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ゴールデン・ボーイ Golden Boy (1939)

1937年に上演された、クリフォード・オデッツの戯曲”Golden Boy”を基に製作された作品。
ボクシングの世界で生きる女性と音楽家とボクサー人生の選択に悩む青年との関係を描く、監督ルーベン・マムーリアン、主演バーバラ・スタンウィックアドルフ・マンジューウィリアム・ホールデンリー・J・コッブジョセフ・カレイア他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:ルーベン・マムーリアン

製作:ウィリアム・パールバーグ
原作:クリフォード・オデッツGolden Boy
脚本
サラ・Y・メイソン
ヴィクター・ヒアマン
ルイス・メルツァー
ダニエル・タラダッシュ
撮影
ニコラス・ムスラカ
カール・フロイント
編集:オットーマイヤー
音楽:ヴィクター・ヤング

出演
ローナ・ムーン:バーバラ・スタンウィック
トム・ムーディ:アドルフ・マンジュー
ジョー・ボナパルト:ウィリアム・ホールデン
ボナパルト:リー・J・コッブ
エディ・フュゼリ:ジョセフ・カレイア
シギー:サム・レヴェーン
ロキシー・ルイス:エドワード・ブロフィ
アンナ:ベアトリス・ブリン
カープ:ウィリアム・H・ストラウス
ボルネオ:ドン・ベドー
ドレイク:チャールズ・レイン

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1939年製作 99分
公開
北米:1939年9月5日
日本:1940年4月


アカデミー賞
第12回アカデミー賞

・ノミネート
作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ニューヨーク
ボクシング・エージェントのトム・ムーディ(アドルフ・マンジュー)は妻との離婚を考え、アシスタントのローナ・ムーン(バーバラ・スタンウィック)と結婚するつもりだった。

ムーディは、ジムの使いで来たボクサーで、イタリア系アメリカ人のジョー・ボナパルト(ウィリアム・ホールデン)から、期待のボクサー、ネルソンが手首を折ったことを知らされて焦る。

経営危機だったムーディーは頭を抱え、ジョーはネルソンの代わりに自分を売り込むものの、相手にされない。

ローナと共にジムに着いたムーディは、怪我をしたネルソンを非難して追い出す。

ムーディは、トレーナーのボルネオ(ドン・ベドー)から、ジョーがスパーリングでネルソンを倒したことを知らされて憤慨するが、21歳の彼に賭けてみることをローナに提案され、仕方なく戦わせることにする。

ジョーは、食料品店を経営する父(リー・J・コッブ)に電話をして、遅くなることを伝える。
...全てを見る(結末あり)

友人のカープ(ウィリアム・H・ストラウス)と共に、店番をしながらチェスをしていたボナパルトは、誕生日の祝でジョーに贈るつもりの、1500ドルもする高価なバイオリンを見せる。

ボナパルトは、才能があるジョーをバイオリニストにするのが夢だった。

ジョーは見事に試合に勝ち、ムーディを満足させる。

同じ頃ボナパルトは、ジョーが音楽で稼げるか分からないと考える娘アンナ(ベアトリス・ブリン)の夫シギー(サム・レヴェーン)から、自分と一緒にタクシーの運転手をさせることを提案されるものの、その気はなかった。

帰宅したジョーの顔が腫れていることに気づいたボナパルトは、彼がボクシングで100ドル稼いだことを知る。

それを良く思わない父に、明日の誕生日から生き方を変えると伝えたジョーは、10年続けたバイオリンでは食べていけないと言って父を説得しようとする。

金がすべてではないと言われたジョーは、バイオリンこそ幸せにを手に入れられる手段だと考える父に従う気はなかった。

その後、ボクシングの才能を期待されるジョーは、ローナに惹かれる。

ムーディは、ジョーの活躍のおかげで運営も順調となり、マネージャーのロキシー・ルイス(エドワード・ブロフィ)と共に、今後のビジネスに期待する。

ある夜ボナパルトは、プレゼントするつもりだったバイオリンをジョーが弾いていることに気づき喜ぶ。

演奏が聴こえたアンナも、それに合わせてピアノを弾き、シギーやカープも聴き惚れる。

その後ジョーはスランプに陥り、ムーディらは、ジムにも来ていない彼の様子を見に家に向かう。

ボナパルトに迎えられたムーディらは、バイオリニストのジョーが、手の怪我を恐れてかばっていることを知り驚く。

ジョーの部屋に押し入ったムーディとロキシーは、彼がボクシングをやめるつもりだと知り、憤慨してその場を去る。

ローナと話したボナパルトは、思慮深い彼女と意気投合し、帰ろうとする彼女にまた来てほしいと伝える。

ムーディとロキシーからジョーの話を聞いたローナは、何とかすると言って、任せてほしいと2人に伝える。

ジョーに誘われていた音楽会に付き合ったローナは、音楽を諦めきれないと言う彼に、リング上のあなたに惹かれると伝える。

それでも闘う気になれないと言うジョーを見限ろうとしたローナは、ムーディの差し金だと気づいた彼に、夢を叶えようとせず、時間を無駄にする者は好きになれないと伝える。

ローナにキスしたジョーは相手にされず、必ず出世してみせるので、チャンプになることをムーディに伝えるようにと言って、彼女タクシーに乗せる。

家を出る決心をしたジョーは、父からバイオリンを持って行くようにと言われるものの、荷物になるので断る。

ボクサーになることを認めないボナパルトは、涙しながらジョーを抱きしめて見送る。

その後、各地で勝利してランキングを上げるジョーは、興業を仕切るマフィアのボス、エディ・フュゼリ(ジョセフ・カレイア)の目に留まるが、ムーディは彼に会おうとしなかった。

