”911”後の”対テロ戦争”で攻撃型無人機を遠隔操作するパイロットの苦悩を描く、製作、監督、脚本アンドリュー・ニコル、主演イーサン・ホーク、ジャニュアリー・ジョーンズ、ゾーイ・クラヴィッツ、ブルース・グリーンウッド他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:アンドリュー・ニコル
製作
ニコラス・シャルティエ
マーク・アミン
ゼヴ・フォアマン
アンドリュー・ニコル
製作総指揮
テッド・ギドロウ
パトリック・ニュウォール
カミ・ウィニコフ
脚本:アンドリュー・ニコル
撮影:アミール・モクリ
編集:ザック・ステーンバーグ
音楽:クリストフ・ベック
出演
トーマス”トミー”イーガン少佐:イーサン・ホーク
モリー・イーガン:ジャニュアリー・ジョーンズ
ヴェラ・スアレス一等空兵:ゾーイ・クラヴィッツ
ジャック・ジョンズ中佐:ブルース・グリーンウッド
ジョセフ・ジマー:ジェイク・アベル
エド・クリスティ大尉:ディラン・ケニン
ラングレー(声):ピーター・コヨーテ
アメリカ 映画
配給 IFC Films
2015年製作 102分
公開
北米:2015年5月15日
日本:2015年10月1日
北米興行収入 $316,470
世界 $1,474,470
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2001年の”911”以降、アメリカ軍は、対テロ戦争に攻撃型無人機を使用した。
2010年、ネバダ州、ラスベガス近郊。
元”F-16”のパイロットのトーマス”トミー”イーガン空軍少佐(イーサン・ホーク)は、現在は基地内で対テロ支援作戦を行っていた。
基地内のコンテナで”MQ-9 リーパー”を遠隔操作するイーガンは、命令に従いターゲットを攻撃する任務を遂行する。
上官のジャック・ジョンズ中佐(ブルース・グリーンウッド)の指示で、エド・クリスティ大尉(ディラン・ケニン)と交代したイーガンは、ラスベガスを通過して帰宅する。
イーガンは、戦闘機に乗れないために今の任務に満足することができず無口になり、妻モリー(ジャニュアリー・ジョーンズ)は不満が募る一方だった。
空兵のカルロスが薬物問題を起こし、イーガンは、代わりのヴェラ・スアレス一等空兵(ゾーイ・クラヴィッツ)と組むことをジョンズから知らされる。 イーガンは、実機に戻りたいことをジョンズに伝え、考えだけは聞いてもらえる。 スアレスと組んだイーガンは、ある子連れの使用人らしき女性が、男にレイプされる様子を目撃する。 男はターゲットではなかったために、イーガンは何もすることができなかった。 休日にバーベキューパーティーを開いたイーガンは、隣人の兵士ダニーから、毎日、家族と過ごせて妻の浮気も気にすることがない身で、戦場に戻りたいと思うのは正気ではないと言われ、まだ決めてはいないと伝える。 バスルームで飲む酒の量が増えるイーガンに、モリーは、戦場に戻りたい様子の彼に、自分から話さなければ何もしゃべろうとしないことなどを批判する。 地上勤務の前の状態に戻りたいと言うイーガンは、会えなくてもその頃の方が幸せだった、自分は空を飛んでいないとモリーに伝える。 翌日イーガンは、基地の入り口でパトロール警官のモーガンに声をかけられる。 任務に就いたイーガンは、ターゲットを爆破した際に、近づいできた子供二人を巻き添えにしてしまう。 ジョンズと話したイーガンは、自分たちは子供たちのことを知らなかったが、911の犯人は、飛行機に子供が乗っていることを承知でワールドトレードセンターに激突したと言われ、休日を与えられる。 イーガンは、酒を飲みモリーと愛し合うものの、気持ちは変わらなかった。 ジョンズから新しい任務の話をされたイーガンらは、CIAが指揮を執る作戦について知らされる。 特殊任務は開始され、ジョンズ、イーガン、ジョセフ・ジマー(ジェイク・アベル)、クリスティ、スアレスらは、CIAのオペレーター”ラングレー”(ピーター・コヨーテ)の指示に従うことになる。 ジョンズは、非戦闘員を含むターゲットの攻撃をラングレーから指示され、イーガンがそれを実行する。 現場には救助者が集まり、戦闘員と判断するラングレーは、再び攻撃するよう指示する。 攻撃したイーガンは、ジマーと交代する。 昼食時にスアレスは、攻撃が納得できないことを皆に伝えるものの、ジマーとクリスティは、アメリカ人を救っていると言って席を外す。 スアレスに命令だったと伝えたイーガンは、チームの皆とラスベガスで飲む約束をして、子供たちを迎えに行く。 帰宅したイーガンは、モリーからトラックの調子が悪いと言われ、見ておくと伝える。 その夜、チームの3人と飲んだイーガンは、スアレスから妻のことを訊かれ、”トロピカーナ”でダンサーをしていた彼女と出会い、最初のデートでF-16に乗せたと話す。 イーガンは、家族に問題ないが、戦場の刺激がないことを話し、カジノに向かうスアレスと別れて家に向かう。 巡回中のモーガンは、スピードを出し過ぎのイーガンの車を止める。 イーガンが酒を飲んでいることに気づいたモーガンは、自分は退役軍人だと言って彼を見逃す。 翌日、ラングレーからの指示を受けたジョンズは、交戦状態にないイエメンのアルカイダ支部を、脅威と判断していると言われ、イーガンは指示に従い攻撃する。 