愛し合う恋人同士に突然訪れた悲劇、亡くなった男性の魂が失意の恋人を見守る姿を描く、監督ジェリー・ザッカー、主演パトリック・スウェイジ、デミ・ムーア、ウーピー・ゴールドバーグ、トニー・ゴールドウィン共演の大ヒットしたファンタジー・ラブ・ロマンスの秀作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジェリー・ザッカー
製作総指揮
スティーヴン=チャールズ・ジャッフェ
ハワード・W・コーチ
製作:リサ・ウィンスタイン
脚本:ブルース・ジョエル・ルービン
撮影:アダム・グリーンバーグ
編集:ウォルター・マーチ
音楽:モーリス・ジャール
出演
パトリック・スウェイジ:サム・ウィート
デミ・ムーア:モリー・ジェンセン
ウーピー・ゴールドバーグ:オダ・メイ・ブラウン
トニー・ゴールドウィン:カール・ブルーナー
リック・アビレス:ウィリー・ロペス
ヴィンセント・スキャヴェリ:地下鉄のゴースト
フィル・リーズ:救急処置室のゴースト
ゲール・ボッグス:シスター・ルイス
アメリア・マックィーン:シスター・カーラ
スティーヴン・ルート:巡査部長
ブルース・ジャーチョウ:ライル・ファーガソン
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1990年製作 126分
公開
北米:1990年7月13日
日本:1990年9月15日
製作費 $22,000,000
北米興行収入 $217,631,306
世界 $507,600,000
■ アカデミー賞 ■
第63回アカデミー賞
・受賞
助演女優(ウーピー・ゴールドバーグ)
脚本賞
・ノミネート
作品・脚本・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
銀行員のサム・ウィート(パトリック・スウェイジ)と恋人で陶芸家のモリー・ジャンセン(デミ・ムーア)は、 新居に引越して幸せな日々を送っていた。
親友で同僚でもあるカール・ブルーナー(トニー・ゴールドウィン)とモリーと共に、サムは部屋の改修を進める。
カールと出社したサムは、日本人の顧客との面談を控えていたが、90万ドルの送金を指示される。
焦るサムは、送金をカールに頼み、秘密のアクセスコードを教える。
その夜、部屋の改修もほぼ終わったサムは、モリーとの素晴らしい生活が今後も続くだろうかという不安を感じ、失うのでわないかと彼女に話す。 眠れないモリーは、ジュークボックスで音楽(アンチェインド・メロディ)を聴きながら一人で陶芸を始め、その様子を見に来たサムとの愛を確かめる。 翌日、自分の管理している資金で大金が動き過ぎていることに気づいたサムは、それをカールに話す。 夜の予定をカールから訊かれたサムは、”マクベス”を観劇に行くと伝える。 その夜、観劇からの帰り道で、サムはモリーに結婚を提案されて驚く。 そこに暴漢のウィリー・ロペス(リック・アビレス)が現れ、サムに銃を向けて金を要求する。 金は渡すと言いながら、ウィリーに抵抗したサムは発砲され、逃げていく彼を追うものの諦める。 モリーの元に戻ったサムは、銃弾を受けて倒れている自分に気づく。 サムを抱きかかえるモリーは助けを呼ぶが、既に彼は死亡していた。 サムの魂は天からの迎えを拒み、地上に残ることを選択する。 病院に向ったサムは、自分の遺体の横でたたずみ、老人(フィル・リーズ)に話しかけられる。 ゴーストだった老人は、心臓発作で死を間近にした妻を見守っていることをサムに伝える。 老人は、ゴーストとしては新人のサムに、早くこの世界に慣れることだと言って様々なことを話して助言する。 目の前で処置を受けていた患者が息を引き取り、魂が天に昇る様子を見ていたサムは、老人が姿を消したことに気づく。 自分の葬儀が行われ、サムは、誰とも話すことも接触もできない孤独な生活が始まる。 モリーと共にサムの所持品などを整理したカールは、塞ぎ込む彼女を心配して励まそうとする。 そんな2人を見ても声をかけれれないサムは、自分の命を奪ったウィリーがアパートに侵入したために驚く。 カールと散歩に出たモリーが戻ったため、彼女を守ろうとしたサムは、自分に気づく猫を脅してウィリーを追い払う。 ウィリーを追って地下鉄に向かったサムだったが、地下鉄のゴースト(ヴィンセント・スキャヴェリ)から、自分の縄張りだと言われて襲われる。 地下鉄を降りてウィリーを追ったサムは、彼のアパートに向かう。 誰かに電話をするウィリーが、再びモリーを襲おうとしていることを知ったサムは、何もできない自分に苛立つ。 そんなサムは、霊媒師のオダ・メイ・ブラウン(ウーピー・ゴールドバーグ)のことを知り、彼女が詐欺師だと見抜く。 しかし、オダ・メイが自分の存在に気づいたため、サムは、彼女にモリーへの連絡役を頼む。 