訪ねて来たシギーと話したローナは、ジョーが置いて行った600ドルを、ボクシングに反対するボナパルトが受け取らないことを知らされる。

そこにフュゼリが現れ、ムーディはジョーの将来性を訊かれ、手を組むことを提案されるものの、それを断る。

現れたジョー本人に出資することを伝えたフュゼリは、考えとおくと言う彼と話し合う約束をしてその場を去る。

ムーディは、フュゼリと関わるべきではないとジョーに忠告するものの、自分で決めると言う彼は、話を聞き入れずに立ち去る。

ローナは、ジョーを手放したくないムーディに、何とかしてほしいと言われて彼を追う。

シギーから預かった金をジョーに渡したローナは、家に行くと言う彼に同行する。

アンナと父に歓迎されたジョーは、ローナも含めて食事をすることになる。

ジョーは、欲しがっていた車をシギーに買ってあげるようにと言って、父が受け取らなかった600ドルをアンナに渡す。

カープも呼んで食事を済ませ、皆で歌い楽しい時間を過ごしたボナパルトは、ローナにジョーのバイオリンを聴いてもらうとする。

気が進まないジョーだったが仕方なく弾き始め、思うように演奏ができないためにやめてしまう。

ボクシングで手を痛めているジョーは傷つき、父に慰められるもののその場を去る。

ボナパルトは、苦しんでいるジョーはボクサーではなく音楽家だとローナに伝えて、息子を正しい道に導いてくれるようにと頼む。

途中で車を止めてジョーと話し合ったローナは、素晴らしい家族と接し、自分の考えが間違えだったことに気づいたと話し、リングに上がるべきではないと彼に伝える。

チャンプになると言うジョーは、ボクサーの手になってしまいバイオリンは弾けないので、フュゼリの力を借りて目標を実現させ、その後に考えるとローナに伝える。

フュゼリと関わるべきではないと言うローナは自分の話になり、苦しい時に助けてくれたムーディと別れることはできないとジョーに伝える。

今の自分には平穏が必要であり、恋では苦しんだと言うローナは涙し、ジョーに抱きしめられる。

ムーディには自分で気持ちを話すとジョーに伝えたローナは、彼との愛を確認してキスする。

翌日ローナは、ムーディから妻が離婚に合意したことを知らされ、ジョーの対戦相手も決まったと言う彼に、別れる考えを伝える。

そこに現れたジョーは、寄り添う2人を見て苛立ち、ムーディから次の試合のことを知らされる。

部屋に入ってきたフュゼリは、話し合いに来なかったジョーに、ムーディと自分のどちらを選ぶかを問う。

フュゼリは、ジョーが”マジソン・スクエア・ガーデン”での試合を希望していることを知り、その場でメイン・イベントの出場を決めてしまう。

ローナの制止も聞かずにフュゼリの話に乗ったジョーは、彼女と愛し合っているとムーディに伝える。

ローナもそれを認めたためにフュゼリに従おうとしたムーディは、ローナと共に彼の下で働くことを強要される。

再び訪れた不幸に、ローナは絶望する。

タイトルマッチの挑戦権を争う試合は決まり、ムーディが結婚することを知ったジョーはローナと話をする。

ローナは、ムーディとの結婚を決めたのは復讐ではなく、フュゼリから離れるように頼んだのに聞き入れずギャングに関わり、昔の音楽好きの少年の面影もないからだとジョーに伝えて立ち去る。

