第二次大戦中に歴史に残る戦果を挙げたアメリカ陸軍の日系人部隊”第442連隊戦闘団”の活躍を描く、監督、脚本ロバート・ピロッシュ、主演ヴァン・ジョンソン、レイン・ナカノ他共演の戦争ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・ピロッシュ
製作:ドア・シャリー
脚本:ロバート・ピロッシュ
撮影:ポール・ヴォーゲル
編集:ジェームズ・E・ニューカム
音楽:アルベルト・コロンボ
出演
マイケル・グレイソン少尉:ヴァン・ジョンソン
サム:レイン・ナカノ
チック:ジョージ・ミキ
フランク:アキラ・フクナガ
タカシ・オオハラ:ヘンリー・オヤサト
トミー・カマクラ:ヘンリー・ナカムラ
ロジーナ:ジャンナ・マリア・カナーレ
チャールズ・W・ペンス大佐:ワーナー・アンダーソン
ソラリ大尉:ダン・リス
ウィルソン・I・カリー軍曹:ドン・ハガティ
少尉:リチャード・アンダーソン
アメリカ 映画
配給 MGM
1951年製作 92分
公開
北米:1951年5月24日
日本:1951年12月7日
製作費 $1,337,000
北米興行収入 $2,531,000
世界 $3,337,000
■ アカデミー賞 ■
第24回アカデミー賞
・ノミネート
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1943年、ミシシッピ州、キャンプ・シェルビー。
新任のアメリカ陸軍少尉マイケル・グレイソン(ヴァン・ジョンソン)は、”第442連隊戦闘団”部隊に赴任する。
チャールズ・W・ペンス大佐(ワーナー・アンダーソン)の元に向かったグレイソンは、厳しい訓練になると言われるるものの”第36歩兵師団”への転属を希望する。
師団のあるテキサス出身だと伝えたグレイソンは、その州兵から士官学校に進み、戻れると思っていたことを話す。
そんな理由を認める気のないペンスは、日系人兵士を”ジャップ”と言って軽蔑するグレイソンの考えを非難し、部隊に残るよう命ずる。
中隊長のソラリ大尉(ダン・リス)に歓迎されたグレイソンは、再び日系人を疑うが敵国のスパイなどいないと言われる。 副官のタカシ・オオハラ軍曹(ヘンリー・オヤサト)と共に兵舎を見回ったグレイソンは、掃除や服装など細部まで徹底して改善するよう命ずる。 その後、厳しい訓練は始まるが、グレイソンは兵士の能力の低さに頭を抱える。 訓練を終えた連隊は1944年5月1日に出兵命令を受け、行き先を知らされないまま輸送船に乗り出航する。 兵士のサム(レイン・ナカノ)は、ヨーロッパ侵攻が近いためイギリスに向かうはずで太平洋ではないと同僚に語る。 イタリア戦線に向かうことを知らされていたグレイソンは、ガイドブックを読み予備知識を得る。 上陸した部隊は、その後”第100歩兵大隊”に合流する。 戦地が近づくある町で、グレイソンはロジーナ(ジャンナ・マリア・カナーレ)という女性に出会う。 待機していた兵士達は、負傷兵を初めて見て動揺する。 部隊は出発するが、ロジーナと楽しんでいたグレイソンは置いて行かれてしまう。 部屋にあった”第36歩兵師団”のクッションを見て驚いたグレイソンは、置き去りにされたことに気づき部隊に追いつくが、今回の件でソラリ大尉に厳しく注意される。 小休止している間に水を汲みに行ったサムとトミー・カマクラ(ヘンリー・ナカムラ)は、ドイツ軍の攻撃を受ける。 サムとトミーは二名の敵兵を倒し、その場にいた子豚を連れて帰る。 ペンス大佐に報告をした二人は戦功を称えられる。 同席していたグレイソンは、第36歩兵師団が付近にいることをペンス大佐に伝え、出身部隊を訪ねる許可を得ようとする。 ペンスは、転属願を出しておくことを伝え、グレイソンはそれに感謝する。 その後、交戦しながら部隊は行軍を続ける。 小隊は農家で休息をとり、トミーはその家族から子豚を譲ってくれと言われるもののそれを断る。 恋人からの手紙が届いたサムは、自分達の活躍がアメリカ中で報道されていることを知り、それをトミーに伝える。 休暇から戻ったグレイソンは、第36歩兵師団が付近にいることをソラリ大尉から知らされ、未だ転属に未練があることと敵の日本人と共に戦っていることへの疑問を訴える。 ドイツ出身者や両親家族などもいるアメリカ兵もいると言うソラリだったが、それと日本人とは違うとグレイソンは答える。 