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ハンズ・オブ・ストーン Hands of Stone (2016)

”ハンズ・オブ・ストーン/石の拳”と言えわれた天才ボクサー、ロベルト・デュランの戦いを描く、製作、監督、脚本ジョナタン・ヤクボウィッツ、主演エドガー・ラミレスロバート・デ・ニーロアッシャー・レイモンド四世ルーベン・ブラデスアナ・デ・アルマスジャーニー・スモレットエレン・バーキンジョン・タトゥーロ他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(スポーツ)

アナ・デ・アルマス / Ana de Armas / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ジョナタン・ヤクボウィッツ

製作
ジェイ・ワイスレダー
カルロス・ガルシア・デ・パレデス
クロディン・ヤクボウィッツ
ジョナタン・ヤクボウィッツ
製作総指揮
ベン・シルヴァーマン
リカルド・デル・リオ
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
デヴィッド・グラッサー
ロビン・デュラン
サミー・ワイスレダー
マックス・ケラー
ジョージ・イーデイ
脚本:ジョナタン・ヤクボウィッツ
撮影:M・ヨアン・リッティン
編集:イーサン・マニキス
音楽:アンジェロ・ミィリ

出演
ロベルト・デュランエドガー・ラミレス
レイ・アーセルロバート・デ・ニーロ
シュガー・レイ・レナードアッシャー・レイモンド四世
チャフラン:オスカル・ハナエダ
フェリシダード・イグレシアス・デュラン:アナ・デ・アルマス
ファニータ・レナード:ジャーニー・スモレット=ベル
ステファニー・アーセル:エレン・バーキン
カルロス・エレータ:ルーベン・ブラデス
ネスモート”プロモ”キニョネス:ペドロ・ペレス
フランキー・カルボジョン・タトゥーロ
マルガリート・デュラン:エリュード・カウフマン
ケン・ブキャナンジョン・ダディ
アンジェロ・ダンディージョー・ユーラ
ドン・キングレグ・E・キャシー
アデル・アーセル:ドリーナ・デ・ニーロ

アメリカ/パナマ 映画
配給 ワインスタイン・カンパニー
2016年製作 111分
公開
北米:2016年8月26日
日本:2017年7月24日
製作費 $20,000,000
北米興行収入 $4,712,790
世界 $4,978,350


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1971年9月13日、マディソン・スクエア・ガーデン
名トレーナーとして知られるレイ・アーセルロバート・デ・ニーロ)は、ベニー・フエルタスを1ラウンド、わずか66秒でKOしたロベルト・デュランエドガー・ラミレス)の試合を観戦する。

デュランのマネージャー、カルロス・エレータ(ルーベン・ブラデス)は、レイに協力を求める。

カルロスからレイを紹介されたデュランは、母親を捨てた父がアメリカ人だったことでアメリカを憎むために、自分には必要ないと伝える。

レイはその場を去り、カルロスは、18人もの世界王者を育てた彼に対するデュランの態度を批判する。

トレーナー、ネスモート”プロモ”キニョネス(ペドロ・ペレス)も不満気であり、彼とレイで世界王者を目指せると言うカルロスだったが、デュランは敵とは組まないという考えを変えない。
__________
...全てを見る(結末あり)

1964年1月9日、アメリカ合衆国 パナマ運河地帯。
パナマの学生たちとアメリカ側の衝突を目の当たりにした少年デュランは、マンゴーを盗みスラム街の家に戻る。

デュランは他の貧しい子供たちと共に、チャフラン(オスカル・ハナエダ)から生きるすべを教わる。

ボクシングに興味を持ったデュランは、ジムで追い払われたプロモに認められ、指導を受けながら成長する。

1971年1月29日。
通りで女学生のフェリシダード・イグレシアス(アナ・デ・アルマス)に声をかけたデュランは、彼女に自分の思いを伝える。

そこに高級車に乗ったプロモが現れ、デュランはカルロスを紹介される。

世界王者になりたければ力になると言われたデュランは、カルロスの車でその場を去る。

デュランに見つめられたフェリシダードは、彼が気になる存在になる。
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1953年9月19日、ニューヨーク
ボクシングの興行を全国で行っていたレイは、マフィアの反感を買っていた。

