モンゴルの遊牧部族を統一し世界人口の半数以上を統治する帝国を築き上げたジンギス・カンの生涯を描く、監督ヘンリー・レヴィン、主演オマー・シャリフ、スティーヴン・ボイド、ジェームズ・メイソン、フランソワーズ・ドルレアック、テリー・サバラス、ロバート・モーレイ、マイケル・ホーダーン他共演の歴史ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ヘンリー・レヴィン
製作:アーヴィング・アレン
原作:バークレイ・マーサー
脚本
クラーク・レイノルズ
ビヴァリー・クロス
撮影:ジェフリー・アンスワース
編集:ジェフリー・フット
音楽:デュシャン・ラディック
出演
テムジン/ジンギス・カン:オマー・シャリフ
ジャムカ:スティーヴン・ボイド
カム・リン:ジェームズ・メイソン
ホラズム王:イーライ・ウォラック
ボルテ:フランソワーズ・ドルレアック
シャン:テリー・サバラス
中国皇帝:ロバート・モーレイ
ギーン:マイケル・ホーダーン
カトケ:イヴォンヌ・ミッチェル
センガル:ウディ・ストロード
スブタイ:ケネス・コープ
カッサー:ロジャー・クルーチャー
ジェバイ:ドン・ボリセンコ
コッチラク:パトリック・ホルト
チン・ユー:スザンヌ・シャオ
トクトア:ジョージ・サバラス
アルタン:グスタボ・ロホ
アメリカ/イギリス/西ドイツ/ユーゴスラビア 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1965年製作 120分
公開
イギリス:1965年6月17日
北米:1965年6月23日
日本:1965年7月22日
製作費 $3,500,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
800年前のモンゴル。
遊牧民の族長イェスゲイの息子テムジンは、メルキトの一団に襲われ、リーダーのジャムカ(スティーヴン・ボイド)に抵抗する。
占い師ギーン(マイケル・ホーダーン)から、イェスゲイの息子を殺すと自分も死ぬと言われたジャムカは、テムジンの手のひらの血の印を見せられる。
テムジンを生かしたジャムカは、彼の目の前でイェスゲイを四肢裂き刑に処す。
首カセをはめさせられたテムジンは、その状態で苦しみに耐えながら様々なことを学ぶ。
ギーンとセンガル(ウディ・ストロード)に鍛えられながら成長したテムジン(オマー・シャリフ)は、コンギラトの氏族の首長デイ・セチェンの娘ボルテ(フランソワーズ・ドルレアック)に出会う。
優しく接するボルテに惹かれたテムジンは、現れたジャムカに蹴倒される。 ボルテを妻にしようと考えていたジャムカは、テムジンを痛めつける。 テムジンから、首カセの男にしか手を出せないのかと言われたジャムカは、部下のコッチラク(パトリック・ホルト)に首カセを外すよう指示する。 首カセを外されたテムジンは、それをジャムカに投げつけて逃亡する。 逃げ延びたテムジンは、ギーンとセンガルが捜しに来たことを知る。 センガルはテムジンの家来になり、敵が悪霊がいると考え恐れる山岳地帯を拠点にして、最小部族としての戦いの準備を始める。 豊かな西(ヨーロッパ)と東(中国)の話をするギーンは、中央のモンゴルだけが不毛な地であることに疑問を持つテムジンに、部族ごとに別れて争っているからだと伝える。 永遠に団結はできないと言われたテムジンは、何とかして部族を拡大することを考える。 ある日、テムジンは、捕らえられていたシャン(テリー・サバラス)らを救い、解放して仲間に引き入れる。 その後、勢力を拡大したテムジンは、隊商の通る道にたどり着く。 テムジンは、ホラズム王(イーライ・ウォラック)の仲介でその場での休戦協定が成立し、武器の携帯が禁止されたことを知り、そこを通るアラブの隊商に近づく。 同じ部族である育ての母カトケ(イヴォンヌ・ミッチェル)に再会したテムジンは、ジャムカに売られたことを知り、彼女と女たちを解放する。 ホラズム王に保護されていると言う隊商の話を無視したテムジンは、カトケをシャンに与える。 ギーンから、自分も結婚を考えるべきだと言われたテムジンは、ボルテの元に向かい、彼女を連れ去る。 ジャムカを怒らせるためにさらったとボルテに伝えたテムジンは、自分を見下す彼女に、多くの部族を従えて諸国を征服する野望を話す。 納得できないボルテはテムジンに襲いかかるが、心通じることができた2人は愛し合う。 ボルテを奪われたジャムカの怒りが収まらず、逃げた彼女の兄スブタイ(ケネス・コープ)、ジェバイ(ドン・ボリセンコ)、カッサー(ロジャー・クルーチャー)を追う。 