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女狐 Gone to Earth (1950)

ジプシーの血を引く女性と2人の男性との愛情を描く、製作総指揮デヴィッド・O・セルズニック、製作、監督、脚本マイケル・パウエルエメリック・プレスバーガー、主演ジェニファー・ジョーンズデヴィッド・ファーラーシリル・キューザック他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

ジェニファー・ジョーンズ / Jennifer Jones / Pinterest


スタッフ キャスト
監督
マイケル・パウエル
エメリック・プレスバーガー
製作
マイケル・パウエル
エメリック・プレスバーガー
製作総指揮:デヴィッド・O・セルズニック
原作:メアリー・ウェッブ”Gone to Earth”
脚本
マイケル・パウエル
エメリック・プレスバーガー
撮影:クリストファー・チャリス
編集:レジナルド・ミルズ
音楽:ブライアン・イースデイル

出演
ヘイゼル・ウッダス:ジェニファー・ジョーンズ
ジョン”ジャック”レディン:デヴィッド・ファーラー
エドワード・マーストン:シリル・キューザック
マーストン夫人:シビル・ソーンダイク
ジェームズ:エドワード・チャップマン
アベル・ウッダス:エズモンド・ナイト
アンドリュー・ヴッェソンズ:ヒュー・グリフィス
アルバート:ジョージ・コール

イギリス 映画
配給 British Lion Films
1950年製作 110分
公開
イギリス:1950年11月6日
北米:1952年5月28日
日本:1952年11月6日
製作費 £285,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1897年、イングランドシュロップシャー
亡き母のジプシーの血を継いだヘイゼル・ウッダス(ジェニファー・ジョーンズ)は、養蜂と棺桶作り、そして竪琴弾きを仕事にする父アベルと暮らし、子狐フォクシーを可愛がっていた。

マッチ・ウェンロック。
町で洋服を新調したヘイゼルは、雑貨店の店員でいとこのアルバート(ジョージ・コール)と共に、彼の家に向かう。

アルバートの母プラウドに小言を言われたヘイゼルは、泊めてもらうことができず、雨の中、歩いて家に戻ろうとする。

夕暮れの道で怖くなったヘイゼルは転倒してしまい、馬車で通りがかった地元の名士ジョン”ジャック”レディン(デヴィッド・ファーラー)に声をかけられる。

馬車に乗せてもらったヘイゼルは、レディンの屋敷に向かう。
...全てを見る(結末あり)

