007シリーズ第3作。 1959年に発表された、イアン・フレミング原作のシリーズ第7作の映画化。 世界の金を支配しようとする大富豪の陰謀に立ち向かうイギリスの諜報員ジェームズ・ボンド活躍を描く、監督ガイ・ハミルトン 、主演ショーン・コネリー、ゲルト・フレーベ 、オナー・ブラックマン他共演のスパイ・アクション。 |
・ショーン・コネリー / Sean Connery 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:ガイ・ハミルトン
製作
アルバート・ R・ブロッコリ
ハリー・サルツマン
原作:イアン・フレミング
脚色
リチャード・メイボーム
ポール・デーン
撮影:テッド・ムーア
編集:ピーター・ハント
美術
ピーター・マートン
ケン・アダム
音楽
ジョン・バリー
モンティ・ノーマン:ジェームズ・ボンドのテーマ
主題歌:シャーリー・バッシー”Goldfinger”
出演
ジェームズ・ボンド:ショーン・コネリー
オーリック・ゴールドフィンガー:ゲルト・フレーベ
プッシー・ガロア:オナー・ブラックマン
ジル・マスターソン:シャーリー・イートン
ティリー・マスターソン:タニア・マレット
オッド・ジョブ:ハロルド坂田
M:バーナード・リー
Q:デスモンド・リュウェリン
フェリクス・ライター:セク・リンダー
マネーペニー:ロイス・マクスウェル
キッシュ:マイケル・メリンジャー
リン:バート・クォーク
イギリス映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1964年製作 110分
公開
イギリス:1964年9月17日
北米:1964年12月22日
日本:1965年4月24日
製作費 $3,000,000
北米興行収入 $51,081,060
世界 $124,900,000
■ アカデミー賞 ■
第37回アカデミー賞
・受賞
音響編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
メキシコ。
イギリスの諜報員ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)は、麻薬王ラミレスの工場を爆破する。
マイアミに飛んだボンドは、CIAのフェリクス・ライター(セク・リンダー)から、大富豪オーリック・ゴールドフィンガー(ゲルト・フレーベ)の監視を指示される。
ボンドは、同じホテルに滞在中だった、ゴールドフィンガーのポーカーのイカサマを見破る。
それを手助けしていた ジル・マスターソン(シャーリー・イートン)と愛し合ったボンドだったが、 ゴールドフィンガーの手下である殺し屋オッド・ジョブ(ハロルド坂田)に殴られて意識を失う。
意識が戻ったボンドは、全身に金粉を塗られたジルが窒息死していることを知る。
ロンドン。 Mの秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)はボンドを誘うのだが、Mからボンドに干渉するなと注意される。 ボンドは、ナチスの金塊を餌にして、ゴールドフィンガーの金の密輸を調査するようMから命ぜられる。 Q(デスモンド・リュウェリン)から”アストンマーチン/DB5”と発信機を支給されたボンドは、ゴールドフィンガー所有のゴルフ場に向かう。 金塊を見せて賭けゴルフをしたボンドは、プレイ中にゴールドフィンガーのボールをすり替え、ルールを無視して彼に勝ってしまう。 ボンドは、ゴールドフィンガーの”ロールス・ロイス・ファントムIII”に発信機を付けて、その後、追跡を続けてスイスに向かう。 山岳地帯で自分を狙撃しようとした女性”ティリー・ソームズ”(タニア・マレット)を追ったボンドは、彼女の車を傷つけて走行不能にする。 ティリーを乗せてガソリンスタンドに向かったボンドは、彼女が偽名を使っていることに気づく。 