その件でフランキー・カルボジョン・タトゥーロ)に脅されたレイは、襲撃されて重体となり引退する。
__________

その後、ボクシングでは金を稼がないことをマフィアと約束したレイは、妻のステファニーと共の静かに暮らしていた。

ステファニーは、再びボクシングと関わる考えのレイを心配する。

1971年10月28日、パナマとアメリカ領運河地帯との境界。
トレーナーを引き受けたレイは、デュランスコットランドの世界王者ケン・ブキャナンジョン・ダディ)との対戦に備える。

フェリシダードと話をしたデュランは、無学であることを知られて住む世界が違うと言われるものの、思い込みだと伝える。

親交を深めた二人は、愛し合うようになる。

カルボに再会したレイは、無償でトレーナーを引き受けていることを信じてもらえない。

予想ではブキャナンが有利だが、デュランが必ず勝つので、それで見逃せと言うレイは、負けたら撃ち殺せばいいとカルボに伝える。

1972年6月26日、マディソン・スクエア・ガーデン
世界ライト級王者ブキャナンデュランの戦いは始まる。

互角以上に戦ったデュランは、13ラウンドTKO勝ちでチャンピオンとなり、メイドと密かにテレビ観戦していたフェリシダードは興奮する。

一夜にしてパナマの英雄となったデュランレイに感謝し、帰国してフェリシダードと愛し合う。

やがて二人は結婚してフェリシダードは男の子を出産し、デュランは”ロベルト”と名付ける。

エステバン・デ・ヘススに判定負けするものの、1973年、連戦連勝を続けるデュランには女の子が誕生し、1975年にも女の子が産まれる。

1977年に男の子も産まれ再び”ロベルト”と名付けたデュランは、”ハンズ・オブ・ストーン/石の拳”と言われ、貧しい人々のために金を使う。

カーター大統領パナマ軍事政権の指導者トリホス将軍と”新パナマ運河条約”を締結させ、運河はパナマに返還されることになり、デュランは人々と共にそれを喜ぶ。

運河が返還されるのは1999年であるため、フェリシダードは、アメリカのアイドル的存在のシュガー・レイ・レナードアッシャー・レイモンド四世)を倒して、アメリカ人に敬意を払わせるべきだとデュランに伝える。

1980年、カナダモントリオール
現地入りしたデュランは、対面したレナードと妻ファニータ(ジャーニー・スモレット)を侮辱して挑発し騒ぎを起こす。

戦略の話もまともに聞かず、女性も侮辱したデュランを許さないレイは、謝罪する彼に、自分の助けが必要なら二度としないことを約束させる。

6月20日、オリンピック・スタジアム
不利と予想されるデュランは完成を受け、現地のオリンピックで金メダルを獲得したレナードだったが、ブーイングを浴びる。

試合は始まり、男らしさにこだわったレナードはいつもと違い、レイデュランに判定ではなくKOを狙わせる。

最終15ラウンドでも決着はつかず、勝敗は判定に持ち込まれ、レナードが有利な中、デュランがウェルター級の新王者となる。

養子の娘アデル(ドリーナ・デ・ニーロ)が薬物依存症で入院したことを知ったレイは、亡くなった前妻の両親に4歳の彼女を託していたことをステファニーに話す。

1980年6月27日、ハワイ
自分をわざと挑発したデュランの戦略にはまったことをファニータに話したレナードは、トレーナーのアンジェロ・ダンディージョー・ユーラ)に電話をして、ドン・キングレグ・E・キャシー)に試合を組ませるよう指示する。

ドン・キングは、800万ドルに200万ドル上乗せしたファイトマネーでカルロスに試合を持ちかける。

その話をするカルロスを寄生虫呼ばわりして侮辱したデュランは苛立ち、恩人のチャフランも屋敷から追い出す。

1980年7月30日、ラスベガス
父マルガリート(エリュード・カウフマン)と対面したデュランは、今までのことを謝罪され、息子であることを誇りの思うと言われて戸惑う。