敵の本部を見つけた部隊は攻撃を仕掛け、グレイソンらは相手を降伏させる。 兵士が日本人だとグレイソンに言われたドイツ軍の士官は驚く。 その後、部隊は船で南フランスに向かうことになり、グレイソンは、子豚を隠して連れて来たトミーを大目に見る。 部隊は列車で移動し、少尉に昇進したオオハラは配置換えの連絡を待ち、一旦、同僚達に別れを告げる。 停車した町でテキサスの歌を聴いたグレイソンは、第36歩兵師団が前日に出発したことを知る。 部隊が第36歩兵師団所属となることをペンス大佐から知らされたグレイソンは、オオハラに自分の小隊を任せると言われ、連絡将校として司令部に配属を命ぜられる。 小隊に愛着を感じるようになっていたグレイソンだったが、命令に従うしかなかった。 子豚を預かっていてくれた家族が飢えていることを知ったトミーは、仕方なく子豚を食料として渡す。 久し振りに部下達に再会したグレイソンは、旧友のウィルソン・I・カリー軍曹(ドン・ハガティ)に第442連隊の兵士を使うよう指示する。 日本人を軽蔑するカリーに対し、赴任した際にペンス大佐に言われたことを思い出すグレイソンは、偏見を捨てるようにと伝えて忠告する。 考えを変えないカリーと殴り合いになったグレイソンは、相手を叩きのめしてその場を去る。 日系人だということで弟がリンチを受けたという手紙を受けとったサムらは、自分達に対する偏見に怒りを感じる。 グレイソンら大隊が攻撃を受けたという連絡を受けたオオハラは、出撃準備をするよう部下に命ずる。 苦戦するグレイソンとカリーらに援軍を送ることを考えたペンス大佐は、オオハラの小隊を現地に向かわせる。 オオハラは爆撃を受けて戦死し、その後、補充兵として彼の弟が到着するが、サムは兄が戦死したことを伝える。 交戦したサムらだったが、その相手だったカリーが英語を話したため合言葉を求める。 その場にいたグレイソンが、”バカタレ”という小隊の兵士の口癖を叫び、サムらは味方だと確認する。 流石のカリーも日系人部隊の援軍に感謝し、”バカタレ”が間抜けで馬鹿な者のことだとグレイソンはサムから知らされる。 グレイソンに指揮を任されたサムは突撃命令を出す。 犠牲者を出しながら小隊は敵を倒して前進し、大きな戦果を挙げる。 孤立していた大隊を救った小隊は、グレイソンに感謝されて別れる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1943年、ミシシッピ州、キャンプ・シェルビー。
アメリカ陸軍の日系人部隊”第442連隊戦闘団”に赴任したマイケル・グレイソン少尉は、敵国である日本人に偏見を持ちながら厳しい訓練を続ける。
1944年5月、出兵命令を受けた部隊はイタリア戦線に向い、日系人の優秀な戦い振りと苦楽を共にする内に、グレイソンは彼らとの信頼関係が生まれる。
南フランスに移動した部隊は、グレイソンが転属を希望していた”第36歩兵師団”の所属となり、激しい戦いを続ける・・・。
__________
第二次大戦を舞台にした作品は多くあるが、アメリカの敵国である日本からの移住者の二世で組織された”第442連隊戦闘団”を描く作品として非常に興味深い。
アメリカが移住国家のため、大戦時に敵国出身者の兵士はいたのは当然なのだが、本作では見分けがつけにくい欧米人に比べ、容姿が一目で分かる日本人への偏見が重点に描かれている。
体力的には劣るが、日本人がいかに優秀であったかが確認できる作品でもある。
アメリカ軍事史上で最も多くの勲章を授与された部隊だったことを考えると、アメリカの誇りでもある兵士達の活躍は、敵国とは言え日本人として尊敬さえ感じる。
本作はアメリカ本国でも多くの人々に受け入れられ、興行収入は約250万ドルという、当時としては大ヒットを記録した。
第24回アカデミー賞では、脚本賞にノミネートされた。
主演のヴァン・ジョンソンは、当初は敵国の日本及びその二世に対し嫌悪の眼差しで接しながら、次第に彼らと心触れ合い小隊を率いることを誇りに思うようになる士官を熱演する。
大戦中、実際に陸軍に志願し第442連隊に配属された軍曹役のレイン・ナカノ、兵士ジョージ・ミキ、アキラ・フクナガ、ヘンリー・オヤサト、ヘンリー・ナカムラ、主人公がイタリアで出会う女性ジャンナ・マリア・カナーレ、司令官ワーナー・アンダーソン、大尉ダン・リス、日本人を嫌う軍曹ドン・ハガティ、少尉リチャード・アンダーソンなどが共演している。