フォクシーを狙う猟犬を嫌うヘイゼルは、レディンの愛犬ラングラーが気になる。

ヘイゼルに惹かれたレディンは、ドレスを彼女に見せて着替えさせようとする。

その様子を覗くレディンは、風変わりな使用人のアンドリュー・ヴッェソンズ(ヒュー・グリフィス)に気づかれる。

食事の支度をするヴェッソンズを厩舎に向かわせたレディンは、ヘイゼルに迫る。

レディンから逃れたヘイゼルを助けたヴェッソンズは、空腹の彼女に食べ物を与えて、厩舎の上の自分の部屋に連れて行く。

疲れたヘイゼルは、ヴェッソンズが用意してくれたベッドで眠る。

翌朝ヘイゼルは、ヴェッソンズに馬車で家まで送ってもらう。

アベルと共に“神が丘”の教会に向かうヘイゼルは、地中深く掘られた竪坑に落ちそうになる。

新任牧師エドワード・マーストン(シリル・キューザック)は、アベルの奏でる竪琴の演奏に合わせて歌うヘイズルの美しさに魅了される。

エドワードはヘイゼルを日曜の夕食に招待し、そのことを母(シビル・ソーンダイク)に知らせる。

身分が違うと言うマーストン夫人は、エドワードの考えに反対する。

ヘイゼルは、相手を探して結婚を勧めるアベルに、母の呪文書に従い、最初の求婚者と結婚することを山に誓う。

その頃、レディンはヘイゼルを捜していた。

アベルと共にパブにいたヘイゼルは、その場に現れた、自分のこと捜すレディンに見つからずに済む。

散歩をしていたエドワードは、出くわしたレディンから楽士のことを訊かれ、山の反対側にいると答える。

楽士の娘のことも訊かれたエドワードは、彼はまだ20歳だとレディンに伝える。

日曜日。
教会に向かったヘイゼルは、最初の求婚者と結婚することを山に誓ったことをエドワードに話し、これまで求婚されたことはないと伝える。

ヘイゼルは、自分は結婚に向いていないと母に言われていたことも話す。

食事後にエドワードは、ヘイゼルが母と話す様子を見つめる。

そこに誰かが訪ねて来たために、ヘイゼルはレディンだと思い動揺する。

ヘイゼルを家に送ったエドワードは、彼女に求婚する。

フォクシーを連れて来たヘイゼルは、優しく抱くエドワードから愛を告げられる。

フォクシーが鶏を襲い騒ぎになり、それに気づいたアベルは、ヘイゼルを送ってくれたことをエドワードに感謝する。

エドワードがヘイゼルとの結婚を希望していることを知ったアベルは、思わず笑ってしまうものの、それを許し、娘は従うと伝える。

ヘイゼルと結婚の日取りなどを決めたエドワードは、彼女にキスする。

8月12日、シュロップシャー州際。
騎馬レース中にヘイゼルを見つけたレディンは、彼女が牧師のエドワードと結婚することを知る。

レディンは、一夜を共に過ごしたと言いふらすつもりだとヘイゼルに伝えて、彼女を脅し結婚を阻止しようとする。

ヴェッソンズは、2人の話を聞いていた。

夜になりダンスが始まり、ヴェッソンズは2人のことをアベルに話し、ヘイゼルを監視する。

レディンに誘われたヘイゼルは、それに従うしかないために彼の元に向かう。

愛していると言われたヘイゼルは、エドワードがいると伝えてレディンを拒む。

ヘイゼルは、レディンが40歳だと知り驚きながらもキスしてしまう。

2人のことをヴェッソンズから知らされたアベルは、結婚したいと言うレディンに、ヘイゼルは挙式の予約をしているので無理だと伝える。

レディンは金で解決しようとするが、アベルはそれを断る。

ヘイゼルは、善人のエドワードを裏切ることはできず、最初の求婚を受けると山に誓ったとレディンに伝る。

結婚式が済み、エドワードと幸せを実感するヘイゼルだったが、家の外にいるレディンに気づき、彼が諦めていないことを知る。

その夜エドワードは、神に誓っていたために、ヘイゼルの肉体を求めようとしなかった。

9月19日、日曜日。
神が丘でのヘイゼルの洗礼式が行われる。

マーストン家を訪ねたレディンは、ヘイゼルにキスして密会を約束させる。

その後、母の呪文書を読んでいたヘイゼルは、興味を持つエドワードにそれを見せる。

ヘイゼルは、自分が罠にかけられた場合のことを話し、神が救ってくれるとしか答えないエドワードに不満を抱く。

寝室に向かおうとしたエドワードはヘイゼルの元に戻ろうとするが、ドアには鍵がかかっていた。

指輪を外したヘイゼルは、フォクシーを連れて家を抜け出し、山に向かって呪文を唱える。

日曜日。
ヘイゼルはレディンと約束した場所に向かい、彼の愛を受け入れてしまう。

レディンは、ヘイゼルをアンダーンの屋敷に連れて行く。

夜になったも戻らないヘイゼルを捜すエドワードは、彼女からの手紙を受け取り、無事であることを母に伝える。

手紙は、捜さないでほしい、フォクシーのことをよろしくという内容だった。