ボンドは、ゴールドフィンガーの追跡を続けるためにティリーと別れる。 ゴールドフィンガーの会社”オーリック”の工場に侵入したボンドは、ロールス・ロイスのボディを金で作り密輸していたことと、”グランド・スラム作戦”についてを知る。 一旦、森に向かったボンドは、ゴールドフィンガーの命を狙い狙撃しようとするティリーを制止する。 ティリーはマイアミで殺されたジルの妹で、 姉の仇を討つためにゴールドフィンガーを狙っていたのだった。 敵に気づかれた2人はアストンマーチンで逃亡するものの、森に向かうよう指示されたティリーはオッド・ジョブに殺害され、ボンドは捕らえられてしまう。 その後ボンドは、ゴールドフィンガーにレーザー光線で焼き殺されそうになるが、”グランド・スラム作戦”のことを口にして解放される。 麻酔銃で眠らされたボンドは、ゴールドフィンガーのプライベートジェットのパイロット、プッシー・ガロア(オナー・ブラックマン)と共にアメリカのケンタッキーに向かう。 飛行途中にボンドは発信機を作動させて、その信号を受信したCIAのライターは、それをロンドンのMに報せる。 その報告を受けたMは、ボンドを自由に行動させることにする。 その後ボンドは、ボルチモアを経由してケンタッキーに向かい、ゴールドフィンガー所有の”オーリック牧場”に連れて行かれて監禁される。 国内の裏組織のボスを集めたゴールドフィンガーは、”グランド・スラム作戦”の説明を始める。 それは、”フォート・ノックス”にある大量の金塊を奪うという大胆な計画だった。 ガロアの空中サーカス団が、24時間意識不明になる神経ガスを周辺に散布する予定だった。 監視する男を叩きのめして脱出したボンドは、地下からそれを盗み聞きして、計画の内容を知るが、ガロアに見つかってしまう。 ボンドは、計画に反対して引き上げようとする組織のボスのポケットに、発信機と作戦の内容を書いたメモを入れる。 他のボスたちはガスで殺害され、引き上げたボスはオッド・ジョブに射殺されて、車ごとスクラップにされる。 ライターは、発信機を頼りにボンドが移動していると思い込み、その車を追跡するが、車がスクラップにされた瞬間に信号が途絶えたため牧場に向かう。 ゴールドフィンガーと話したボンドは、使おうとしているのが殺人ガスだと知り、”フォート・ノックス”の金塊を短時間で運び出すことは不可能だと指摘する。 金塊は運び出さないと言うゴールドフィンガーの言葉と、工場にいた中国人科学者リン(バート・クォーク)が核分裂の専門家だということから、ボンドは金を核汚染しさせようとしていることに気づく。 西側経済は混乱して金の価格は暴騰するために、ゴールドフィンガーの保有する金の価格を吊り上がるという計画だったのだ。 そして、そこにオッド・ジョブが戻り、ボンドは発信機とメモが失敗に終わったことを知る。 ボンドのことを確認したライターは、ひとまず牧場を引き上げる。 計画阻止のために、ボンドは、ガロアの協力を得ようとして彼女に迫る。 翌日、”グランド・スラム作戦”は実行され、米軍基地を含めた周囲の人々は神経ガスで意識を失う。 ボンドは、核爆弾と共に”フォート・ノックス”に閉じ込められる。 しかし、寝返ったガロアの協力で神経ガスはすり替えられていたため、ゴールドフィンガー一味を軍隊が襲撃する。 ボンドは、一緒に閉じ込められていたオッド・ジョブに襲われるものの、格闘の末に彼を倒す。 ゴールドフィンガーは、軍人に扮して逃亡する。 ボンドは、爆弾の起爆装置を解除しようとするものの、その方法がわからない。 その時、科学者が現れ、爆発寸前7秒前で起爆装置を停止させることに成功する。 その後、危機を救ったことで、大統領の招待を受けたボンドは、ガロアが操縦する飛行機で飛び立つ。 そこに、ゴールドフィンガーが現れてボンドと格闘になる。 ゴールドフィンガーが発砲したために割が割れてしまい、彼は窓から外に吸い出されてしまう。 機体は墜落するものの、ボンドとガロアは無事に脱出する。 2人は、救助が到着する間、愛し合うのだった。
