マフィアに家族を殺された少年を助けた女の逃亡と組織に立ち向かう姿を描く、監督、脚本ジョン・カサヴェテス、主演ジーナ・ローランズ、バック・ヘンリー、ジュリー・カーメン他共演の犯罪ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・カサヴェテス
製作:サム・ショウ
脚本:ジョン・カサヴェテス
撮影:フレッド・シュラー
編集:ジョージ・C・ビラセア
音楽:ビル・コンティ
出演
グロリア・スウェンソン:ジーナ・ローランズ
ジャック・ドーン:バック・ヘンリー
ジェリ・ドーン:ジュリー・カーメン
フィル・ドーン:ジョン・アダムズ
マルガリタ・ヴァルガス:ルーペ・ガルニカ
フランク:ジョン・フィネガン
シル:ヴァル・エイヴリー
トニー・タンジーニ:バジリオ・フランキーナ
殺し屋:トム・ヌーナン
殺し屋:J・C・クイン
殺し屋:ソニー・ランダム
ブロードウェイのバーテンダー:ローレンス・ティアニー
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1980年製作 121分
公開
北米:1980年10月1日
日本:1981年2月14日
北米興行収入 $4,059,670
■ アカデミー賞 ■
第53回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(ジーナ・ローランズ)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク、サウス・ブロンクス。
買い物をから帰ったジェリ・ドーン(ジュリー・カーメン)は、怯えながらアパートの部屋に入り、夫のジャック(バック・ヘンリー)に荷造りや行き先のことを訊く。
10歳の娘ジョーンと6歳の息子フィル(ジョン・アダムズ)そしてジェリの母親マルガリタ・ヴァルガス(ルーペ・ガルニカ)も連れて逃亡するつもりのジャックは、動揺するジェリを落ち着かせようとする。
マフィアの会計士だったジャックは、組織の金を横領した上にFBIに情報を漏らしたため命を狙われていたのっだった。
下に男達がいたことを話したジェリは、情報を漏らしたジャックを責める。
その時、ドアのブザーが鳴り、警戒するジャックはジェリに銃を渡して出るように指示するが、彼女はそれを拒む。 ブザーを鳴らしたのが同じフロアの住人でジェリの友人のグロリア・スウェンソン(ジーナ・ローランズ)だったためにドアを開けたジャックは、彼女からコーヒーを飲ませてとほしいと言われる。 部屋に招かれたグロリアは異様な雰囲気に気づき、ジェリから、下の男達に家族全員が命を狙われているため、子供達を助けてほしいと言われる。 協力はしたいが子供は嫌いで、特にこの家の子は嫌いだと率直に伝えたグロリアは、ジャックが組織の金を横領した上にFBIに情報を漏らしたことを知らされる。 仕方なくそれを承知したグロリアだったが、ジョーンは彼女と一緒に行くことを拒む。 組織の情報を書き留めた手帳をフィルに渡し、それが守ってくれると言い聞かせたジャックは、誰も信じないで強く生きるようにと伝えて息子を抱きしめる。 ジャックに行くように指示されたフィルはグロリアの部屋に向かい、電話で父と話す。 フィルに別れを告げたジャックは、グロリアに後を任せる。 その直後に、銃声と共に爆破音が響き渡り、警戒するグロリアは、父に会いたいと言うフィルに何も答えられない。 ジャックらを殺害した殺し屋達は、手帳を探すものの見つからなかった。 フィルに事態を理解させたグロリアは、荷物まとめて拳銃を持参し、彼に手帳を持たせて猫を連れて部屋を出る。 自分の部屋に戻ろうとしたフィルを連れ戻して、既に警官が駆けつけていた建物から出たグロリアは、タクシーに乗りマンハッタンの友人のアパートに向かう。 グロリアが入浴している間に、フィルは部屋を出て街に向かい、家族が殺された新聞記事を確認する。 ブロンクスの事件はニュースで報道され、グロリアはドーン家の息子を誘拐したことになっていた。 かかってきた電話を無視して部屋を出たグロリアは、戻っていたフィルを連れてその場から去ろうとする。 そこに組織のフランク(ジョン・フィネガン)らが現れたため、グロリアは建物から出て逃げようとする。 追って来るフランクらが、実は自分の仲間だとフィルに伝えたグロリアは、彼を一人で逃がそうとするものの離れようとしない。 そこに車で現れたフランクは、子供と手帳に用があるだけだと言ってグロリアに去るよう指示する。 人前で子供を殺す気かと伝えたグロリアはフランクらを銃撃し、走り出した車は事故を起こして横転する。 タクシーに乗りフィルから謝罪されたグロリアは、黙って忘れるようにと伝える。 その後、フィルに通りで待つよう指示したグロリアは銀行に向かい、貸金庫の現金を下ろす。 フィルと共にバスに乗ったグラントは、その場で待っていた伯父のジョーから情況を聞く。 子供の母親と友人だったために仕方なかったとジョーに伝えたグロリアは、バスを降りてホテルに向かう。 満室だと言われたグラントは、安宿の部屋を借りて眠る。 翌朝、ピッツバーグに行くとフィルに伝えて部屋を出たグロリアは、タクシーで墓地に向かう。 フィルに家族への祈りを捧げさせたグロリアは、駅のカフェに向かう。 その場にいた組織の者達に手帳を渡して取引しようとしたグロリアだったが、ボスのトニー・タンジーニ(バジリオ・フランキーナ)との相談が必要だと言われる。 家族殺しの証人である子供は自分の手にあると伝えたグロリアは、銃を向けて、男達に所持している銃の弾を抜くよう指示して脅しす。 周囲の客達が驚く中、男達はその場から去り、裏口から出たグロリアとフィルは、ブロンクスのアパートに戻り一夜を過ごして警戒しながらその場を離れる。 