デュランに追い出されたチャフランは貧民街に戻り、惨めな生活の末に、トラックに轢かれて死亡する。

そのことを、デュランはフェリシダードから知らされる。

既に試合を組んでしまったカルロスだったが、レイは納得できなかった。

1980年8月26日、アメリカ領 パナマ運河
父がアメリカ生まれのメキシコ人だったことをレイに話したデュランは、カルロスが再戦を受けたと言われ、3か月後に試合は予定されていた。

サインはもらったと言われたデュランは憤慨し、カルロスを罵るものの戦うしかなく、20キロ近くの減量のためにトレーニングを始める。

減量に苦しむデュランは、レイに励まされながら何とか持ち堪え、傷つけてしまったフェリシダードに電話して謝罪し、愛を確かめる。

カルロスと共に試合の延期をドン・キングに持ち掛けたレイだったが、無理だと言われ、訴えられる可能性も出てくる。

試合延期が無理だということをレイから知らされたデュランは、防衛しなければタイトルを剥奪されると言われて動揺する。

1980年11月25日、試合当日、ニューオーリンズ
計量にパスしたデュランは、記者会見にでレナードを挑発する。

冷静なレナードは、デュランに敬意を表して戦いに挑むことを話す。

動揺しながら食事をするデュランは、フェリシダードに八つ当たりする。

スーパードーム”。
母親が”レイ・チャールズ”のファンだったことで、その名がつけられたレナードは、本人のリング上の熱唱に感謝する。

試合は始まり、順調に調整して自信に満ち溢れるレナードに対し、デュランの焦りが目立つ。

完全にレナードの術中にはまったデュランは、8ラウンド、”ノー・マス/もうたくさんだ”と言って試合を放棄してしまう。

レイに非難されたデュランは、ふざけている道化のようなレナードとは戦わないと言って、記者たちに引退することを伝える。

記者会見で説明を求められたレイは、デュランは弱者ではなく、棄権したのはプライドのためだと話し、出場停止処分の噂を一蹴する。

帰国したデュランは、失望した人々から非難される。

1981年7月31日。
酒に溺れ何もする気にならないデュランを見限ったフェリシダードは、子供たちを連れて出て行こうとする。

そこにトリホス将軍が死んだという知らせが入り、彼の支持者は悲しむ。

デュランは、皆やフェリシダードを失望させた自分を恥じて復帰することを彼女に伝える。

レイにトレーナーを頼んだデュランだったが、それを断られる。

デュランは、プロモに頼み才能を信じろと言うレイの指示に従う。

ステファニーと話したレイは、今、自分を一番必要としている者はデュランではないと言われ、アデルの様子を見に行く。

プロモが最初にやったことは、デュランを祭りに参加させることだった。

刑務所にも連れて行かれたデュランは、囚人と殴り合いをする。

大儲けをさせてもらったカルボレイに感謝し、デュランの復帰戦への協力を求められる。

1983年6月16日、マディソン・スクエア・ガーデン
控室に現れたレナードと和解したデュランは、ファニータの件も謝罪する。

32歳の誕生日に、スーパー・ウェルター級のタイトルを懸けてデビー・ムーアと対戦するデュランは、ステファニーとアデルに伴われてリングサイドに現れ、フェリシダードが迎えたレイを見つめる。

試合は始まり、若いムーア相手に冷静に戦いに集中するデュランは、8ラウンドTKO勝ちしてスーパー・ウェルター級世界王者となる。

人々は熱狂し、実況のレナードレイデュランの戦いぶりに満足する。

リングに上がったフェリシダードと抱き合うデュランの姿をテレビで見ていた5人の子供たちも喜ぶ。

デュランレイに感謝し、レナードに祝福される。
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ネスモート”プロモ”キニョネスは、デュランを生涯、献身的に支え続け、2018年に81歳で亡くなった。