MI6本部に戻ったボンドは、M(バーナード・リー)にマイアミの件を報告し、個人的な復讐を禁じられる。
...全てを見る(結末あり)
偽の軍隊で”フォート・ノックス”に侵入したゴールドフィンガーは、核爆弾を起動させる。
*(簡略ストー リー)
マイアミ、イギリスの諜報員ジェームズ・ボンドは、CIAのライターと共に大富豪ゴールドフィンガーを監視する。
ロンドンのMI6本部に戻ったボンドは、チスの金塊を餌に、ゴールドフィンガーの金の密輸を調査するよう命ぜられる。
ボンドは、ゴールドフィンガーとゴルフをして金塊を見せて牽制し、彼を追ってスイスに向かうのだが・・・。
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前年の「ロシアより愛をこめて」(1963)で人気が定着し、いよいよアメリカに乗り込んだジェームズ・ボンドの活躍を描いた作品。
本格的に登場するボンドカー(アストンマーチン/DB5)の画期的な装備や世界を飛び回る主人公の活躍を描く、007シリーズの醍醐味のベースを作り上げた作品でもある。
「ロシアより愛をこめて」同様シリーズの最高傑作に上げるファンも多いい。
実際に行った”フォート・ノックス”のロケなどのスケール感や、敵の手の内を探りながら組織内部に侵入していく、ボンドの巧みな戦術をスリリングに描く、今後4作を演出することになる監督ガイ・ハミルトンの演出も見応え十分だ。
製作費も300万ドルとなり、興行収入はついに1億ドルを突破した。
*世界 $124,900,000
第37回アカデミー賞では、音響編集賞を受賞した。
シャーリー・バッシーの力強い歌声と共に、その主題歌はシリーズ屈指に名曲となった。
尚、本作ではお馴染みの宿敵スペクターは登場しない。
また、初めて日本のテレビに登場した007作品でもある。
(1974年4月7日)
主演のショーン・コネリーは、やや太りはじめてきたようにも見えるが、相変わらず、スーツの着こなしなどを含め、精悍で隙のない主人公を好演している。
今回も前作同様ギャンブルのシーンなどはないが、実際プロ並みのゴルフのシーンなどは、ユーモアと茶目っ気を含めた演技で楽しそうに演じているようにも見える。
今回の敵役、ゴールドフィンガーに扮するゲルト・フレーベは、同一シーンでは登場しないものの、ショーン・コネリーとは「史上最大の作戦」(1962)で共演している。
2人は、コメディアンのような軽い役柄を演ずるのだが、それからわずか2年の本作では、両者とも貫禄十分の演技を見せてくれる。
ドイツ人の彼は英語が流暢に話せずに、作品中のセリフはほとんど吹き替えが担当している。
歴代ボンドガールの中で、評価、人気共に非常に高いオナー・ブラックマンは、撮影当時39歳という最高齢のボンドガールを演じた。
ボンド以外の男性では相手にならないようにも思える、近寄り難い雰囲気も実に魅力的だ。
ロンドンオリンピックの重量挙げ銀メダリストで、プロレスラーのハロルド坂田の、一言もセリフを発しない威圧感ある怪力の殺し屋も印象的だ。
ボンドを信頼するものの、ジョークの通用しない人物であり、彼を醒めた目で見る上司M役のバーナード・リー、前作から登場の装備担当主任Q役のデスモンド・リュウェリン、Mの秘書マネーペニー役のロイス・マクスウェルなどのレギュラー陣も、作品にアクセントを加える素晴らしいキャラクターだ。
ゴールドフィンガーと愛し合うシャーリー・イートンとその妹役のタニア・マレット、ボンドをサポートするCIAのフェリクス・ライター、セク・リンダー、ゴールドフィンガーの手下マイケル・メリンジャー、科学者役でバート・クォークなどが共演している。