職人のハンス・クリスチャン・アンデルセンは、頭に浮かぶ空想の世界を子供達に話し喜ばせていたが、校長や村長に注意され、村から追放されることになる。
それを知らないハンスは、弟子の少年ピーターから、コペンハーゲンの街を見てくるようにと言われ、その気になって旅立つ。
ピーターも同行してコペンハーゲンに着いたハンスは、ひょんなことからデンマーク王立バレエ団のプリマドンナ、ドーロのトウシューズを作ることになり、彼女に一目惚れしてしまう。
しかし、ドーロは演出家のニールスの妻であることを知ったハンスは気落ちする。
それでもハンスは、ドーロのために”リトル・マーメイド”の物語を書くのだが・・・。
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大プロデューサーのサミュエル・ゴールドウィンが製作し、彼が映画界に誘い入れた人気スターのダニー・ケイが主演、チャールズ・ヴィダーの演出によるミュージカル・コメディ。

それ自体がおとぎ話の世界のような、町並みのセットや衣裳などと共に、テクニカラーの美しい映像が見事な効果を上げて、楽しくまた心温まる内容に仕上がっている。

他の多くの作品同様、第二次大戦後、人々が疲弊しきっていた時代に、どれだけの希望や喜びを与えたことか想像ができる、その点で計り知れない貢献をした名作と言える作品でもある。

主人公と関係する”デンマーク王立バレエ団”の格調高いバレエが作品に重みを加え、14分にも及ぶその演目”リトル・マーメイド”の終盤のシーンは圧巻だ。

第25回アカデミー賞では、撮影・美術・衣裳デザイン・録音・歌曲・ミュージカル音楽賞にノミネートされた。

主演のダニー・ケイは、心優しく陽気な主人公ハンス・クリスチャン・アンデルセンを、彼の個性を活かして見事に演じている。
彼は、2年後には国連ユニセフに参加して、親善大使氏として活躍しアカデミー賞の特別賞を受賞した。

芸に完璧を求めるためにバレエ団の演出家ファーリー・グレンジャー、その妻である主人公が惹かれるプリマドンナのジジ・ジャンメール、主人公に育てられた孤児の少年ジョーイ・ウォルシュ、バレエ団の興行主フィリップ・トング、2年後にジジ・ジャンメールと結婚する、バレエ団のダンサー役ローラン・プティ、同じくダンサーのエリック・ブラン、校長のジョン・ブラウン、そして、ジョン・フォード一家の一員でもあるジョン・クォーレンオーデンセの村長役で登場する。


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