カルロス・エレータはデュランと決別後、39年間関わったボクシング界から引退し、2013年に95歳で他界した。

シュガー・レイ・レナードは、ファイトマネーで史上初の1億ドルを超えて、5階級を制覇した。
彼の全盛期に勝利したのはデュランだけだった。
2人は現在でも親交がある。

レイ・アーセルはトレーナーとして初のボクシング殿堂入りし、70年間で2000人以上を育て、20人が世界王者になり、重傷を負った選手は1人もいない。
白血病との6年間に及ぶ闘病の末、ステファニーに見守られながら、1994年に95歳で亡くなった。

ロベルト・デュランは、史上最強のライト級ボクサーと言われ、同級で初めてミドル級も制覇した。
スーパードームでのレナードとの対戦では、”ノー・マス”とは言っていないと主張している。
デュランは長年パナマの地域社会に貢献し、2009年に市内の競技場が”ロベルト・デュラン・アリーナ”と改名された。
現在もパナマ市内に在住し、妻フェリシダードとは結婚45年を迎える。
息子4人と孫一人の名前は、すべて”ロベルト”である。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
パナマのスラム街で育ったロベルト・デュランは、ボクシングの才能を発揮して成長し、無敵のボクサーとなる。
世界王者を18人育てた名トレーナーのレイ・アーセルは、デュランのマネージャーのカルロスの依頼を受ける。
自分たちを捨てた父親の国アメリカを嫌うデュランは、不満を抱えながらレイの指導を受け、世界ライト級王者ブキャナンに勝利してついに頂点に立つ。
妻フェリシダードとの間に5人の子供をもうけながら快進撃を続けるデュランは、アメリカのアイドル的存在のシュガー・レイ・レナードと対戦することになるのだが・・・。
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”ハンズ・オブ・ストーン/石の拳”と言えわれた天才ボクサー、ロベルト・デュランの、貧しい少年期から世界の頂点を極め、引退から再びタイトルを奪取するまでを描く実録スポーツ・ドラマ。

ロベルト・デュランのボクシング経歴は多くの人が知っていることではあるが、波乱の人生や私生活などが興味深く描かれてはいる。

実録ドラマではあるものの、1950年代に存在しない”マディソン・スクエア・ガーデン”がセリフに登場したり、クライマックスの試合は復帰戦ではなく、シュガー・レイ・レナードとの敗戦から7戦目の世界タイトルを奪取した試合であることなど、事実とは違う脚色が加えられている。

近年のボクシング映画と比べると試合のシーンの迫力に物足りなさを感じ、玄人受けしない、脚本を兼ねるジョナタン・ヤクボウィッツの演出も平凡だ。

作品自体の評価も低く、興行的にも失敗に終わった。

魅力的なキャスティングの中で、主人公のロベルト・デュラン演ずるエドガー・ラミレスは無難な演技であり、彼をサポートする名トレーナー、レイ・アーセルを圧倒的な存在感で説得力ある演技で演ずるロバート・デ・ニーロと、主人公の妻フェリシダードを演ずるアナ・デ・アルマスの魅力が印象に残る。

シュガー・レイ・レナードアッシャー・レイモンド四世、その妻ジャーニー・スモレット=ベル、主人公の少年時代に生きるすべを教えた恩人オスカル・ハナエダ、思慮深いレイ・アーセルの妻エレン・バーキン、主人公のマネージャー、カルロス・エレータのルーベン・ブラデス、主人公を支えるトレーナー”プロモ”のペドロ・ペレス、ニューヨークのボクシング興行を支配するマフィア、フランキー・カルボジョン・タトゥーロ、主人公の父親エリュード・カウフマン、主人公に敗れる世界ライト級王者ケン・ブキャナンジョン・ダディシュガー・レイ・レナードのトレーナー、アンジェロ・ダンディージョー・ユーラ、プロモーター、ドン・キングレグ・E・キャシー、そしてレイ・アーセルの娘役で、彼を演ずるロバート・デ・ニーロの娘ドリーナ・デ・ニーロなどが共演している。


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