付近にいた少年が無事だったことを確認したスアレスは、やがて彼が成長して復讐者となると言って、自分たちはテロリスト製造工場だとクリスティに伝える。 イーガンはスアレスと共に交代するが、地上部隊の見張りを命ぜられる。 部隊に見張りをしていることを伝えたイーガンは、子供を学校に迎えに行けないことをモリーにメールで伝える。 イーガンは現地の夜明けまで見張り、帰宅してモリーと話し合う。 自分は人の生死にかかわることをしていたと言うイーガンは、埋め合わせをすることを約束して、モリーを納得させる。 翌日イーガンは、先日の男が再び女性を襲う姿を見ながら、何もできないために心を痛める。 その後も悶々とした日々が続くイーガンは、ある朝、出かけるというモリーからのメールで目覚める。 基地に向かう途中でイーガンは、ダニーとトレックに乗るモリーを目撃し、電話をするものの留守電だった。 任務に就いたイーガンは、モリーのことを気にしながら、農夫と思われる男の家がを、爆弾製造工場だと指摘するラングレーの指示に従い、その場を攻撃する。 帰宅したイーガンは、酔って戻って来たモリーから、女友達と出かけていたと言われ、ダニーとトラックに乗っていたのを見たと伝える。 自分は何もしてくれないと言われたイーガンは、メールしたことを伝えて、モリーの携帯電話をチェックする。 モリーは、浮気を疑うイーガンに、その気はあると言って、自分たちの関係に情熱はなく冷めきっていると伝える。 モリーから、二度と飛べないと思うのは自分のせいではないと言われたイーガンは、何が不満なのか問われて苛立ち、鏡を殴り家を出て車で走り去る。 その後も任務を続けたイーガンは、自宅近くで空を見つめながら、近づいて来たモリーに話をする。 ターゲットを家族と共に攻撃し、その遺体が運ばれる場所に司令官の弟も向かうことを知り爆破したことを、イーガンはモリーに話す。 そんな仕事だと言うイーガンを、モリーは理解しようとする。 翌朝イーガンは、自分を気遣うモリーから休むようにと言われるものの、基地に向かう。 ジョンズは、ラングレーの指示についてチームで話し合い、娘や息子を失った者のために、自分たちは使命を果たさなければならないことをイーガンらに伝える。 次の任務でイーガンは、意図的にリンクを切りターゲットを逃がし、ラングレーの指示に従わなかったことをジョンズに責められる。 イーガンのためを思うジョンズは、CIAの処分を受ける前に対処しようとする。 モリーからの電話を受けたイーガンは、昇進はなくなり監視任務に格下げされたことを伝える。 基地に向かったイーガンは、チーム去るスアレスから、上官と部下が親しくなることを禁ずる関係ではなくなったと言われ、ネームプレートを渡され、彼女の電話番号を確認する。 その後イーガンは監視の任務に就き、例の男が現れたことに気づく。 ジマーらを休息させたイーガンは、レコーダーをオフにして男を攻撃する。 女性が近づいたために焦るイーガンは、爆破の後で彼女が無事だったことを確認する。 女性に息子が駆け寄る姿を見て安堵したイーガンは、ロックしたドアを叩く音に気づく。 コンテナから出たイーガンは、ジョンズから声をかけられるものの、それを無視して車でリノに向かう。
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*(簡略ストー リー)
2010年、ネバダ州、ラスベガス近郊。
元”F-16”のパイロットのトーマス”トミー”イーガン空軍少佐は、現在は”対テロ戦争”で支援作戦を行っていた。
基地内のコンテナで”MQ-9 リーパー”を遠隔操作するイーガンは、命令に従いターゲットを攻撃する任務を遂行するのだが、実戦に戻りたい考えを捨てきれずにいた。
そのために意見が合わず妻のモリーとの関係も悪化するイーガンは、CIAの指揮下で新たな作戦の任務を受けるのだが・・・。
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「トゥルーマン・ショー」(1998)、「ターミナル」(2004)の脚本でも知られるアンドリュー・ニコルが、製作と脚本を兼ねた監督作品。
アンドリュー・ニコルは、第71回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞にノミネートされた。
攻撃型無人機の遠隔操作で戦闘を続けるパイロットが、実戦から離れたているにも拘わらず、”心的外傷後ストレス障害”に近い状況に追い込まれ苦悩する姿が切実に描かれた作品。
危険地帯の戦場に行く必要もなく、毎日家族と過ごせる何不自由ない生活に満足できない主人公が、不安定な精神状態の中で、理不尽な戦いを放棄して家族の元に向かうラストは、アメリカの抱える様々な問題を考えさせられる。
主演のイーサン・ホークは、ゲームのような任務を続け悶々とした日々を送り苦悩するパイロットを、演技派らしく好演している。
主人公である夫の考えを理解しようとするものの考えがすれ違うジャニュアリー・ジョーンズ、主人公と組む一等空兵のゾーイ・クラヴィッツ、主人公の上官で、部下の管理や任務遂行に関して難しい立場にあるブルース・グリーンウッド、主人公とチームを組むジェイク・アベルとディラン・ケニン、主人公らに特殊作戦指令を与えて指揮するCIAのオペレーターで、声だけの出演のピーター・コヨーテなどが共演している。