テムジンは、ギーンの案内で陣地に着いた兄たちを、妻となったボルテから紹介される。 尾行を気にするテムジンは、ギーンから問題ないことを知らされる。 スブタイから、ギーンはウソをついていると言われたテムジンは、山の光が見えたことを知り、センガルに焚火を消すよう指示する。 翌日、川で髪を洗っていたボルテは、ジャムカに連れ去られてしまう。 釣りをしていたセンガルは、川を流れるボルテの服に気づいて持ち帰り、それをテムジンに見せる。 ギーンらを先に出発させたテムジンは、ジャムカの陣地に攻め込もうとする。 夜中に襲撃に気づいたジャムカは、テムジンにボルテを奪われてしまう。 ギーンらと合流したテムジンは東に向かうよう指示し、ジャムカに心身ともに傷つけられたボルテを気遣う。 テムジンは、文明が進んだ東の国で多くを学ぶことを考える。 ある谷で、立ち往生している中国人のインド大使カム・リン(ジェームズ・メイソン)に出会ったテムジンは、身分を隠し、壊れている馬車を直して同行することになる。 妊娠しているテムジンの妻ボルテを紹介されたカム・リンは、彼女を馬車に乗せる。 その後、息子の誕生を喜ぶテムジンは、何か話したそうなボルテに対し、自分の息子だと言いながら、名前を”ジョキ”にすることを伝える。 やがて、一行は”万里の長城”に到着し、皇帝の兵士に迎えられて都に向かう。 皇帝(ロバート・モーレイ)に謁見したテムジンは、武術を教えながら様々なことを学ぶようにと言われるものの、”捕虜”になったと考える。 ジャムカと戦うべきだったと考えるスブタイを殴ったテムジンは、その意欲は認めて右腕にする。 テムジンは、戦士としての訓練を続けながら、知識を吸収しようとする。 攻め込もうとする満州族に軍隊っを全滅させられた皇帝は、今回のことを重要視しなかった。 しかし皇帝は、他の民族が後に続く可能性があることをテムジンに指摘される。 満州族撃退が必要だと考えるテムジンは、滅んだ軍の代わりとなる兵を、スブタイに集めさせることを皇帝に約束する。 それを信用するべきか考えた皇帝は、カム・リンから、ボルテと息子を人質にとることを提案される。 テムジンもその案に納得し、皇帝は彼に必要な資金を与える。 最も優秀な部隊を集めた者には、皇帝の美しい末娘チン・ユー(スザンヌ・シャオ)が与えられることを知ったスブタイら3兄弟は、大いに張り切る。 精鋭部隊を率いたテムジンは出撃し、攻め込んで来たジャムカの部隊を迎え撃つ。 勝利したテムジンは、ジャムカを捕らえて首カセをはめて檻に入れ、都に凱旋する。 ジャムカを皇帝に差し出したテムジンは、その功績を称えられて”ジンギス・カン”と呼ばれることになる。 歓迎の式に使うだけの黒色火薬のことを知ったジンギス・カンは、それに興味を持ち、利用方法を考える。 檻に入れられていたジャムカは、ボルテと一緒にいる息子は自分の子だと確信する。 ボルテは、ジンギス・カンにジャムカを処刑させようとして説得し、それが無理なら味方にするべきだと伝える。 父を殺し妻も傷つけたジャムカは苦しみ続けるべきだと考えるジンギス・カンは、帝国を築くために必要なことだと言うボルテの意見を聞く。 ボルテから槍を渡されたジンギス・カンは、一本なら折れるが二本では折れないと言われ、団結が必要だと悟らされる。 ジャムカを呼んだジンギス・カンは、統一国家を築くために、争いをやめることを提案する。 支配されることを嫌うジャムカは、それを拒む。 国に戻る考えを皇帝に伝えたジンギス・カンは、理解を得られないものの、作った花火を打ち上げることは許可される。 皇帝は、征服者となって戻る恐れがあるジンギス・カンを監視するようカム・リンに指示する。 皇帝がジャムカを利用しようと考えているため、カム・リンは今後の展開が気になる。 カム・リンは、部隊を残し独りで旅立つことをジンギス・カンに提案し、そうした場合に、ジャムカかが暗殺者として差し向けられることを彼に知らせる。 ジンギス・カンに指示されたスブタイは、ジャムカを彼の元に連れて行こうとするが、隙を見せたために首カセを外され逃げられてしまう。 ジャムカを見つけられないジンギス・カンは、カム・リンを拘束する。 皇帝に見事な花火を披露したジンギス・カンは、満足してもらえる。 最後の余興のために皇帝が点火した花火は、正面門を破壊してしまう。 脱出するジンギス・カンは、爆風で倒れた皇帝が息絶えたことを確認する。 カム・リンを友人として扱ったジンギス・カンは、中国を侵略することを提案され、他の部族も加えられると言う彼の意見を聞き入れる。 中国をジェバイに任せ、スブタイがロシアを攻め、カッサーがインドを攻略する計画などを考えるジンギス・カンは、世界支配に向けて動き出そうとする。 