サイトアイコン That's Movie Talk!

グリーン・ゾーン Green Zone (2010)

イラク戦争後の”大量破壊兵器捜索”を題材に、それが存在しなかったことを証明しようとする一兵士の戦いを描く、製作、監督ポール・グリーングラス、主演マット・デイモングレッグ・キニアジェイソン・アイザックスブレンダン・グリーソンエイミー・ライアン他共演の社会派サスペンス・アクション。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(社会派)

マット・デイモン / Matt Damon 作品一覧


スタッフ キャスト ■
監督:ポール・グリーングラス

製作総指揮
デブラ・ヘイワード

ライザ・チェイシン
製作
ティム・ビーヴァン

エリック・フェルナー
ロイド・レヴィン
ポール・グリーングラス
原作:ラジャフ・チャンドラセカラン
脚本:ブライアン・ヘルゲランド
撮影:バリー・アクロイド
編集:クリストファー・ラウズ
音楽:ジョン・パウエル

出演
ロイ・ミラー:マット・デイモン

クラーク・パウンドストーン:グレッグ・キニア
ブリッグス少佐:ジェイソン・アイザックス
マーティ・ブラウン:ブレンダン・グリーソン
ローリー・デイン:エイミー・ライアン
フレディ:ハリド・アブダラ
ライオンズ大佐:アントニ・コロン
ベセル大佐:マイケル・オニール
ムハンマド・アル=ラウィ将軍:イガル・ノール
サイード・ハムザ:サイド・ファラジ

アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2010年製作 112分
公開
北米:2010年3月12日
日本:2010年5月14日
製作費 $100,000,000
北米興行収入 $35,024,480
世界 $94,882,550


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
2003年3月19日、イラクバグダッド
アメリカ軍は、イギリスなどと共に”イラクの自由作戦”を開始し、首都は陥落する。

4週間後。
イラク政府が隠した、大量破壊兵器を発見するという任務に就いていたアメリカ陸軍上級准尉ロイ・ミラー(マット・デイモン)は、化学兵器があるとの情報を受け、MET隊を率い混乱する市内の中を通り抜け現場に向かう。

目的の建物から、市民が略奪品を持ち出しているのを見たミラーは、確保されていない現場に突入しようとする。

狙撃兵に攻撃を加え、ガスマスクを付けて建物に侵入した部隊だったが、結局、兵器は見つからなかった。
...全てを見る(結末あり)

本部に戻ったミラーは、3度目の任務失敗に情報源を疑い始め、ベセル大佐(マイケル・オニール)に直訴するが、大佐はマスコミに流せる朗報を探すのみとだけ伝える。

その後ミラーは、司令官への報告会議で、情報が間違っていることを指摘する。

それに対し司令官は、精査した情報に従うことをミラーに指示し、彼は仕方なく納得する。

その様子を見ていた、CIAのマーティ・ブラウン(ブレンダン・グリーソン)はミラーと接触し、彼らが調査の向かう場所には何もないことを伝える。

政府が何かを隠していることをに臭わせたブラウンは、ミラーに名刺を渡して立ち去る。

サダム・フセイン大統領宮殿、連合国暫定当局本部。
30年間亡命していたズバイディを連れ戻した、国防総省バグダッド駐在高官クラーク・パウンドストーン(グレッグ・キニア)は、彼を新政府の首班にすることを考えていた。

イラク国民が知らないズバイディを、担ぎ上げるのに反対するブラウンは、それを軍に任せるべきだとパウンドストーンに釘を刺す。

ブラウンは、無政府状態で混乱する“グリーン・ゾーン”以外の地域を見たことのないパウンドストーンを批判する。

指示された目的地に向かったミラーは、英語を話す現地人フレディ(ハリド・アブダラ)と出会い、彼の情報で、要人達の会合が開かれているという場所に向かう。

ある屋敷に突入したミラーの部隊は、一人の男、サイード・ハムザ(サイド・ファラジ)を拘束し、将軍でフセインの政権の最高幹部ムハンマド・アル=ラウィ将軍(イガル・ノール)が、その場にいたことを突き止める。