翌日、エドワードはアベルを訪ねるものの、ヘイゼルの居場所は分からなかった。

ヘイゼルのことが気に障るようになったヴェッソンズは、1か月後に屋敷を去ることをレディンに伝える。

レディンはそれを認めず、ヴェッソンズは発言を撤回する。

ヘイゼルはレディンを愛するものの、フォクシーのことが恋しくなる。

悩むエドワードは、ヘイゼルがレディンの元にいることを母から知らされて、アンダーンに向かう。

レディンの屋敷に着いたエドワードは、ヘイゼルを連れ戻そうとする。

林でお告げを聞き、レディンにこの場に連れてこられたと話すヘイゼルを非難するエドワードは、夫の役目を果たさなかったことを後悔しながら、彼女にキスする。

そこに、フォクシーを連れたレディンが戻り、ヘイゼルは自分のものだとエドワードに伝る。

エドワードは怒りを堪え、フォクシーと共に戻ると言う、自分を夫と認めたヘイゼルを連れてその場を去る。

ヴェッソンズにからかわれたレディンは憤慨する。

マーストン夫人は、ヘイゼルと暮らすつもりのエドワードを非難し、話を聞き入れてもらえず、家を出る決心をする。

ヘイゼルと一時も同じ屋根の下にいたくないと言うマーストン夫人は、使用人のマーサと共にその場を去る。

翌日、エドワードとヘイゼルは、訪ねて来た助祭長のジェームズ(エドワード・チャップマン)らの話を聞く。

ジェームズは、姦婦は去るようにと言って2人に通告する。

エドワードは、ヘイゼルと共にこの場を去り、牧師はやめることをジェームズらに伝える。

ヘイゼルを非難するジェームズらに、悪いのは自分だと伝えたエドワードは、彼らを追い出す。

フォクシーがいないことに気づいたヘイゼルは、外に出て捜しに行く。

丘ではレディンらの狩りが行われ、猟犬が放たれる。

フォクシーを見つけたヘイゼルは猟犬に追われ、家に戻ろうとする。

エドワードがそれに気づき、ヘイゼルの元に向かう。

猟犬の向きを変えさせようとするレディンはヘイゼルに追いつき、フォクシーを離すようにと伝える。

ヘイゼルは竪坑に落ちてしまい、”地の底に消えた”という叫び声が聞こえる。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
1897年、イングランドシュロップシャー

亡き母のジプシーの血を継いだヘイゼル・ウッダスは、養蜂と棺桶作り、そして竪琴弾きを仕事にする父アベルと暮らし、子狐フォクシーを可愛がっていた。
地元の名刺レディンに出会ったヘイゼルは、強引に迫る彼を好きになれない。
新任の牧師エドワードは、ヘイゼルの美しさに魅了されて求婚する。
母の呪文書に従い、最初の求婚者と結婚することを山に誓っていたヘイゼルは、エドワードとの結婚を決意するのだが・・・。
__________

1917年に発表された、メアリー・ウェッブの小説”Gone to Earth”を基に製作された作品。

製作総指揮デヴィッド・O・セルズニック、製作、監督、脚本マイケル・パウエルエメリック・プレスバーガーによる作品。

セルズニックは、1950年にイギリスで公開されたタイトルを、アメリカ市場を考えて”The Wild Heart”に変更し、本作は1952年5月28日にニューヨークで公開された。

また、セルズニックにとっては、前年に結婚したジェニファー・ジョーンズのために製作した作品と言える。
マイケル・パウエルエメリック・プレスバーガーの演出、脚本ということもあり、ジェニファー・ジョーンズの魅力を十分に引き出しながら贔屓し過ぎることなく、作品自体に手抜きのない重厚な物語に仕上がっている。

母から受け継いだジプシーの呪文書に従うヒロインの行動は神秘的であり、心の触れ合いで牧師とは結婚し、肉欲を求め地元の名士の愛を受け入れてしまう、複雑な女心を見事に表現する、マイケル・パウエルエメリック・プレスバーガーの繊細な演出は秀逸だ。

テクニカラーによる美しい風景と、幻想的な映像表現が印象に残る。

主演のジェニファー・ジョーンズは、野生的な雰囲気を漂わせながら成長しきれない美しい娘を魅力的に演じている。

主人公を力づくで自分のものにしようとする地元の名士デヴィッド・ファーラー、彼とは違い、主人公と心で触れ合い精神的に愛そうとする牧師のシリル・キューザック、その母親シビル・ソーンダイク、助祭長のエドワード・チャップマン、養蜂、棺桶作り、竪琴弾きを仕事にする主人公の父親エズモンド・ナイト、レディン(デヴィッド・ファーラー)の使用人を怪演するヒュー・グリフィス、雑貨店の店員である主人公のいとこジョージ・コールなどが共演している。


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