ジャムカも仲間に引き入れる考えのジンギス・カンは、それに反対するスブタイから、妹に子供を生ませたと男だと言われ、それを否定して、自分の子だと伝えて指示に従わせる。 その後ジンギス・カンは、黄河以北を領土にしてロシアに攻め込み、インドを含めたアジアをほぼ征服し、ホラズムに迫った。 ホラズム王と手を組んだジャムカは、ジンギス・カンを倒そうとする。 それを知ったジンギス・カンは敵を迎え撃ち、カム・リンを使者として送る。 カム・リンから、ジンギス・カンが話し合いを求めていると言われたジャムカは、それに同意する。 カム・リンを人質として残したジャムカは、6人を引き連れて話し合いの場所に向かう。 ジンギス・カンと2人で話し合ったジャムカは、協力し合うことを提案され、国王と相談して回答はカム・リンが持ち帰ると伝える。 その後ジンギス・カンは、袋に入れられた死んだカム・リンが戻ったことを確認し、突撃してきたジャムカの部隊を迎え撃つ。 激しい戦いが始まり、勝ち目はないと考えたホラズム王が撤退しようとしたために、ジャムカは彼を殺す。 壮絶な戦いの末に全滅寸前となったジャムカは、一対一の決闘をジンギス・カンに申し込む。 決闘は始まり、剣を交えたジンギス・カンは、傷つきながらもジャムカを倒す。 重傷を負ったジンギス・カンは捕虜を解放し、残ったコッチラクらメルキトの戦士は、彼に従うことを誓う。 モンゴルが統一されたことを喜ぶジンギス・カンは、息子たちに国土の拡大を託す。 ジンギス・カンは、息子たちが成人するまで、ボルテと兄弟が自分の代理を務めることを皆に伝える。 神と向かい合うと言うジンギス・カンは、ボルテの手を握りしめながら息を引き取る。 それまで堪えていたボルテは、泣き崩れる。 ジンギス・カンは姿を消し、その後、息子たちはハンガリーまで攻め込み、エジプトを脅かし、孫の一人はムガール帝国を築き、もう一人は元の皇帝フビライとなった。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
800年前のモンゴル。
遊牧民の族長イェスゲイの息子テムジンは、メルキトの一団に襲われ、リーダーのジャムカに目の前で父を殺され捕らえられる。
逃亡したテムジンは、占い師のギーンらと共に小部族を結成し、争い続ける部族の統一を目指す。
ジャムカが娶ろうとしていた、氏族の首長の娘ボルテを連れ去り妻にしたテムジンは、勢力を拡大する。
東に向かうテムジンは、中国の大使カム・リンに出会い、豊かな国家である彼の国で、様々なことを学ぼうとするのだが・・・。
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モンゴルの遊牧部族を統一し、世界人口の半数以上を統治するモンゴル帝国を築き上げたジンギス・カンの生涯を描く歴史ドラマ。
人類史上最大規模の帝国を築いたジンギス・カンの世界観などが、スケール感のある映像と共に楽しめる作品には仕上がっている。
ロケ地となったユーゴスラビアの雄大な風景や、セットや衣装などの出来も悪くはないが、登場人物の描写は陳腐としか言いようがない。
西洋人がアジア人を演ずる例は多くあるが、これほどのノーメイクで役柄を演じさせる作品は観たことがない。
ジンギス・カンの妻ボルテを演ずるフランソワーズ・ドルレアックは、パリの街角を歩く女性のようなブロンドに近いロングヘアで登場し、中国皇帝のロバート・モーレイも髭を生やしているだけ、外交官役のジェームズ・メイソンに至っては、もうギャグとしか思えないような珍妙な人物を演じ、彼がこんな役を演ずるのかとショックを受けた方も多いのではないだろうか。
人材がいないにしても、アジア人役者は一人も出演せず、舞台ならともかく、資金も十分にある映画で、名優たちにこんな役柄を演じさせる製作側の意図が理解できない。
テムジン/ジンギス・カンを演ずるオマー・シャリフ他の熱演自体は認めてあげたい内容だけに非常に残念だ。
ジンギス・カンのライバルであるメルキトのリーダー、ジャムカのスティーヴン・ボイド、呆気なく死んでしまうゲスト出演程度の出演が寂しいホラズム王のイーライ・ウォラック、主人公に救われて部下となるテリー・サバラス、主人公の協力者である占い師のマイケル・ホーダーン、主人公の育ての母イヴォンヌ・ミッチェル、主人公の家来ウディ・ストロード、主人公の部下になるボルテの兄スブタイ役ケネス・コープ、その弟ロジャー・クルーチャーとドン・ボリセンコ、ジャムカの部下パトリック・ホルト、中国皇帝の末娘スザンヌ・シャオ、主人公の部下ジョージ・サバラス(テリー・サバラスの弟)、グスタボ・ロホなどが共演している。