ミラーは、破壊兵器の場所を将軍が知るというサイードから、その居場所を聞きだそうとする。

そこに特殊部隊のブリッグス少佐(ジェイソン・アイザックス)が現れ、上層部の命令だと言ってサイードを部下に連れ去るよう命令する。

ブリッグスは、サイードの所持していた手帳をミラーから奪おうとして殴り合いになる。

ミラーはそれをフレディに手渡し、彼はその場を離れ、諦めたブリッグスも退散する。

フレディを追ったミラーは強引に手帳を奪うが、義足の彼は逃げる気はなく、国を愛する気持ちに変わりはないことを必死に伝えようとする。

大統領宮殿。
ブラウンは、ミラーからラウィ将軍についての情報があるとの連絡を受ける。

ミラーは、自分の行動に従えない部下と別れ、フレディを信用して宮殿に向かう。

アル=ラウィ将軍と手帳などの情報を得たブラウンは驚き、ミラーを自分のチームに入れようとする。

その様子を見ていた、”ウォール・ ストリート・ジャーナル”の記者ローリー・デイン(エイミー・ライアン)は、ミラーに近づき彼に探りを入れる。

ミラーはデインの書いた記事から、“マゼラン” と呼ばれるイラク政府高官が、大量破壊兵器の情報源だということを知る。

パウンドストーンは、ブリッグスがサイードを拷問する様子を確認してミラーの元に向かい、彼を自分の仕事に誘い込もうとする。

それをブラウンに伝えたミラーは、パウンドストーンが破壊兵器の情報を操っているという話を聞かされる。

ブラウンの仕事を引き受けることにしたミラーは、サイードからアル=ラウィの居場所を聞き出すため、100万ドルを渡され行動を始める。

その直後、パウンドストーンはCIA支部に押し入り、大統領命令で手帳を渡すようブラウンに迫る。

フレディを連れ、サイードが拘束されている基地に向かったミラーは、拷問を受け瀕死の彼から”ヨルダン”という言葉を聞きだす。

その頃、アル=ラウィの隠れ家が、パウンドストーンの指示によりブリッグスが派遣した地元民の部隊に襲撃される。

ミラーはデインに会い、彼女が”マゼラン”と接触したアメリカ政府高官から情報を得ていたことを知らされる。

イラク戦争開戦前の、両者の会合の場所が”ヨルダン”だと気づいたミラーはブラウンの元に向い、アル=ラウィが”マゼラン”だということを彼に伝える。

ミラーとブラウンは、アル=ラウィとパウンドストーンが、同じ日にヨルダンに行っていることを突き止める。

そして、アル=ラウィの隠れ家がパウンドストーンの命令で襲撃されたことを知る。

その後ミラーは、アル=ラウィ直属の司令官を狙う地元民らを倒し司令官を助け、将軍と会い破壊兵器の真実を語らせる説得をしようとする。

それをブラウンに報せたミラーだったが、同行していたフレディは、それが危険だと警告する。

ミラーに解放された司令官は、アル=ラウィに彼が接触を希望していることを伝える。

ブリッグスから、アメリカ兵の妨害を受けたことを知らされたパウンドストーンは、ミラーの行動を追わせる。

GPSでミラーの位置を確認したブリッグスは、それをパウンドストーンに報告する。

パウンドストーンは、ミラーがアル=ラウィと会おうとしていることに気づき、二人を始末するようブリッグスに命ずる。

その頃、アメリカ政府の緊急記者会見が開かれ、連合国及び暫定当局による、残存イラク軍解体命令認可を発表する。

ミラーはアル=ラウィの部下に連れ去られ、ブリッグスらがヘリコプターでそれを追い、その場所を突き止めて建物を包囲する。

監禁されたミラーの前に現れたアル=ラウィは、破壊兵器は1991年に全て廃棄されたことを伝える。

ミラーは、会合の相手のアメリカの高官が、政府には破壊兵器計画が存続していることを報告したと、アル=ラウィに伝えて同行を求める。

軍を解体された今、命を懸けて情報を提供したにも拘らず、裏切られたことをミラーに語るアル=ラウィは、これが罠なのかを確かめようとする。

その時、ブリッグスの部隊の攻撃が始まり、アル=ラウィはミラーを殺すよう部下に命じその場を立ち去る。