自分を殺した男に襲われると、モリーに警告してほしいとサムから言われたオダ・メイは、仕方なくモリーに電話する。 しかし、サムからのメッセージだとモリーに伝えたオダ・メイは、電話を切られてしまう。 その後もサムに付きまとわれたオダ・メイは、モリーの元に向かうものの、相手にされない。 オダ・メイから、サムと自分だけしか知らない話をされたモリーは、彼女を一応、信じる。 カフェでオダ・メイの話を聞いたモリーは、再び彼女の話を疑うが、普段は愛を語らないサムの口癖を聞く。 オダ・メイをアパートに連れて行ったモリーは、自分達を襲ったウィリーの住所を知らされ、サムの財布と鍵を奪いこの場に侵入したと言われる。 警察に行き、黒幕がいることを伝えるよう指示されたモリーは、カールに相談して犯人のことなども話し、協力してもらおうとする。 霊媒師の話など信じようとしないカールだったが、調べてみることをモリーに約束する。 カールがウィリーのアパートに向かったために驚くサムは、麻薬組織に金を送金するため、彼が自分のアクセスコードを盗もうとして企んだ事件の黒幕だったことを知りショックを受ける。 ウィリーに霊媒師を始末するよう指示し、モリーのアパートの鍵を受け取ったカールは、部屋に侵入して、コードが書かれたサムの手帳を奪うことを考える。 ショックを受けたサムだったが、どうすることもできなかった。 警察に向かったモリーは、霊媒師のオダ・メイから聞いた話などを巡査部長(スティーヴン・ルート)に伝え、ウィリーのことを調べてもらおうとする。 その頃、アパートに忍び込んだカールは、コードが書かれた手帳のページを破って持ち去る。 ウィリーの記録がないことをモリーに知らせた巡査部長は、オダ・メイが、何件もの前科がある詐欺師だということをモリーに伝える。 自分とサムだけしか知らないことをオダ・メイが話したことを伝えたモリーは、それを信じない巡査部長に涙ながらに訴えるものの無駄だった。 コードを使ったカールは、指定された口座に400万ドルを翌日、送金するよう指示され、それをサムが見つめていた。 その夜、現れたカールに霊媒師が前科者だったことを話したモリーは、彼に迫られてキスしてしまう。 その場にいたサムは苛立ちカールに襲い掛かろうとするものの、体に触れることはできずに写真だけがテーブルから落ちる。 我に戻ったモリーは、カールに帰ってほしいことを伝え、翌日の食事の約束をする。 地下鉄に向かったサムはゴーストを捜し、物に触れらる彼から、集中すればできると言われて、その方法を教わる。 線路に突き落とされ、寿命があるのに殺されたと話すゴーストは、この場に現れた理由をサムに尋ね、付きまとうなと言って苛立ち、地下鉄に飛び乗り姿を消す。 その後、オダ・メイに会うものの迷惑に思われたサムだったが、現れたウィリーに襲われた彼女を助ける。 偽の身分証明書を用意してほしいとサムから言われたオダ・メイは、それを断るものの、彼女の周りに現れる他のゴーストを追い払うことを約束される。 オダ・メイと銀行に向かったサムは、カールの口座のサイン登録手続きを済ませる。 担当者のライル・ファーガソン(ブルース・ジャーチョウ)に会ったオダ・メイは、サムの指示に従い、400万ドルの口座を解約して銀行小切手を受け取る。 そこにモリーが現れたため、サムは、彼女がオダ・メイに気づかないようにしてその場を去ろうとする。 オダ・メイに気づいたモリーは、ライルに彼女が何をしに来たのかを尋ね、自分やサムには関係のない話だったことを確認する。 同じ頃、口座が解約されたことを知ったカールは焦り、窮地に立たされる。 400万ドルの使い道を考えて興奮するオダ・メイだったが、路上で寄付を求める尼僧に小切手を渡すようサムに指示される。 仕方なく小切手を渡したオダ・メイは憤慨し、絶交するとサムに伝えてその場を去る。 銀行に残っていたカールをからかったサムは、モリーのアパートに向かう彼について行く。 霊媒師のことをモリーに尋ねたカールは、オダ・メイが銀行にいたことを知り、彼女が口座を解約したと言われる。 動揺するカールは、その場にサムがいることに気づき、オダ・メイに金を持ってこさせるよう指示し、それに従わなければモリーを殺すと言って脅す。 後で来るとモリーに伝えて出て行ったカールがオダ・メイを襲うと考えたサムは、彼女の元に向かい、それを伝える。 オダ・メイは同じフロアの隣人の部屋に逃げ込み、サムは、カールと共に現れたウィリーを脅す。 見えない相手に驚くウィリーはその場から逃げ出し、車に衝突して命を落とす。 それを目撃したカールはその場から去り、ウィリーの魂は霊界に引き込まれる。 オダ・メイと共にモリーのアパートに向かったサムは、麻薬組織の資金洗浄に気づいた自分がカールに殺されたことをオダ・メイを通してモリーに伝え、危険を知らせようとする。 そのオダ・メイの話を信じられないモリーは、ドアを開けようとしない。 