自分の行動に意見するフィルに腹を立てたグロリアは、彼を通りに残してバーに向かう。 ビールを注文したグロリアは、フィルが気になり、バーテンダー(ローレンス・ティアニー)に彼の様子を見てもらう。 店を出たグロリアはフィルが見つからず、タクシーを拾いブロードウェイを走りながら彼を捜す。 友達といたフィルを見つけたグロリアは、男達に建物の中に連れて行かれた彼を追う。 男達に銃を向けたグロリアは一人を射殺し、他の二人の銃を奪い、建物から出てタクシーで逃走する。 追って来た男達をまいて地下鉄に乗ったグロリアだったが、降りようとした際に、混雑でフィルが車両に取り残される。 42丁目で降りるようにとフィルに指示したグロリアは、追って来た男達に襲われるものの抵抗して銃を向ける。 次のホームに着きフィルがいることを確認したグロリアは、男達を威嚇しながら電車を降りて、ホテルに向かい休むことにする。 誰かが現れてたため対応したグロリアは、花を持ってきたボーイだったために追い払う。 母親代わりになることをフィルと話したグロリアは、組織についてなども語り、今後のことを考える。 翌朝、朝食を買いに出たグロリアは、現れた組織のシル(ヴァル・エイヴリー)に話しかけられてタクシーに逃げ込む。 観念するよう説得されたグロリアは襲われたように見せかけ、シルはタクシー・ドライバーに降ろされてしまう。 ホテルに戻ったグロリアは、元愛人だったタンジーニに電話をして片を付けようとする。 タンジーニと話したグロリアは、手帳を渡すと言って会うことになる。 フィルに金を渡したグロリアは、3時間半待ち戻らなかった場合は一人でこの場を去り、ピッツバーグ駅で待つよう指示して部屋を出る。 タンジーニの元に向かい話をしたグロリアは、子供を渡すようにと言われ、今回のジャックの裏切りが組織に与える影響などを知らされる。 自分を殺すようにと言うグロリアは、子供は殺しの現場を見ていないと伝えて、手帳を置いてその場を去る。 タンジーニはグロリアが去ったことを部下に伝え、彼女は部屋の外にいた男を射殺射してエレベーターに乗る。 部下達は、下に向かうエレベーターを銃撃する。 フロントからの電話に出て、もう一泊すると答えたフィルは、現金を持ってホテルを出る。 駅に向かったフィルは、ピッツバーグに向かう。 現地に着きタクシーで墓地に向かったフィルは、ある墓石に向かい、死んだと思われるグロリアに話しかける。 待っているようにと指示したタクシーは走り去り、その後、現れた車から降りた老女がグロリアだと分かったフィルは驚く。 グロリアは、駆け寄ってきたフィルを抱きしめる。
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*(簡略ストー リー)
ニューヨーク、サウス・ブロンクス。
マフィアの会計士だったジャックは、組織の金を横領した上にFBIに情報を漏らしたために家族と共に命を狙われる。
子供だけでも助けようとしたジャックは、現れた同じフロアの住人のグロリア・スウェンソンに子供を任せようとする。
仕方なくそれを承知したグロリアは、ジャックから組織の情報が書かれた手帳を渡された息子のフィルを部屋に連れて行く。
ジャックらは殺し屋に殺害され、フィルを連れてその場を離れたグロリアは、組織から逃れようとするのだが・・・。
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監督、脚本ジョン・カサヴェテスによる、妻であるジーナ・ローランズ主演のハードボイルド・タッチの犯罪ドラマ。
1999年に、監督シドニー・ルメット、主演シャロン・ストーンによりリメイクされた。
*「グロリア」(1999)
ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。
リュック・ベッソンの「レオン」(1994)は、本作の冒頭の内容と主人公と少年の関係などを参考にしていると言われている。
物語の展開や主人公の個性の描き方などは実に興味深い内容なのだが、主人公の行動や場面展開に頭を傾げてしまうところがあり、ジョン・カサヴェテスの脚本にやや難あり・・・というよりも、編集の問題かもしれない。
リアリズム映画であるにも拘らず、大都会ニューヨークの人混みの中で、やたらと銃を手にして発砲もする主人公の行動はあまりにも不自然であり、彼女の生き様などを象徴的に描きたかったジョン・カサヴェテスの演出の意図は理解できるものの、彼の残した業績は認めた上で、もう少し工夫がほしかった気がする。
それをともかく、ジョン・カサヴェテス夫人として彼の作品の多くに出演したジーナ・ローランズの熱演が光る作品で、マフィアのボスの元愛人として裏社会を知り尽くし、殺し屋の脅しにも怯むことなく立ち向かう女性を見事に演じ、第53回アカデミー賞では、主演女優賞にノミネートされた。
作品の内容にマッチした、ダイナミック且つドラマチックなビル・コンティの楽曲は非常に印象的だ。
物語の重要人物である家族を殺された少年を演ずる当時7歳のジョン・アダムズには荷が重すぎた役柄だったようで、残念ながらラジー賞を受賞してしまい、ミスキャスト気味だったのも残念だ。
もう少ししっかり演技ができる子役を起用すれば、ジーナ・ローランズの演技は更に高く評価されただろう。
マフィアから命を狙われる会計士バック・ヘンリー、その妻ジュリー・カーメン、その母親ルーペ・ガルニカ、マフィアのボス、バジリオ・フランキーナ、その部下ジョン・フィネガン、組織員のヴァル・エイヴリー、殺し屋のトム・ヌーナン、J・C・クイン、ソニー・ランダム、そして、ファンには嬉しいローレンス・ティアニーがバーテンダー役で登場する。