ミラーはその場にいた男に襲いかかり、銃を奪い射殺して、アル=ラウィを追う。

アル=ラウィに追いついたミラーは、現れたブリッグスに銃を向けられるが、彼は将軍の部下に射殺される。

ミラーはその男を射殺しアル=ラウィに銃を向けるが、現れたフレディが彼を射殺する。

銃を捨てさせ、フレディを責めるミラーだったが、彼はよそ者にはこの国のことを決めさせないと言い切る。

ミラーは、フレディに軍が現れることを伝え、彼に家に帰るよう指示する。

その後ミラーは、今回の、政府高官による事実の歪曲をレポートにして、そのコピーをパウンドストーンに渡す。

パウンドストーンが、”マゼラン”をでっち上げたことを尚も隠そうとしたため、にミラーは彼に言い寄り非難する。

勝利したことで片が付いたとパウンドストーンは言い切りその場を去るが、新政府成立の会議は混迷していた。

それを目撃していたデインは、その後、今度は正しいことを書いてくれという、ミラーからのメールとレポートを受け取る。

デインは、”破壊兵器情報の捏造とマゼランの真相”というミラーのレポートが、マスコミ各社に送られていることを知る。

そしてミラーは、新たな任務のため、部隊を率い目的地に向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
バグダッド
イラクの自由作戦”で陥落した現地で、大量破壊兵器発見を任務とする部隊を率いるミラー上級准尉は、度重なる任務失敗にその情報源を疑い始める。
ミラーは上官にそれを直訴するのだが、彼は任務遂行のみを考えるよう命ぜられる。
そんな時ミラーは、現地人フレディからの情報で、要人の会合が開かれているという屋敷に向かう。
そこに突入したミラーは、捕らえた男から、フセイン政権の最高幹部であった将軍アル=ラウィがその場にいたことを知る。
その後ミラーは、大量破壊兵器存在を疑うCIAのブラウンやジャーナリストのデインなどと接触する。
そしてミラーは、国防総省のパウンドストーンが絡む陰謀に気づき、独自の行動を始めてしまうのだが・・・。
__________

2006年に発表された、ジャーナリストのラジャフ・チャンドラセカランによる著書”Imperial Life in the Emerald City”を基に製作された作品。

ボーン・スプレマシー」(2004)と、その続編「ボーン・アルティメイタム」(2007)に続くポール・グリーングラスマット・デイモンのコンビによる作品。

実写感覚で迫る、ハンディカメラを使った緊迫感溢れる映像や、スペイン・ロケにも拘らず、現地の不雰囲気を伝える見事な舞台設定など視覚的に見応え十分な内容に加え、大量破壊兵器の存在の有無に絡めた権力との戦いを描く社会性の高い題材を、真正面から描いている作品でもある。

1億ドルをかけ、トップスターのマット・デイモンを主演に起用した話題作ではあったが、興行的には成功したとは言えず、北米で約3500万ドル、全世界でも製作費を上回ることが出来ず9500万ドル弱に終わる結果となってしまった。

一上級准尉の並外れた正義感に胸打たれる場面も多いが、それを最後まで虫けらのように踏みにじろうとする国家権力の恐さも痛感させられる。

結局は処分などされることもなく、軍人としてあれほど自由な行動が許されるのだろうかと疑問にも思う主人公マット・デイモン、国家の威信を優先する、国防総省の高官グレッグ・キニア、彼の指示を受けて行動する殺し屋のような特殊部隊隊長ジェイソン・アイザックス、当初から大量破壊兵器の存在を疑うCIA現地局員のブレンダン・グリーソン国防省からリークされた情報を基に記事を書くジャーナリストのエイミー・ライアン、主人公の協力者、そして愛国者としての行動が印象に残る現地人ハリド・アブダライラク軍の最高幹部であるイガル・ノール、彼の情報を流す現地人サイド・ファラジ、主人公の上官マイケル・オニールアントニ・コロンなどが共演している。


モバイルバージョンを終了