フュゼリと出くわしたローナはジョーに近づくなと言われ、何も言葉を返せない。

ジョーは、自分のすべてを操ろうとするフュゼリの言動が気に入らなかった。

マジソン・スクエア・ガーデン
チョコレート・ドロップとの対戦を控えるジョーは、試合を観に来た父に気づき驚く。

そこに現れたムーディは、縁が切れたことをジョーに知らせて、ドロップに叩きのめされるのを望むと伝える。

様子を見に来たフュゼリはムーディを追い払い、その場にいたジョーの父に、試合前に会ってほしくないと伝える。

フュゼリは、ドロップを倒すことに集中するようにと言って、ジョーに喝を入れてその場を去る。

アンナや会場に来ているシギーのことを父に尋ねたジョーは、闘わなくてはならないと伝える。

もう音楽には戻れないと言って嘆くボナパルトは、勝つことを願うと伝えて会場に向かう。

ジョーは、ボルネオのマッサージを受けながら、家族のことを考えて涙するが、ムーディやローナを見返すと言ってリングに向かう。

リングに上がったジョーは、ゴングと共にドロップと激しく殴り合う。

しかし、ジョーはダウンを奪われ、ローナと共にリングサイドにいたムーディは喜ぶ。

シギーと共に観戦していたボナパルトは、観ていられなくなり席を立つ。

第2ラウンド。
ダウンを奪ったジョーは、立ち上がったドロップを攻め続けてノックアウト勝ちする。

控室に戻ったジョーは、左手首を痛めていることをボルネオに伝える。

ドロップの意識が戻らないことを知ったジョーは動揺し、現れた彼のマネージャーから死亡したと言われて責められる。

ジョーは、その場にいた父に帰ってもらい着替える。

救急車が到着し、ローナとムーディはドロップが死亡したことを知る。

ジョーが心配になったローナは、彼の元に向かおうとする。

ムーディにジョーのことを訊かれたローナは、愛していると伝えて彼の元に向かう。

後悔するジョーに責任はないと伝えたローナは、死んだのは事実であり自分は殺人者だと言って動揺する彼を落ち着かせる。

ドロップの控室に向かったジョーは、その場にいた父親らに、彼が戻るなら命を捧げると伝える。

それは間違いだと言うドロップの父親は、辛い現実から逃げてはいけないとジョーに伝える。

その場を去り、フュゼリから大金を渡されるジョーは、それを受取ろうとせず、今夜で終わりだと言って、タイトル戦の報酬6万5000ドルにも興味を示さない。

ドロップの代わりに死んでもらいたいと言われたフュゼリはジョーの頬を殴り、”ゴールデン・ボーイ”に無駄な時間を使ったと伝えて彼を見限る。

ローナから自由になったと言わたジョーは、リングを見て動揺する彼に愛を告げて励ます。

音楽の世界に戻るべきだと言われたジョーは、怪我をした手もいずれ治り、誰にも邪魔されずに弾けるようになるとローナに励まされる。

新しい人生を2人で切り開き、共に歩む決心をしたローナは、ジョーと共に彼の家に向かう。

家に戻ったジョーは、帰ったと父に伝えて抱き合う。

感激するボナパルトは、ジョーを自分の元に戻してくれたローナに感謝する。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
ニューヨーク
ボクシング・エージェントのムーディは妻との離婚を考え、世話をしてきたアシスタントのローナ・ムーンとの結婚を決意する。
ムーディーは、自分に売り込む若いボクサーのジョーにチャンスを与え、彼の活躍で経営難を脱することができる。
実は音楽家になる夢もあったジョーは、父の期待に応えたいとも思っていた。
そんなジョーは、大金を手に入れられるボクシングを選び、支えてくれるローナとの関係を深めながら才能を開花させるのだが・・・。
__________

クリフォード・オデッツの戯曲”Golden Boy”を基に製作され、グルジア(現ジョージア)出身であり、舞台でも活躍し話題作を手掛けていたルーベン・マムーリアンが監督した作品。

大金を手に入れられるボクシングか、父の望む音楽家としての人生を歩むかで悩む青年の生き方を中心に、彼に関わる女性との恋や家族との関係を描くドラマ。

ようやく幸せを掴みかけた幸薄い女性が、現れた青年の生き方に心を動かされ、彼と苦楽を共にして人生を歩む決心をする姿が、ルーベン・マムーリアンの繊細且つ力強い演出と共に描かれた秀作。

主演は、ボクシング・エージェントの愛人であり、心乱れる女性を好演するバーバラ・スタンウィックではあるが、物語の中心人物は前年にデビューした21歳のウィリアム・ホールデンで、ボクサーと音楽家の選択で苦悩する青年を熱演し、ハリウッドを代表するスターになる資質を見せてくれる。
この共演をきっかけにして、2人の友情は1981年にウィリアム・ホールデンが亡くなるまで続き、彼女が1982年アカデミー名誉賞を授与された際に、前年に亡くなった彼について”・・・私のゴールデン・ボーイ・・・”と語ったスピーチが記憶に残る。
”A few years ago, I stood on this stage with William Holden as a presenter. I loved him very much, and I miss him. He always wished that I would get an Oscar. And so, tonight, my golden boy, you got your wish.”

息子の幸せを願い音楽家にしたい、ウィリアム・ホールデンの父親を演ずるリー・J・コッブの、撮影当時27歳とは思えない見事な演技も見逃せない。

ドラマを盛り上げるヴィクター・ヤングの音楽は印象的で、第12回アカデミー賞では、作曲賞にノミネートされた。

妻と離婚し主人公(バーバラ・スタンウィック)との結婚を考えるボクシング・エージェントのアドルフ・マンジュー、ジョー(ウィリアム・ホールデン)や周囲を利用して金儲けを考えるマフィアのボス役ジョセフ・カレイア、ジョーの義兄サム・レヴェーン、ジョーの姉ベアトリス・ブリン、ジョーのマネージャー役エドワード・ブロフィ、ボナパルト(リー・J・コッブ)の友人ウィリアム・H・ストラウス、ジョーのトレーナー役ドン・ベドー、新聞記者チャールズ・レイン などが共演している。


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