壁を通り抜けたサムは、着ているシャツやイヤリングのことをモリーに伝えるようオダ・メイに指示する。 オダ・メイに1セントをドアの下からよこすよう指示したサムは、それを、お守りだと言ってモリーに渡す。 信用したモリーは、ドアを開けてオダ・メイに微笑む。 モリーの隣に座っているサムが、もう一度、彼女に触れたいと言うため、オダ・メイは自分の体を利用させようとする。 サムはオダ・メイに乗り移り、モリーと触れ合う。 そこにカールが現れ、サムはオダ・メイから離れる。 モリーとオダ・メイは非常階段に逃げて、カールは銃を発砲して部屋に押入り2人を追う。 オダ・メイを捕えたカールは、小切手を返すようにと言ってい襲い掛かり、モリーがそれを制止しようとする。 モリーを投げ飛ばしたカールは、オダ・メイに銃を向けて小切手を奪おうとするが、寄付したと言われる。 サムに襲われたカールは抵抗するものの、割れた窓ガラスが腹部に突き刺さり死亡する。 カールの魂はサムと話すが、霊界に引き込まれてしまう。 そして、天からの迎えが来たサムの姿がモリーの前に現れ、2人はキスする。 オダ・メイに別れを、そしてモリーに愛を告げたサムは、天国に向かうために光の中に消えていく。
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*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
銀行員のサム・ウィートと恋人モリーは、幸せな毎日を送っていたが、ある夜、観劇からの帰りに、二人は暴漢のウィリーに襲われ、サムが撃たれて死亡する。
サムの魂は地上に残るものの、誰と話すことも接触もできない孤独な生活が始まる。
心を閉ざす失意のモリーは、サムの親友で同僚のカールに励まされる。
そんな時、サムの命を奪ったウィリーがモリーを襲おうとする。
それを阻止したサムだったが、再びモリーを襲おうとするウィリーに対し何もできない自分に戸惑う。
ある日サムは、霊媒師のオダ・メイの存在を知り、詐欺師ではあるが、彼女が自分の存在に気づいたことで助けを求める。
サムは、オダ・メイにモリーへの連絡役を頼むもののうまくいかず、二人だけしか知らない話を聞かせて、ようやくモリーを信用させる。
そしてモリーは、オダ・メイからウィリーのことを知らされ、カールに協力してもらおうとするのだが・・・。
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ラブ・ロマンスに、ファンタジーとコメディの要素を盛り込み、世界中の人々を感動させた秀作ドラマ。
北米のみで、製作費2200万ドルの約10倍以上の約2億1800万ドルの興行収入を記録し、全世界では5億ドルを超す大ヒットとなった。
第63回アカデミー賞では、助演女優(ウーピー・ゴールドバーグ)と脚本賞を受賞した。
・ノミネート
作品・脚本・作曲賞
1965年に発表されて大ヒットした、ライチャス・ブラザーズの名曲”アンチェインド・メロディ”が見事な効果をあげている。
それをホローする、アカデミー賞にノミネートされた、モーリス・ジャールの美しい音楽も心に残る。
トム・ハンクス、アル・パチーノ、トム・クルーズ、ケビン・ベーコン、ブルース・ウィリス、ハリソン・フォード、アレック・ボールドウィン、ポール・ホーガンなど、錚々たる名前が主演候補にあがり、ニコール・キッドマンとマドンナはオーディションで落とされ、モリー・リングウォルドが役を得ていたが、エージェントの要請でそれを降りることになり、メグ・ライアンも降り、ティナ・ターナーが、当初オダ・メイ役だったたという、目まぐるしい配役決定までの経緯があった作品でもある。
*ブルース・ウィリスは当時のデミ・ムーアの夫。
主役を勝ち取ったパトリック・スウェイジは、幸せな生活と恋人を奪われる、真面目な銀行員を熱演している。
冒頭で、日本人の顧客との面接を前に緊張する姿なども含め、ナイーブな男性を好演した彼の演技は世界中の女性の心を捉えた。
本作で、一気にスターダムにのし上がるヒロインのデミ・ムーアも、ボーイッシュで清潔感溢れる女性を好演している。
「カラーパープル」(1985)などで、既に演技派として注目されていたウーピー・ゴールドバーグのコミカルな演技は出色で、その後の彼女のキャラクターを決定付ける上で重要な作品となった。
麻薬組織との関係に手を染めて親友を裏切るトニー・ゴールドウィン、彼と手を組み主人公を殺害するリック・アビレス、地下鉄のゴースト役のヴィンセント・スキャヴェリの怪演も忘れがたい。
他、救急処置室のゴーストのフィル・リーズ、他、オダ・メイ(ウーピー・ゴールドバーグ)のアシスタントのゲール・ボッグスとアメリア・マックィーン、巡査部長のスティーヴン・ルート、銀行員のブルース・ジャーチョウなどが共演している。